Holy Nightに口づけを  投稿者:北一色


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

あらすじであーる!!

  茜の幼馴染みの「あの男」が帰って来た!! 
  ……とゆーわけで、降りしきる雨の中、独り虚しくイヴを過ごす南の所にやっ
て来たサンタクロース(の格好した人物)は詩子だった。
  あげくに、主導権を完全に握られ、振り回される南。
  起死回生とばかりに、酒で酔い潰そうとして、結果的に事態は悪化。挙げ句に
自分まで暴走、自滅。
  しかし、南は「何故詩子が自分の家に来たのか」に疑問を抱く。

  そして……えーと、メンドくなったから、4・5話はなんとか自分で探して読
んでね♪(手抜き)

注:< > ←この中は作者ツッコミです
  
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

Holy  Nightに口づけを
最終話「メリー・クリスマス!!」

  ……意識を失ってた時間は、そんなに長くはなかったらしい。
  あれから、僕らは近くのコンビニに買い出しに出た。
  
  街角には、銀色に煌くクリスマス・トゥリー。
  傘をさして、はしゃぎながら歩く柚木を見ながら、思う。

  ……僕はどの程度、柚木の事を知っているだろうか。
  
  知らない事は山程ある。
  けれど、あの時にかかった、惹かれ合う、瞬間の魔法。
  あれだけは、いつまでも信じたい。
  きっと今日の事は、いつまでも忘れられないだろう。
  今夜なら、必ず言えそうな気がする。
  僕が今、柚木の事をどう思ってい……

  みし……

  ……電柱に激突……。

「……考え事しながら歩くと危ないよ?」
「……気付いてたなら、もう少し早く言ってくれ……」

  ……どうにも格好がつかないなぁ……。
  額をさすりながら落ち込んでいると、柚木は傘をたたんで僕の傘に入って来た
。

「?  どうかしたのか?」
「えへへー、相合傘だね♪」
「ばっ……馬鹿っ……」
  思わず周りをキョロキョロと見回す。
「誰もいないって。こんな時間だし」
「……いや、なんかこー、本能が警告を発してるよーな気が……」
「……よっぽどロクなメにあってないんだね……」
「……まぁ、その大半には住井が関わってたよーな気がするから……ヤツがいな
けりゃ、大丈夫だろうけど……」
  住井だけだったっけ?  なんかもう一人くらいいたような気もするけど……。

  コンビニに入り、菓子と酒とツマミを大量に買い込む。……とはいえ、さすが
にクリスマスだけあって、選べる程の菓子は残っていなかったが。

「さ、早く帰ろ♪」
「……ひとにほとんど持たせてよく言うな……」
「女の子に持たせるようじゃダメだよ」
「……酒ってメチャクチャ重いんだぞ」

  ブツブツ文句を言う僕を後目に、柚木は先にコンビニから出た。
  ……と、突然、歓声をあげた。
「……わぁっ……南君、早く早く!!」
「あのな、だから酒が…………あ……」

  視界を埋め尽くす、真っ白な雪の乱舞。
  世界が銀色に染まってゆく……。

  ホワイト・クリスマス。
  ここ何年か無かったな……。
  時計を見ると、ちょうど夜更けをすぎた頃。

「……♪雨は夜更け過ぎに……か……」
  少し古い、しかし今でも必ず、クリスマスになると至る所で聞く事になる曲の
フレーズが思い出された。

  柚木が、雪の乱舞の中で、傘もささずにはしゃいでいる。
  「銀世界の妖精」……うん、結構、文学的な表現だ。……ちょっと使い古され
てる気もするけど……どうせ、他に大した修辞を思いつけるわけじゃなし、まぁ
いいか。

  ぱっ、と柚木がこちらを振り返った。そして、
「メリー・クリスマス!!」
  僕も笑顔でそれに答えた。
  
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「うーん……?」
  窓から差し込む光で、僕は目を覚ました。
  寝惚けた頭で考える。

『……夢オチ?』

  ぶんぶんぶん!!!

