人魚姫 投稿者: から丸
第三話 「神官戦士の弓」

 茜には確かに見えていた。

 黒き剣と獣の再会。
 剣と主との再会。

それは明らかな予兆だった。一閃の光も射さない真の闇の中へ
身をおきながら、茜はただ一人未来を予期していた。
 エメラルド色をしたその瞳は、太陽の元に照らせばさぞ美しく輝くことだろう。
しかし今の茜の瞳には女神から授かった神秘の光と、暗闇を従える
魔術の光が宿り、それは太陽にあらず異界の灯火があった。
 地上に落ちた魔界からの呼び水。茜は女神の巫女として陽の光を浴びず、
暗闇の中で女神への忠誠を誓う。その力が魔界の剣と野獣の再会を知らせていた。
 女神の瞳が闇を飲み込む。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「なんかさあ、城の空気がピリピリしてないか?」
 衛兵の南二等兵は仲間の間でも非常に呑気な性格で知られている。
「・・・そうか?」
 同じく衛兵の南森伍長は非常に無口で無愛想であると皆から言われていた。
「いやきっとそうだよ。それに王子が最近遊びに来ないしな」
「・・・溺れて死にかけたんじゃなかったか?」
 そして何故か二人は仲が良かった。
ここは城内でも果たして警備の必要があるのかと疑われてやまない
中庭への出入り口の一つ。背後の廊下からは時折、忙しそうに
立ち働く召使いや仕事に追われる上級将校達の足音が聞こえてくる。
それが聞こえる度に、二人は何か気まずい思いにとらわれるのだが、
立派に職務を果たしているはずなのに何故そんな気分を味あわなければ
ならないのかと、心は妙な反発を覚えていた。
「最近にぎやかなことやってないしさぁ」
「・・・静かことはいいんじゃねーか?」
 南森の頭は半分で南との会話と仕事を、もう半分は田舎への仕送りをどうしようかと
考えていた。
「ノリが悪いな・・・」
「仕事中だ」
「そんなこったから恋人も出来ない・・・」
「ああ、そう言えばお前、里村女史との愛はどうなった?」
「ああ〜里村さん!綺麗だよな〜・・・」
 夢の世界へと旅だった相方をほうって、南森は仕送りをどうするかということに
全頭脳を集結させることにした。母親が飢え死にしないうちにどうにか
しなければならない。問題は切実だ。
「とりあえず反教皇派の諸侯からは風当たりがきつくなると思いますが、
今のところ目立った動きは見られません」
「それならいいんだけど」
 と、南森の思考に誰かの話し声が乱入してきました。
「それより瑞佳殿とのご婚礼を心配なされた方が」
「なんでそんなことを・・・」
「いやなに、瑞佳殿は城下で人気がありますからなぁ。
初夜を奪おうとする輩が現れるかもしれませんぞ?」
「あのなぁ・・・ったく、それにしても無事に初夜が
迎えられるもんかね」
「なにか心配でも?」
「いやまあ、色々とね」
「しかしあの瑞佳殿を・・・男冥利につきるというものでは?」
「まあいいだろ。どれ、久しぶりに砲兵の訓練でも見にいくか」
「ぜひ参加してください。皆も喜びますよ」
 と、立ち話をしていた二人が歩き出したようだ。
こちらに近づく形で廊下を歩く。
「(はあ、あの王子が溺れたぐらいで死ぬわけないな)」
「こら!お前らさぼってんじゃねーぞ!!」
「わわあ、王子!」
「中庭の警備をおろそかにすると王国が内部から破滅するから気をつけろ」
「そ、そんなわけないでしょ・・・」
「本当だ。この中庭には王家の者にしか知らされていない
重大な秘密が眠っているんだぞ」
「またまた・・・」
「じゃ、警備がんばれよ」
 夢うつつだった南を叩き起こして王子は去っていった。その後ろ姿からは
そこはかとなく王族としての威厳が感じられる。
「・・・・・・」
「・・・」
「・・・本当かな?」
「信じるな!!」
南森は久々に大声で怒鳴った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 つまり、茜は南の恋心など知る由もないわけで、
元々身分の違いから名前すら知らないわけで、つまり南の
恋は今のところ成就される見込みがない。
「王子、剣をどこへやりました?」
「へ・・・なんのことだ?」
「王子がいつも持っている短剣です」
「いや、俺がいつも持っているのはキミへの愛だけだ」
「・・・瑞佳様にいいつけます」
「じゃ、俺は会議があるからこれでな」
 ぐいっ!と茜はすごい力で王子を振り向かせました。
「・・・どこへやりました?」
「ごほごほ!痔病のしゃくが・・・」
「しゃくでせきは出ません・・・」
「じゃ、俺は会議があるから・・・あ、南!里村を紹介してやるこっち来い!!」
「え、本当ですか!?」
 がちゃがちゃと鎧の音を発しながら、南が走り寄って来ました。
「あ、あれ・・・里村さんは?」
「よし、ご苦労。南二等兵」
「は、はあ・・・」
 茜は煙のように消え去っていました。
「・・・嫌です」
 王子にはそんな声が聞こえた、ような気がした。

