メサイア 投稿者: 神凪 了
(今回はあんまり面白くないかもしれません。多大に趣味が入ってますので。)


・・・あなたが・・・。

ずいぶん遅かったですね。皆さんもう帰ってしまいました。
お話は聞いていると思います。私は鹿沼葉子。
人間以上の能力を持つが故に『魅入られた』者です。

・・・あなたと同じように。

せっかく来てくれたのですから物語の続きをお話しましょう。
それは・・日常の物語。私達の。

戦え・・・とはいいません。そんなもの、あなた自身の問題ですから。
逃げるなり、おとなしく殺されるなりあなたの自由。
私達に強制する権利はありません。

ただ・・・この話を聞くということは自分に少なからず影響を与えるのだということを忘れないでください。



『メサイア』



・・・・第二章



その日は晴れでした。カーテンからこぼれ出る煌きが護の顔を照らし出していましたから。
朝起きた時に隣で寝ている護の寝顔を見るのが私の日課になっています。
いなくなっていたら嫌ですからね。

・・下着・・制服・・エプロン・・

着る物を着てから台所に立ちます。
私は料理が得意ではありませんが朝食ぐらいは作ります。
その日はトーストとハムエッグを食べて、コーヒーを飲んでから護と一緒に家を出ました。



・・・・


高校までは自転車通学。
護が走らせて私が後ろに乗る。
いつもなら好きな人の温もりを感じながら学校に着くのを待っているだけ・・・

でもその日は違いました。

この前と同じ公園。
冬ということもあってまだ薄暗い中で。
「・・・『アーチエンジェル』かよ・・・」
護の呟きでそっちの方に目をやると・・

いた。

以前と同じように一人、こんな朝方の公園に一人佇む少女。
背中から生えているとしか表現のできない、青白い人影。
翼。鎧。手に持つ一振りの長剣。
全てが青白くて。
以前いた『エンジェル』とは神々しさとかそういった物が段違いです。

『大天使』

「葉子、サポート頼む。・・かなりきつそうだ。」
自転車を止めて竹刀袋から『エクスカリバー』を取り出す護。

サポート。

私の能力で。そういうことでしょう。
「わかりました。でも、無理はしないでください。」
護とは逆の方向から公園に向かいます。
手近な木の影に隠れて・・・


およそ5mの距離。


願います。強く願います。
「______。」
人の耳には聞こえない音で言葉を紡ぎます。


「あんた・・憑かれてるな?」
エクスカリバーを構え、


願います。ずっと、強く強く。
「______。」
全身をどろっとした疲労感が包みます。


『貴方は背反者・・・』
「おぉぉぉぉぉぉーー!」
ガキイィィン!


その空間に願います。
「______。」
眠気。脱力感。高等な願いになれば高等な願いになるほど・・・。


『やるではありませんか?』
「く・・まだなのか!?」
ガキィン!ガキィン!


願い・・・それは・・・


『これならどうです?』
どぅっ
「あぐぅっ・・・足が・・」
『これでおしまいですね。』
『アーチエンジェル』が長剣を振り上げ、


それは・・『時よ止まれ』


音も無く。
『アーチエンジェル』を中心とする空間は凍り付きました。
全身に走る極大な喪失感。それでも。
「護!斬って!」
叫びます。護の為に。


「おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
エクスカリバーが、光り輝く!
「天狼剣奥義! 天狼三連殺!!」
強く、強く光り輝く!
護の動きが格段に速くなる!
光の速さのごとく!


「うああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーー!!!!」


私の眼には閃光が走ったように見えました。


まず、右腕が光とともに消滅しました。
次に、胴体の半分近くが消滅して・・・

『・・!? 一体・・・何が・・何が起こったというのですか・・・』
「きぃぃぃえろおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」

しゃうぐぅぅっ

非常に奇妙な音が聞こえました。
そして・・・

ぎるごがるるるるろがげがかぼぉぉぉぉぉぉ・・・

『くるぁぁぁぁ・・・これがあなたの・・・能力・・・・おぼえていなさい・・・あなたはもうすぐ・・・』




・・・・


次に気がついた時、私はアパートで寝ていました。
外は暗く時計の短針は『8』を差しています。

・・能力の使いすぎで気絶してしまったようです。
私の『空間支配』の能力は範囲が広ければ広いほど、願いが高等なものならば特に疲労をもたらしますから。
特に『時間停止』なんて物は飛びっきりです。

ほどなくして護が帰ってきました。
しかし・・・。

「それはなんですか?」

護が手にしているのは某ファーストフードの袋でした。

「え・・だって葉子は疲れているだろうし夕食の支度もできないから、とりあえず・・・」
「今月・・・家計、苦しいんですよね・・・。」
「・・!!!」

さぁーっ

見る間に護の顔が真っ青になります。
面白いです。

「ふふっ・・でも今回は許してあげます。」
「ありがとうございますです、葉子様。」

芝居がかった護の口調。
まあ、倒れた私を運んでくれたわけですしね。
ファーストフードくらいどうってものじゃ・・・

「あの・・・実は安かったから寿司も・・・」




滅殺決定。




「あ、俺ちょっと用事思い出したから・・・。」
生命の危機でも感じたのでしょう。その場を離れようとしてます。


「____。」
空間支配。
護の右足の裏だけを支配して『巻き戻し』ます。

すると、

「のわっ!」

べたん!!

