BLUE LEAF8〜旅人たちの狂宴〜 投稿者: 北一色
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>宴会が始まって2時間後の折原浩平


  ……一体どーしてこうなってしまったんだろう?
  俺の周りに酔ってグデングデンのが11人も……(汗)。

「お〜り〜は〜ら〜く〜ん〜。
  飲んでるぅ〜〜〜〜〜〜?」
  柚木がからんで来た。……ムチャクチャ酒臭い。
「まーまー、一杯どぉ〜?
  なんやかや言って、コレ結構イケルよぉ〜?」

  そう言って柚木が差し出したのは、住井が持って来たという、例の「日本一水
のマズい大阪の、更に大阪一水のマズいH市の地酒(ピ――)」とやら。
  ……コイツはすでに味覚もおかしくなってるし……(汗)。

「はい、どぉぞぉ〜♪」
「……って注ぐな!!」
「ぶーぶー」
「……ったく……」


  俺は柚木を引き剥しながら、住井達の方を見やった。
「……うううぅぅぅ……
  里村さ〜ん!!!」
  泣いているのは、言うまでもないが沢口。<注:南です>
「……今は泣くが良い若者よ――――
  その涙がいつの日にか、貴様を大きく成長させる事だろう…………」
  ……その隣でもらい泣きしながら、説教(?)してるのが住井。


「ふふふふふふふふふふふふふふ……」
「クスクスクスクスクスクスクス……」
  ……睨み合いながらブキミな笑い声をもらしているのは、七瀬と広瀬。
  その恐さといったら、2人の近くの食べ物に寄って来たネズミが、ビクッとし
て、逃げ出してしまった程だ。
  ついでに言えば、そのネズミの後ろをこっそり追けて来たヘビまでも、ネズミ
と一緒に並んで逃げ出した。
  もう1つオマケに言えば、さっきから洞窟のまわりの小動物達が、臆えた様に
(と言うよりも臆えて)騒ぎまくっている。
  ……この2人に関わると、明日の朝日は拝めまい。


「あっははははははははははははははははははははははははは〜〜〜〜〜〜♪」
  天井まで届く笑い声をあげて笑っているのは、みさき先輩。
  ……どうも笑い上戸だったらしい。
  しかも、いつもの大食漢ぶりを酒においても発揮し、周りにやたらと酒瓶が転
がっている。


「……だいたい……が……じゃないの!!  なんで私が……!!」
  ……かなり怖い顔でブツブツ愚痴を言ってるのは、深山先輩。  
  ……相当ストレスが溜ってるらしい……。
  そう言えば、昼間も「日焼けの跡が痛い」ってボヤいてたっけ……。
  肌が白い分、他人よりも大変な様だ。


「…………………………」
  無言で、(しかし結構早いピッチで)酒を飲み続けているのは茜。
  ……顔色がほとんど変わってない。
  ……それなのに、時々こっちを疑う様な眼差しで見つめて来る。
  うーん、ひょっとしてあの事(長森との事)に気付いたか?
  でも、別に茜と付き合っているって訳でもないし……考えすぎかな……?
  ……ちなみに、先程沢口が泣いていたのは、茜を酔い潰そうとして、正面から
撃退されたからだった。<つまり、飲み比べで負けた>


  スヤスヤ……
「……みゅー……」  
  完全に眠り込んでしまっているのは澪と椎名。
  2人で寄りそうかのように眠っている。
  ほかの連中が連中だけに微笑ましい。
  ……しかし、椎名って、寝言でも「みゅー」なんだな……。
「ほらほら澪ちゃん、こーした方が可愛いよー♪
  繭ちゃんはこーしてみよっか?」
  ……柚木が(お約束というべきか)落書きを始めた。
  まぁ、水性ペンだし、問題はないと思うが……。 

「あ、お、俺にも落書きさせてくれっ!!」
「「「「お前はダメだっ!!!」」」」

  ……いきなり沢口を放り出して澪と椎名の方にやって来た住井を皆でボコボコ
にした。
「そうだよ〜、住井君〜。
  落書きは詩子さんだけの特権なんだからね♪」
  それもどーかと思うぞ、柚木。


  ……しばらく周りを見渡した俺は、最後の難関だけ見ないという訳にもいかな
かった。 
「……………………」  
  ……そーっと長森の方を見る。

「……………………(じ――――――――――――――――っ)」
  ……なんか、殺し屋みたいな眼でこっちをニラんでる……(汗)。
  ……俺、なんかしたっけ……?
  ……子供の頃イジメすぎたのが原因かも……って、これじゃみさき先輩の理論
だな……。
  ……とすると、やっぱり、さっき<「7」参照(笑)>の事か……?
  ……やっぱりマズかったのか?

