出来損ない 第二話  投稿者:から丸&からす


 それから数年が経ちました。
 神様との約束からは数十年が過ぎました。
 今日も昨日と同じように、光が射すのを待ちこがれています。
 いつか必ず救いが訪れると、いつまでも信じてやみません。
 
 そしてついに、ドアが開かれました。
封じられていたような重々しい音をたてながら、ついにドアが開かれました。
解放者は警戒するような足取りで、ゆっくりとこちらに近づいてきます。
「やあこれは、出来損ないだ」
 もちろんそれを聞いていました。
 彼は何を言ったのでしょうか?
「お前は、出来損ないだな」
 解放者が現れたというのに、部屋はいつまでも暗いままです。
いやむしろ、解放者が試験管の前に悠然と立ち、さらに闇が濃くなったような気がします。
「出来損ないよ、お前はどうしたい?」
「外に出たい」
「外?」
「そう、外だ。それから、光だ」
「お前は本当にそれを望むのか?」
 心に疑念が生じます。果たして解放者は何を言うのでしょう。
光を求めて気が遠くなるような年月を耐えてきた身に、何を言うのでしょう。
「望みか、それがお前の。外には光がある、救いがある。悲しみに満ちた荒野の上にでも、業火に焼かれる鉄板の上でも、それは訪れる」
「ならば」
「それは訪れる。しかし、お前には腕も足もないではないか?」
「?」
「丸まったようなその手足で、どうやって光を救う?醜く歪んだそのまなこで、どう救いを受けるというのだ?」
「・・・・・・」
「さあ、光ある外に出るか?それとも、お前を守ってきたこの闇に留まるか?」
「・・・・・・」
「それはお前が決めることだ。神が決めることではない」