BLUE LEAF12〜天国と地獄!!〜 投稿者: 北一色
>翌日、柚木詩子
「……ふぁ」
  あたしは寝床(ベッドとは呼びにくい)から、ゆっくりと起き上がった。
「んー、今日もいい天気だねー」
  窓からカーテン越しに日の光が燦々と降り注ぎ……ってわけじゃ、残念ながら
なかったりする。

  ここは無人島。
  寝ていた部屋は、洞窟を改造したもの。
  当然、窓なんかない(あったら雨の日なんか最悪よね)。
  で、なんで「いい天気」かというとね……もちろん、その場の気分ってやつよ
。あたしが気分よく起きられたんだから、例え外の天気が雨でも、些細な問題よ
ね。そうでしょ?
「……おはようございます」   
  ……あたしの背中に突然、真後ろから声がかかる。聞き間違えるはずもない、
あたしの幼馴染みの、親友の、茜の声。
  あたしはまだ、部屋を出てないし、着替えてもない。つまり、茜はあたしが寝
てる間に、あたしの部屋に入ったってことになる。

  でも、あたしはこう言うの。
「おはよー、茜。
  あたしに夜這いでもかけに来たの?」
「……違います」
「あたしの体がどれくらい成長したのか、知りたいの?」
「……違います」
「そりゃ、あたしと茜は小さい頃から一緒にお風呂も入れば、お互いの体で知ら
ない所なんて全くないけど……」
「……違います」
「小さい頃の、お医者さんゴッコの事が忘れられないとか」
「……した事ないです」
「えー、した……あれ?  やってなかったっけ?」

  なんか小さい頃の記憶が曖昧なのよねー?
  あたしは真剣に悩んだ後、答えを出した。

  ま、いいか♪

「じゃあ、2人で禁断の快楽に浸りたいとか」
「……違います」
「そのうち、肉欲のためにお互いの肉体を貪り合うような、ただれた関係になっ
たりしてさ」
「……嫌です」
「えーと……」

  ネタ思いつかなくなっちゃった。

「……やっぱり、浩平そっくりです」
「えー、それはヤだなー」

  あいつと一緒にされるのは、ちょっと、ねぇ?

「……もしかして、本気で夜這いして欲しかったんですか?」
「もちろん、う・そ♪」

  あたしにそのケはないもん。
  ……ま、まあ、たまに、下級生の女の子から、ファンレターというか、ラブレ
ターというか、……えーと、それのちょっといきすぎてるんじゃないかなー、っ
て手紙を貰っちゃって、ものすごーく困る事もあるけど……。
  ……あれはカンベンして欲しいなぁ……。断わりに行くのも結構大変だし…。
  ……女子校ってのはこれだから……。
  やっぱり、茜と同じ高校に行けば良かったなぁ。

「……で、用件は?」

  茜がこういう行動(極めて珍しいけどね)を取る時は、かなり困ったときだけ
だもんね。

「実は……相談があります」

  なるほどね♪

「大丈夫、大丈夫♪

  この詩子さんにどーん!とお任せよ♪」

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>……20分後、後悔する柚木詩子


「……では、お願いします」
「……う……うん……」

  ……茜はあたしの部屋から出て行った。

「……あっちゃー」

  あたしは思いっきり頭を抱えた。
  これは……困ったなぁ……。
  よりによって、昨日の瑞佳ちゃんと同じような相談なんて……。<11参照>
  相談のブッキング。
  話で聞いたり、本や漫画で読んだ事はあったけど、まさか、このあたしがこん
な状況に置かれるなんて……。
  いつもなら、当然「絶対に茜の味方」なんだけど、よりによって昨日言った事
をすぐに前言撤回なんて、できるワケないし……。

  これも全てあいつが悪いのよね。
  うん、そうよね。そうに決まった。あたしが決めた。文句ある奴はかかって来
なさい!!  ……って、現実逃避しても仕方ないか。

「……どうしよっかなぁ……」

  あちらをたてれば、こちらがたたず……。
  2人の相談内容が、真向からぶつかりあって、あたしの頭の中で火花を散らし
てる……って、また現実逃避してるし。
 
「うーん……」  

  相談・そうだん・ソウダン・SOUDAN………………。

「……ん?」

  相談。

「……そっか、これならいいかも……」

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>柚木詩子の訪問を受ける深山雪見


「……それで私の所に相談に来たってわけね?」
「うん♪」
「……はぁ……」

  ……いつもながら、この娘の考えてる事は理解しがたいわね。
  要するに、相談されて困ったから、人に押しつけてるだけの様な気が……。
  天然というか、責任転嫁というか……。

  ……一度、脳解剖してみようかしら……クス……。
  そういえば、無人島ならではの密室トリックも、この前ヒマ潰しに考えたのが
あるし……っと、いけないいけない。

「まぁ、いいわ。なんとかしてみましょう」

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>何やら企む某人物

                     、、 
  ……深夜。私はそこで、最終調整をしている。

「……雪ちゃ……じゃなかった、プロフェッサー、これでいいの?」 

  みさきが両手いっぱいに、荷物を抱えて戻って来た。

「ええ。ごくろうさま」
「……これで借金1ヶ月分、チャラにしてくれるんだよね?」
「ええ。約束は守るわよ」
「やったー♪」

「……周波数……良し。感度良好……ノイズは……仕方ないわね。
  決行は……明日、か。ちょっと厳しいわね……。
  ま、なんとかならなくもないでしょう」  

「最終微調整……終了。実験体……効果、極めて大。
  成分同士の混合比率・反応にも問題なし」

「あとは……時間だけね……」

「これがうまくいけば……
   、、、、、、、、、、、、、、、
  この無人島からも脱出できるわね」

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>翌日、折原浩平


「ふぁ……」
                                     
  俺はアクビをしながら、なんとなく、広場に向かっていた。目的はもちろん、
仕事をサボることにある。

「……あれ?」

  ……なんで広場に全員……いや、ほとんど集合してるんだ?

