アルテミス 投稿者: 神凪 了
第二十話 「ヴァルキリーストライクス(前)」



・・・・・。



うっすらと光っていた。
それはとても、とても弱い光だった。
青い光を発していた。

地下奥深くの名倉由依。
全身の銃痕は消えていた。

トクン・・トクン・・

ゆっくりと心臓が動き出す・・・。



・・・・・。



ラグナロク秘密基地内の非常通路を、目にも映らないような早さで駆けてゆく者があった。
もっとも、人間の目ではそれを見ることはできなかっただろうが。

そう、『ヴァルキリー』だ。


『第二世代の子供たちを抹殺せよ』


命令。
私に対するテストの意味も含まれているのだろう。
この四人のうちに顔見知りが何人もいる。
それを殺せるか?と言うこと。

『ばかげてる。』

殺せるよ。
人間なんて、いくらでも殺せるよ。
そうだよね?

『うん。』

そうだよ。
人間なんてただの・・遊び道具だもの。
遊び道具を壊すのに抵抗なんて無いよ。

だいたいに・・壊して遊ぶものだしね・・・。



薄暗い通路の中を駆けてゆく。
そして・・・



・・・・・。



気づいてはいた。
里村茜の中のそれは気づいてはいた。
しかし・・・あまりにも速すぎた。

(そんな・・・わかっていながら・・)

背中に爆弾が爆発したような衝撃が走る。

それが何を意味するのかはっきりとわかった。
心臓まで達するほどの深い傷。

(そんな・・・)



・・・・・。



「・・・・!!」

非常通路を歩いている途中に、突然里村茜が倒れた。
背中から血を吹き出しながら。

一番最初に、即座に行動したのは天沢未悠だった。
やはり、場数を踏んでいると違う。

「楯ようつせぇ!!!」



・・・・・。



「じゃあねぇ〜」
「うん!ばいばい、みゆちゃん!」
手を振って横断歩道を走る。
今日も学校が終わって楽しい放課後の始まり。
ちょっと私ははしゃいでた。

でも・・それは関係なかった・・・はずだ。

ブロロロロォォォ・・・

(えっ?)

するはずの無い音が。
聞こえないはずの音が。

それが聞こえて。


右を・・向く。


青い、鉄の固まり。
車。
ダンプカー。


ドクン


こっちに・・飛び込んでくる。
私が・・見えてない。

いや、おかしいよ。
おかしいよ。

信号は青。
車が、走ってくるはずないもの。


轢かれる。
轢かれる。
轢かれる。


ダンプカーに。


どうなる?
どうなるの?
車に轢かれると。


・・死ぬ。

死ぬ。
死ぬ。
死ぬ。



(・・・嫌。)


死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ


(・・嫌)


死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ





・・・死ぬ。





(嫌・・!! 嫌ぁっ!!!)






こ・お・お・お・お・お・お・お・お・お・お・お・ぉ・ぉ・ぉ・ぉ・ぉ・ぉ・ぉ・ぉ!!!!!!





ドガシャアアァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!



「・・何・・あれ・・」



歩道の方から、声が聞こえる。



押しつぶされていたのは、ダンプカーだった。




[不可視の楯]。




それが、終わりだった。
こういった形の日常の消滅。




・・えいえんは・・・




(ないの・・・ね・・。)



・・・・・。



「楯ようつせぇ!!!」

ォウン

不可視の楯。

(こんな力・・無ければいいと思ってた・・・。
こんな力のせいで、楽しかった日々が失われた・・。)

でも。

(私とお母さんを引き合わせたのも、この力。)

そう・・

(MINMES2,ELPOD2で・・。私はよく知ってるもの・・・お母さんを・・・・)

そう・・

(天沢郁未を!!)



グガギギギギギギギギギギギギギギ!!!!!



不可視の楯にものすごい衝撃が走る。
見えない、見えないが「敵」はやはりいる。
そして、私たちを攻撃しようとしていた。

「まずいわ!傷が・・」

七瀬留美の・・妹の声が聞こえる。
・・どうやら素人目に見ても傷は相当に深いものらしい。
楯を維持したまま里村さんの方を見る。

出血が、多すぎる。
傷が、深い。

致命傷だった。



・・・・・。




暗く・・深い意識の中で・・・。



こっちに・・おいでよ・・茜・・・


(・・司?)


手を差し伸べてくる人。
城島、司。


消えた、幼なじみ。


あの空き地で消えた。


(来て・・くれたんですね・・)


・・・こっちに・・・おいで・・



・・・・・。



「・・くっ!!」

歯がゆい。
仲間・・クラスメートの・・それほど親しいわけではなかったけれど・・

(こうして仲間がやられたってのに何もできないなんて!!)

