BLUE LEAF 投稿者: 北一色
  青い空。
  白い雲。
  降り注ぐ陽光。
  陽光に煌く海。
  遥かなる水平線。
  見渡す限りの海の青さ。

  ――そう。それは、まさしく「輝く季節」。

  ――と、いうわけで。
  俺達一行は完全無欠に遭難していた。

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  ……話は1週間ほど前にさかのぼる。

  ある昼休み、住井がある話をもちかけてきた。  
「「「『太平洋で豪華にクルージング』?」」」
  いつものように、長森、七瀬と向き合って食事をしているときだった。
「ああ。ちょっとイッパツドカンとあてたんでな。
  現在参加者募集中だ。
  どうだ、参加してみないか?」
  何をドカンとあてたのかはわからなかったが、誰も聴かなかった。
  住井のことだ。どうせナン●ーズとか●馬とか●輪とか――あるいは臓●密売
とか●薬密売とか銃器のブ●ーカーとか……健全な高校生ならしないような、ろ
くでもないことだろう。
「ねぇ、浩平、どうする?」
「あたしは……参加してもいいなぁ」
「……そうだな。住井が人に親切にするなんてことはもう金輪際ないかもしれん
し。参加させてくれ」
「言い方にひっかかるところがあるが、わかった。
  ……それから折原」
  住井は声をひそめて、
「女の子をできる限り集めて来い。それが参加条件だ」
  ……俺には住井の考えが手に取るようにわかった。

  夏。
  海。
  水着。
  女の子。
  開放的な気分。
  火照った日に焼けた肌。
  そして―――甘い初体験。

  俺は住井の肩を力強く叩いて言った。
「まかせろ」

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「おーい。みさき先輩」
「その声は浩平君だね。どうしたの?」
「(説明中)」
「うーん、でも……」
「太平洋の魚はうまいだろうなぁ。
  太陽の下でのバーベキュー……。
  釣った魚をその場で活け造り……。
  そして、甘い初……いや、なんでもない」
「……何か微妙にひっかかったけど、わかったよ。
  雪ちゃんも誘っていい?」
  ぐぁ……深山先輩か。あの人は鋭そうだから……いや待てよ。

  (妄想中)
「ふふ……どうしたの折原君」
「先輩……実は俺、3年前から先輩のことが……」
「……3年前には出会ってもなかった気がするけど、それはそれとして、嬉しい
わ。
  ……さ、いらっしゃい。お姉さんが優しく教えてあ・げ・る(はぁと)」
「深山先輩ぃぃぃぃぃっっ!!」

  がばぁぁぁぁぁっっっっっ!!!

「ああん(はぁと)」
  (妄想終了)

「おーい、浩平君?」
「……はっ」
「で、雪ちゃん誘ってもいいの?」
「バッチリッスよ!!」
「……そ、そぉ」

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「おーい、茜」
「……はい」
「(説明中)」
「嫌です」
「そうか、参加な」
「嫌です」
「なんてったってクルージングだしな」
「嫌です」
「……なんでだぁぁぁぁぁぁっっっっ!?」
「……何か邪悪な感じがします」

  ぎく。

「な、何を根拠にぃぃぃぃ?」
「例えば……初体験ねらい、とか」

  ぐぁ……!!

「でも……」
「え?」
「浩平が守ってくれますよね?」
「あ、ああ……」
「だったら……行っても、いいです」
  ちょっと顔を赤らめて言う茜。
  か、かわいい……。
  ぼーっとしてしまった俺は、その後の言葉をよく聴いていなかった。
「……を誘ってもいいですか?」
「全っ然オッケーだ」

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「……ってわけだ。澪も行くよな?」
『うん、うん』
「よしよし」
  澪は素直だから話が早くて助かる。
  しかし……澪は性的対象と成り得るのか?
  まぁ、自分を慕ってくれる可愛い後輩ってのは、王道かも知れんから良しとし
よう。  

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  ………………。
「みゅー?」
「……ちゃんと聴いてたか?  お前……?」
「うんっ♪」
  まぁいいか……。いざとなったら長森に押しつけてしまおう。
  ところで椎名って……小●生じゃないだろうな?
  15歳以下は犯罪なんだぞ……?

