アルテミス 投稿者: 神凪 了
「本当は・・・各個撃破したほうが有効なんだけどね・・・」
「そうしないのかい?」

「アルテミスのところに辿り着かれてしまう・・・・僕は構わないのだけれど。」
「・・・」

「意外と、穴の多いものなんだよ・・・。」
「そのおかげで巳間良祐を復活させる事ができたんだし?」

「・・・高槻は・・・僕の意志ではないけれど。彼は優秀だからね・・・勅命ってところさ・・」
「高槻か・・・」

「僕を・・殺すんだろう?」
「・・・うん。」

「君には、本当にすまないとおもっているよ。」
「謝る事はないとおもうな。・・・だって、君の意志じゃない。」

「奇跡って言葉を信じる気にもなるね・・・こんなことが起こるなんて思わなかったから・・・」
「蘇生・・・・強大な力と、死体・・・・。」

「無尽蔵なFARGOの戦力の正体の一つさ・・・神の領域だよ。」
「罪作りなものだね・・・」

「巳間は死体が残っていたからね・・・冷凍保存されてた。」
「高槻は・・・・消し飛ばしておくべきだったけど。」

「でも・・・彼女は・・・郁未は・・・・生き返る事ができない・・・」
「何故?」

「死体が・・無いからさ・・自分でも恐ろしい事を言っているとおもうけど・・・」
「・・・・。」

「・・・じゃあ、僕を殺してくれ! ・・・でも」
「君はその身に刻まれた・・・・」

「そう、手加減をする事はできない。それはできないから。」
「君を救ってみせる・・・そして、僕自身を。」


「はじめまして、来世の僕・・・・・氷上シュン」
「はじめまして、前世の僕・・・・・少年と呼ばれていた存在」





・・・・・。





第三十九話 「少年」





・・・・・。





かつて、少年と呼ばれた存在があった。

彼は、人間が嫌いだった。


賢さを司る王の、腹心の一人。
コキュートスでは、いわゆる農民にしかすぎなかった彼は努力した。

努力は力になり、力は認められ、彼は農民から兵士の一人になった。


コキュートスは極寒の地である。
また、封建制が色濃く残っている地であった。


彼は、他のものから蔑まされ、疎まれた。
だが、それ以上の賞賛を得た。
侵略者との戦いや、理性無き、魔物との戦い・・・。

英雄とまでは行かないものの、彼の名はコキュートスの外の地にもとどいた。


そして、騎士の称号をも手にした。


ある時、賢さを司る王の目に止まり・・・彼はついにそこまで上り詰めた。





・・・緩やかな時が流れ、そして。





・・・・・。





同居人に、全てを語る事。


FARGOに心酔している人間もいた。
精神の壊れた人間もいた。

偶然の一致かどうか・・・『折原』という女性もいた。


・・・僕はこの間違ったことを止めさせたかった。
・・・人間たちにとっても、僕たちにとっても間違った事を。


声の主と呼ばれるもの。
僕はそれが、共通の敵だとおもった。

でも、それは違ったんだ。

・・・手がかりが少なすぎた。
今思えば、巳間と手を組むべきだったのかもしれない。
もう少し早く、彼の正体に気づいていれば・・・・

彼が死んだ後にその事に辿り着いたのが致命的だった。

『ラグナロク』





・・・・・。





『さようなら、郁未』


両腕を失ったおかげで不可視の力を行使するのが難しい・・・
使えないのではなく、使えば「衰弱死」する可能性がある・・・・

鉄格子を壊して逃げる事はできるかもしれない・・・
でも・・・

(逃げる必要も無い・・・)

後のことは全て彼女が何とかしてくれるはずだ・・・・
僕がはじめて好きになれた、彼女なら。

・・・人間がみんな彼女のように強かったら、あるいはこんなことは起こらなかったのかもしれない・・

ファーストコンタクトから数日で、事態は激動した・・・
僕や数百人の仲間はここに幽閉され・・・王たちはどうなったのかわからない・・・

一つわかったのは人間たちが裏切ったという事だ。
それ以外には、このFARGOという組織を創設した『存在』が『声の主』と呼ばれる者であろうこと以外には何もわからなかった。


・・・数十年の時を経て初めて現れた存在。


天沢郁未。


世界に絶望しているわけでもなく。
FARGOに心酔しているわけでもなく。
不可視の力にすがって生きようとしているわけでもなく。


ただ、FARGOに復讐するため。


今までの人間たちとは眼が違った。
真実を受け入れる事のできる強さ。
MINMESやELPODにも耐えられる強さ。


・・・背負っている傷。


似ている・・・・
彼女の眼は、僕に似ている・・・



真実を追い求める彼女を。
戦い続ける彼女を。
長い旅路の果てを目指す彼女を。


僕は好きになった。





・・・・・。





ガス室・・・・

コンクリートで塗り固められ、三重のドアで密封された空間。


部屋の端にある、極少の隙間から漏れ出る風。
それは僕を殺すものだ。




僕は、死ぬ。




そう思った瞬間だった。




生まれ変わりを信じるかい?




人は、輪廻転生というものを信じるらしい。




僕も、死ねば生まれ変わる事ができるんだろうか?




気がついたら、僕は全ての力を振り絞っていた。





そして・・・・・・・

































きがついたら、そこにいた。
























氷上シュンとして。





・・・・・。





間違いはそこにあった。

生まれ変わった僕と、過去の僕。

消滅したはずの過去の僕を蘇らせるという事。

矛盾。

あらゆる矛盾。

綻び。

全世界法則を無視した、禁忌の結果。





僕はここにいる。





・・・・・。





・・・二人の間に金色の風が渦巻く。


前世の彼も、現世の彼も実力のほどはほぼ互角。


最初の一撃で、相手の勢いを殺ぎ、自分のペースに持ち込む。


一発逆転はない。


先手必勝。


それとも、後の先か。


最初の、一撃。




・・・動かない二人とは対照的な、渦巻く風。



そして、先に動いたのは・・・・








<第三十九話 「少年」 了>
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・・・紅く染まった。
木の棒で思いっきりぶったたいて。
二つに裂けて、紅い液体が流れ出す・・・
もはや生命を感じない、それ・・・

そう・・・西瓜。

ごがんっ!
住井「何をわけのわからないこと言ってんだ」
住井・・・いや、みさき先輩のために30個ほど西瓜を用意したんだが・・・みさき先輩は?
住井「・・・残念だが、伝説のカレーのスパイスを求めてギニア高地へ向かったぞ。」
・・・・・。
帰ってくる頃になったら、石○天驚○とか使いそうでそこはかとなく嫌なんだが・・・
でも、そしたら○破らぶ○ぶ天○○とか使えるんだろうか?(わくわく)
住井「・・・別に何も言わないが・・・」
しかし、あと一話で40話までいっちゃうね。
どうしようか?
住井「どうしようかとかいわれても・・・」
40話記念に投稿中止とか・・・・

ごめすっ
住井「不吉なことを言うな!」

神凪了、割られる。

住井「はあ・・・感想をくださった皆様方、ありがとうございました・・・きっちり読ませていただいておりますので・・」