拳銃を構えても・・・

「敵はどこにいるのよぉ!!!!」
「速すぎて・・見えないよ!!」

天沢が叫ぶ。
もう一人の・・上月澪はただおろおろするだけだ。

(こんなとき・・こんなときどうすれば・・・)

片思いなのかもしれない。
それでも、あの人の顔が浮かんだ。

(住井君・・一体どうすれば・・・)

ガガガガガ!

衝撃音が聞こえる。
敵の攻撃はまだ続いているらしいが、天沢が『不可視の力』で防御しているらしい。

(不可視の・・力・・)


ドクン


(私にも・・・それが目覚めていれば・・・!!!)


ドクン



グギガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!



見えない敵の攻撃はだんだんと激しさを増す。



「時間の・・問題ね・・」



天沢未悠が呟いた。




<第二十話 「ヴァルキリーストライクス(前)」 了>
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神凪了は人造人間である! 彼は・・
みさき「了ちゃん、台本が違うよ〜」
あ、あれ? なんか変だと思った。ええと・・
『いったぜ二十回! 記念、感想大会!』
みさき「単に一週間も感想溜めちゃっただけなんだけどね。」
ぐはっ・・それをいわれると・・
しかも二十回目なのに(前)だし・・
みさき「じゃあ、たくさんあるんだから早く感想。」
では・・


>PELSONA様
>季節を抱きしめてみる?

ええと・・元ネタがわからないけど選択肢が浩平(ですよね?)らしいというか・・
みさき「ところどころの小ネタで結構笑ってたね。」
「ウチャツラヤトツク島さ」がお気に入りです。
続き、書かないんですか?

>innocent world 【episode V】

浩平、やっぱり留年か。
それはさておいて、シュン、この話でも鍵だなあ。
神凪はどうやら奇特な人(後書きより)らしいです(笑
みさき「永遠の世界で何かしらの決着がつけられるのなら浩平君もまた、永遠の世界に行っちゃうんじゃないかって悩むことも無いんだろうけど・・」
まあ、何にしろこれから明らかになるのかな?
楽しみにしてよっと。ね?どっぺる詩子さん?(笑

>innocent world 【episode W】

は、晴香が!
みさき「・・負けちゃった。」
なんてこった・・・クレイジーダイアモンドは砕けないんじゃなかったのか!?
みさき「お願いだからそういうこというのは止めてよ〜」
謎も全然明らかにならなかったし・・・
この怒りを思わず葉子さん経由でPELSONAさんにぶつけてしまいそうだ!!
冗談ですけど。

>今日は何の日

は・・一体何をやったら祝日になるんだ!?
いや、むしろ本当に何者なんだ!!詩子!!
1.じつは城島司の仮の姿
2.じつは折原みさおの仮の姿
3.じつは氷上シュンの仮の姿
みさき「えーと、1!!」
どれも違うわー!!


>GOMIMUSI様
>D.S

なんか・・強烈な過去だなあ・・
ものすごくしっかりした設定があるって言うのが少し見えたよ・・。
みさき「了ちゃんもこのくらい書ければね・・(はぁ)」
感想、ありがとうございます。
みさき先輩たちの戦いの行方は・・・二十三話で明らかに!!
なるかも。


>もももZ様
>ブレイカーズ2

あらすじからえらいことになってるんですが(^^
殺してまわってるし。
サブタイトルも壊してるし。
みさき「実際のMOON.とのギャップを考えると・・・。」
より、笑えるな・・。
次回は精練の間か・・・いったい、どんなアレンジが!?
みさき「ちなみに浩平無用!についての感想は遠慮させてもらうということで・・(ここから読みはじめるて感想というのも何なので)」


>ニュー偽善者R様
>ONE総里見八猫伝彷徨の章 第十六幕

少しずつ核心が見えてくるなあ・・・
でも、ほんとに百話やっちゃうんですか?
みさき「ほんとにやったら・・・」
記念に何かしよう。無理だけど。

>ONE総里見八猫伝彷徨の章 第十七幕

司が・・やはり登場するのか・・?
みさき「里村さんのエピソードを語るには外せないからね。」
みけ、面白すぎだぜ・・お前・・。単純やのう・・・。
浩平に似てるんならこんなもんか(^^

>ONE総里見八猫伝彷徨の章 第十八幕

脇賊 南・・・彼にカレーで乾杯!
みさき「わけのわからない事やらないでよ〜」
今回の感想・・『おお、いつもの七瀬に戻った』ってとこですか。
やっぱり本性は変わらないのね。

