BLUE LEAF4〜男はつらいよ〜 投稿者: 北一色
★注)今回と次回は、必ずしも浩平視点とは限りません。例えば、
>魚釣りをする七瀬留美

とあったら、七瀬視点ということになります。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

>見回りを開始した折原浩平

  よくよく考えてみたら、狩猟班や植物採集班をどうやって見回ろう?
  とりあえず、狩猟班――つまり、椎名と広瀬についていくことにした。


「広瀬……なにやってんだ?」
  ……広瀬は、落とし穴を掘った後に、画ビョウをバラまいていた。

「決まってるじゃない。罠よ」
「……いくらなんでも、画ビョウで死ぬ獣はいないと思うぞ。
  いても、たいして腹の足しにはならんだろうし」  
「そう?」
  広瀬がにんまりと妙な笑みを浮かべた。
「じゃあ、もう少しパワーアップさせた方がいい?」
「当然だ」
「じゃ、こんな感じで」
  広瀬は何か丸いモノを落とし穴の中に埋め込んだ。

  ……何だ?
  俺はその物体を注意深く観察してみた。

「…………………………げ!!」
「いかが?」
  硬直した俺に、広瀬が勝ち誇ったように言って来る。

  ………俺はその物体に注目していた。
  クレイモア対人地雷。
  これを踏んだ相手は、弾けたパチンコ玉くらいの大きさの無数の鉄球を受けて
、ズタズタにされる。別名、ホウセンカ。
  パワーアップさせすぎである。

「をい……」
  こんなぶっそーなもん、どこから……?

「パワーアップさせた方がいいって言ったのは折原君でしょ?」
  ぐぁ……ハメられた……。

「もし、七瀬さんが落っこちちゃったら大変だから、教えてあげないとね♪」
  ……こいつなら、「身をもって危険さを教えてあげなきゃ」とか言って、七瀬
をつき落としかねんな……。
  ……まぁ、いいか。七瀬なら死にはせんだろう。

「……そう言えば、椎名は?」
「あそこ」
  ……広瀬は上の方を指さした。
「みゅ〜みゅみゅ〜〜〜♪」
  ……ターザンの如く、椎名が蔓にぶらさがっている。
  どうも本能が目覚めかけているらしい。

  俺は頭痛をこらえながら、森を抜け出して行った。
  次はどこに行こうか?
  深山先輩と沢口なら、何も問題など起こさないだろうから、ほっといても構わ
ないだろう。
  男女の組合せといっても、沢口は茜一筋だし、深山先輩は沢口など歯牙にもか
けまい。
  ……とりあえず、魚釣り班の所にでも行くか。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

>食べられる植物を採集する南明義

  僕は深山先輩と一緒に、食べられる植物を採っていた。
  「1話目で『俺』と言っていたじゃないか」なんてことは気付いても言っては
いけない。

  深山先輩は凄く物知りで、食べられる植物と、毒性のある植物がわかるらしい
。 
  それで、僕が毒性のある植物をとろうとすると教えてくれる。

「南君、それは猛毒よ?」
「………………」
「……これで何度目?  さっきから、猛毒の植物ばっかり選んで採ってる様にし
か見えないんだけど……」

  ……僕は、黙って地面に「の」の字を書いた。
  ううっ……なんでか知らないけど、僕の手に採る植物は、何故か猛毒の植物ば
っかり……。

  落ち込みかけた気分を変えようと、深山先輩に話かけてみた。
「深山先輩……全く警戒してないみたいですけど、僕も男なんですよ……?」

  試しにそう言ってみる。
  他の班と違って、僕らの班だけが男女の組合せだ。
  いくら僕が里村さん一筋だからって、全く警戒もされないのは、なんというか
男として見られていないのではなかろうか。
  ちょっとプライドにかかわる。
  実際、里村さんがいなかったら、僕だって野獣と化してしまうかも知れないと
思わせるほど、深山先輩は綺麗な人だし。

「ああ、そんなこと?」
  深山先輩は余裕の笑みを見せた。
  そして、あろうことか、こう言った。

「試してみる?」

  (妄想中)
「ふふっ、どうしたの、南君?
  好きにしていいのよ?(はぁと)」
「だっ、駄目です、深山先輩!
  僕には心に決めた里村さんという人がっ!
  それこそ、心の中ではもう新婚3ヶ月目に突入してるんですっ!
  かっぽう着がすっごく似合っててっ……!(暴走気味)」
「いいから、いらっしゃい!」
「ああっ、駄目ですそんなそれだけはああぁぁぁっっ!!?」
  (妄想終了)

「……何をうなってるの?」
「……はっ」
「……何を勘違いしたのかは知らないけど……。
  私が言ってるのはこういうことよ?」
  深山先輩がそう言うなり――

  シュッッ!!

