BLUE LEAF11〜キスから始まる夜はアツく……〜 投稿者: 北一色
>動揺する長森瑞佳
  キス……!
  キスした!!
  キスしちゃった!!
  と言うよりキスしちゃってた!!!

  はうぅ〜……なんで!?
  なんでなんでキスなんかしちゃったんだよっ!?
  はうぅ〜……昨日の私のばかばかばかばか〜〜〜!!

「……うー……」

  ……はぁっ……昨日の私……ストレスが溜ってたのかなぁ……。
  ……でも……だからって……キスなんて……。

「…………………………………………………………」

  ……ちょっと……良かった……かも……。

「……はっ!」 

  違うもん!!
  絶対に良くなんかないもん!!
  それに……浩平にも迷惑が……。

「……まんざらでもなさそうだったかも……。
  ……ってそうじゃなくって!!」<←1人ツッコミ>  

  ……うー、考えがまとまらないよぉ……。
  キス。
  キス。
  キス。
  キス。
  キスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキすき好き好き……。 

「……わーっ!!」

  恥ずかしいよ〜。なんでこんなこと考えちゃうんだよ〜。
  ……そういえば、子供の頃に見た、再放送のアニメの主題歌に似た様な歌詞が
あったっけ……。<現実逃避モードON><さて、このアニメは?>

「……はっ」

  現実逃避してる場合じゃないよ〜!!
  そういえば……いきなりキスした私って……どんな風に思われてるんだろう?
  例えば……
 
  (想像中)
  夜道を歩く浩平。
  そこに全身を覆うコートを来て、立ち塞がる私。  
「な……なんだ、お前!?」
  コートの前をガバッと開いて、

「見れ!!!」

「……うっわあああぁぁぁぁぁ!!!?」
  (想像終了)

「………………………………………………!!!!!」

  ううっ、イヤな想像しちゃったよ……。
  で、でも、本当にそんな風に思われてたら……

1.ついにイカレたか、まったく。
2.コレだから猫娘はヤだぜ、まったく。
3.ふっ、牛乳臭いぜ、まったく。    

「ああああああああああああああああああああああ…………………………」

  どれも嫌だよぉ…………。

「ぐすっ、どうしたらいいんだろう……」

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>長森瑞佳の部屋の前の折原浩平


「う――――――――――――――――む……」
  住井が、長森の部屋のドアに耳を押しつけて、中の様子を探っている。
  ……俺にもときどき、よくわからない叫び声(?)とかうめき声(?)が聞こ
えるが……肝心なことはナニも言ってないようだ。

「……どうだ?  住井」
「……電波で宇宙と交信してるみたいなんだが……」
「……それはちょい違うかも……」

  まいったなぁ……。
  できれば、あのことは当分の間、なかったコトにしておきたかったんだが……
その間に結論を出して、「俺から告白」か、「やっぱりなかったコトにする」か
選ぶつもりだったんだが……そうそううまくはいかないか……。

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>吊されたままの南明義


  ……昨夜から、僕はずっと逆さ吊りの刑に処されている。
  おかげで体の感覚が大分なくなって来た。
  <……普通の人間は2時間くらいが限度だと思う。それ以上になると気絶する
んじゃなかったっけ?>

  しかし、そんな事よりも、もっと深刻な事がある。

  ……暑い。
  南の島でずっと逆さ吊りにされた事がある人にしか、この暑さはわかるまい。
  当然、昨日の夕飯以降、何も食べてない。  
  泣くと、涙が額に向かって流れて行くので、泣くのは早々に諦めた。
  
「はぁ……昼までこのままか……」
「………………南よ…………」
「……?  うわ!!  なんで住井がここに!!?
  ここは崖の中腹だぞ!?」
「そんな事はわかってる。
  見てわからんか?
  ロッククライミングして、ここまで登ってきたんだ」
「はぁ……」
  ヒマな奴……。まぁ、住居掃除なんて、そんなにいつも仕事があるわけでもな
いか。

