BLUE LEAF6〜護と浩平のうきうきクッキング〜 投稿者: 北一色
 ★注)今回も、必ずしも浩平視点とは限りません。例えば、
>月に吠える住井護

とあったら、住井視点ということになります(笑)。
  ずっとこの形式になるかも。

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>掃除する住井護

  俺は住居の掃除をしていた。
  俺の役目は実は掃除だけに留まらず、「生活環況を整える」事にある。
  というわけで、俺はそれらの仕事に取り組んだ。
  長森さんも近くにいることだし、手を抜く訳にはいかない。
  ……「お前はロ●じゃなかったのか」という意見は却下する。
  長森さんは別格なのだ。
                     、、
  それにしても、アレはどこに行ってしまったんだろう?
  せっかく、深山先輩の眼をかいくぐってまで演劇部に潜入し、澪ちゃんの衣装
から、寸法を測ってまで作りあげた自信作だったのに……。

  ……しかし、あれは実に大変だった。
  真夜中に侵入したのだが、無数のトラップが仕掛けられていたのだ。
  熱感知センサー、振動感知センサー、CO2感知センサー、赤外線センサー、
……エトセトラ、エトセトラ。
  いったいここはどこの戦場なのかと疑ったほどだ。
  ……深山先輩って一体何者なんだ?
  もっとも、いかにトラップを仕掛けようとも、この俺に突破できないものなど
有りはしない。
  熱感知センサーは熱光学迷彩のジャンパーでだまし、振動感知センサーを液体
窒素で凍結し、酸素ボンベを身につけて二酸化炭素を吐かないようにし、E.C
.M.(電磁波妨害)を使い……かなり手間取ったが、俺の敵ではなかった。

  その俺にかかっては、たかが無人島での生活などたいした事はない。
  (他のSSではロボットまで作ってる事だし)

  俺は精力的に働いた。
  ゴミ捨て場用の穴を掘り、海草からシャンプーを作り、海水を蒸留して塩を作
り、炭を焼き、薪を割り、魚を干し、おまけで風呂(五右衛門風呂)を作り、風
呂用の部屋に覗き穴をこっそり開けてカモフラージュして隠し、ダブルベッドを
作り、イモリの黒焼きを作り、歯磨き粉も作って口臭もOK!いつでもカモン、
長森さん!  澪ちゃんや繭ちゃんでも全然オッケーだぞ! 
   
「……何やってんだ?  住井……?」
「……はっ。
  お、折原!」
「ついにお前も壁に向かってブツブツつぶやくようになったか。
  住井、幻覚はほどほどにしておいた方がいいと思うぞ」
「人を精神病患者か、電●にやられた奴みたく言うな」
「で、何やってんだ?」
「い、いや、フェルマーの最終定理と特殊相対性理論における非ユークリッド空
間の研究について思いを馳せていたところだ」
「何だそれ……?」
「なんなら、ラグランジュの月の方程式か、ゲオルグの無限性の濃度の理論でも
いいが」
「…………」

  折原は首を振りつつ、洞窟の中に入っていった。
  よし、ていよく追っぱらったぞ。
  ……ん?
  あの中には長森さんがっ!
  2人っきりになどさせんぞ!

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>料理する長森瑞佳
「はぁっ……浩平、ちゃんと仕事してるかなぁ……」

  浩平はすぐサボるから、心配だよ。

「長森さん、何を作りますか?」
  里村さんが話しかけてきた。

「……え?
  あ、ああ、そうだね、うーん……
  魚しかないし……
  やっぱり、塩焼きかな?」
「……私は甘辛煮の方が好きなんですが……」
「でも、砂糖も醤油もあんまりないよ?」
「……残念です」
  塩以外の調味料全部が、あと少ししかないもんね。
「じゃあ、塩焼き作ろっか?」
「……はい」

  そんなことを話してた時、
「あれ?  浩平と住井君?」
  2人が何か言い合いながらこっちに来てる。
  いつもながら仲がいいなぁ。
  とても間に入っていけそうにない。
  ああいうのが「男の友情」っていうのかな?
   
「おう、長森、茜。
  住井がついに幻覚を楽しみだしたぞ」
「だから違うっつーのに」
  ……浩平は、里村さんは名前で、私のことは名字で呼ぶ。 
  ちょっとさみしい。
  でも、私の方を先に呼んでくれたし……。
  ちょっとは気にかけてくれてるのかな……?

  まだ、何か言い合っていたけど、私はあんまり聞いてなかった。
「…森?
  長森!!」
「……あ。
  な、何、浩平?」
「何をボーッとしてたんだ?
  ともかく、そういうことになったからな」
「え?  何が?」
「だから、
  俺と住井、長森と茜で組んで、料理勝負だ!」


  ……何がなんだかわかんないうちに、料理勝負になっちゃった。
  はぅ〜、浩平ってチャーハン以外作れないのに、どうするんだろう?