  ……僕の髪の毛が数本、宙を舞った。
  ……深山先輩の手には、いつの間にか、一振りの日本刀があった。

「え゛………………?」
「襲ってみる?」
「なななななな何でそんなモノをおおおおぉぉぉぉぉぉ!?」
「あ、これ?  
  『備前長船兼光』よ。
  手に入れるのに苦労したわ♪」
「そーじゃなくって!」
「何?」
「何でそんな日本刀なんかをおおぉぉっ!?」
「もちろん、裏ルートで……」
「違ううううううっっ!!」
「……うるさいわね。……さっきから、何が言いたいの?」
「銃刀法違反ですよっ!?」
「無人島に法律はないでしょ?」
「でも……!!」
  ……さらに言い募ろうとした僕は、そこで口を閉ざした。
  ……首筋に日本刀を突き付けられてまで、喋る根性は持ち合わせていない。

「……いい?  南君」
  深山先輩は、ゆっくりと言った。
  まるで言い聞かせるかの様に。
「……人には大事なものがあるの。
  例え、そのために法律を破る事になろうとも、譲れないものが」

  僕はハッとした。
  深山先輩には、何か深いワケがあるのかもしれない。
  一方的に深山先輩を責めるのは、間違っていたんじゃないか?
  ひょっとしたら、秘密組織なんかに追われてて、仕方なく……!

「すみません、深山先輩!  
  僕が間違っていましたっ!
  深山先輩の辛い事情も考えずっ……!」
「……わかってくれた?」
「はい!  心から!」
「そう。じゃ、入部確定ね」
「は…!  
  ………………………………はい…………?」
「助かったわ。部員が増えて。これで次回の講演に間に合うわね♪」
「…………あの?」
「何?  ああ、台本が見たいの?」
「…………そーじゃなくて…………入部って?」
「私が演劇部部長なのを知らないわけじゃないでしょう?
  当然、演劇部に入部よ」
「…………誰が……?」
「南君が」
「あの……?  話が見えないんですけど……?」
「私の辛い事情がわかってくれたんでしょう?」
「秘密組織は……?」
「……何、それ?」

  …………つまり、全部僕の勘違い…………?

  僕は呆然としたまま尋ねた。

「……『辛い事情』っていうのは……?」
「部員が足りなくてね。辛いのよ」
「……『大事なもの』って……?」
「もちろん、演劇部よ」
「……なんで日本刀を……?」
「時代劇系の演劇の殺陣(たて)で使うのよ。
  剣術もそのために習ったわ」

  僕は、新めて呆然とした。
  「法律を破る事になろうとも、譲れないもの」が演劇……?
  法律って……いったい何だっけ……?
  ……そういや……剣道と剣術って違うんだよな……。  

  深山先輩は混乱を起こして呆然としている僕に構わず、さっさと紙きれをとり
出した。
  「部活動入部希望届」と書かれたそれは、嵐に巻き込まれたも関わらず、全く
濡れた形跡すらないことを、呆然とした頭で理解した。

「はい、ここに記入してね♪
  あ、そうそう、印鑑はさすがに持ってないでしょうから、拇印でいいわよ。
  指をスクロールさせるようにして、しっかり押してね♪」

  そういうと、深山先輩は、僕の親指に朱肉(どこから出したんだろう?)を押
しつけて、拇印を押させた。
  ……ああ…………堕ちていく僕……。

  呆然としながらも、僕はふと思いついたことを口にしていた。

「……深山先輩はどうして演劇部に入ったんですか……?」
「もちろん、演劇が好きだからよ。
  それに……」
「……それに?」
「衣装も部費で作れるし、いろいろな服も着れるし……(はぁと)」

  ……それって……もしかして、コスプレってヤツじゃあ……?
「深山先輩……妙なイベントとか行ってるんじゃ」
  
  ……お願いだから、喋るのを止めるために、日本刀を突き付けるのはやめて欲
しい。
  本気で寿命が縮まりそうだ。
  ……深山先輩はにっこり笑って、こう言った。

「次回のイベントでは本を運んでもらうわね♪」

  ……僕がうなずくことしかできなかったからって、誰が僕を責められるだろう
か……?
  そこらの木々に、「僕なんか悪いことしましたか?」って、聞いて回りたい気
分だ。

  ……結局最後まで、僕が手に採った植物には全部、毒性があったことを付け加
えておく。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

>海岸を歩く折原浩平

  俺は海岸をぐるっと回りながら、七瀬と柚木を探していた。
  あの騒がしい組合せなら、焦らなくてもすぐに見つかるだろう。
  俺はそんなことを考えながら、砂浜を踏みしめて歩く。
  照りつける太陽と、焼けた砂が心地良い。
  今日の晩飯はなんだろう?
  なにせ長森と茜だ。さぞうまいものを作ってく……

  ズガアアアアアァァァァァァン!!!!

