闇の晴れる瞬間を、どれほど待ち望んだことでしょうか。 長い長い年月をこの日のために耐えてきたというのに、この者は選択を迫るのです。 ドアは大きく開かれ光が射しているのでしょうが、解放者に遮られてこちらにはまったく届きません。 悠然と佇む解放者は微動だにせず、ただこちらの回答を待っています。 しかし、まだよくわかりませんでした。光は、光で。救いは、救いなのではないのでしょうか? 光の下に出て神に感謝を捧げれば、救われない者などないのではないのでしょうか? 耐え続ける日々の中で、これほど考えたことはありませんでした。 しかし部屋の中の闇が!大いなる闇までもが! まるで決断を急がすかのように試験管にまとわりつくではないか? 守ろうとしているのか、遮ろうとしているのか。知る術もない。 まさに今できることは、早急に、発狂せんばかりの咆吼をもって意を示すしかない! 「外へ!!」 「おお!」 「光を!!」 「うむ!」 「私を、連れ出せ!!」 「ならば!」 解放者は迫りました。そしてその大きな手を試験管の中に突っ込むと、ずるずると無造作に私を這い出させた。 「おお!生まれながらの出来損ないよ!その足は歩くこともままならず、その手は掴むこともできぬ! 眼孔は醜く歪み、もはや見ることもかなわん!それにもましてその恐ろしい姿! お前はそれでもこの闇から這いだして、神の光を欲すのか?」 「欲す!!」 「よくぞ!」 解放者は私を支え、出口まで連れていきました。 闇に射し込む光が眩しく、外を見ることはかなわなかった。 しかしそれも束の間、今すぐに光溢れる神の大地へと誘われることだろう。 「行くがよい!まさしくここは神の領海にして約束の地!お前はその体を引きづって、神の祝福を受けるがいい!!」 出来損ないは闇の外へと放り出され、熱く射す光に照らされました。 解放者は姿を消し、自分には手も足もなく、闇に還ることも許されない。