>ONE総里見八猫伝彷徨の章 第十九幕

この痴漢にスリを働いたのはいったい・・これも伏線なのか?
みさき「深く気にしすぎだと思うよ。」
そうかなあ・・・
でも気になるなあ・・・・


>北一色様
>ONE英雄伝説1

はじめまして、ですね。
SS地獄行き候補筆頭、神凪了です。
しかし・・

「液体窒素で凍らせたバナナ」
独り言は小さな声で言いましょう。

とくに後者はツボでした。
批判? もし批判がきてもそれをひっくり返せるくらい、次回でいいものを書ければいいんじゃないんですか?(批判する人もいないと思うケド)
神凪には無理ですが(笑)
続き、期待してますねぇ〜


>雀バル雀様
>『人魚姫なの』

浩平ろくなことしてないし『お寿司を食べてください』がえらく理不尽だし(笑
みさき「リボンの真相って、こういうことだったんだー。」
へへ・・さすがに予想外だったぜ・・。
ええと・・感想・・
みさき「・・読みにくいね。後の方が特に。」
うーん・・そうだなあ。もう少し修行しなければ。
感想、ありがとうございました!

>上月寿司の看板娘

澪が看板娘の寿司屋・・・おいしいなあ・・
みさき「何か変なこと考えてない?」
何かって女体も・・

ばきゃっ

澪『へんたいなの』
うおお・・・鉄板で叩くなあああ・・・
澪『しらんぷりなの』
感想、ありがとうございます。
テスト、延期になってました・・あはは・・・(くそう・・勉強したのに)


>パル様
>危険なA・B・C

劇中の浩平が教えた(であろう)嘘も笑えましたが、何故、後日に事の真相が判明したかの方が気になります(笑
繭・・書いてみたいんだけどな・・・
みさき「あれ?『アルテミス』にはでないの?」
うむむ・・・


>はにゃまろ様
>9匹目の猫

上手いなあ・・本当に上手いなあ・・
しばらくの間トリップしてましたよ・・・。
みさき「完成度が、高いよね。」
神凪が感想つけてもいいのだろうか・・?
なんか逆に失礼のような気もするなあ・・・。


>スライム様
>春風のメモリー 第四話

どう言ったらいいんだろう・・・
なんていうか な話ですよね?
みさき「それじゃわからないよ〜」
いや・・澪のセリフのずれ具合がなかなかに絶妙で・・・
みさき「褒めてるんだよね?」
もちろん。おもしろかったもの。


>ここにあるよ?様
>ONE〜輝く季節へ〜始まりその12A

うっぐ・・この何気ない日常を書くのがどんなに難しいか神凪は知っているぞおぅ!!
みさき「了ちゃんが下手なだけだよ。」
ぐさ。
瑞佳が間延びした感じがしてなんかグッドォ!!
って偉そうだなあ・・神凪・・。


>吉田樹様
>夕暮れに溶ける歌

鈴うたってこういう話なんですか?
うーん・・・買うべきか、買わぬべきか・・・
みさき「まだ決めてなかったの?」
手元に体験版も無いし・・・


>ひさ様
>感想だけでもいいですか?(9)

待ってました!
・・こ・・これって・・・(汗
みさき「私こんなに食べないよ〜」
浩平、拒食症になるのでわ。
恐ろしい復讐だ・・しかも続いちゃうらしい・・・
期待以上だった・・・・。
感想、ありがとうございました。

>終わらない休日 第5話

絵に切り取った一日の一シーン。
そんな感じがするよね?
みさき「うん・・でも由起子さんがヒロイン?」
うーん・・・後書きでも言っていることだしそのことには触れない方が・・・


>天王寺澪様
>NEURO−ONE 29

うおおおおおぉぉぉ!!!
うがーーーーーーーーーーっ!!
みさき「わわっ、どうしたの!?」
ああ、リーフ図書館行って今までの話、読んださ!!
32458対0.2ぐらいのポイントで神凪の負けさ!
畜生っ! もうSSなんか書かねえっ!
天王寺澪って言うHNも何かセンスあるし!!←関係ない
みさき「えーと・・どうしよう〜」
葉子「あの・・」
みさき「あ・・葉子さん」
葉子「・・ちょっと借りてきますね。」
うああぁぁぁ・・・・(ずるずるずる)
引きずられてゆく神凪。
みさき「・・いいのかな・・」


みさき「二十回記念に何かやろうと思ってたのに了ちゃんがいなくなったんじゃ何もできないよ・・・
早く帰ってきてよ〜」

と、言うか生きて戻ってくるのか?
神凪 了!
と、今回はここで終了ー。