  それにしても、あれは雰囲気に流されただけのか?
  それとも、本気だったんだろうか?
  ……長森はどっちだったんだろう……?

  …………そして、俺自身はどっちだったんだろうか……?

  酒のせいか、考えがまとまらない。
  今まで俺にとって、長森は友人だった。それ以上なんて、考えもしなかった。
  考えてみたら、俺は極めて単純な世界で生きて来たんだな。
  「だって……心配なんだもん」
  ……あいつの口グセ。
  その言葉に対して、俺は「俺の方もお前の事を心配してるんだぞ」くらいにし
か考えてなかった。
  ……あの口グセは、ただ俺の事を心配していただけなんだろうか?

  …………それとも…………?

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>1分後の折原浩平

「1番!!  住井護!!
  隠し芸いきます!!」
  ……人の葛藤などお構いナシに進行していく宴会。
  ……コイツらは……。
  
  ……まぁ、いい。
  悩むのは俺の性分じゃないしな。
  どっちにしたって、いつかわかる時が来るだろう。


  住井は5本のタバコに火を点けた。
<未成年者の飲酒・喫煙は、法律で禁止されています>

  スパスパ
「………………?」  
  俺達の疑問をよそに、住井はしばらくタバコをふかした。
  そして。

  パクッ!
「なにい!!?」
  口の中に飲み込んだ!

  ブンブンブンブンッ!!
  そのまま顔を振り回す!!

  そして。
  ンア  スパーッ
  口から出して、再び吸い始めた。火は消えてない。

「フフフ、どぉだ?  高校生が酒飲んでタバコ芸ってのもアレだが」
「じょ、承太郎?」
  なんで深山先輩って、そんなのわかるんだろうか……?
  ……なぜか沢口が、深山先輩の方を見て異様に臆えているのが少し気になる。


「2番!!  南明義!!
  目から酒を出します!!」  
  おおっ、「目から牛乳」の応用か!!

  沢口<注:何度も言うけど南です>は、鼻と口を押さえて、息を止めていた。
  ……しばらくして、目から酒が流れてきた。
  そして。

  バタッ

  倒れた。
「大丈夫か―――っ!?」
  住井達が騒いでる。
  ……そりゃまぁ、目に酒が入ったら、死ヌ程痛いわな。
  ……あれは酒じゃなくて涙だったのかも……。


「3ば〜ん!!  柚木詩子さん!!
  歌いま〜す!!
  澪ちゃんに捧げるね♪」
  ……自分で「さん」をつけるのも、どーかと思うぞ。

  曲名は……B’z「NATIVE  DANCE」……だと思われる。
  澪に妙にフィットしてる曲だ……とは思うが……。

「なぁ、茜……」
「……はい」
「柚木って、音痴なのか?」
「……そんなこと、ないです」
「でも、これはなぁ……」
「……単に、飲みすぎてるだけです」
「……あ、なるほど」

  ついでに、気になった事を聞いてみた。
「あいつは普段からこういう曲を歌うのか?」
「……いいえ。普段はもっとアツイ曲です」
「アツイ曲って……」
「この間は、『ギリギリchop』を歌ってました」
「……なにい!?」
  あれって……歌える曲なのか?


「長森さんは何かやらないの?」
  住井が長森にそう聞くのが聞こえた。
「……ん〜〜?  
  ……うん」
  フラフラと立ち上がる。
「じゃ〜ねぇ……。
  5番、長森瑞佳……」
「4番だ。
  ……大丈夫か?」
  かなりヤバい域に達してる気がする……(汗)。

  しかし、長森には聞こえてないみたいだった。
「え〜と……


  脱ぎま〜す」

  
  ガタガタガタガタッッ!!!!

