幸せ(?)な風邪−前編− 投稿者: かっぺえ
−−−前編です−−−

カシャアッ!
いつものようにカーテンが引かれ、眩しい光が差し込み視界が白くなる。
「ほらぁっ!起きなさいよーっ」
俺は起きない。・・・というか・・・起きれない。
瑞佳が、ガバァッと、布団をめくる。そこで、異変に気づく。
「浩平?」
俺は小さく丸まってカタカタ震えている。さっ寒い。
「浩平?どうしたんだよ。」
「・・・・・・寒い。」
「冬なんだから当たり前だよ。早くおきなよ。」
「ちっ・・・違う。」
「浩平?」
不思議そうにつぶやき、瑞佳が俺の体に触れる。
「うわぁっ、凄く体が熱いよ?浩平。」
そう言いながら、今度は俺の額に触れる。つめたくて気持ち良い。
「凄い熱があるよ、浩平。拾った物でも食べたの?」
「くっ・・・食うか。」
「じゃあ、風邪でもひいたの?」
俺はコクコクとうなずく。
「どうしよー。学校行けそう?」
俺はプルプルと首を横に振る。
「とっとりあえず、体温計と薬、持ってくるね。」
言い残して俺の部屋を出て行こうとする。
「みっ・・・瑞佳。」
「何?」
「ふっ・・・布団。」
「あっ、ごめんね。」
瑞佳は布団を戻して俺の部屋を出る。

ぱたぱたぱた・・・

ぱたぱたぱた・・・がちゃ。
すぐに戻ってくる。
「持ってきたよ。」
そう言って、救急箱を俺に見せる。
どうでもいいが、なんでこいつは我が家の救急箱の在処を知っているのだ?
・・・俺でも知ないのに。
「はい。ちゃんと測ってよ。」
瑞佳が、体温計を俺に渡す。それをワキの下に挟む。
「大丈夫?」
「大丈夫じゃない・・・。死ぬかも・・・」
「そんな、風邪ぐらいじゃ死なないよ。」
「いや、まじでヤバイかも・・・」

しばらくして。
ぴぴぴっ!ぴぴぴっ!っと体温計が鳴る。
「終わった?見せてよ。」
無言で体温計を渡す。
「うわぁっ!!40度もある。」
「だから言っただろうが。」
少し得意げに言う。
「偉そうに言ってる場合じゃないよ・・・病院・・・行く?」
「嫌だ」
「『嫌だ』じゃないよ。本当に死んじゃうよ?」
「おまえが看病してくれ。」
「だって私、学校が・・・」
「お前は死にそうな彼を、ほっといてまで学校に行きたいのか?サボれ。」
「えーっ、だって浩平またエッチな事しそうだもん。」
「無理を言うな。無理を。喋っているのも、結構辛いんだぞ。」
「うーっ、わかったよ。でもホンッとーに、何もしないでよ。」
「ああ、しない。・・・・・・でも瑞佳がしたいなら俺は頑張るぞ。」
「やっぱり、学校行ってくる。」
「ああっ。待て、瑞佳。冗談だ。」
「本当に?」
「ああ、本当だ。」
「怪しいなー、でもやっぱりほっとけないしなぁ。・・・わかったよ。サボるよ。」
「よしよし、いい子だな瑞佳は。」
「はぁっー。・・・じゃあ、とりあえず薬、飲みなよ。」
ため息をつきながら救急箱の中の薬を取りだす瑞佳。
「苦いから嫌だ」
「なに、わがまま言ってるんだよー。子どもみたいに。」
「立派に子どもだぞ。酒は飲めないし煙草も吸えない、車にも乗れない・・・」
「そんなの当たり前だよ。それに浩平、お酒は飲んでるじゃない。」
「とにかく、嫌なもんは嫌なんだ。」
「じゃあ、子ども用の薬、買ってくるよ。シロップの甘いやつ。」
「そんなん飲めるか、ガキじゃあるまいし。」
「もうー、言ってることが矛盾してるよ。」
「それよりも、いい方法がある。」
「しないよ。そんな恥ずかしいこと。」
「瑞佳が、口移しで薬を飲ましてくれるんだ。そしたら苦くても飲める・・・って先読みするな。」
「わかるもん。浩平の言いそうなことなんて。はぁっー。そんな、ばかなこと言える余裕があるんなら学校に行くよ?私。」
「わっわかった。飲むよ。」
ここで瑞佳に見捨てられたらマジでヤバイ。俺は、しぶしぶ薬を飲むことにした。
「じゃ、水持ってくるね。」
そう言って部屋を出ていった。