  ……視界が白く染まった。
  ……何が起こったんだ……?
  それが、意識を失う直前に俺が考えていたことだった……。


「……君、折原君」
「……はっ」
「留美ちゃーん、折原君、起きたよー」
「……柚木?」
  俺は身を起こした。
  目の前で柚木が、心配そうに……は見えない、いつもの笑顔で覗き込んでいる
。
  ……柚木が上から覗き込んでいるので、胸元がちょっと目に毒だったりする。

「良かった。このまま目を覚まさなかったら、どうしようかと思ったわ」
  七瀬は一応心配してくれたらしい。
「あんたの死体じゃ魚のエサにもならないでしょうし……」
  ……前言撤回。

「魚、釣れたか?」
「うん♪  ほら、こんなにいっぱい捕ったのよ♪」
「厳密には『釣れて』はいないけどね」
  七瀬が、なんとなくひっかかる言い方をする。
  どういう意味だ……?

「どうやって捕ったんだ?」
「折原、水中の岩に、岩をぶつけて、水中の岩の陰に隠れている魚を気絶させる
漁法って知ってる?」

  ……知ってる。
  なんかのサバイバルの本で読んだ事がある。
  「ガチンコ漁法」っていうんだったっけ?
  ……確か、今はしちゃいけないんじゃなかったか?
  まぁ、無人島に法律なんてないからいいか。

「……なるほど、七瀬が岩に掌底で気を叩き込んだわけか」
「……なんであたしが掌底なんか叩き込まなきゃなんないのよっ、あほっ!」
「じゃ、普通に岩を使ったのか?  つまらん」
「岩は使ってないよ♪」
  柚木がわけのわからんことを言う。
「……じゃあ、何を使ったんだ?」
「これよ」
  七瀬はそう言って、何かを差し出した。

「…………………………げ!!」
「どう?」
  硬直した俺に、七瀬が自慢するように言って来る。

「しゅ、手溜弾!?」
「はずれ♪  スタングレネードだよ♪」

  スタングレネード弾。
  非致死性兵器の一種。閃光手溜弾。
  破裂時に、膨大な閃光と爆音を撒き散らし、対象を気絶させる。

  マンガで読んだ知識が頭を駆け巡る。
「スタングレネードを使う時には、目を閉じて、耳を塞いで、体の力を抜いて、
口を半開きにしなきゃ。常識だよね♪」
  ……いとも当然といわんばかりに言ってくれる柚木。

  ……こいつは……。
  ……七瀬も、うんうんと頷いてるし……。

  一瞬、七瀬に広瀬の顔がダブって見えた。
  ……七瀬と広瀬って、結構いいコンビなのかもしれん……。

  次はどこに行こうか?
  俺は頭痛をこらえながら、SOS班のいる崖の上に向かって行った。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

  何故か快調、4作目。
  雪ちゃんファンの人、ゴメンなさい(笑)。
  カミソリメールは送らないでね(笑)。
  だんだん軍事色が強くなってきたなぁ……。
  ああ、「ONE英伝」が進まん……。
 
  「TUBEも出たからもう夏だ!」と決めつけてはいましたが、実は今は梅雨
まっさかりだそーですね。

  しかし、この蒸し暑さは、どーにかなりませんかね?

★かんそー★

★WILYOUさん 
>みさきロボ<前><後>
  最近の大ヒット(笑)。
  そのうち「一家に1つみさきロボを!」って時代が来ないかな(笑)。
  借金してでも買いそう(笑)。

★雀バル雀さん
>幸せな猫
  私は猫も犬もどっちも好きです(ただし雑種に限ります)。うちには犬がいま
すし。猫は飼うよりも、眺めているのが好きですね。
  何故か捨て猫は、1回も見たことがありませんが。
  「だって猫ですから…」の決めゼリフは個人的に気に入ってます。
  後書き読んで、私もアシが欲しくなりました(笑)。
  「さよならなんか〜」を知ってる人がいて良かった〜(笑)。こんな替え歌で
良かったら、歌ってやってください。
  TUBEの曲では、’96年のアルバム中の、「the  Last  of  I
KEIKE」という曲がかなり笑えます。
  澪のべらんめぇ口調は思いつかなかったなぁ……。
  無人島で過ごしたことがある人って他にはいない気がする……。

★ケット・シーさん
>終わらない日常 〜南明義〜
  おお、南がマトモに扱われている(笑)。
  ずっと前にあった、「南救済SS」ブームを思い出すなぁ。
  私はシリアスが書けない体質(だと思う)ので、羨ましいです。

  それでは、このへんで。                                    北一色  拝