「こっ、こらっ!!  長森!!」
「あんた達っ、見てないで止めなさい!!」
<注:↑は雪ちゃん(今ので我に帰った)>
「脱ぎ……まーす……」
「だからやめろって!!」
「そこっ、住井君!!
  何を持ってんの!?<住井はポケットティッシュを取り出した>    
  南君、メモ帳をしまいなさいっ!!」
  ……さすがに深山先輩はこういうとき頼りになるな。

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>長森瑞佳を取り押さえた折原浩平


「……ふぅ……」
  俺は脱ごうとする長森を取り押さえて、ため息をついた。
「もう瑞佳ちゃんは、部屋に連れてってあげなさい。
  ちゃんと、面倒見てあげてね。
  酔い潰れた人を、1人にしたら危ないから……」
  深山先輩にうなずき返して、俺は宴会の場を後にした。

  洞窟の中、俺は長森をおんぶして歩く。
「うー……。こーへー……?」
「……ん。起きたか?」
「……うん」
「まったく……飲めないんなら、無理して飲まなくても良かったんだぞ?」
「……うん。……こーへー」
「……なんだ?」
「……ゴメンね、めーわくかけて」
「いや、いいけどな、別に。
  長い付き合いだしな」
「…………」
「……長森?」

  ……長森の頬がぷくっと膨らんだ。

「う、うわ!  ま、まだ吐くなよ!?  トイレに……!!」


  ……俺は必死でトイレに駆け込んだ。
  ここのトイレは、地下水を利用してあるため、無人島であるにも関わらず、水
洗式だ。
  縦穴が地下河川に届いているらしい。

「うー……」
「……吐き終ったか?」
「うん……しばらくこのままでいたい……」
「……トイレで休むってのも何だけど……まぁ、しょうがないよな」
「ねぇ、こーへー……」
「ん?」
「こーへーは……好きな人とかいないの?」
  ぐぁ……そう来たか……。
「あー……まあ、いるよーないないよーな……」
  とりあえず、言葉を濁してみる。
「私はね……いる事にはいるんだ……。
  でもね……その人って……すっごくばかでね……」
「へぇ……」
「私も結構鈍感なんだけど……その人のはもー犯罪的だよ……」
  そうか……ちゃんと好きな奴がいたのか……。
  なんか……寂しいような泣きたいような……複雑な気分だな……。

「……知りたい?」
「……そうだな……」
  ……そいつが長森にふさわしい男か……ちゃんと見てやらなきゃな。
「よしっ♪」
  ……妙に機嫌の良さそうな声。

  そして。
  俺は長森に引っ張られた。
  
  そして。
  唇に、温かい、濡れた感触。

  ……え?
  目の前に広がる長……瑞佳の、顔。

  
  …………え?
  しばらくして。
  ゆっくりと離れる、
  瑞佳の、
  潤んだ、
  瞳。

  ………………え?
  早鐘のように、打ち鳴らされる、心臓。
  血液が、一気に顔に上昇してくる。
  頭がガンガン鳴っているのは、酒だけのせいじゃない……。

  俺は、瑞佳と、見つめ合っている自分に、気付いた。
「……あ……?」
  間の抜けた声が出る。

  瑞佳は――
  
  ぷくっ
「おえええええええええ」 

  ……また吐いてる……。

  これは……セカンドキス……?

  ……1つだけ、はっきりした事がある……。

  ……セカンドキスは、ゲロの味がした――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――イン便所―――――。

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>翌朝、動揺してる折原浩平

  長森とキスした長森とキスした長森とキスした長森とキスした長森とキスした
長森とキスした長森とキスした長森とキスした長森とキスした長森とキスした長
森とキスした長森とキスした長森とキスした長森とキスした長森とキスした長森
とキスした長森とキスした長森とキスした長森とキスした長森とキスした長森と
キスした長森とキスした長森とキスした長森とキスした長森とキスした……。

  昨日のアレは……やっぱ夢じゃないよな……。
  どうしよう……?
  長森にどう接したらいいのかわからん……。
  結局昨日は寝れなかったし……。

「……あ、浩平。おはよう」
  
  ドキィッ!!

「……は、はは、お、おはよ」
「……?  まぁ、いいか。ところで、昨日……」
  
  ドキィッ!!

「き……昨日……?」
「皆でお酒飲んだんだよね……?
  はじめの1杯以降の記憶がなくって……」
「……へ?」
「昨日、楽しかった?」
  
  いつもの笑顔。

  な……なんにも覚えてないし……。

  俺は脱力して、その場に座り込んだ。
「わーっ、浩平、どうしたんだよっ?」
「疲れた……」

  その日の太陽は、やけに黄色く見えた。

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>余談

  
「お〜の〜れ〜、ゆ〜ず〜き〜!
  ど〜こ〜いっ〜た〜!!」
  半分キレかかった住井が、島中をウロついていた。
  顔中に、落書きがしてあった。
「……水性ペンで書かれたくらいでキレることないだろ?」
  まぁ、「子象」でも書かれたなら別だが……。
  
  ……まさか、ねぇ?