ぱたぱたぱた・・・

うーっ、口移し・・・してもらいたかったな。
でも、瑞佳に看病してもらえるんだしな。・・・よし、今日は思いっきり甘えよう。
薬を飲んだらもう少し楽になるだろうし。そうしたら・・・この前みたいに・・・
はっ!!いっいかん。そんな事したら、今度こそ本当に見捨てられるかも・・・
何もしないと約束したしな。
「この節操無しが。」
俺は元気なってしまった『ムスコ』に向かって言った。しかし『ムスコ』は答えない(萎えない)。
・・・ひょっとして・・・俺に似たのか?
そんな事を考えていると。

ぱたぱたぱた・・・がちゃ。
ドアを開けて瑞佳が部屋に入ってくる。
「浩平、水持ってきたよ。」
「あっあぁ、ありがと。」
元気なままの『ムスコ』を気にしながら礼を言う。
「一人で飲める?」
「無理っぽい。」
「もう、仕方ないなぁ。」
そう言いながらも、少し嬉しそうに俺の側までくる。
「頭ちょっと上げて。」
言われたとおりに頭を上げる。その下に瑞佳が手を入れて、薬を飲みやすい様に抱え込んでくれる。
なんか・・・凄く・・・幸せ。
「アーンってして、アーンって。」
俺は、アーンっと口を開ける。
瑞佳が、サラサラッと口の中に薬を入れる。やっぱり苦い。
「水入れるよ?むせないでね。」
ごくごく、ごくごく。
「ちゃんと飲んだ?」
「あぁ」
「じゃあ、後はおとなしく寝るんだよ。」
「瑞佳は?どうするんだ?」
「えっ、わっ私は・・・ずっと浩平の側にいるよ・・・」
少し恥ずかしそうに、うつむきながら言う。
うーん、可愛いぞ。
「そうしてくれると、嬉しい。」
「うん。ずっと側にいるね。」
添い寝してくれると、もっと嬉しいんだけどな。
・・・とは言えなかった・・・さすがに。
「じゃ、ちょっと寝る。」
せっかく瑞佳と二人っきりなんだから、起きていたかったがさすがにキツイ。
俺は瑞佳の言う通り、寝る事にした。
「うん。おやすみ。」
「おやすみ。」
そう言って俺は、目を閉じた。

<つづくのさっ>




−−−あとがき−−−

僕「どうも先輩方、始めまして。新参者のかっぺえと言うものです。」
詩子「あとがきアシスタントの詩子ちゃんです。」
詩子「いきなりだけどさ、これはどんなSSなの。」
僕「うん。これはだね、僕が一週間ぐらい前に風邪を引いて寝込んでいたんだ。」
詩子「そこで、『こんな時に瑞佳がいたらなー』って考えてた妄想を形にしたんだ。」
僕「まっまあね。(妄想ってとこが引っかかるらしい。)」
詩子「でもさ、こんな内容の無いヘボSS乗っけちゃっていいの?」
僕「『内容の無い』とか『ヘボ』とか言うなよ、詩子ちゃん。自覚してんだから。」
詩子「だったら止めときゃいいのに。」
僕「先輩方のSS見てたら、僕も書きたくなったんだ。」
詩子「それで出来たのがコレ?」
僕「『コレ』って言うなぁーーー!!仕方ないだろ、SSなんて書くの初めてだし。」
詩子「言い訳はしないの。」
僕「はい。すいません。」
詩子「まぁ、かっぺえ君なりに頑張ったみたいだし。これから頑張るんだね。」
僕「そう言ってくれると、有り難いよ。」
詩子「でもさあ、いきなり『つづくのさっ』って。」
僕「うん。思っていたのより長くなって・・・」
詩子「誰も感想とかくれなかったらどうするの。」
僕「ぐあっ!・・・そういう事・・・言うなよ。」
詩子「ごっごめん。傷ついた?」
僕「うぅ、ひどいよ・・・詩子ちゃん・・・。いいもん、永遠の世界に行ってやるもん。」
詩子「あっ、ちょっちょっと待って・・・・・・あーあ、行っちゃった。」
詩子「なんか困った事があったらすぐ永遠の世界に行っちゃうんだもんなー。悪い癖だよね・・・・・・」

