飛び続けた鳥の話  投稿者:から丸&からす


 鳥がいました。
 たった一匹の鳥がいました。
 大きな翼を持った鳥がいました。
 鳥はどこまでも飛んだのでした。

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 あるところに、一匹の鳥がいました。
 太陽に映えるような立派な毛並みと、
伸ばせば獣ほどの大きさもあろうかという翼を持った。
それはそれは立派な鳥でした。
 鳥は金色に光る卵から生まれました。こつ こつ と卵をつついたかと思うと
次の瞬間には卵の中からばっと翼をはためかせて、生まれてきたのです。
 鳥はすぐに飛ぶことができました。まだ毛も生えそろっていない雛鳥でしたが、
他の雛鳥達を眼下に見ながら、大空を舞うことができたのです。
鳥は初めて大空を飛んだときに、お日様を見ました。
まんまるくて眩しいほどに輝くお日様です。
そして鳥は、お日様の声を聞きました。
「おう、お前は紛れもない天の鳥じゃ。翼に天を持った天の鳥じゃ。
駆けるがよい、鳥よ。大空を駆けるがよい。今からお前に、大空を与える」
 鳥は嬉しさと誇らしさで、たまらずその日だけでも百里は天を駆けました。
 それから鳥は駆け続けました。少年の頃も、青年の頃も、
変わらず天を駆け続けました。鳥は大変な速さで、大変な力で、
大空に居続けました。他の鳥達は彼を主とあがめ、
その力に抗しようとする者はいませんでした。
 鳥はずっと駆け続けました。鳥はずっと一人でしたが、
寂しいことはありませんでした。ただ鳥はいつまでも駆け続けるのでした。
何故なら彼は、大空を与えられていたからです。
 でもそれから長い年月が経って、彼は年をとりました。
鳥は天空の鳥でしたが、それでも長く生きることはできませんでした。
一緒に生まれた鳥達もほとんどがいなくなり、
鳥はほんとうにひとりぼっちでした。
「我が生涯に一片の悔いなし」
 しかし鳥には、一つだけ、ひっかかっていることがあったのです。

 天は鳥のものでした。しかし一つだけ、
鳥のものにならないものがありました。
 鳥の駆ける天空にはいつも、七色に輝く虹が現れます。
自由な天に輝く、それは鮮やかな虹があるのです。
 それだけは鳥のものになりませんでした。
 
 鳥は飛び立ちました。その大きな立派な翼をはためかせて、
ぶわっと大空へ舞い上がりました。
 そして鳥は七色の虹を目指しました。
老いたとはいえ、その速さと力は他の鳥の比ではありません。
 太陽に選ばれた鳥は飛び続けました。
彼のものであるはずの天を駆け続けました。
どこまでもどこまでも、虹を目指して飛び続けたのです。
 しかしどこまで飛んでも、虹は近くなりません。
どこまで飛んでも遠くて、辿り着かないのです。
 それでも鳥は飛び続けました。翼のもつ限り飛び続けました。
どれほどの昼と夜が過ぎたのでしょう。鳥はまだ飛び続けているのです。
それでも虹はいつまでも遠くて、鳥は辿り着くことができません。
 鳥は今にも地へと落ちていきそうでした。
以前は力が漲っていた翼も今は力無く、よろよろと飛ぶことしかできません。
 鳥は後一里、後一里に違いないと信じ、まだ飛ぶことをやめません。
もう真っ直ぐ飛ぶこともままなりませんでしたが、
鳥は飛ぶことをやめませんでした。
 しかし鳥は神ではありません。
いつしか鳥の翼ははためくことをやめてしまいました。
ところが鳥には、翼が動かなくなったことがわかりません。
まだその眼光は大空を見つめ続けています。
 鳥の体に亀裂が走りました。一本、一本、細いけれど深い亀裂が、
鳥の体に刻まれていきました。
 鳥はまだ大空を見つめ続けています。その向こうの虹を見つめ続けています。
 鳥の体がぼろぼろになって、亀裂が目をも覆ってしまうまで、
鳥は見つめることをやめませんでした。飛び続けていることを疑いませんでした。
 ついに鳥の全てがぼろぼろになってしまいました。
鳥のかけらは風に運ばれて、天空へと散っていきました。
 虹はまだまだ、遠いのでした。

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から丸「しまったぁーーーーー!!!!!」
からす「どした」
から丸「これ、ONEと全然関係ない!!」
からす「あ・・・」
から丸「気がつかなかった・・・」
からす「気づけ!!」
から丸「ここに載せていいもんかなぁ」
からす「まあ、わざわざ排除されるほどでもないと思うが」
から丸「そだねえ」
からす「ではそんなわけで・・・場違いであるにもかかわらず、
    ここまで読んでくださってありがとうございました」
から丸「見果てぬ夢 は無期延期になりました・・・すいません」
からす「あれもショートにすりゃあよかったのに」
から丸「・・・それでは、お後がよろしいようで・・・」