深夜の高校。
何も動くもののない、闇の世界。
そこは、高校の四階の端。
誰も訪れる者のない、ただたくさんの使われていない、あるいは壊れた机が積み重ねられているだけの場所。
そのたくさんの机の中に一つ、落書きだらけの机があります。
その机の中に・・・一つ、封筒が入っていました。
真新しい封筒です。
中には、便箋が六枚入っていました。
その便箋には大きな文字でただ一言だけ。
『さみしい』
その便箋には下手な、でも気持ちがいっぱい詰まった文字で。
『浩平君、私信じてるからね』
その便箋にはシャープペンシルで書いたと思われる、線の細い字で。
『約束、スケッチブックの約束、守ってくれたの。
時間はものすごく遅れたかもしれないけど守ってくれたの。
だから・・・きっと今度も守ってくれるの。ずっと・・待ってるの。』
その便箋には乙女らしい繊細な文字で。
『あんたみたいにいい加減な奴はそうそういないわよ・・。
そうやってたくさんの女の子を泣かせるような奴はそうそういないわよ・・。
こんな風にたくさんの女の子に思われてる奴はそうそういないわよ・・。
馬鹿折原・・・早く帰ってきてくれないと・・嫌いになっちゃうよ・・・』
その便箋は万年筆で書いた文字で。
『あなたは・・帰ってくると約束してくれました。
あなたは、司とは違って、帰ってくるといってくれました。
私は待ちます。雨の中、どれだけでも。いつまででも。
辛い過去から私を救ってくれたあなただから、この苦しみからまた私を救ってくれると信じています。
・・浩平・・待っていますから・・・・』
その便箋には涙の痕が。
『きっと幸せだよね、浩平。
ずっと変わらない世界では喜びも楽しみも、何度繰り返しても変わらないまま、ずっと幸せなんだよね。
だから・・浩平が幸せなら帰ってこなくてもいいよ・・なんて言えないよ・・私・・。
涙が止まらない。建前は強く振る舞っているけど・・浩平のことを想って泣かなかった日なんてないんだよ・・。
わがままだとおもう。でも・・帰ってきて浩平・・
変わらない幸せがあるなら、変わる事で手に入る幸せもあるはずだから・・』
その封筒は一週間前からありました。
誰も近寄らない、誰の目にも届かないところに、ひっそりとおかれた封筒でした。
信じれば、きっと願いはかないます。
信じれば、きっと想いは届きます。
それがどんなに遠くにいる人だとしても。
それがたとえ、永遠の中にいる人だとしても。
あなたも、祈ってあげてください。
彼女たちのために。彼のために。そして、あなた自身のために。
願いがかなうように、思いが届くように、そして、夢が現実になるように・・・
・・あくる日の朝、一人の少女がこの封筒を開きました。
その中に一枚だけ入っていた便箋には強く、しっかりした字でこう書かれていました。
『俺は必ず帰ってくる』
・・あなたの願いは、届きましたか?
以上。
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三発目。
本当はみさき先輩にもっと想いを書いて欲しかったですが・・
いけだものさん、感想ありがとうございます。
感想はSS書きの力の源ですよね。
では感想、五月七日分です。
>PELSONA様
>なぜなにわん『番外編』
ええと・・一つ質問です。
鍵さんにひっかけてるってことは・・
みさき先輩、これから食い逃げですか(笑)?
先輩ファンの方、すみません。
>神野 雅弓様
>〜果てしなき想い そして・・・〜
はじめまして、外道SS書きの神凪です。
会話だけのSSでテンポがいいと気持ちいいですね。
茜&繭がなかなかにいい味出してると思いました。
>いけだもの様
>いざ、お見舞いへ (中編)
茜コピー・・(笑)
詩子に不可能はないってところですね。
澪の茜が特に笑える・・・。
>雫様
>「おやこ」
母娘、とってもいいです・・。
神凪なんかが太刀打ちできるレベルではないですね。
次の作品も楽しみにしていますので。
三発目はここまでです。