「うあうあうあうあうあうあ!!!!」

ずりずり・・・

私の目の前まで戻ってきました。

「あ・・あはは・・・。」

引きつった笑いを浮かべる護にこう宣言します。

「逃げようとしましたね・・・。」
「・・・あ・・・う・・・・」
「うふふふ・・・」
「あ、ちょっとまて! その前に行っておかなきゃならんことがある!!」
「遺言ですか?」
「そうじゃなくて!」

護はコホン、と咳払いしてから、

「シュンの奴からだ。『彼女』の消える日がわかった。」
「・・・。」
「明後日の朝、七時三十二分。場所は・・・。」

『彼女』・・・ですか。
・・・戦いの日時は決まりました。

「そういうことだ。じゃあ。」

そういって護は部屋から出て行こうと・・・。


「_____。」
空間支配。
あまり使うと疲れるので今度は右足親指だけを巻き戻します。

「うあうあうあうあ!!! 痛い痛い痛い千切れる!!」

結局、私の目の前まで戻ってきます。

「あ・・あはは・・・」
恐怖に引きつった笑いを浮かべる護。
いい表情です・・。(鬼畜)

「一度ならずとも二度まで・・・」
「・・・・・うぁぁ」
「・・・今日は特別に地獄と極楽を拝ませてあげます・・・。」
「いやぁぁぁぁぁぁ・・・・」



・・・・



「・・なあ・・。」
「・・なんですか?」
「今・・幸せか?」
「・・・はい。」
「追われる身になっちまったけど・・・」
「・・・・・・構いませんよ。」
「あのまま従ってた方が良かったのかなあ・・・。」
「私は天使になりたいとは思いません。」
「・・そうだよなあ・・・。」
「それに・・・。」
「・・?」
「そうなったら護とこうしていることもできませんから。」
「・・・そう・・だよな・・・。」
「ええ・・・。」
「でもさ・・・・あれはやめてくれない?」
「・・そういって悦んでいるのは護ですから・・。」
「・・真性のSだ・・。」
「私がSならあなたはMですよ。なんですか・・? もう一度・・・」
「遠慮しとく。これ以上やったら死ぬ。」
「・・・残念です・・。」
「でも・・普通に・・なら。」
「・・・優しく・・してくださいね・・。」
「・・・こっちの方が苦手なんてそうそういないぞ・・。」





明後日。それまではせめて平和に。





・・・・


創造主に逆らうことぐらいたいしたことではありません。
私は好きな人とともに過ごせる日常のほうが大切です。
そのためなら神だろうと殺して見せます。
私達四人の・・・日常に干渉してくるなら殺します・・。

例えば・・その『彼女』を連れて行こうとするもの。

私には何の関係も無いし見逃しても構いませんが・・・私達のような人間を増やすのはごめんですから。
だから潰します。

私達の日常を構成しているものの一人でもありますしね。


・・・・


少々・・・余談が過ぎましたね。
まあ・・・そういうことです。
もうそろそろ帰って夕食の支度をしなければならないのでこれでお別れです。

後の話は・・・名倉さんにでも聞いてください。
でも気を付けたほうがいいですよ?
名倉さんは元来人間嫌いですからね。
下手をすると・・・殺されてしまうかもしれませんよ?
素の彼女は私も苦手です。
間違っても彼女の帽子を取ったりしないように。

あとこの言葉は胸に刻み込んでおいてください・・。

『永遠の力に抗え』

もっとも・・私は何かを従わせるならともかく、何かに従うなんてごめんですけど・・。



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なんか・・・よくわからない話になってしまった・・・。
葉子「・・・あなた命がいらないようですね・・・。」
わ、ちょっとま・・・
葉子「____________。」
空間支配。

ブチィ!

神凪の四肢が四方バラバラな方向に吹き飛ぶ!!

ぐはぁ・・・なんでやねぇーーん・・・

神凪 了死亡。

葉子「では、邪魔物がいなくなったところで感想です。」

>WTTS様
>一方その頃…広瀬 (第10投稿)

葉子「まあ、広瀬が廻りの連中のことを取り巻きだと思っていたら確かにこんなに慕われるはずはありませんよね。
この後、どうして七瀬に恨み(?)を持つようになるのか、展開が楽しみです。
あと(ヒント)の所で笑わせていただきました。」


>雀バル雀様
>輝く季節の始まりで・・<改訂版>

葉子「七瀬さんもすごいですけど折原君はさらにぶっ飛んでます。神凪にはここまでは書けないでしょうね。
しかしまさか日舞の道場に行くとは予想外でした。しかもよくわからない踊りをずいぶんと知ってるし・・
次回は二つのうちどちらか・・ですか。両方読みたいというのが本音ですね。がんばってください。

ただ・・以前のあなたの『感想スペシャル その2』。
私が・・22歳?
・・・・。
・・・うふふ・・・あなたにもお仕置きが必要みたいですね・・・。たっぷり可愛がってあげます・・・」



(空白の二時間。どうなったかは雀バル雀さんの後書きに期待)



葉子「今回はこんな所です。
次回は『アルテミス』でお会いしましょう。では・・・。」