BLUE LEAF7〜真夏の夜の夢〜 投稿者: 北一色
★注)今回から完全に、必ずしも浩平視点とは限りません。例えば、
>トカレフを乱射する広瀬真希

とあったら、広瀬視点ということになります(笑)。
  これからずっとこの形式になります。
  なお、<>の中は作者によるツッコミ、もしくは説明です。

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  夜。
  暗闇。
  丑三時。
  逢魔ヶ刻。
  魔物の時間。
  1日の終り。
  ――それは、恐怖の時。
  
  狂気の宴が始まろうとしている…………。

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>眠っている南明義


  ……ん?
  誰かが僕の近くにいる。
  誰だろう?
  昼間の疲れからか、妙に眠い。眼が開けられない。
  わずかに漂う美味しそうな香り。
  魚の匂いだ。
  そういえば、ご飯も食べてなかったな。
  おかげでひどく空腹だ。
  そういえば、帰ってきたとき、住井が倒れてたっけ。
  口が異様に魚臭かった。きっとつまみ食いでもしすぎたんだろう。
  
  「植物を採ってくるくらいで、疲れるなんてだらしない」とは言わないで欲し
い。ただ植物を採るだけなら、僕もここまで疲れはしない。

  ……ナゼか、帰り道に対人地雷だのトラップだのが、大量に仕掛けられていた
んだ。
  ……しかも、引っかかったのは僕だけ。何故か深山先輩は1つも引っかからな
かった。
  ……時々思うんだが、僕は世界最悪の運命でも背負っているんじゃないだろう
か?
  ……あれだけトラップに引っかかって、よく生きてるな、僕……。
  しかも、1つにふっ飛ばされたと思ったら、落ちた所にもう1つ、という具合
に、執念深く仕掛けられていて、連鎖的に引っかかり続けた。
  ……仕掛けた奴は、よっぽど陰険な奴に違いない。

  ……ああ、思考がまとまらない。
  何考えてたんだっけ?
  そうそう、ご飯だったかな?
  近くにいる誰かが僕の肩をそっと揺する。
  誰だろう?  まぶたが重くて眼が開けられない。
  ……もしかして、里村さん!?

  (妄想中)
「……あなた、起きてください」
「う〜ん……ああ、茜か」
「……ご飯が出来ました。それとも、先にシャワーを浴びますか?」
「……茜がいい」
「……えっ(ポッ)」
「フゥジコちゃああン!!!」<声:山田康夫か栗田貫一> 
<ここでルパン3世のように、一瞬でトランクス1丁になってダイビング>
「あん(はぁと)」
  (妄想終了)

「イイ……良過ぎる……最高だ……」
  思わず、心から泣く僕。

  ふと、身体に重みがかかる。ちょうど人くらいの重み。
  いや、それにしては、少し軽い方だろう。
  華奢な柔らかい身体が僕の上に乗るようにして、近付いてくる……。
  ふと、両手が僕の左右の頬に触れる……。
  僕は葛藤した。
  心の中で、天使君と悪魔君が戦っている。

天使君の主張
「ああっ……僕らは高校生なんだぞっ!
  そんなハレンチなマネをしてもいいものだろうかっ!?」
悪魔君の主張
「いいじゃないか、減るもんじゃなし。やっちゃえやっちゃえ!!」
天使君の主張
「それもそうだね。やっちゃえやっちゃえ!!」

  ……こと里村さんに関する限り、うちの天使君と悪魔君の仲は非常にいい。

  ああっ、ウェルカム里村さん!!  でも痛くしないでね……。
  
  頬に触れていた指が僕の頬をつねる。
  こ、これはやはり、里村さんが、「あなた……お・き・て(はぁと)」って事
なんだろーか!?
  そ、それとも、今流行りのSMプレイ!?
<いつ流行った……?>

  しかし、随分容赦なくつねるなぁ……?
「ひてててて!!」
「あ、起きた♪」
  里村さんの天使の様な声じゃない……?