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  そんなこんなで、クルーザーに乗ったのが2日前。
  メンバーは、俺、長森、七瀬、みさき先輩、深山先輩、茜、澪、椎名、そして
住井。

  ……のはずが、ナゼか柚木と広瀬と沢口まで乗っていやがる。
  どういうことか問いつめたら、

「人数が多い方が楽しいよね♪」
  お前が増えても俺は楽しくもなんともないぞ。

「住井君のお誘いよ」
  住井……もうちょっと相手を選べ。  

「俺は南だっ!!」
  ちっ、諦めの悪いヤツめ。 

  ……と、いうことだった。

「「おい、折原、俺達を無視すんな!」」
  ……ああ、そういえば中崎と南森もいたっけ。

  と、いうわけで、俺達13人(14人だっ!  By沢口)は太平洋に乗り出し
て行ったのだった。
  ……人数からして不吉だということに、このとき気付くべきだった……(だか
ら14人だって……  By以下略)。

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  実際クルーザーは、大したものだった。
  住井のヤツ、かなり気合いが入っているらしい。
  沢口(南だっ!)も中崎も南森も、おそらく同じだろう。
  俺は……どうなんだろう?

「ねぇ、浩平は着替えないの?」
「ん……。長森か……?」
  振り返った俺は、しばし硬直した。
  長森は白の水着姿だったのだ。
  ……こいつ……こんなに色っぽかったっけ……?
「……あんまり見ないでよ……。恥ずかしいよ」
  顔を赤らめる長森。そんな仕草も可愛らしい。
「あ、ああ」
  なんか、こっちまで恥ずかしくなってくる。

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「何やってんのよ?」
「……七瀬か……?」
  振り返った俺は、しばし硬直した。
「な、七瀬っ!?」
「な、何……?」
  顔を赤らめる七瀬。しかし。
「なんで……なんで赤フンじゃないんだっ!?」
「あ……あほかぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!」
  
  げしぃぃぃぃっっっ!!!

「くふぅ……いいケリもってやがる……」
「ひゃっぺん死ねっ、あほっ!!」
「いや、しかし、漢(おとこ)の中の漢たる七瀬がセパレーツなど……。
  ●塾に入れんぞ、そんなことじゃ」
「なんであたしが男●に入るのよっ!?  あほっ!!」

  がすぅぅぅぅぅっっっっ!!!

「口ん中、血の味がするんですけど……」
「七瀬さんなんかほっときなさいって、折原君」
「む……広瀬か」
「どう?」
「まぁ、いいんじゃないか?」
「何よそのロコツにいいかげんな態度は……」  

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「なぁ、椎名」
「ほえ?」
「……なんで、スクール水着なんだ?」
「おかあさんがこれで『のうさつ』してきなさいっていったんだもぅん……」
  華穂さ〜〜〜〜〜〜ん!!!
  俺が心の叫びをあげていたとき、背後で物音が響いた。

  がたんっっっ!!!

  振り返ると、住井が倒れ込んでいた。
「ま、繭ちゃん。もぉ、サイコーだぜ。
  ……俺、長森さんから繭ちゃんに乗り換えよーかな……」
  はなぢを景気よく吹き上げながら住井がつぶやいた。
  ……住井。やはりロ●コンだったのか……。
  暁のロ●はなぢ野郎に乾杯。

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「おっ、澪、かわいいぞ」
  両手を後頭部に回して胸(あまりない)を張る澪。
「……何のマネだ?」
『せくしーぽーずなの』
「……いや、ムリせんほーがいいぞ」
  ……後ろで、またも住井がはなぢを景気よく吹き上げていた。 

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「……浩平、あまり見ないでください」
  茜の頬が赤い。まさしく名前の通り、かな。茜色って厳密にはどんな色だ?
「……いや……、綺麗だな、と思って……」
  ちょっとイイ雰囲気になりかけたとき、
「ねぇねぇ、おっりはっらくん、あたしは?」
  いらんヤツがついて来るし……。
「あ〜、……その……結構……」
「『結構』、何?」
  かなり期待しているらしい。それなら、
「結構おもしろいぞ」
「えー、何よ、それ」 
  「可愛い」なんて、思ってても絶対に言ってやるもんか。

