Holy Nightに口づけを  投稿者:北一色


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第1話のあらすじ

  高校3年のクリスマス・イヴ、南は独りで過ごしていた。茜を誘うために、住
井たちのパーティーにも参加せず、両親も温泉旅行を名目に追い出し、誘ってみ
たが見事玉砕。理由は茜の幼馴染みである「あの男」が帰って来たため。 
  独り虚しく過ごす南は父親のビデオ(18禁)をあさり、見ようとした所で、
玄関のチャイムが鳴った。そこにいたのは……
「……サンタクロース?」

注:< > ←この中は作者ツッコミです

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  るみちゃんおとめちっく劇場(コレ好きです)……じゃなかった、

Holy  Nightに口づけを
第2話「ヴィジター」

  ピンポーン

  再び鳴り響くチャイム。
「へいへい……っと」  
  下へおりながら、僕はふと思った。
  クリスマスにサンタの格好。セールスか……シューキョーか?
  セールスなら断ればいいが……シューキョーの人ってしつっこいからなー。
  そのときは……「すみません、今偉大なる『名状しがたきもの』、ハスター様
の召喚儀式中なんです」……よし、これでいこう。邪神に勝てるもんなら勝って
みろ!!

  ……ビールのまわり始めた頭で、得体の知れない事を考えたが、出ない方が早
い。僕はチャイムを無視して部屋に戻った。

  ……18禁パッケージをしっかり握りしめて。 

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「……あんっ……はぁんっ……!!」 
「へへっ、奥さん、随分たまってたみたいじゃねぇか。
  ここか?  ここがええのんか〜?」

「う〜む、親父の奴、よくもまぁこんなものを……」
  ビデオのタイトルを見ながら、僕はつぶやいた。
  まぁ、それを選んできた僕に、文句を言う資格があるかどうかは疑問だが。
  ……やはり親子、趣味が似てるのか?
  ま、いいか。そろそろめぼしいシーンを選んで……。

  コンッ

  ん?  窓の方か?
  窓から庭を見下ろすと、さっきのサンタクロースがいた。
  小石でも窓に投げたらしい。  <注:瑞佳とは関係ナッシング(古い……)>
「う〜む、なんとしつこい……」
  思わず、デザートイーグル(エアガン。中学のとき買った)を手に取りつつ、
どうするか考えた。
「……ほっときゃそのうち去るだろ」
  今はビデオの方が重要だし……ん?
  まさに戻ろうとした時、サンタが石を振りかぶったのが見えた。

  ――ただし、赤ん坊の頭くらいの大きさの石を。

「ちょ……ちょっと待てぇいっ!!?」
  慌てて窓を開けて叫ぶ。
  ……なんとか途中でやめてくれた。  

  僕は仕方なく、玄関に向かった。

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「やっほー♪  メリー・クリスマス!!」

  ……随分お気楽なサンタだな……。
  しかもこの声は女……更には聞き覚えのある声のような……?

「わぁ、ここが台所?  あ、トイレこっちなんだ」
「……って勝手に上がるなっ!!  てゆーか上がってるなっ!!」
「えー、ちゃんと『お邪魔してます』って言ったよー?」
「……何故に現在進行形!?
  さては上がってから言ったな!?」

  もーおわかりだろう。
  この、とてつもなくゴーイングマイウェイな性格!!
  お気楽を人型にしたらこーなりそーな脳天気さ!!(あえて「能天気」とは言
わないのがミソ)
  神の悪戯か悪魔の所業か、はたまた邪神の使いか!!<段々おーげさになって
きたな……>

  里村の幼馴染みにして親友、柚木詩子その人だった!!

  ……何故にサンタクロースの格好してるんだ?  しかも白髭まで付けて……?

「あ、これ焼きプリン?  いっただっきまーす♪」
「……って人が苦悩してるのに放っぽっとくなっ!!  
  しかも冷蔵庫あさるなっ!!」
「……ご馳走様ー」
「さらに食い終わるなっ!!  食うの速いぞっ!!  
  ……てゆーか僕のプリンがあああぁぁぁ―――っっ!!!」
「ある人に早食いのコツを教わってたんだよ。去年だけど」
  僕の苦悩をさらっと受け流しながら、柚木(さすがに白髭はとった)はあっさ
りと言ってきた。

  ……一瞬、僕の脳裏に浮かんだのは、「学食のエンプレス(女帝)」の異名を
誇った、とある先輩の顔が浮かんだ。

  ……知り合いだったんだろうか?
  まぁ2人とも、すぐに知り合いになりそうな雰囲気があるが……。

「……ってどんどん奥に入って行くなっ!!」
「えー?  ちゃんと『お邪魔します』って言い直したよ?」
「『お邪魔します』じゃなぁいっ!!  そもそも誰が許可を……!!」
「えーと、それじゃあ……あ、そーか♪
  ただいまー♪」
「なお悪いわぁぁっっ!!」
「明義さんや、ご飯はまだかねぇ?」
「さっき食べたばかりでしょ……じゃなくって!!」
「お母さーん、お腹すいたよー」
「お・の・れ・はあぁぁぁぁぁ……!!」

  いかん、落ち着け。深呼吸だ。
  よく考えろ……怒ると敵(?)の思うツボだ!!