  いかんいかん……危険極まる考えと眠気を、頭を振って追い払う。
  周りを見回すと、一階の客間に布団を敷いて寝てたらしい。
  なんとか昨日の事を思い出す。

  あの後、家に戻り、この前買ったばかりのグラスにシャンパンを開けて、乾杯
した。(ちなみに、シャンパンはコンビニではすでに売り切れていたのだが、グ
ラスを出した時に水屋の奥から見つかった。……親父の字で、「うまくやれよ」
と書いた紙がおまけでついてた。……さらにおまけで目薬までつけるのは、さす
がにどーかと思うぞ、親父……。)
<作者注:目薬を酒に混ぜると、睡眠薬代わりになるそうです>

  そして、菓子と酒を大量に消費しながらの、他愛もない会話。
  子供の頃、どんな子だったのか、どんな夢をもっているのか、最近何があった
か、里村の事、柚木の「武勲」、僕の今までの失恋談・失敗談……話しのタネは
尽きず、結局、意外な事に、柚木が先にダウンし、しょうがないので僕の部屋の
ベッドに寝かせて、自分はこの部屋まで下りて来て、布団にもぐり込んだんだっ
たっけ……。

  ……………………………………………………………………………………。
  ……もしかして、ものすごいチャンスを逃したんじゃ……?
  くぅぅぅぅぅぅぅっ………………僕のアホォォォォォォォ…………!!

  ……なんてね。
  僕がそんな事、出来る訳がない。自分の性格はよく知ってる。

  ふと、コーヒーの香りが鼻をつく。
「おはよー」
「……おはよう」
  昨日とは違う服の柚木が顔を出した。

「着替え、どこに持ってたんだ?」
「袋の中に、バッグを入れてたんだよ」
  ……サンタクロースの袋の中か。
  しかし、着替えまで用意してるとは……準備のいい事だ。

「コーヒー入れたけど、飲む?」
「ああ、ありがとう……でも、よくコーヒーのある場所がわかったな」

  その理由は台所に行くとすぐに判明した。
  タンスや戸棚があらかた開けられていた。
  どこにあるのか、手当たり次第に探しまわった跡だろう……。
  ……これを全部僕が片付けるのか……。

「どうかしたの?」
「いや、別に……」
  好意でやった事と解釈しておこう。

「ところで、結局泊まっちゃって大丈夫なのか?」
「大丈夫だよ。家を出る時に、茜の所に泊まって来る、って言っといたから」

  成程、それなら問題ないか。
  
「……ん?」
「どうかしたの?」
「いや、何かひっかかるような……なんだっけ?」

  いくつかの言動がリフレインされる。
  着替え。
  家を出る時。
  茜の所に……。

「もしかして……最初から泊まる気だったのか?」
  言った後で、自分の発言の重大さに気付いた。

「え……」
  柚木の頬が一瞬で朱に染まり――

「教えてあげない!!」
  思いっきりあっかんべぇをして逃げ出した。
  
  僕は苦笑して、柚木を追いかけた。

  これからも、こんな風に振り回されるのだろうか。
  でも、それもいいかもしれない。
  誇り高い、自由奔放な、小悪魔。
  捕まえておくのは、とんでもなく大変そうだけど。
  そんな生活も、おもしろそうじゃないか。
  
  聖夜の奇跡に。
  これからの生活に。
  柚木の笑顔に。
  ――そして、新しい恋に。

「――乾杯!!」

  (Fin)

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

  む〜、ちょっと消化不良気味……。
  これ以上修正しても、あまりよくなりそうもないので、これで終わりです。
  うーん、シリアスってホントーに難しいですね。
  このSSについては、私自身あんまり納得してないんで、できればお手柔らか
に……。
  えっと、そうそう、大元ネタについてですが、作中にもあるように、かの名曲
、山下達郎の「クリスマス・イヴ」が大元ネタでした。
  正確には、クリスマス・ソングを何曲かピックアップして、それを元にしてま
す。
  例:松任谷由美「恋人がサンタクロース」、B’z「HOLY  NIGHTに
口づけを」等々。
  一部だけだったり、ほとんどそのまんまだったりと、色々ですが。

  ギャグを可能な限り控えてたんで、ストレスが溜りまくってます。
  次は七瀬とか書きたいなぁ。もちろんギャグで。
  では、失礼をば。

                                          「感想書く時間が欲しい」北一色