☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 第1話のあらすじ 高校3年のクリスマス・イヴ、南は独りで過ごしていた。茜を誘うために、住 井たちのパーティーにも参加せず、両親も温泉旅行を名目に追い出し、誘ってみ たが見事玉砕。理由は茜の幼馴染みである「あの男」が帰って来たため。 独り虚しく過ごす南は父親のビデオ(18禁)をあさり、見ようとした所で、 玄関のチャイムが鳴った。そこにいたのは…… 「……サンタクロース?」 注:< > ←この中は作者ツッコミです ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ るみちゃんおとめちっく劇場(コレ好きです)……じゃなかった、 Holy Nightに口づけを 第2話「ヴィジター」 ピンポーン 再び鳴り響くチャイム。 「へいへい……っと」 下へおりながら、僕はふと思った。 クリスマスにサンタの格好。セールスか……シューキョーか? セールスなら断ればいいが……シューキョーの人ってしつっこいからなー。 そのときは……「すみません、今偉大なる『名状しがたきもの』、ハスター様 の召喚儀式中なんです」……よし、これでいこう。邪神に勝てるもんなら勝って みろ!! ……ビールのまわり始めた頭で、得体の知れない事を考えたが、出ない方が早 い。僕はチャイムを無視して部屋に戻った。 ……18禁パッケージをしっかり握りしめて。 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 「……あんっ……はぁんっ……!!」 「へへっ、奥さん、随分たまってたみたいじゃねぇか。 ここか? ここがええのんか〜?」 「う〜む、親父の奴、よくもまぁこんなものを……」 ビデオのタイトルを見ながら、僕はつぶやいた。 まぁ、それを選んできた僕に、文句を言う資格があるかどうかは疑問だが。 ……やはり親子、趣味が似てるのか? ま、いいか。そろそろめぼしいシーンを選んで……。 コンッ ん? 窓の方か? 窓から庭を見下ろすと、さっきのサンタクロースがいた。 小石でも窓に投げたらしい。 <注:瑞佳とは関係ナッシング(古い……)> 「う〜む、なんとしつこい……」 思わず、デザートイーグル(エアガン。中学のとき買った)を手に取りつつ、 どうするか考えた。 「……ほっときゃそのうち去るだろ」 今はビデオの方が重要だし……ん? まさに戻ろうとした時、サンタが石を振りかぶったのが見えた。 ――ただし、赤ん坊の頭くらいの大きさの石を。 「ちょ……ちょっと待てぇいっ!!?」 慌てて窓を開けて叫ぶ。 ……なんとか途中でやめてくれた。 僕は仕方なく、玄関に向かった。 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 「やっほー♪ メリー・クリスマス!!」 ……随分お気楽なサンタだな……。 しかもこの声は女……更には聞き覚えのある声のような……? 「わぁ、ここが台所? あ、トイレこっちなんだ」 「……って勝手に上がるなっ!! てゆーか上がってるなっ!!」 「えー、ちゃんと『お邪魔してます』って言ったよー?」 「……何故に現在進行形!? さては上がってから言ったな!?」 もーおわかりだろう。 この、とてつもなくゴーイングマイウェイな性格!! お気楽を人型にしたらこーなりそーな脳天気さ!!(あえて「能天気」とは言 わないのがミソ) 神の悪戯か悪魔の所業か、はたまた邪神の使いか!!<段々おーげさになって きたな……> 里村の幼馴染みにして親友、柚木詩子その人だった!! ……何故にサンタクロースの格好してるんだ? しかも白髭まで付けて……? 「あ、これ焼きプリン? いっただっきまーす♪」 「……って人が苦悩してるのに放っぽっとくなっ!! しかも冷蔵庫あさるなっ!!」 「……ご馳走様ー」 「さらに食い終わるなっ!! 食うの速いぞっ!! ……てゆーか僕のプリンがあああぁぁぁ―――っっ!!!」 「ある人に早食いのコツを教わってたんだよ。去年だけど」 僕の苦悩をさらっと受け流しながら、柚木(さすがに白髭はとった)はあっさ りと言ってきた。 ……一瞬、僕の脳裏に浮かんだのは、「学食のエンプレス(女帝)」の異名を 誇った、とある先輩の顔が浮かんだ。 ……知り合いだったんだろうか? まぁ2人とも、すぐに知り合いになりそうな雰囲気があるが……。 「……ってどんどん奥に入って行くなっ!!」 「えー? ちゃんと『お邪魔します』って言い直したよ?」 「『お邪魔します』じゃなぁいっ!! そもそも誰が許可を……!!」 「えーと、それじゃあ……あ、そーか♪ ただいまー♪」 「なお悪いわぁぁっっ!!」 「明義さんや、ご飯はまだかねぇ?」 「さっき食べたばかりでしょ……じゃなくって!!」 「お母さーん、お腹すいたよー」 「お・の・れ・はあぁぁぁぁぁ……!!」 いかん、落ち着け。深呼吸だ。 よく考えろ……怒ると敵(?)の思うツボだ!! 「……で、なんでお前が僕の家に来るんだ?」 