「心配するな。こっちには鉄人がついている」
  住井君がにっこり笑ってる。
  へぇ、住井君って料理得意だったんだね。

「ともかく、始めるぞ!」

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>調理中の里村茜

  浩平と住井君との提案で、料理勝負になってしまいました。
  あの2人には、あまり負ける気がしません。
  でも、調味料や調理道具に、かたよりがありすぎますから、下手をすると負け
てしまうかもしれません。
  でも、負けられません。
  これは「女の子の意地」、というモノです。
  ……「好きな男の子より料理が下手」なんて、耐えられませんから。

「……長森さん」
「え、なに?」
「……やっぱり、甘辛煮にしましょう」
「え、でも調味料があんまり」
「生はんかな料理では、浩平達に勝てません。
  勝負を挑んでくる以上、何かの秘策があるはずです。
  ここは、こちらも全力をもってかかるべきです」
「でも……」
「男の子に負けるのは、プライドが許しません」
  長森さんはしばらく悩んでいましたが、やがて賛成してくれました。
  ……長森さんも似たようなことを考えていたんでしょうか?

「うん、わかったよ。
  浩平……達には負けられないもん」
「……はい。全力でいきましょう」

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>調理中の折原浩平

「――という次第で料理勝負とあいなった訳だが」 
「……何を空中に向かって話してるんだお前……?」
「いや、ちょっと状況説明をしただけだ。気にするな」
「…………」
  住井が沈黙する。わかってくれたようだ。イイ奴だ。

「で、何か秘策があるんだろうな?
  お前が言い出した事なんだぞ?」
「任せろ。俺は勝算のない勝負はせん」
「よし、任せたぞ」


  閑話休題。


「護と」
「浩平の」
「「うきうきクッキング・イン無人島〜!!」」

「まず、魚を用意する!!」
「おお!?
  住井サン、いきなしメインディッシュっスね!?
  一生ついていくっス!!」

「一生ついて来られんのもメーワクだが、それはそれとして!!
  丈夫で清潔な布を用意する!!」
「頼もし――――――っスっっ!!!」

「ンで魚を布で包む!!」
「フムフム、包む!!  で!?」

「コップを下に用意する!!」
「嵐に巻き込まれたにも関わらず、どーしてコップが割れてないのかは置いとく
として!!  で!?」

「絞る!!!」  
  げろぐちょぐちょぐちょべちょでろでろでろ…………
「うおわああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!?」


<暴力的・グロテスクなシーンのため、画面を自主規制しております>
<しばらくお待ちください>


「生ジュース感覚で!!
  さぁ、飲め!!」
「…………………………………………」
「どーした折原!!  倒れているバアイじゃないぞっ!!」

  俺はゆらりっ、と立ち上がると、
「お前が飲んでみろおおおぉぉぉぉぉぉっっ!!?」
「ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!?」


<暴力的・グロテスクなシーン(以下略)>
<しばらくお待ちください>


「ふーっ……」
  俺は倒れた住井の上に座って、料理勝負をどうするか悩んでいた。
  住井の口から漂う、異様な魚臭さが鼻にしみる。

「ま、始めっから勝てる勝負じゃないのはわかってたしな」

  結局、当然というかなんというか、長森・茜ペアの勝ち。
「住井……お前の死はムダになった。悪いな」
  俺は消しズミとなった魚を住井の墓前に供えた。
「まだ……死んでない……うぇっぷ」
  どっちにしても、今日1日は何も食べられないだろう。
   

  ぼんやりと夕日を眺めている俺の耳に、帰って来たみんなの声が聞こえた。

  今夜はご馳走だ。

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  気力の6作目。
  一応、続きます。でも、水曜日にテストがあるので、それまで間があきます。
  そーゆーわけで、今回は、かんそーは割愛させていただきます。

  いちおう、水曜日テスト終了後に書く予定。
  ただし、予定は未定にして、決定にあらず(笑)。

  感想くださった皆様、ありがとうございました。
  一部で好評をいただいているようで、私の分に過ぎた評価ながら、感想読んで
にやついたりしてます(笑)。
  特に、いつも感想を送っていただいているWTTSさん、大感謝です〜。

  今回のも、「3」のときのように、「繋ぎ」の1面が強いので、もの足りない
方もいらっしゃるかと思いますが、御容赦を。
  メインはもちろん、雀バル雀さんの読み通り、「夜」ですから(笑)! 

★次回予告★
  雪ちゃん、住井などの活躍により、無人島生活にも慣れて来た一行。
  しかし、ついに1日の終わり、「夜」が来る!
  七瀬と広瀬の死闘、住井の暗躍、詩子の跳梁、南の暴走……
  一行を狂気にかりたてたモノとは!?
  そして、ついに巻き起こる事件!!
  一行は無事に朝を迎えられるのか!?
  忘れ去られた中崎と南森はどうなった!?
  そして、「象」が住井を襲う!!

「瑞佳……」
「浩平……」
  幼馴染みの2人はついに一線を超えるのか!?

  次回、「混浴湯煙半魚人伝説殺人事件・家政婦は見た!?(おらんおらん)」
  乞う御期待!!