  ……いや、それだけなら「皆で何かしよう」ということになったんだろう、と
しか思わなかっただろう。 
                     、、
  ……なんで皆、武装してるんだ?

「……やっと来たね、浩平……」
「……長森?」
「……私は……浩平が好きだよ」
  なんだ!?  いきなりストレートに……!?

  そして、俺が何か言いかけたとき―――

「……浩平」
「……茜?」
「……私は……浩平が好きです」
  うお!?  あ……あの茜が!?

  いや、待て!!  2人とも、目が妖しい!!
  正気じゃないぞ、これは!!

  そして、俺が何か言いかけたとき―――


「……折原」
「お……おう、七瀬か。これは一体」
「……誰にも渡さないわ」
  ……はい?


「みゅー」
「し……椎名。お前はまともだよな!?」
 
  たったった……ぎゅっ

「あげないもぅん……」
  うはぁ。ちょっとキモチイ……じゃなかった、椎名まで……!!


  ガシッ

「へ?  ああ、澪か……せ、せめてお前くらいは……」

  ふるふる

『私のものなの』
  お……おーい……誰か……。


「折原君♪」
「ゆ……柚木か。この際、お前でもいいから……」
「私が1番だよね♪」
  ……ゆ……柚木までトチ狂ってる……!!

  
  ど……どうなってんだよ、コレは!?
  世紀末か!?
  「アンゴルモアの大王」とかいうヤツの仕業か!?
  今ここにいたら、絶対ブン殴っちゃる!!

  半ばキレかかった俺の耳に、鋭い声が響いた。
「折原、こっちだ!!」
「……住井!!?」
  
  ……今の俺には、住井が神に見えた。

  俺は、住井の後を追って、走り始めた。

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>逃走中の折原浩平


  岩陰に入って、俺は荒い息を吐いた。
「……はぁ……はぁ……」
「ここまで来れば、もう大丈夫だ。
  しばらくは奴らも追っては来れまい」

  ……ん?
  何か引っかかったような気がする。
  ……何だっけ?

「……すまん、住井。助かった」  

  ……そうだ。
  違和感の正体は……

「気にするなよ、折原。
  俺達、『親友』だろ?
  それに……」  

  住井が女に対して、「奴ら」なんて言うはずが……。

「今日からは、『恋人』なんだからな!!」

「お前もかあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――っっ!!」

  ……無人島に、俺の悲鳴が響き渡った……。

  ……おーまいごっど。

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  死にかけの12作目。
  よーやく、終わらせるメドがつきました。
  多分、後1回で終わる……ハズ。
  今回で終わらせる予定が……(T_T)。
  おお!!  「13」か!!  めでたやめでたや。
  ……縁起わりぃ……。

  感想は明日書く……ハズ。
  何本あるやら……サラ金って、こんなカンジなんだろーか?
  
  うぇーと、余力あったら、リレー書きたいです。
  なにせ、リレーを書くと……!!

  でも、ネットできるのは、明日と15日だけです。定期が切れるし……。
  そしたら、9月(というよりは10月かな?)まで、ネットできません。
  原因は、夏休みとテストです。
  ……ってワケで、意地でも明日中に終わらせないと、もーあんた!!エライ事
になっちまいやす。
  
  ま、まぁ、きっと終わるさ!!  ……きっと。
  <ただし、「予定は未定にして決定にあらず」> 

  ちなみに、最後の所でみさき先輩と雪ちゃんが入ってないのは、わざとです。
  断じて忘れた訳ではありません。

  ではでは〜♪

★雀バル雀さん
>でもコレ以上物騒なものを持ちこまないでくれ(笑)
  御意!!  おとなしめのモノを持ち込みました(笑)。 

★シンさんへ
>通背●、無●波、地獄の●頭台の3つが分からなかった〜(無念)
  通●拳……「鉄拳チ●ミ」から。主人公のチンミが使います。
                字の通りに、正面から打って、背中に抜けるように、衝撃の場所を
                「ずらす」技です。鎧着込んでる相手の内部に衝撃を叩き込んでま
                した。
                これは中国拳法に本当にあるみたいです。 
  
  ●空波……「修羅の●」から。主人公の陸奥九十九(つくも)が使います。全
               身を振動させて、相手に衝撃を叩き込む技です。できるかこんなも
               ん。
  
  地獄●断頭台……「キン●マン」から。敵キャラの悪魔将軍の技です。空中で
                       足首に相手の首を引っかけて、そのままリング上に叩きつけ
                       る技です。某SS作家は、これのマネして、足の親指をつき
                       指した苦い経験があるとか。