【10】 ONEyears Dream
 投稿者: 神凪 了 <kaminagi@plala.or.jp> ( 謎 ) 2000/3/6(月)12:06



「ねえ、笑顔でいられてるかな…わたし……」










一年…長かった…とても…とても長かった…
一年…短かった…とても…とても短かった…

わたしが浩平を待ちつづけた一年と…
わたしが浩平を、学校という場所で待ちつづけることのできる一年…

それももう、終わりに近づこうとしている。

わたしは音大への進学が決まっている。
きっと、世界が変わる。いつも浩平と走った通学路を通る事も無くなるんだ。
そして別れと、新しい出会いがあって……


きっとわたしは忘れてしまう。


「……わからないよ」


消える。思い返してみればいくらでもあったはずなのに。
もう少しわたしが早く気づいていれば浩平は消えなかったんじゃないかと思うと、たまらない…。
もう少し早く気づいて、何らかの…


「………」



肌寒い、かな…。あのときもこんなに肌寒かったかな…?
ここって…。

わたしはこうやって正座して、膝枕の準備をして浩平を待っているのに。
ずっとずっと、一年前からずっと。
暇なときにここに来ては、ずっと同じように座り込んで待ってるのに。


「なんでなんだよ…」


普通に生きてきた一年間だった。
でも、わたしの心の中はちっとも普通ではいられなかった。
普通になってしまうということはきっと………。


――――忘れる。


「忘れないよ……」


――――忘れるよ。


「忘れないよ…!」


――――忘れちゃうよ。


「忘れないよっ!わたしが浩平の事忘れるわけ、忘れられるわけないよっ!!」


――――それでも忘れちゃうよ。だって……。


「………」


――――えいえんなんて、なかったから…。



「えっ?」



風が吹いた。










「ああ、笑顔だよ」
「えっ?」


穏やかな陽光がさしている。


「えっ……?」


風が優しい。


「どうしたんだ…?」


世界が違う。突然別の世界に投げ込まれたような、そんな。


「…こ……へい……なんで…?」
「…は?」


でも、何よりも違う事がある。


「俺は見た通りに言っただけ…いや、違ったかな…」


膝の上の重み。膝の上の、温かさ。


「笑顔だけど、泣いてる…泣き笑い、だな…」


わたしのの涙を拭おうと、身を起こそうとする浩平の頭を両側から押さえる。


「…瑞佳?」
「駄目だよ…」


視界が滲んでよく見えなくて。涙の雫がぽろぽろこぼれて。
でも、見なきゃ…涙を拭ってなんかいられないよ…。
そうしなきゃ…だって、目を離したら…。


「浩平が居なくなっちゃうから、駄目だよ…」
「……そう、か。」


何も聞かないで、またわたしの膝に頭を下ろしてくれる。
それが嬉しかった。

「瑞佳…もしかして疲れてるのか?」
「どうして…?」
「いや…俺を探し回って、寝不足だったりしたら悪いかな、と思ってな。」
「そんなことないよ…」
「そうか?」

そうだよ。だって…

「ずっと眠ってたんだから…ずぅっと…一年以上…」
「……瑞佳?」

また際限無く、ぽろぽろ涙がこぼれてしまう。嬉しくて。
笑顔が崩れてしまうくらいに。

「ずっと長い夢を見てたんだ…わたし…」
「そうか…それじゃあ…」
「あっ…駄目だよっ…!」

膝の感触が無くなる。
浩平が手を押しのけて無理矢理身体を起こす。

浩平の温かい手のひらが、そっとわたしの頬を撫でた。


「眠り姫は、王子さまのキスで起こさなくちゃな…」










浩平の温もりに抱かれながら、ふっと、思う。
もしかしたら浩平は消えてなんかいなくて、普通に生きている振りをしていた一年間なんて無くて。



「大好きだよ、浩平……」



消えていたのはわたしの方じゃなかったのかって…
何処かに行ってしまったのは、わたしの心なんじゃなかったのか、なんて…
















以上。
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む〜……お久しぶりというかはじめまして…神凪 了です。
みさき「わたしは川名みさきだよ。みさきんって呼んでね♪」
ちがうだろーが。そんな呼ばれ方したことないだろーに…
で、およそ4ヶ月ぶりに投稿したわけですが…
みさき「うんうん、妙なSSだね。」
……別にいいだろうに。
それと、今日でSSを初めて投稿してから一年が経ってしまったわけだ。
みさき「4ヶ月近く何も投稿してなかったくせに一年とか言うのって詐欺だよね♪」
………。
……………あとでおぼえとけ。
それで、思い起こせばこの一年いろいろな…
みさき「誰も聞きたくないから止めた方がいいと思うよ?平たく言うと校長先生の訓話と同じだよね」
……。
みさき「貧血で倒れる人は出るし、話しはつまらないし、生徒も先生もうんざりしてるんだよね」
………………。
うらぁっ!!!(ぐりぐりぐりぐり)
みさき「痛い痛い痛い痛いやめて了ちゃんっ」
さっきから散々なセリフを吐いといて何を言うっ!このままもがき苦しめっ!
みさき「や、やめてくれないとわたしの最終奥義、ラストワードをお見舞いしちゃうよっ!?」
知るかっ!!(ぐりぐりぐりぐりぐりぐり)
みさき「もう怒ったからねっ、どうなっても知らないよっ?」

(すぅー)

みさき「投稿してた連続物SSの続きは?」(ぼそっ)



・・・・・・・・(三十秒経過)



…へへ、燃え尽きちまったぜ、真っ白によ。



神凪了、向こうの世界に逝く。


みさき「あ、死んじゃった……(汗)
    じゃ、じゃあ作者急逝につき、さよなら、さよなら、だよ…」