「大丈夫?  明義?」
  ……また「明義」って呼んでるし……って、
「……なんで柚木までここにいるんだ?」
  住井も驚いてるし。  
「私は、明義のロープをつたって下りて来たんだよ♪」
「……器用な……」

  そういえば、住井は柚木を追ってたんじゃなかったか?
  いつの間にか、和解したらしいな。

  ふと、住井が聴いて来た。
「辛いか?  南よ……」
「……そりゃ、まあ……」
  ……イキナリ住井が泣いた。

「南よ―――
  海亀は産卵の際、男泣きに泣くと云う―――」
「……………………はあ…………(汗)」
  ……男泣き?

「しかしそんなヤツでも卵産み終わったら卵放っぽって海へと帰って行くのだ平
然と!!
  だから南も、男泣きに泣いて帰って行くが良い!!」
「………………………………」
  …………どこへ?

「泣き用に胸も用意してある!!」
  ビッと、柚木を指さす住井。
  まだ誤解してるのか……。

「あるよー、おいでー」
  ……柚木はどーして、こうもマイペースなんだろーか?
  より誤解が深まっていくのを感じる……。

  とりあえず、僕は反撃してみた。

「……硬そうな胸だね」

  ピシッ

  柚木が引きつった。
  ………………勝った。
  あの折原でも手に負えない柚木に、この僕が勝ったのだ……。
  
「…………面白いこと言ってくれるじゃない……」
  
  心なしか、天候が悪化して来たような気がする……。
  ……柚木はポケットから、ナイフ(黒曜石製)を取り出した。
  ……って、まさか……!!!?

「ばいばい♪」

  ブツッ

  ……ロープが切られ―――
  僕は真下に向かって落下していった……。

「あああああああああぁぁぁぁぁぁ……………んん<←ドップラー効果>……」

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>余談

 
  ちなみに南は、真下の池に墜落し、かろうじて命は助かった……のを、翌日に
なって発見された。
  ……ダレか思い出してやれよ……。

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>その日の夜、折原浩平


  さて、メシも食った。
  フロも入った。

「…………………………………………………………………………………寝よう」

  昨日今日と、イロイロありすぎた。
  今日はもうグッスリ寝て、明日になればきっとスベテが解決するだろう……。
<現実逃避とも云う>

  さて、寝る前に歯でも磨くか。

  
  そして。
  水場の前で、俺は長森と、またもやバッタリ会ってしまった。

  ピリッ!!<バックにイナズマ>

  一瞬、2人の間の空気に緊張感が走る。

  ……ヤバい。何話したらいいのか、全然わからん……。
  何を話そうか?

1.自分の年を22歳だとカン違いしてた、あたまの悪い21歳のクサレSS作
    家の話。(……ダメだ……誰にもわからん……)
    <いつから間違えたんだろ?  20歳過ぎると時間早いなー>

2.「美味し●ぼ」の、冨井副部長の名前は、実は「冨井冨男」らしい。(……
    それなりにウケそうだが、却下)<事実です>

3.「喪服の未亡人」と、「スリットの深いチャイナ服」はどちらが上か、の論
    争の結果と考察。(……女にする話じゃないな)<寒河江直人さん江>
   
4.氷上シュンという、ヤバめな奴の話。(却下。誰がなんと言おうと却下!)

  ……どれもダメだ……。
  こんなときに限って、ロクな事を思いつかん……。

  くそっ……こーなったらもう、覚悟決めるか!?

「あ……あのね、浩平……」

  ぐはぁ。先越された……。

「な……何だ?」
「え…………宴会の時の事なんだけどね……」

  うはぁ。ド真ん中直球ストライク!!

「お……おうっ?」<←声が少し裏返った>
「あ……あのね……キ……」

  く……来るか!?