結局、王子が剣を持っているかどうか確認することができなかった。
しかしあの様子だったらおそらく剣が王子の手元にないことないことは、
容易に想像できる。というか茜はそう確信していた。
「大変危険です・・・」
 しかし、海に落としたならばあんな反応はしないはずだ。
まさか、何者かに奪われたか?
「・・・・・・」
 いや、自分が側にいたのに果たしてそんなことが・・・
まさか瑞佳がたぶらかして王子から剣を奪ったのでは?
「あ、里村さん。こんにちは」
「・・・こんにちは」
「お仕事中ですか?」
「・・・はい」
「私もなんだよ。婚礼の準備にあちこちへ出張しなきゃいけないから・・・」
「ご婚礼、おめでとうございます・・・」
「あ、ありがとう・・・。里村さんも忙しくなければ式に出てね」
「・・・はい」
「それじゃ、今度はゆっくりお話が出来るといいね」
「・・・はい、それでは・・・」
 瑞佳は確かに忙しそうに、早足で去っていった。
 とても宮廷の女とは思えない。どこか田舎娘のような雰囲気を
漂わせる瑞佳を見ると、秘宝を奪うような芸当ができるものかと
疑わざるをえない。
 茜には他人の人格や能力を見抜く術を心得ているが、
それを総動員してみても瑞佳を犯人にするには無理がある。
 とすると・・・王子自ら誰かに渡した?
 どんな目的で?王族を危機に陥れる禁断の秘宝を、まさか
自殺行為と知っていて他国に渡したか・・・?
いや、だったらもっと前から王子に兆候が出るはず・・・。
「・・・・・・・」
 茜の思案はしばらく止まることがなかった。

     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「みゅー?」
「・・・ですから、移動の為に馬を調達したいのですが」
「ちょうたつ・・・?」
「・・・馬に乗せて」
「みゅー♪」
 どうしてこんなに小さな女の子が馬屋で働いているのか?
茜は首をひねらぜるを得なかった。
 ここは馬屋の一つで城内の敷地に奥に位置している。
城のお偉方が所有する馬を預かっているのとは別で、ここには衛兵の軍用馬が
詰め込んである。
 専用の馬を持たない茜はここで一匹だけ拝借しようとやって来たのだ。
しかし誰かいるだろう・・・と思って来てみたら、いたのはまだ第二次生長も
迎えていないだろう少女である。しかも馬相手に仕事をしているだけあって泥だらけだ。
着飾ればきっとかわいい女の子に違いない・・・茜はどうでもいいはずの
ことを無意識に考えていた。
「みゅー!」 
 少女が奥の馬の手綱にぶら下がってこちらを呼ぶ。どうやらこの馬がいいと
言っているようだ。
「・・・・・・」
 奥にあったのは背丈が高く。体も引き締まった非常に立派な馬であった。
回りにいる馬の多くとは全く違い、その馬だけは毛並みが黒々と実に
力強く、目には爛々と生命の輝きが感じられる。
「・・・すごい馬ですね」
 茜は正直に答えた。
「おーじさまのうま」
「・・・今、なんと?」
「おーじさまの、うま」
 あの王子はこんなところにまで出入りしていたのか。
しかも自分の馬をわざわざ兵隊の馬と一緒に・・・
「みゅー、おうじさまやさしいの」
 手綱にぶら下がり、馬にぶんぶんと揺らされながら少女がそんなことを言う。
どうやら王子は常連のようだ。
「・・・・・・・」
 ま、いっか。お借りしよう。
 茜はそれ以上考えるのをやめて馬だけ使わせてもらうことにした。
 小屋の錠を外し、ひらりと馬に飛び乗る。
「・・・」
「みゅー」
「・・・なぜ、後ろに乗っているんですか」
「みゅー・・・」
「・・・走ってみたいんですか?」
「うん」
 パシ!と鞭を振るう。
 馬は恐ろしいほどの加速力を見せながら、城門を突破して
城下に躍り込んだ。門を警備していた衛兵がなにやら叫んでいたが、
たいした問題ではないだろう。
「みゅー!みゅー!」
「しっかり掴まっていなさい!」
 もう一度強く鞭を振るった。茜のその見事な手綱の使いから馬は素晴らしい
速度で走り、それを止めるものは何もなかった。

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 月イチかかさずクラブで女装してくるくせ会社に来てみりゃセクハラ三昧
 ノーパン上司の高級カツラ八階の窓から大遠投
 おかげで会社をクビチョンパ 
 身ぐるみ剥がされ変態タクシー飛ばして横づけ着いたところがツチノコ市場
 (by 電気グルーヴ♪)

 し・・・幸せのトンボよ・・・お前はどこへ・・・がく。
 から丸、夏バテで死亡。

 ・・・

 から丸の死亡から三ヶ月半。建設途中のリゾートホテルはそのまま
 放棄され復興のめどが立たず廃棄のめどもたたず放置されている。
 から丸の死亡に業を煮やした金*成がから丸の自宅に向けて
 テ*ポドンの発射を検討中、発射したら確実に命中する予定。
から丸の復活を助長するため政府は国旗国家法案を可決。
 君が代にパワーを得たから丸の復活を予知するため  
 通信傍受法案も可決の見込み大。

 うわぁぁっぁあぁぁっぁぁ!!! ゆ、夢か!?
 うぐ、立ちくらみが・・・夏バテだなあ、気をつけないと。
 それでは。