しばらく沈黙・・・

詩子「あっ、とっとにかく、皆様、感想送ってあげてください。そしたらかっぺえ君、社会復帰できるかもしれないので・・・」

さらに沈黙・・・

詩子「・・・そっそれじゃあ感想に行こっか。ここにかっぺえ君の書き残した感想ノートがあるし。」
僕「ちょっと、待ったぁぁぁ!!。」
詩子「わっ、戻ってきた。」
僕「ちゃんと感想書かなきゃね。」
詩子「と、いう訳で感想です。」


いけだものさん
・俺と茜の学園祭(最終回)
僕「いけだものさん。大ファンですぅぅぅぅぅぅぅ!!」
詩子「『前回までのあらすじ』のところの茜の台詞が可愛いよね。」
僕「そうそう。作品にも茜の可愛さがにじみ出てる。この『俺と茜の学園祭』を読んでから茜の魅力に気がついた。」
詩子「でも終わっちゃったんだね。」
僕「そうなんだよ。さびしい限りだね。」
詩子「でも、またいけだものさん、茜のSSかいてくれるよ。」
僕「そうだね。期待して待ってよう。」
僕「ちなみに感想の書き方(名前と題名の所)真似させてもらいました。嫌でしたらおっしゃって下さい。直しますので。」
僕「次回作、期待してまーす。」

まてつやさん
・心の中の小さな花
僕「これって七瀬救済SSなんですね。凄いですね。七瀬のシリアスって凄く難しいと思うので。」
詩子「謙虚な七瀬さんが可愛いよね。かっぺえ君も早くこんな凄いの書けるようになったら言いのにね。」
僕「無茶を言うなよ。」

もももさん
・浩平無用!
僕「いったい四時間目に何が?」
詩子「何があったんだろ?」
僕「僕としては、ちょっとHな事を希望するんだけど。」
詩子「かっぺえ君らしいね。」
僕「まあね。(開き直ってる)」
僕「ちなみに僕の次回予想は。」

何故かオレの家に居候することになった七瀬
そこに七瀬を倒しに来た茜がやってくる
そして茜の船に乗っていた長森とオレとの出会い
次回『茜が来た』
新たな出会いが浩平を待つ・・・

僕「といった話じゃないかと・・・」
詩子「根拠は?」
僕「そんなもんは無い。ただ、出てきてほしい娘を書いただけ。」
詩子「それって、予想じゃなくて希望なんじゃ・・・」
僕「まぁ、そういう事。」
詩子「はたして、かっぺえ君の希望どうりになるのか?」
僕「よろしくお願いします。」
詩子「しないって。」

雫さん
・白い記憶 〜第一章〜
僕「雪ちゃんがみさき先輩の失明の原因とは・・・」
詩子「続きが気になるね。」
僕「でも、『大福男、雪山へ行く』を読んでみたいのって僕だけかな?」
詩子「あっ、私も。」

アルルさん
・SSではありません、ごめんなさいね。
僕「こういうのって参考になります。」
詩子「ネット初心者だもんね。」
僕「うん。慌てて半角のカタカナが無いかチェックしたからね。」
詩子「無かったの?」
僕「うん。多分。」
詩子「多分って・・・」
僕「あったら御免なさい。」

秀さん
・いつか見た夕日・・・(中編)
僕「僕が、昔聞いた話でこんなのが有ります。」
ずっと目が見えなかった男性が、ふとした事から目が見えるようになります。
でもその人は長年、目の見えない自分に尽くしてくれた妻と離婚してしまいました・・・。
僕「と、言う話なのですが実話だそうです。
多分この男性は、妻の事を自分の中で美化しまっくていたのでは無いでしょうか?そして現実の彼女とのギャップに耐えられなかった・・・」
僕「それにしても酷い事とは思いますが・・・そんな事を思いながら、このSSを読ましてもらいました。」
詩子「でも、みさき先輩ならそんな事無いよね。」
僕「そうだね」


詩子「あれっ?感想もう終わり。」
僕「うっうるさいな。結構難しいんだよ、感想書くのって。ここに書いたのも、あんまり感想になってないし・・・
あっ、他の方々のSSも楽しく読ませてもらってます。感想書けなくて御免なさい。」
詩子「わざわざ、永遠の世界から戻ってきたのに・・・」
僕「あっ、もうこんな時間だ。でっでは、皆さん、さよーならー。(慌ててまとめてる)」
詩子「ああっ、無理矢理終わらせようとしてる。」
僕「ほら、詩子ちゃんも手を振って。」
詩子「さっさよならー。(仕方なく手を振っている)」
僕「さよーならー。」