アルテミス 投稿者: 神凪 了
第二十二話 「ヴァルキリーストライクス(後)」



・・・・・。



「あ・・あはは・・危なかった。」

あの強烈な一撃を受けても『少年』は生きていた。
胴体の一部がえぐれるようにして無くなっていたが。

「・・不死身・・ですか?」

流石に呆然とする。

「僕は人間じゃないからね。この程度じゃ・・・死なないよ。」

そうだ。忘れていた。
この『少年』は見かけ上はそうかもしれないが人間ではないのだった。

「せっかくカッコ付けてたのにもう少しで殺されちゃうところだったよ。」
「いえ、もう殺します。」
「いや、待った。」

『少年』が静止の手を上げる。

「命乞いですか?それなら答えは・・」
「ああ、違う違う。ちょっといいことを教えようと思ってね。」
「・・?」
「君が・・・僕を殺せないわけを・・・」



・・・・・。



初めは外したのかと思った。
でも、違った。

手応えが無いだけだった。
何の、抵抗も無いだけだった。

(切れ味・・切れ味っていうのかどうかわからないけど・・)

不可視の・・超力場の剣。

(信じられないけど・・本物・・)

私は無意識に、自分でも自覚しないまま、これを出して広瀬真希を『斬って』しまったんだ・・。
それが真実だったんだ・・・。

(でも、心の中に負い目はないわよ・・)

何故かは知らないけれど。
心の中にあったはずの影は消え失せていた。何故だろう?

・・全てが、分かった。
今なら『不可視の力』が使える。

(悪いとはおもうけど・・斬る・・。)

超力場の剣を握り直す。
もちろん、実際の物質ではないので、そんな事をする必要はないのだが手に質量を感じている以上、剣道をやっていた頃の癖が出てしまう。

(あれ・・?でも、そういえば・・)

腰・・痛めたはずなんだけど・・
・・全然、痛んだりしないな。

実はそれすらも、不可視の力を使って運動能力を故意に高めたことの副作用なのだが。



・・・・・。





『ううっ・・・』

余りにも・・油断しすぎたのか・・?

右腕を・・斬られた・・
傷は深い・・

『くうっ・・!!』


怒りが、こみあげる。


たかが・・おもちゃのくせに・・・

おもちゃのくせに・・・おもちゃのくせに・・・

おもちゃのくせに・・・おもちゃのくせに・・・おもちゃのくせに・・・

おもちゃのくせにおもちゃのくせにおもちゃのくせにおもちゃのくせにおもちゃのくせにおもちゃのくせにおもちゃのくせにおもちゃのくせにおもちゃのくせにおもちゃのくせにおもちゃのくせにおもちゃのくせにおもちゃのくせにおもちゃのくせにおもちゃのくせにおもちゃのくせに!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



たかだか・・・私遊び道具の分際でッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!




・・・・・。




敵の動きが変わった。
真っ直ぐに、無防備な澪の方を・・・

(!! しまった!!)

間に合わない!!


ひゅっ


ずばしゅうぅ


「・・!!」

声の出ない、悲鳴が上がった。
いや、あげたのだろう・・・もっとも・・聞こえはしないが。


スローモーションのようにゆっくりと倒れる上月澪。

(こ、この!!)

その、攻撃をした後の隙を突いて・・!!!


・・予測はしていたのだろう。
敵は体をよじって・・・。


どしゅううううううううぁ


斬った。

切り落とした。


もう片方の腕。


(これで・・・!!)



・・・・・。



『!!!! あうぅぅぅ!!!』


左腕までもを切り落とされた・・!
そんな・・

『・・負けるの・・?』

負ける。
七瀬に・・遊び道具だと思っていたものに・・負ける。

死ぬ。

『そんなことが・・・』

有り得る?

このままでは。


なら・・・


『奥の・・手を・・!!』



・・・・・。



黒い影が飛び込んでくる。

(捨て身!?でも・・・)

こっちの方が早いっ!

(もらったあ!! 三人の・・仇!!)

不可視の剣を振りかぶって・・・

敵の動きが止まった。
絶えず動いていた敵の。

『彼女』の顔が見える。
ようやく・・何と戦っていたのかを知った。

「あ・・あんたは・・」

声がかすれる。
思わず攻撃の手が遅れた。

・・それが命取りだった。



るぐしゅぅぅぅっ



何が起きたのかわからなかった。
腹部が、突然熱くなった。
燃えるように。

そう思った直後には急激に冷え込んだ。

『まるで何も無いかのように。』

(ああ・・・そうか・・・)

腹部を見下ろす。
大穴があいていた。

・・えぐりとられた。

黒い影の・・彼女の攻撃で。

「がふっ・・」
「かはっ・・」

お互いに血を吐く。

不可視の剣は相手の脇腹を深く薙いでいた。



・・・・・。



・・殺った。
でも・・傷が深い・・。
早く・・早く戻らなくては・・・

いつもなら死にぞこないをいたぶって遊ぶのだが、そうも言ってられない・・・
帰らなくては・・
帰って治療を・・・



・・・・・。



床に倒れ込む。
致命傷なのはわかりきっていた。
内臓の大方をえぐりとられたのだから。

(住井君・・・)

何だったんだろう・・一体・・

これって・・夢だったのかな・・・。


どくどくどく・・・


際限無く血が流れ続ける。

非常通路の一角は他の三人のとも混じって、もはや血の海と化していた。
三人とも、確実に致命傷だ。

(こんなの・・・現実じゃない・・・)

現実ってのは毎日学校に行く途中に折原からタックルを食らって遅刻しそうになって・・・
それでもぎりぎり間に合って・・・
それで学校に着くと住井君や折原や瑞佳とばか騒ぎやって・・・
楽しく毎日が過ぎていって・・・
それで・・・・