「なんで家を知ってるんだ?」というのは、訊くと恐ろしい返事が返って来そ うだったので、訊けなかった。 「幸せを届けに来たんだよ♪」 「……幸せ?」 「そう。実はね、情報収集の結果……」 「なんで情報収集なんかしてるのか?」訊いてもどうせロクな答えは返って来 ないんだろうな……。 「『本年度の一番さみしい君』が南君に決定したから。」 「サンダー余計なお世話だっっっ!!!!」 しかし柚木は、僕のタマシイの叫びを軽く流し、 「そんな南君に『詩子さんと一緒にイヴを過ごせる権』をプレゼントしようかと 思って」 「か・え・れぇぇぇぇぇぇっっっっ!!!!!」 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 「……はっ」 ……数十分後、僕は2人分の紅茶を入れている自分に気付いた。 しかも鼻歌(「コーヒー・○ンバ」)なんぞを歌いながら、エプロンまでして 、ティーパックじゃなく、ちゃんと葉を湧かして。 「……ナニやってんだ僕は……?」 ……これではまるきり、「ウキウキ若奥様」じゃないか……。 えーと……アレがこーなってあーなって……。 二十秒後。 「……しまったあああ!! 言いくるめられたあああっ!!」 お、おのれ柚木、この僕を言いくるめるとは!!<結構簡単そうだが……> なかなかあなどれぬ奴よ……!!<てゆーか流されるお前もスゴいぞ……> 「意地にかけても追い出してやるっっ!!」 ……でも、しっかり紅茶とケーキを持っている自分に僕が気付いたのは、部屋 に入ってからだった……。 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 「おい、ゆず…!!」 ずべしゃあっっ!! ……僕がコケたのには、相応の理由がある。 「……はぁっ……そこぉっ……!!」 「くっくっく、奥さん、最近、旦那が相手してくれてないんだろ? ここをこんなにしやがって……!」 「勝手に見るなあああぁぁぁぁぁっっっっっ!!!!!」 ……なんとか盆を倒さないように立ち上がり(奇跡的に紅茶もケーキも無事だ った。我ながらスゴい)、叫んだ。というより、わめいた。 しかも、そのビデオは無修正なのだ!! ……どこで手に入れた、親父……? 柚木はこちらを一顧だにせず、ビデオに集中しているらしい……。 やがて、 「『奥さん、三●屋です』……ベタなタイトルだね」 「……お願いですから音読しないでください……(しくしく……)」 ……くぅぅぅぅ……早めに追い出すしかない……。 「柚木さん、そのー……いつ頃お帰りで……」 「こーゆーのいつも見てるんだねぇ、南君は。 あーあ、今すぐ帰って茜に電話でもしよっかなー?」 「……いつまでも居てください……なんなら世界が滅びるまででも……」 「うん♪ ご飯まだー?」 「……とりあえず紅茶とケーキでございます、詩子お嬢様……」 ……下僕確定か……(泣)。……いっそ、世界なんか滅びてしまえ!! アンゴルモアの大王よ……貴様は一体、何処で遊び呆けてやがるのだ!? 南明義、18歳。ちょっぴり世界の破滅を願う、ちょっとセンチなイヴだった ……。 「このまま引き退がるわけには……。 かくなる上は、リーサル・ウェポンを使うしかないか……」 (続く) ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ ……テストしゅうりょー。マジ死ぬ……。まさしく、奥義「死・6分前」って カンジです(このネタわかる人っているのかな……?)。 早くも路線変更……私の決意なんてこんなもの……(泣)。 ……詩子出した時点でしょーがないかも……。 まぁ、大すじはシリアスなんですよ。……………………多分……。 それに最近、クトゥルー神話にハマってる事が如実にわかりますねー。 「ハスター」は、つづりが「Hastur」で、読み方によっては「ハストゥ ール」その他もアリです。風の主神です。 水の主神クトゥルーも、「Cthulhu」をどう読むかで変わります。 ……もともと、「人間には発音できない名前」ってのが目的らしいですから、 「正しい読み方」ってのはあるわけないんですけどねー。 ちなみに、南と詩子のやりとりの1部は、友人との実話が元になってます(笑 )。私は彼の家に行くときはいつも「ただいま」と言ってから入ります(笑)。 他にも、「飯はまだか?」「汚い所だが、まぁ上がってくれ」「行って来ます」 など、バリエーションは豊富にあります。大概、彼がキレて「帰れー!!」とか 「消え失せろ!!」とか言われるわけですが。友情が続いているのは実に不思議 なものです。 さて、ここで問題です(カルトクイズの真似だなぁ……)。このSSの大元ネ タになってるのは何でせう? ヒント1:マンガじゃないです。 ヒント2:小説でもないです。 ヒント3:多分、誰でも知ってます。 ヒント4:1つじゃないです。 解答は、最終話で示します。メールとかで答えられた場合、先にお答えします けど。もっとも、結構わかりやすいかも。 ……く、限界……。感想はまた今度……。