NO.4・・・・だっけ?(^−^; 投稿者: 神野龍牙
自分のSSで、初めてタイトルつけました(^−^;


「願い・・・」


私は編み物をしている手を休め
窓を開くと、3月末の暖かい日差しとともに
暖かい春の風が私の髪を優しくなでながら通り抜けていった

今日は大切な日、私にとって
ううん、私たちにとって
とってもとっても大切な日

8年前の今日は私の最愛の人が消えてしまった日
そして7年前の今日は最愛の人が私の元へ戻ってきてくれた日

最愛の人・・・浩平君がいない1年は
私にとって、永遠にも感じさせるほど長く辛い日々でした

でも、浩平君が戻ってきてくれることを
ずっと信じ、そして願って過ごしていた日々
今でも思い出すたび
切なくて涙がこぼれ落ちそうになります

でも、今となっては良い思い出になってるのかな

だって
4年前の今日・・・・
浩平君が、私にプロポーズしてくれた日

ふふ、あの時の浩平君の言葉・・・
言い方は、素っ気なかったけど
本当にうれしかったなぁ

そして、3年前の今日
私と浩平君が結婚した日

浩平君「すごく綺麗だよ」って言ってくれたっけ
凄くドキドキして、そして恥ずかしくて
いろいろな感情が混じり合っちゃって
地に足がついてないみたいだった

そう思い出しているうちに
17時を告げる時計の音が聴こえる

そろそろ、夕食の用意をしないと
浩平君、今日は早く帰ってくるって言ってくれてたし
腕を振るって、浩平君の好きなお料理をいっぱい作ってあげないと
私がたくさん食べちゃうから、浩平君に怒られちゃうね

以前に瑞佳ちゃんが
「目が見えないと作るの大変じゃない?」
って言ってくれたけど

愛する人のために作ってるんだもん、全然大変じゃないよ
だって、浩平君が「おいしいよ」っていってくれたら
それ以上にうれしさで胸がいっぱいになっちゃうから

夕食の用意も一段落付いたし
編み物を再開しようかな

プルルルルルルルルル・・・・・

あっ、電話・・・
呼び出し音を頼りに電話機の方へ歩いていき受話器をとる

「もしもし、折原ですが・・・」
「あっ、みさき?オレ・・浩平だけど」
「あっ・・・浩平君、どうしたの?何かあったの?」
「あははは、みさきはいつも、オレの心配ばっかりしてるね」
「だって・・・」
「仕事の方が一段落付いたから、今から家に帰るよ、用件はそれだけなんだけどね」
「うん!早く帰ってきてね」
「もちろんそのつもりだよ、みさきの手料理を早く食べたいからね」
「うん、いっぱい作ってまってるよ」
「そっか、今から楽しみだ!急いで帰るからね、それじゃ」
「うん」

そう言って、受話器を置く

さて、浩平君ももうすぐ帰ってきてくれるし
残りの夕食の準備を済ませておかないと

ふふふ、今日はビッグニュースもあるし
浩平君この事を聞いたら
きっと驚くだろうなぁ
そして、喜んでくれるだろうなぁ

微笑みを浮かべながら最愛の人が帰宅するのを
私は今か今かと待ち続ける

ピンポーン

ドアベルが鳴り、続いて浩平君の
「ただいま」
って声が聞こえる

私はいつも満面の笑顔で、浩平君を出迎えて
「おかえりなさい」
って言ってあげるの

「おっ、いい匂いだなぁ」
「うん、浩平君のために一生懸命作ったんだよ
早く着替えて一緒に食べようね」
「もちろん!今日は会社でずっとみさきと
みさきの手料理の事で頭がいっぱいだったからね」
「ふふふ、ありがとう!夕飯の方は、もう出来てるからね」

そう言い残してキッチンに向かう

しばらくして、浩平君がダイニングの方にやってきて
テーブルに並んだごちそうを見て感嘆の声を上てくれる

「みさき、凄いね!オレ全部食べきれるかなぁ」
「ふふふ、浩平君」
「どうしたの?」
「あのね・・・一つビッグニュースがあるんだよ」
「へぇ、どんな、ニュースだい?」
「ふふふ、当ててみて」

私がそう問いかけると浩平君は「う〜ん」ってしばらく考えてくれたけど
思いつかないみたい

「わかんないや・・・いったい何なの?もったいぶらないで教えてほしいなぁ」
「あのね、浩平君、その・・・私・・子供が出来たの」

一瞬の間の後
「ほんと!」
「うん!今日病院に行ってみたら、三ヶ月だって」
「そっかぁ、オレも父親になるのかぁ」
「うん」

浩平君は、子供のように無邪気な笑顔を浮かべ
心から嬉しそうに喜んでくれる
この笑顔を見るたびに、浩平君と結ばれて良かったなって思うの

「それでね・・・子供の名前だけど・・・」
「みさきは、気が早いなぁ、まだ、男の子か、女の子かも分からないのに
もう、名前を考えたのかい?」
「うん・・・それでね・・・聞いてくれるかな?」
「もちろん!」
「えっと、『みさお』にしようとおもうの」
「みさおか・・・良い名前だね」
「うん、浩平君もそう思うでしょ?」

これから先どうなるかなんて、私には分からないけど
生まれてくる、みさおのためにも笑い声の絶えない家庭にしていきたいな・・・


                          おしまい