Holy Nightに口づけを  投稿者:北一色


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あらすじだよん♪

  茜の幼馴染みの「あの男」が帰って来た!! 
  ……とゆーわけで、降りしきる雨の中、独り虚しくイヴを過ごす南の所にやっ
て来たサンタクロース(の格好した人物)は詩子だった。
  あげくに、主導権を完全に握られ、振り回される南。
  起死回生とばかりに、酒で酔い潰そうとして、結果的に事態は悪化。挙げ句に
自分まで暴走、自滅。
  そして気付いた事。
「柚木はどうして僕の家に来たんだろう?」

  さてさて、何でだろうねぇ?(^^)
  今回はギャグはナシ。

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Holy  Nightに口づけを
第4話「コンフェッション」

  ……TVはあいも変わらず面白くもない内容で、出演者だけが楽しんでいるよ
うにしか見えない。  

  でも、さっきまではそのTVを見ながら笑い合っていた。

  ……酒が入っていたから?
  違う。
  ……他にする事がなかったから?
  違う。    

  ……一緒に過ごしてくれる人がいたから。
  ……独りじゃなかったから。
  ……柚木がいたから。
  ……柚木の笑顔があったから。

  つまらない事で笑っていられたんだ。

  ……でも今、柚木は暗い顔で沈黙している。

  原因はわかっている。
  僕がした質問――「柚木はどうして僕の家に来たんだ?」――だ。
  しばらくは誤魔化そうと試みたようだったが、誤魔化せないと知ると、何かを
言いかけ――黙り込んでしまった。

  それからずっと、二人とも沈黙している。

  僕は「言いたくなければ言わなくていい」と言いかけ――やめた。
  本当に言いたくなければ、家に帰るだろう。それを止める権利は、僕にはない
んだから。
  「今、うやむやに誤魔化してはいけない」――そんな気がしたから。
  もし、何かの目的があって僕の家に来たのなら、少しでも力になってやりたい
から。
  例え自己満足でも、僕がそうしたいと思うから。

  長い沈黙。
  聞こえるのは雨音と時計の針の音。それにTVの雑音じみた声。
  電灯がついているのに、独りじゃないのに、まるで闇の中に独りで置き去りに
されたかのような、どうしようもない寂しさと孤独感が、胸の奥から湧き出てく
る。

  でも。
  僕は待つのは慣れているから。
  だから……

「……幼馴染みがね、帰って来たの」
  ……柚木が、話してくれた。

「『幼馴染み』って――里村が待っていた奴か?」
「そう。茜が待っていた人」

  ……何か問題があるのか?  
  ……ん?
  待てよ……「茜が」って事は……?

「柚木は――そいつに会いたくなかったのか?」
「ううん。会えた時は嬉しかったよ。懐かしかったし。
  でもね、気付いたんだ。
  ……あたしはずっと、あいつの事を『忘れてた』んだって」

  ……?

「……そりゃ、長く会わなけりゃ、忘れる事だってあるだろ。
  僕だって小学校の頃の友達なんか、忘れかかっている奴も結構……」
「……茜はずっと覚えてたの。たった独りで。周りのみんなが――あたしも含め
て、『みんなが忘れていたのに』、たった独りで覚えてたの」

  ……?
  「みんなが忘れていた」?  そんな事があり得るのか?
  ……よっぽど存在感のない奴だったとか?

  ふと、住井が聞いたという、あるクラスメートの言葉が甦る。

  ************

「……そのひとはね、あなたも良く知ってたはずのひとなんだよ」

「今はいないけど、本当ならここにいなければいけないひと……」

  ************

  ……まさか。
   、、、、、、、、、
  僕も忘れているのか?

  そんな事が……あり得るのか?
  
  僕の疑念をよそに、柚木の告白――というより、独白に近い――は続く。きっ
と、僕が聞いていてもいなくても、柚木にとっては同じ事なんだろう。
  ……雨音が、より一層、強く響き渡る……。

「……茜は、あたしに時々あいつの名前を言ったりしてたんだ。でも、あたしは
『その人、茜の知り合い?』って――それなのに、再会した時には『あー、久し
ぶりに会ったね』って……」

「茜の事を支えてあげてるつもりだったのに、あたしはずっと、思い出してあげ
られなかった……」

「だから――忘れていたって事を思い出した時、あいつと茜の顔をまともに見れ
なくって……クリスマスパーティーも誘われたけど、断わって……」

「それに、思ったの。『あたしもみんなに忘れ去られるかもしれない』って。そ
うしたら、どうしようもなく怖くなって……」

「どうしようか考えた時、南君の事思いついたんだ。南君が茜の事支えようとし
てた事、知ってたから……」

「……ぐすっ、南君と一緒にいたら、少しは気も晴れるかなって……」

「……ゴメンね、迷惑だってわかってたけど……ぐすっ……もう、これ以上、迷
惑かけないように、帰るから……」

  帰ろうと立ち上がる柚木に、僕は……

「……それは、困るな」
  ……僕は、柚木を抱き寄せていた。

「……え?」
  ……わずかに、柚木の全身がこわばる。

「これだけ騒いだんだ。お礼くらいしてもらうぞ。まだイヴは終わってないし」
「ちょっ……!?」

  (続く)

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  う〜、シリアスはむつかしい……。
  ちょっぴし泣きたくなるほどうまく書けん……。
  あ、コンフェッションは「告白」の意です。
  私は辞書ひかないとわかんなかったもんで……。
  てなわけで、下に続きます。