  重いまぶたをムリヤリこじ開けて見ると、
「ほ、ほあふわ(こ、小悪魔)!!」
「何言ってるの?」
  僕は必死で彼女――たいがい気付いたと思うけど柚木詩子――の指を引き剥し
た。
  ただつねるのではなく、ひねりまで加えてある。
  あのままほっといたら何をされた事やら……(汗)。
  あいも変わらず、彼女は小悪魔の様な笑みのまま<注:南視点>、僕の上に乗
っている<羨ましい状況だと思うが>。

「住井くーん、明義起きたよー?」
  しかもいつの間にか、呼び方が「明義」になってる――!?
  僕の心境を察したのか、彼女は首をかしげてこう言った。
「アッキーの方が良かった?」
「なお悪いわ!!」
  そう怒鳴る僕。
  ああ……僕のクールなイメージがぁぁぁぁ……。<ないない>
「じゃあ、みーちゃん」
「……勝手にして……(泣)」
  ……彼女に勝てる人間はこの世にいるんだろうか……?


「おー、起きたか、みな……み?」
  住井がやって来……。
  ……って柚木さんが乗ったまんまだ!!
「い……いや、悪かった。
  まさかお楽しみの真っ最中だったとは……。
  悪かった」
「す……住井、こ、これは……」
「もう、いい。もう何も言うな」
「へ?」
「いや、無人島なんかにずっといるんだ。
  いろいろと溜るよな。
  もう邪魔はせんから……」
「ちっ……ちがうぅぅぅぅっっ!?」
「へっ……大人になったんだな、南」
  住井は奇妙に爽やかな笑顔を浮かべ、ビッと親指を立てると、部屋から出て行
った。
「だから違うんだあああぁぁぁぁぁぁぁ――――――――っっっ!!!」
  絶叫する僕の耳に、柚木さんの無邪気な声が聴こえた……。
「ところで、何が溜るの?」
「……わかってて言ってるだろ?」
「うん♪  もちろん」
  ……やっぱり小悪魔だ……。

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>罠を調べてまわる広瀬真希


「これは……どういうこと?」
  私は、罠の跡を調べながらそうつぶやいた。
  昼間、七瀬さ……もとい、獣用に作っておいたトラップの全てが壊されていた
。
  しかも御丁寧に、1度罠を発動させてから壊したらしいわね。
「何者……?」
  この島には相当知能の高い獣がいるみたいね。
  まさか、「全部の罠に引っかかって、それを外して行った」なんて馬鹿なこと
があるわけもないし(いくら私だって、連鎖的に罠にかかる様にするほど、陰険
な事はしないものね)……。
  
  ふとおかしくなって、私は笑った。

「もしそんな奴がいたとしたら、天然記念物級の凶運の持ち主か、よっぽどの馬
鹿って事よね……」

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>夕食後、長森瑞佳の部屋を訪ねる折原浩平


「よう、長森。ドア開いてるぞー」
「あ、浩平」
  俺は形ばかりのノックをしながら、長森の部屋を訪ねた。
  この時間、もはやみんな風呂にも入ってしまい、特にやることがなければ寝て
しまうことになる。
  
  ……風呂と言えば先程、住井が壁に開けておいたノゾキ穴が茜に見付かり、晩
飯抜きの刑に処されてたっけ。
  <ちなみに茜が一番風呂だったので、使用機会は1度もナシ>
  ま、もっともあいつは何も食えない状態にあったから、全然懲りてないと思う
が。
  しかし、風呂場の覗きとは……住井も旅のお約束というか、男のロマンという
モノがよくわかっているようだ。
  やっぱり住井はイイ奴だ。

  そう言えば、なんか沢口と柚木が一悶着起こしてた様だが……何があったんだ
ろう?

「ねぇ……浩平……」
「……ん?」
「私達……いつまでこの島にいるのかな……」
「……まぁ、俺は結構気に入ってるけどな、ここの暮らし。
  朝、必ず決まった時間に起きなきゃならない訳でもないし……。
  第一、静かでいいだろ?
  虫の声とか、波の音とかはあるけど、自然の音だしな」

  あえて、銃声だの爆音だのを巻き起こしてたヤツラの事は言わないでおく。
  
「そっか……前向きだよね、浩平は」
「……そうでもないけどな」


  ちくり、と胸が痛む。
  遠い過去の記憶。
  幼くして死んでしまった、みさおの記憶。
  けなげで、優しい妹。
  最後の最後まで、痛む身体で俺の事ばかり気遣ってくれた、俺よりもずっと大
人だった、大好きな妹の記憶。
  俺は今でもそのことを引きずっている……。
  ……前向きな訳じゃない。ただ、あの時からどうでもよくなってしまっただけ
なんだ―――あの時は、自分の命ですらも。
  そう、あの時、泣いていた俺の部屋に、こいつが石を投げてくれなかったら。
  あの時俺を支えてくれた、「あの言葉」がなければ……俺は今ごろきっと……
。


「……浩平?」
  ……長森が俺の顔をのぞき込んでいる。
  その顔は、驚く程近くにあった。
  ……引き寄せて、キスできそうな程に。
「……瑞佳」
「……え?」
  長……瑞佳の顔が朱に染まる。

  ……何故今まで気付かなかったんだろう?
  いつも側にいてくれたのに。
  ……いや、あまりにも近すぎたからだろうか?

