キーンコーンカーンコーン
6時間目終了のベルが鳴った。
今日の授業も終わり。そもそも,もうすぐ卒業なのに,何故この時期まで6時間授業などするのか。とても理解に苦しむ(注 俺は留年決定。これだけ休めば仕方ないかもな)。
さて,今日は何処にくり出そう。
『 第2話 折原浩平の幸せな日常 』
瑞佳がこっちにやってくる。
ふと窓の外に目をやると,校門のところにみずかが立っているのが見えた。
やれやれ。今日も二人きりにはしてくれそうもない。
俺が戻ってきてから1週間が過ぎた。
みずかがこの世界に来てから1週間が過ぎた。
瑞佳が自分のキャラを忘れて笑いころげた日から,1週間−(マイナス)1日が過ぎた。
何の変哲もない日々が過ぎていった。
住井も七瀬もその他の連中も,俺が消えていた事に気付いた様子はない。
別に,改めて教えてやる事でもないし,信じてもらえるとも思えなかった。
住井も七瀬にも,俺が何かの理由があってずっと休んでいた,と言う認識しかなかったし,その事について詮索しようともしなかった。というより,気になってないといった方が正しいだろうな。
由起子さんに至っては,1年間俺と逢わなかった事に気付いてすらいなかった。ちょっと悲しい・・・
そんなこんなで,俺がクラスに溶け込む事は容易だった。まぁ,奴等にとっては休学していたクラスメートが復学した程度の事なんだろうな。
だから,以前の生活と変わった事と言えば,
1.家族にみずかが増えた。
2.正式に瑞佳と恋人同士になった。
3.住井の方が成績が良くなっていた(大学に合格したと聞いた時,俺は石化した。)。
4.七瀬の髪型が変わっていた。(王子様が見つかったんだと。相手は可哀想に。)
といったくらいだな。3と4は別にどうでもいい事だがな。
「浩平?何ブツブツ言ってんの?」
「いや,なんでもない。宇宙の意志だ。」
「変な浩平?」
瑞佳と恋人同士になった。だが,二人の関係は以前とそんなに変わらない。
ただ,一緒にいる時間は増えた。
相変わらず瑞佳は,朝起こしに来てくれている。
そこには,みずかにボコボコにされた俺がいる。
昼食も一緒にとるようになった。最近は瑞佳が,俺の弁当を作ってきてくれるようになった。
住井がうらやましがったので,一品500円で売ってやった。いい事はするもんだ。
瑞佳も部活を引退したので,放課後も常に一緒にいるようになった。ただし,みずかも一緒だ。
特に幼稚園に通っているでもないみずかは,毎日,学校が終わるのを見計らって,校門のところで待っている。5歳児にしては頭のいい奴だとつくづく思う。
「浩平,やっぱり変だよ。なんか,取り憑かれたみたい。」
「黙ってろ。明日は我が身だ。」
「???何の事?」
「一人称ってのは大変なんだ。お前も主人公になれば分かる。それに多分、次はお前の番だ。」
「何言ってんのか分んないよぉ。」
「こーへーっ!!,おねーちゃん!!」
みずかが駆け寄ってくる。
「こんにちは,みーちゃん。」
瑞佳はみずかをこう呼ぶ。「みずかちゃん」と呼ぶのが恥ずかしいらしい。
みずかと瑞佳。
こうして見ると,俺の妹と言うよりも,瑞佳の妹って気がする。
(PS版「輝く季節へ」パッケージイラスト参照。)
実際,俺も少し戸惑っている。
今まで,俺の中の世界の存在だったみずかが,目の前にいる。
はっきりとした存在として。
変な感じだった。
みずかといるとき,ふと,夢を見ているのかと思う瞬間がある。
まだ俺は,永遠の世界の中で彷徨っているんじゃないか,と恐ろしくなる瞬間がある。
そんな時,瑞佳がいる事で,俺は自分が存在していると安心できる。
あいつに依存しすぎかな、と思う事もあるが,今はそれでもいいと思う。
とにかく今は,瑞佳を待たせた分,精一杯愛そうと決めている。
って,格好付けるのはここまでっ!!
そんなのは俺らしくない。
シリアスなのは,本編の時だけで十分だ。
瑞佳とみずかと一緒に,今日は何処にくり出そう。
また今日も,商店街でもぶらついて,パタポ屋とか山葉堂とかで奢らされるんだろうな(注 瑞佳の作る弁当のおかげで浮いた昼食代を「みずか’s」は狙っているのだ!!)。
うんざりしながらも,両手に花状態で,俺は平和な日常を謳歌しているのであった。
「やっぱり浩平,おかしい・・・」
「こーへーが,おかし?」
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結局、前回の話、続き物にしてしまいました。
ただ、今回のはSSというよりも 状況&設定の説明 メインです。
内容は限りなくゼロに近いです。
だから、読み飛ばして構いません。(先に書いとくべきだったかな?)
次回から、ちゃんと書きます。
感想をくださった皆様、ありがとうございました。
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