「すみ・・・く・・・」




・・・・・。


そして、静寂が訪れた。





<第二十二話 「ヴァルキリーストライクス(後)」 了>
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巳間良祐(以下、良祐)「番組の途中だが臨時ニュースだ。」
南明義(以下、沢口)「ちゃらんぽらん馬鹿、駄文書き筆頭、SS地獄行き最有力候補の神凪了が事もあろうにかの有名な『青井 ポニ子』嬢(勝手に命名・雀バルさん、すみません)を『アルテミス』に登場させようとしていたことが判明しました。」
良祐「よって神凪は現在、鹿沼葉子に(中略)され意識不明の状態だ。まあ、だからどうしたというわけでもないが。」
沢口「それはそうと感想にうつらせていただきます」
良祐「テストがあったので、少々溜まっているが・・・。」


>雀バル雀様
>帰り道

沢口「・・・」
良祐「・・・」
沢口「これを・・シリアスにするんですか? このままでも面白いのに・・」
良祐「無理にでもやるんなら・・『上月澪は母の仇を討つ為、また、自分の『声』を取り戻すために母譲りの格闘術で謎の組織と孤独に戦っている』みたいにすればシリアス超小作ぐらいにはなるのでは・・と。」
沢口「何かテキトーな設定っすね。
あと『雀バル&椎名繭・ラブラブ同棲SS<R指定>』・・ちょっと読んでみたいですねえ・・」
良祐「でも、それをやると某「試立○eaf学園」みたいになってしまうぞ・・」
沢口「それはそれでおもしろいんじゃないですか?でも、kanonと鈴うたがでるまではキャラクターが少なくてやるには辛そうですねえ・・・・」
良祐「まあ、それはそれとしてだ。後書きで『シリアス超大作計画』というからにはきっと噂のONE猫を上回る全一千話構成だったりするのだろうな・・」
沢口「そんな無茶な・・変なプレッシャーかけないでくださいよ。以前にも神凪が迷惑かけてるんですから。」
良祐「それとメールで『一発劇場!-1』お送りいただきありがとうございます、だな。沢口?」
沢口「いや俺・・南なんですけど・・」

>茜草記異聞 〜雪夜の宿〜 

良祐「・・二作もたまってしまったではないか・・」
沢口「ま、まあいいじゃないですか。それよりも・・」
良祐「『あるてみす』は面白かった。ぜひ続けて欲しい。」
沢口「・・何でいきなり本編を吹っ飛ばしてそっちの感想を言うんですか!!!」
良祐「うん? ああ・・・」
沢口「では改めて・・」
良祐「こんな風にシリアス、ギャグの両方を書きわけることができるのは凄い・・ポストWILYOUさんは決まったな。」
沢口「また何の権限もないくせにそういう口を・・」
良祐「ん・・あえて言うのなら・・詩子の生涯はかわいそうだった。」
沢口「話の上では仕方ないのかもしんないっすけどね・・」
良祐「まあ・・やっぱり面白かったしな・・」


>うとんた様
>MOON『.』考察?

良祐「はじめまして・・だな。」
沢口「なんか偉そうですね・・。」
良祐「そんな事どうでもいい。しかし・・」
沢口「何です?」
良祐「この三人で・・折原はいいとしても、七瀬と長森が『一緒に』MOON.をやるとは・・」
沢口「・・ああ。なるほど・・。」
良祐「話としては・・」
沢口「各所にちりばめられた小ネタが面白かったすね。」
良祐「でも・・本当にあの『.』って何なんだろうな?」
沢口「あとキータッチはやってれば自然と速くなるはずだから、ばしばしSS書いてれば書くスピードなんていつのまにか早くなってるっす。」
良祐「再登場、楽しみにしているぞ。」
沢口「だから偉そうなんですってば・・・自分も見習いのくせに・・」

>ふれあい

沢口「と、思ったらすでに第二作が・・」
良祐「・・・神凪はここ数日一体何をやっていたのだ。テスト勉強だけをやっていたとはいわせんぞ。」
沢口「神凪ならBM98で輝くき・・むごっ」
良祐「それはやばい!! 言うな沢口!!」
沢口「だから南なんですってば・・・それにしても・・煩悩が・・」
良祐「折原は某『雫』の主人公もびっくりの妄想野郎になっているし・・」
沢口「まあ・・面白かったんだから何の問題も無いと思うんですけどね」


>ももも様
>ブレイカーズ(全部)

良祐「・・スレイヤー○のパロディだったのか・・・」
沢口「全然気がつきませんでしたね。」
良祐「それにしても毎回の『あらすじ』が本編の内容と『多少』違っていて」
沢口「絶妙でしたね。」
良祐「雀バルさんも言っていたがこの『ブレイカーズ』の続き、個人的には読みたいな。」
沢口「キャストが絶妙(笑)でしたねえ」


>いけだもの様
>彼女のいない朝

沢口「相変わらず無敵だ詩子」
良祐「まあ・・・それも『柚木だから』で片付いちまうし・・『あたし七瀬なのよ』と同じくらい無敵だな。」
沢口「髭もお約束どおりに気づかないし。」
良祐「しかし、これだけ照れている折原というのも珍しいような・・」
沢口「それにしても里村さんと折原の中が公認のものになっているとは・・(電話で話している部分を参照)」
良祐「まあいいじゃないか。いいはなしだったし。」


良祐「ここまでだ。」
沢口「・・ずいぶん中途半端っすね。」
良祐「いうな。これ以上感想を書こうとおもうと、投稿ペースが更に落ちるのだ。
続き物を投稿している以上、それはまずいのでな。」
沢口「でも・・皆さんのSSは一本一本ちゃんと読んでますんで怒らないでください・・・」
良祐「じゃ、さらばだ。」