「……瑞佳……」
「……浩平……」
  ……俺は、そっと瑞佳の肩に手を伸ばした。

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>住井の指示により、みんなを集める南明義


  コン  コン

「長森さーん……入るよ?」

  ガチャッ

  ……一歩踏み込んだ僕は、自分の間の悪さに、絶望しそうになった。
  室内に残る独特の甘い感じの空気が、僕の開いたドアから、一気に流れ出して
行く。
  室内では、長森さんと、何故か折原が、背中を向け合って、1mくらい離れて
座っていた。
  顔にわずかに赤くなった形跡が見られた。
  ……これはやはり、相当イイ感じの雰囲気をブチ壊しにしてしまったらしい。

  ……僕は弁解を試みた。
「イヤ……その……クルーザーの端片が流れついて……デスね……(汗)。
  着替えとかが……その……見付かって……その……(汗)。
  その中に……サケがあったんで……皆して飲もーか、……と……(汗)」

  折原が(引きつった)笑顔で言った。
「おう、南……全っっ然!!  ……気付かなかったゼ……」
  ああ……折原に「南」って呼ばれるのって、随分久しぶりだな……。
  ……それだけ怒ってるのがわかる……(汗)。

  長森さんが、(これまた引きつった)笑顔で言った。
「……あ、はーい……今!!  行くもん……」
  ……長森さんの視線には、殺意が充満している様にすら感じる……(汗)。
  ……長森さんの殺気を経験したのなんて、世界中でも僕一人くらいだろうな…
…(汗)。
  ……言葉使いも微妙に怪しくなってるし……(汗)。

  僕は、殺意だけでは人を殺せないことを、神に感謝した。
  殺意だけで人を殺せたら、僕は今だけで5回は死んでることだろう……。

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>5分後、ロビーにいる折原浩平


  ゴトンッ

  住井が日本酒のボトルを置く音が、やけに大きく響く。
「なんだ?  その酒?  見た事もないぞ?」
  いぶかしげに見る俺に、住井が答える。
「馬鹿者、コレを知らんのか!?
  これぞ、入手の極めてムズかしい、レア中の超レアなポン酒――
  人呼んで!!
  『日本一水のマズい大阪の、更に大阪一水のマズいH市の地酒(ピ――)』だ
っっ!!
  第1回無人島利き酒大会〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
「いえ〜〜〜〜、ひゅーひゅー」
  柚木がミョーに楽しげに盛り上げ役をやっている。

<ちなみに、H市の水は、隣の市の人間が飲んでも「うわっ、何このくそマズい
水は!?」という程マズいそーな>


「特別ゲストとして、プロフェッサー雪ちゃんに来てもらいました〜〜〜!!」
「「「「721(なにい)!!?」」」」  

  グルグルメガネに白衣……どっからどー見てもプロフェッサー雪ちゃん!!

<変身動物ポン太さんの了承済(笑)。ああっ、SSが保存されてない〜!!>
<まだ保存の仕方が分かってなかった頃だったんですね  (T_T)>  
<って訳で、喋り方とかおかしいかもしれないけど、御容赦を  m(_)m>
<ああ……久々に「プロフェッサー雪ちゃん」読みたい……>

「んじゃ、プロフェッサー、まずはあっしの持参したこいつを!」
  住井が例のポン酒を差し出す。
「おうっ。くるしうない!」

  くいっ

「…………………………………………………………………………………………」
「……いかがで?」

  ぶぴゅるっっっ!!<←思いっきり吹いた>
「うわあぁぁぁぁぁっっ!?」

  住井の顔面に思いっきりかかった。
「うーわっ、うーわっ」
  住井が必死で酒を拭いてる。
「プ……プロフェッサー?」
「イヤ……ゴメン……。
  なんか、こー不自然にフルーティーで……(汗)」

  ……そんなにマズいのか……(汗)。

「……そんな酒が市役所の中に堂々と置いてあるって……ホント?
  ……●分県産のしいたけ●ーグルト並ね。
  悪いけど私はこっちの方をいただくわ」
「……せっかく持って来たのに……(泣)」