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「ねぇ、浩平君、私、ヘンじゃないかな?」
「みさきったら、何度ヘンじゃないって言っても納得しないのよ」
「みさき先輩と深山先輩か?
  ……って、うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉっっっっ!!!!」
  さ、さすがは上級生、2人とも色香ってものが断然違うぞ!!!
  みさき先輩の、白い肌と黒髪とが織りなす、絶妙のコントラスト。
  深山先輩の、その名の通りの、雪の様に白い肌。
「みさき先輩、全然ヘンじゃないって!  俺が保証する!!」
「そ、そう……?  ありがとね、浩平君」

  ……はっ!?

  深山先輩の視線が厳しい……。ヤ、ヤバい。バレた!?
「それで?」
「は……」    
  どうする、折原浩平!?  深山先輩をなんとかごまかさなくては!!
「あ、あのー。深山先輩の水着も似合ってますよ……?」
  俺がおそるおそる言うと、
「そ、そう……?  ありがとう」
  一気に機嫌が良くなった。
  ……単に自分も誉めてもらいたかっただけらしい。
  ……女心はフクザツだ。

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  当然ながら、ヤローは割愛する。

「ふふふ、みんな見てくれ。これがイタリア・ミラノの超一流デザイナーが僕の
ためだけにデザインした超ビキニパンツで……」

「「「「割愛だっつーたろーがっっっ!!!」」」」 

  ごがぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!

  イキナリ説明を始めた中崎を男4人でケリ止めた。
  しかし……どうやってコイツら俺の心の中を読んだんだ……?
  
  まぁ、何はともあれ……
  カンシャするぜっっっ!!  住井っっっ!!!
  アンタもぅ最っっっ高だっっっっ!!!

  住井はビッと親指をたてて返してきた。一種のアイ・コンタクトだ。
「ううっ、いい話だね〜」
  ナゼかもらい泣きするみさき先輩。……ナゼ?

  それは置いといて……
  見よ!!
  青い空も俺達を祝福するかの如く晴れまくりで、もはや神でも邪魔することは
できんっっっ!!!

  そう思いつつ俺は青空をビシっと指さし…… 
  ゴゴゴゴゴゴ…… 
  青空をビシっと……
  ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………
  青空……
  ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………………………

  ポツポツポツポツポツポツポツポツポツポツポツポツポツポツ………!!!!
  ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア………!!!!
  ドッッッッッパアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン………!!!!

「「「「「嵐だああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっ!!!」」」」」
「「「「「「「『きゃあああああぁぁぁぁぁっっっっっ!!!』」」」」」」」

「俺か!?  俺のせいか!?  俺が悪いのか――――――――っっっ!!!?」
「さっきから何わけのわかんないこと言ってんのよあんたは――――っっ!?」
  七瀬の声も悲鳴と変わらない。
「みゅ?」

  くいくい

「椎名っ、後にしてくれ後に――――っっ!!」
「なっ、何?  繭」
  長森が引き受けてくれるようだ。こういうとき気心の知れた幼なじみは……
「こっ、浩平――――っっ!!」
  ……引き受けてくれたんじゃないのか?
「なんだよ!  ばかっ!」
「たたたたたたたた…………」
「た?」
  俺は長森の指さす方を見た。
「たっっ……高波かあああああぁぁぁぁぁっっっっ!!!」

  どっぱああああああん!!!!!

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「――という次第だ」
「……何が?」
  律義に長森が返してくる。
  俺達はボートにのったまま太平洋を漂っている。

  ……これからどうしたらいいんだ? 

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  はは、また「ONE英伝」じゃないもん書いちまいました。
  たまにはギャグ街道まっしぐらなのもいいかなーって。
  タイトルはTUBEの最新アルバムから。
  私はTUBEのファンなので。
                                                        ……続く、かな?