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  執念の8作目。
  ……ふっ……メール系統が全滅……かと思ったら、ただ単に、メールが満杯に
なってただけだった……。その間、受信も送信もできなかった……。
  さっき直しました。と、ゆーことで、23日から今日25日の6時までのメー
ルが見れん……カンベンして……(泣)。友達から「返事がねーぞ」って文句言
われるし……(泣)。
  これでPC歴3年とゆーのが我ながらスゴいです。
  いかにゲーム以外やらなかったかがわかりますねー。
  ちなみに、送信がいまだに出来なかったりします。
  ……なんか、関係ないこと書いてしまったな。

  えーと、なぜかラブコメ街道爆進し始めてしまいました。こ、こんなハズでは
……(泣)。
  ちゃんと終るかどうか、心配になってきました(汗)。
  だっ、大丈夫さっ……きっと……。
  後でSS神社にお参りしとこー……。


★かんそー★

★Matsurugiさん
>「おねめ〜わく 続きの続き」
  わお、完結ですか。個人的には、某「三●が斬る!!」みたいに長く続けて欲
しかったんですが(笑)。
  結局瑞佳は、浩平に振り回され続ける運命なのかな(笑)?

★神楽有閑さん
>「私の願い」
  詩子の心の棚は何段あるんだろ(笑)?
  >会の途中で寝た者には、なにをしても良いという決まり
  うん、確かに法律で決まってマスね(笑)。
  先に寝るのはかなりの代償を伴うモノです(笑)。
  
  詩子視点で見るってのもオツですね。
  私が書くと……やめとこ。殺される……。

★サクラさん
>「七瀬留美・暗殺計画(4)」
  最近のお気に入り。
  茜がかなりイイ感じになってマスね(笑)。
  やっぱり犯人は……意表をつきまくってきっと詩子に違いない(笑)!!

★うとんたさん
>「第2弾です〜」
  ふっ、読めた!
  うは、うはははは。
  1回間違えたけど……。
>「第4弾〜」
  最大ヒット(笑)。
  ブ、ブラックスケブリスト……(笑)。
  しかし……繭って、小学生なのかな?
  とすると、それに手を出した浩平って……(笑)。
  詩子って……貧●?
  あまり言うと殺されそー……。

★パルさん
>「セカンドコンタクト」
  エエ話や(泣)。
  みさき先輩と、澪ちゃんのコミュニケーションは、本当に感動的ですね。
  実は、これを読んで、「NATIVE  DANCE」を思いだしました。
  もう少しで、B’zのベストに入る所だった名曲です。
「♪あなたへの努力はいつまでも  惜しむつもりはないよ……
    キライならキライと合図して
    足を踏みならして……NATIVE  DANCE!」
  ……って感じの曲です〜。
  
★幸せのおとしごさん
>「ひとりうたうはえいえんの少女」
  詩、ですか。
  私は詩が書けないんですよ〜。
  みさお(ちびみずか?)って、本当にけなげですよね。

★SOMOさん
>「争奪戦その1」
  あ、はじめまして〜。
  ホ、ホレ薬!!
  人類永遠のテーマですね(笑)!
  続き、期待してます〜。
  >七「ヒロインは瑞佳だったのね。沢口君が不幸すぎるわ」
  いや、なんか成行きで(笑)。
  いや、実に不幸ですねー、沢口の奴。
  南「僕は沢口じゃないっ!!」
  うるさいぞ、沢口。

★Sashoさん
>「新メニューが加わった日」
  「山葉堂」の店員視点とはおもしろいですね〜。
  私には、到底思いつきません。
  >(……これが原因で別れることにならないといいけど…)
  これが大ヒットしました(笑)。

★犬二号さん
>「A棟巡回員の怠惰なる日常・1」
  あ、はじめまして〜。新人さんメジロ押し(笑)。
  もしかして、私もベテランの仲間入りか(笑)!?  ひゃっほーう。
  う〜ん、「Moon.」は実は小説読んだだけなんですが……。
  一応、巡回員も人間なんですよねー。忘れてました(笑)。
  >4・少年サンデーで連載されていた(と思う)「ジー○ス」
  ハズレです(笑)。
  まぁ、「ジ●ザス」も相当好きでしたから、多少の影響は受けてるかも知れま
せんけどね。
  そのうち、釘(ネジ?)を弾丸にして、撃たせてみようかな(笑)?

  ううううう〜、限界。あでゅー。
                                                                  北一色