未来  投稿者:から丸&からす


第四話「トンネルの向こうに」

 雨が降っていた。叩きつけるような大粒の雨が際限なく降り注ぎ、
俺を濡らしていた。俺は濡れることにも構わずに
冷たくなったアスファルトの上を歩く。
 相変わらず、俺はろくに辺りに目をくれることもなく。
ただ歩くことに没頭していた。
 ばしゃ、と行く手を遮った水たまりをはね飛ばす。
 俺は知らぬ間に街の中でも自分があまり見慣れない土地に足を踏み入れていた。
しかも辺りにはこの雨のせいか人気もなく、
故郷のはずなのにまるで自分が異邦人のような気がした。
 家々は雨戸をしめて外からの干渉に傷つけられまいとしている。
それはただの単なる生活の一風景にしか過ぎないのだが、
俺にはこの街が俺の闖入を拒んでいるように思えてならなかった。
 ここに残してきた無数の物語の数々も、もはや色あせてそれを
思い出す気にもなれない。現実のことなどなにも知らずに、
幸せだったあの頃を思い出すと辛いのだ。
だから俺と同じように、この街も俺を拒んでいるのかも知れない。
 しかしその中で俺は思いもよらぬ出会いを果たすことになった。
その場所は今でも忘れることがない、
暖かそうな家屋の群から取り残されたように存在する空き地。
そこに傘をさして佇んでいた少女。
 ・・・夢か? 最初、その光景を見たときにまず俺はそう思った。
生きていないはずの里村さん、しかもその姿は20年前の
それそのままだったからだ。
 里村さんは空き地に一人佇んだまま動かない。暗く陰気な空き地の中に
佇む彼女はまるで一輪の花のように見えた。整った顔立ちからは繊細さが伺われ、その美しさには他者を虜にしてしまう一種神秘的な魅力が宿っていた。
艶のある髪もそのままで、それはこの雨の中でも全く濡れたように見えず、
触れば中から光がこぼれ出てきそうだった。
「・・・?」
 外からずっと眺めていた俺に気がついたようで、里村さんが俺の方を向く。
こちらの思考を見透かすかのような、曇りのない二つの相貌が俺を見据えた。
「・・・」
 しかし里村さんは全く問題にならない、とでもいうように俺を無視してくれた。
おそらく奇異の目を向けるのは俺一人ではないのだろう。
 俺は相手にされずに多少のショックを受けていたが、このまま引き下がることも
できなかった。
「里村さん」
「・・・」
「里村さん!」
 俺はスラックスの裾が濡れるのにも構わず、雑草がぼうぼうと生える空き地の
中に分け入っていった。泥に足をとられそうになりながらもなんとかこらえ、
俺は里村さんに近寄っていった。
「・・・なんですか?」
 俺はびくりとした。里村さんは俺が手の届く範囲に入ってくる直前で
俺に制止をかけたのだ。それがあまりに鮮やかだったため、
俺は少し動揺してしまった。
「あ・・・えっと」
「・・・なにか用ですか?」
「え、いや用ってわけじゃないんだけど」
「・・・用はないんですね?」
「あ・・・まあ」
「私もです」
 プイっと横を向いてしまう。まさしくとりつく島もないというやつだ。
里村さんの鉄壁気味は学校の中でも外でも変わらない。
「いや、ええっとさ・・・」
「・・・・」
「そ、そう、こんなところでなにしてんだ?雨も降ってるし風邪ひくよ?」
「・・・あなたは傘もさしてません」
「う・・・」
 そういわれてみると俺は傘すら持っていなかった。
これでは里村さんの行動を確かめる前に俺が単なる変な人だ。
「・・・風邪をひきますよ」
 あまり言いたくはないのだが、その時里村さんは傘を二つ持っていた。
「・・・風邪をひきますよ?」
「ううう・・・くしゅ!」
 俺は情けなくもその場からは退散するしかなかった。そして後ろを向いたままで
こう言うのが精一杯だった。
「風邪・・・ひかないようにな」
「・・・・」
 里村さんはなにも返事をしなかったけど、聞いていたに違いない。
それ以上留まることが出来なかった俺は、濡れる体を両手で抱えながら外へ出た。
どこへ行こうが雨は止まず水たまりが無くなることもないが、
空き地の中よりはましに思えた。
 ちらりと空き地を見やると、里村さんはまだそこにいた。
飽きもせずに・・・誰かを待っているのだろうか?それにしてももっと他に
場所があるだろうに・・・。
「・・・くしゅ!!」 
 俺はもう一度大きなくしゃみをして、体をぶるぶると震わすと
走って学校まで向かった。

<第四話 終わり>
////////////////////////////////////////////////////////
>いばいばさん
から丸「うわはははははははははははははははは!!!」
からす「・・・」
から丸「あはははははは・・・くうーー・・・」
からす「・・・」
から丸「うう・・・先が気になるって感想をもらうのに、どうしてこう先を
読まれるんだろう・・・」
からす「ワンパターンじゃねえの?」
から丸「ううう・・・なにはともあれ、いばいばさんの予想した通りの展開だと
思います、多分。いばいばさんはみさき先輩が過去へ、ですか。
まあ先を読まれようともいましばらくは南を踊らせてみようと思いますので・・・
どうか見守ってやってくださいね」
からす「よろしく」


--------------------------------------------------------------------------------
同じクラス?
投稿者: まてつや  投稿日: 9月12日(日)01時23分

雨のせいで、目覚めた俺は……
いつもよりはやく家を出た。

そして、何気なく止まった空き地で、同じ学校の制服の、ピンクの傘をさした、
金髪の少女と会った。

……里村茜……

クラスメートのはずだったので、俺は声をかけることにした。

「よお。そんなとこで何してるんだ?」
「……誰?」
「同じクラスの折原だ」
「私と同じAクラスの人間は郁未さんしかいないはずです……」
「……えっ?」
里村茜じゃないっ!?
「用がないなら、消えてください」
そう冷たく言い放つ口調は里村茜そのものなのだが……
外見も良く似ているのだが……




葉子さんシナリオ突入!?(続かねえ!)


〜完〜

=====================================
☆あとがき☆
タクティクス原画集の未使用さんって、葉子さんのことですよねー、絶対。
つーわけで、誰か葉子さんシナリオ書いてくださーいっ!

葉子「こういうのばっかり書いてると、一発ギャグしか書けない人に思われますよ」

ざっくり!

うう、ぜーはーぜーはー。


そう言えば、ここんとこ1発ネタばっかりだけど(汗)

葉子「しかも、Kanonでは18禁ばかり書いているそうですね」


かはぁぁぁぁぁぁっ!(吐血)



http://www.geocities.co.jp/Playtown/1331/