「……で、なんでお前が僕の家に来るんだ?」
  「なんで家を知ってるんだ?」というのは、訊くと恐ろしい返事が返って来そ
うだったので、訊けなかった。

「幸せを届けに来たんだよ♪」
「……幸せ?」

「そう。実はね、情報収集の結果……」
  「なんで情報収集なんかしてるのか?」訊いてもどうせロクな答えは返って来
ないんだろうな……。

「『本年度の一番さみしい君』が南君に決定したから。」
「サンダー余計なお世話だっっっ!!!!」

  しかし柚木は、僕のタマシイの叫びを軽く流し、

「そんな南君に『詩子さんと一緒にイヴを過ごせる権』をプレゼントしようかと
思って」

「か・え・れぇぇぇぇぇぇっっっっ!!!!!」

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「……はっ」
  ……数十分後、僕は2人分の紅茶を入れている自分に気付いた。
  しかも鼻歌(「コーヒー・○ンバ」)なんぞを歌いながら、エプロンまでして
、ティーパックじゃなく、ちゃんと葉を湧かして。
「……ナニやってんだ僕は……?」
  ……これではまるきり、「ウキウキ若奥様」じゃないか……。
  えーと……アレがこーなってあーなって……。

  二十秒後。
「……しまったあああ!!  言いくるめられたあああっ!!」
  お、おのれ柚木、この僕を言いくるめるとは!!<結構簡単そうだが……>
  なかなかあなどれぬ奴よ……!!<てゆーか流されるお前もスゴいぞ……>

「意地にかけても追い出してやるっっ!!」

  ……でも、しっかり紅茶とケーキを持っている自分に僕が気付いたのは、部屋
に入ってからだった……。

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「おい、ゆず…!!」

  ずべしゃあっっ!!

  ……僕がコケたのには、相応の理由がある。

「……はぁっ……そこぉっ……!!」 
「くっくっく、奥さん、最近、旦那が相手してくれてないんだろ?
  ここをこんなにしやがって……!」

「勝手に見るなあああぁぁぁぁぁっっっっっ!!!!!」
  ……なんとか盆を倒さないように立ち上がり(奇跡的に紅茶もケーキも無事だ
った。我ながらスゴい)、叫んだ。というより、わめいた。
  
  しかも、そのビデオは無修正なのだ!!
  ……どこで手に入れた、親父……?
  柚木はこちらを一顧だにせず、ビデオに集中しているらしい……。
  
  やがて、
「『奥さん、三●屋です』……ベタなタイトルだね」
「……お願いですから音読しないでください……(しくしく……)」  
  ……くぅぅぅぅ……早めに追い出すしかない……。

「柚木さん、そのー……いつ頃お帰りで……」
「こーゆーのいつも見てるんだねぇ、南君は。
  あーあ、今すぐ帰って茜に電話でもしよっかなー?」
「……いつまでも居てください……なんなら世界が滅びるまででも……」
「うん♪  ご飯まだー?」
「……とりあえず紅茶とケーキでございます、詩子お嬢様……」

  ……下僕確定か……(泣)。……いっそ、世界なんか滅びてしまえ!!
  アンゴルモアの大王よ……貴様は一体、何処で遊び呆けてやがるのだ!?

  南明義、18歳。ちょっぴり世界の破滅を願う、ちょっとセンチなイヴだった
……。

「このまま引き退がるわけには……。
  かくなる上は、リーサル・ウェポンを使うしかないか……」 

  (続く)

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  ……テストしゅうりょー。マジ死ぬ……。まさしく、奥義「死・6分前」って
カンジです(このネタわかる人っているのかな……?)。

  早くも路線変更……私の決意なんてこんなもの……(泣)。
  ……詩子出した時点でしょーがないかも……。
  まぁ、大すじはシリアスなんですよ。……………………多分……。

  それに最近、クトゥルー神話にハマってる事が如実にわかりますねー。
  「ハスター」は、つづりが「Hastur」で、読み方によっては「ハストゥ
ール」その他もアリです。風の主神です。
  水の主神クトゥルーも、「Cthulhu」をどう読むかで変わります。
  ……もともと、「人間には発音できない名前」ってのが目的らしいですから、
「正しい読み方」ってのはあるわけないんですけどねー。

  ちなみに、南と詩子のやりとりの1部は、友人との実話が元になってます(笑
)。私は彼の家に行くときはいつも「ただいま」と言ってから入ります(笑)。
他にも、「飯はまだか?」「汚い所だが、まぁ上がってくれ」「行って来ます」
など、バリエーションは豊富にあります。大概、彼がキレて「帰れー!!」とか
「消え失せろ!!」とか言われるわけですが。友情が続いているのは実に不思議
なものです。

  さて、ここで問題です(カルトクイズの真似だなぁ……)。このSSの大元ネ
タになってるのは何でせう?
  ヒント1:マンガじゃないです。
  ヒント2:小説でもないです。
  ヒント3:多分、誰でも知ってます。
  ヒント4:1つじゃないです。
  解答は、最終話で示します。メールとかで答えられた場合、先にお答えします
けど。もっとも、結構わかりやすいかも。

  ……く、限界……。感想はまた今度……。