<注:しい●たけヨーグルト……昔、大●県が県をあげて売り出した、何考えて
んだか疑うよーなシロモノ。健康食品ブームに乗せて、なんでもヨーグルトに入
れときゃ売れるとでも思ってたらしい。当然、大不評>
<参考文献:安永航一朗著「県立地球防衛軍」2巻>

「まあ……ナニはともあれ、みんなの前途を祝して……乾杯!!」
『「「「「「「「「「カンパーイ!!」」」」」」」♪」です……」なの!』
「みゅー♪」

<どれが誰か、考えてみましょう(^_^)>


  この時はまだわからなかったが……。
 
  俺達は着実に「狂気」に向かっていたのだ。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

★前回のお詫び★
  前回、「次回予告」としていたものが、「次々回予告」になってしまいました
。って訳で、続編です。

前回の「次回予告」は、今回でも「次回予告」です。思ったより進まんかったん
で……。

  という訳で、
★次回予告★
  始まってしまった宴会。
  そして狂気がゆっくりと牙を剥き始める……。
  七瀬と広瀬の死闘、住井の暗躍、詩子の跳梁、南の暴走……。
  そして、ついに巻き起こる事件!!
  一行は無事に朝を迎えられるのか!?
  忘れ去られた中崎と南森はどうなった!?
  そして、「象」が住井を襲う!!

……ってな具合で。

  ポン太さんのお許しをいただき(あれは許可か!?)、再び登場のプロフェッ
サー雪ちゃんです。(最近の若いモンは知らんかもしれんがのお……かつてそう
いう傑作SSがあったんじゃよ……)

  南にはじゅーぶんイイ思いをさせてやったんで、次は地獄につき落としてやろ
ーと考える今日この頃。ちなみに、南の部分は、「がんばれ!南くん〜演劇編そ
の4〜」の影響を色濃く受けてます(笑)。

★かんそー★

★ひろやんさん
>「Everything here, only ONE」
  繭ちゃん可愛すぎ(笑)。
  私はどーにも繭が書けません(T_T)。
  私がガキなだけか?
  散髪屋で「中学生?」とか聞かれたし……。(←根に持ってる)

★Matsurugiさん
>「おねめ〜わく 続き」
  やっぱし浩平か(笑)。
  って、ななぴーの言動から、そーとしか思えんし(笑)。

★神凪了さん
>「アルテミス」
  「あいしゃるりたーん」……(笑)。
  このSSはシリアスなのでは(笑)?

★雀バル雀さん
>「翔べ!必殺うらごろし? 夏の2時間スペシャル」
  華穂さんが「おばさん」……(笑)。
  藤井勇気さんに殺られマスよー(笑)。

★から丸さん
>「幻想猫の魔法第五話」
  私が今もっとも注目してるシリーズです〜。
  今回も住井と詩子がとばしてマスね〜。
  「住井家以外の者には食えない」ものを食えるってことは、将来「住井家の者
」になるのかな(笑)?
  ところで「仏でわっしょい」はどーなったんだろ(笑)?

★変身動物ポン太さん
>「感想SS”感想は忘れた頃にやってくるっ♪”」
  >「アルジーに襲われる夢です。」
  「襲われる」の意味が違うと楽しいのかも(笑)。
  >〜ななぴーの夢〜
  あ、私も見たい見たい(笑)。
  私が書くSSでは、どーしてもななぴーは乙女のカケラも無くなっちゃうんで
すよね〜(笑)。
  たまに書こうとすると、
  「こんなん読んで面白いか?
    否!!
    もっとギャグを詰め込まねば!!」
  ……ってな具合で、「どこが乙女?」って感じに……。
  運命だな、うん。

>「光・・・届く日」
  ううっ、読んでるこっちがあてられそー(笑)。
  こんな事やってるカップルがいたら、蹴倒すかも(笑)。

★ばやんさん
>「結婚写真 −中編−」
  黒服にサングラス……浩平はブルース・ブラザーズでも想像してるのかな(笑
)?
  惚れた相手があーだと、瑞佳も苦労するね(笑)。

★YOSHIさん
>「〜永遠の過ごし方〜<Second day>」
  髭がカッコ良すぎ(笑)。
  髭のクセにー!!

  こ、これ以上はまた今度ってことで……。ではでは。
                                                                 北一色