  ……ん?  ……って……待てよ……?
  俺は、長森のスグ後ろのドアが、少し開いてるのに気がついた。
  押し開けてみると……、

「……あ(汗)」
「…………柚木。ここでナニしてる……?(怒)」
「べ、別にっ」

  ……聴き耳たててたな、コイツ……(怒)。
  
「……だってココ、あたしの部屋の前だよ?」
「……へ?」

  あ……ホントだ……。
  う……うかつ……。

「……じゃ……じゃあ、浩平、おやすみっ」
「……あ……」

  長森は走って逃げてしまった……。
  ……柚木まで、姿をくらましてるし……。

「…………はぁ…………」

  俺はふかーいタメ息をついた。

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>自分の部屋の長森瑞佳


「…………はぁっ…………」

  私はふかーくタメ息をついた。

「……うー」

  詩子さんがいて、ガッカリした反面、正直ホッとしてもいた。

「……わたしって……臆病なのかな……」

  言わないと始まらないのに。
  それがわかっているのに。
  「浩平が気付いてくれないから」なんて、ただの言い訳。
  女の子の方から告白して、付き合いだしたカップルなんていくらでもいる。
  
  「幼馴染み」という関係が、少しじれったいけど居心地が良くて。
  その関係が壊れる事が怖くて。
  「浩平にはしっかりした彼女が必要だよ」なんて言いながら、誰も他に現れな
い事を願って。
  いつか気付いてくれるんじゃないかな、って都合のいい事を考えて。

「……もう少し……勇気があったらな……」

  コン  コン

「瑞佳ちゃーん、入るよー?」
「……詩子さん?」
「そう、詩子さん」

  ガチャッ

「さっきはゴメンねー。
  たださぁ、部屋の前だったから……」
「……うん」
「なにか悩みがあるんだったらさ、この詩子さんが相談に乗るけど?」

  ふぅん……詩子さんってやっぱり優しいんだ……。
  でもやっぱり、全部話してしまうのは……。
  佐織にだって話した事ないし……。
  ……でも佐織は、「はいはい、わかってるって」って言って、全てお見通しだ
ったみたいだけど……。
  ……かえって、詩子さんの方が話しやすいかも。
  少しだけ、相談してみよう。
  ほんのちょっとだけ、勇気を出して。

「あのね……わたしって……臆病なのかな……?」
「……折原君との事?」
「……うん」
「まあ、状況がはっきりとはわからないから、一般論になるけど……。
  何があったのかは知らないけど、反応は悪くなかったんでしょ?
  だったら、何もしないで後悔するよりは、何かしてダメになった方が、諦めも
つくと思うよ?」
「……うん」
「ほら、良く言うじゃない。
  『ダメでもともと、当たればもうけ』って。
  何かを失わずに、何かを手に入れられる事って、滅多にないよ?」
「……うん」
 
  ……そうだね。
  陳腐なセリフかもしれない。
  「そんな言葉は、実際に同じ立場になっても言えるの?」って、ずっと思って
た。
  でも、今の私に一番必要な事なのかも知れない……。

「ありがとう、詩子さん。
  おかげで元気が出たよ」
「そう?  良かった♪
  まあ、どっちにしても―――

  あたしには全っ然カンケーないし―――」

「………………………………………………」

  …………これさえなければ、本当にいい人なんだけど……。

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>長森瑞佳の部屋を出た柚木詩子


「じゃ、また明日ね♪  おやすみー」

  バタン

「……ふう」

  まったく、今日も1日大変だったなぁ。  
  今日はちょっと、「いいひと」しすぎたからね。
  最後にあれくらいは言っておかないとね♪

  だって、あたしは「詩子さん」なんだから♪

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  なんとか書いた11作目。
  サブタイトルは、GLAYの「誘惑」の歌詞から。
  
  昨日、七夕やん。ううっ、しまった、忘れてた。つっても七夕特有のネタがあ
るわけじゃないんですけど……。

  うーむ、ラブコメ街道修正できん……。
  まぁ、一応終わるハズ、ですけど。
  あと1回か2回です。できたら1回で……。

  うはぁ、また時間切れか。

  かんそーは今度、時間があればイッキにやります。

  ではでは〜。