なんばー4 投稿者: 神野龍牙
七瀬のSSなんだか、七瀬の先輩のSSなんだか・・・

七瀬のSS

高校に入って2度目の冬を迎えたある日
俺は部活の練習試合のため、
俺達の学校から2時間くらい電車で揺られてこの街にやってきた

その街で俺は思いも寄らない再会を果たすことになった
もっとも、直接話したわけではないので
向こうは気付いていないみたいだったが

髪型が変わっていたが
俺が彼女のことを見間違えるはずはない
中学の時からずっと想ってきた女の子だから・・・

その女の子の名は七瀬留美
中学の時の剣道部の後輩

そして、俺が初めて好きになった女性

気丈な性格で恋愛とは
ほど遠いと自他ともに認めるじゃじゃ馬だったが
俺にはそうは思えなかった

知らず知らずの内に勝ち気という名の仮面を使い
弱い自分を隠そうとしていた
七瀬は自らの魅力に気付いていないだけなのだと
少なくとも俺はそう思っていた

そして彼女が中学二年の時・・・
七瀬が自らの弱さに直面した

その時の俺に出来たことは
主将という責任感のいる、そして忙しい仕事で
少しでも気を紛らわせてやりたかったから
もっとも、七瀬が主将をするに値する人間だったからこそ
出来たのだが・・・

そして、七瀬は一年間立派に主将を務めてくれた
それも予想以上だった、七瀬が主将を務めている間
剣道部は確実に強くなった

しかし、皮肉なことに
剣道部は強くなったが、七瀬の心は強くならなかった
だから俺は七瀬の主将最後の日に
試合会場に行き
七瀬が自らの魅力に気付くように
そうして、俺に振り向いてほしいそんな願いも込めてこう言った

「七瀬、もう面なんて被るな違う人生を生きろ!
髪を伸ばして、リボンをつけろ、
そうすれば違う幸せがお前を待ってる」

・・・・・と

だが、七瀬は俺には振り向いてくれなかった

そして今、七瀬は俺の見知らぬ男と肩を並べて歩いている
心から幸せそうな笑みを浮かべて・・・

そうか、七瀬は見つけることが出来たんだ
新しい人生を、そして新しい幸せを

そう思ったとき何故か涙が溢れた
友人達が口々に囃し立てたが、そんなことはどうでも良かった

その日の練習試合は身が入らず
ろくな結果を残すことが出来なかった

そんな、気持ちがどこかに行ってしまっている状態で
季節は巡り、俺は受験生となった

俺の学力でいけそうな学校を探す
その中に、七瀬のいる街にある学校があった
俺は、迷わずその学校を志望校にした

女々しいと言うことは自分でも良く解っている
だが、諦めきれなかった

そして、俺は学校の下見に行く時
七瀬に会いに行こう、そして玉砕してこようと心に誓った

そして下見をし、七瀬に会いに行くその
途中に立ち寄った公園で七瀬と出会った

そして、俺は俺自身の七瀬への想いを告げた

やはり七瀬の答えはNOだった

だが、俺は七瀬の次に付け加えられた言葉を聞いて、驚きを隠せなかった
そして、見知らぬあの男に嫉妬を覚えた

七瀬が言うにはその男は、この公園で会う約束をしていたのだが
こなかったらしい、そうして半年近く行方がわからなくなっているそうだ

そこで、俺は七瀬と一つ賭をした
それは、一年間その男がこなかったら、俺と付き合ってほしい
そう言う内容だった
卑怯なのは承知で、そう提案した

そして七瀬もそれを承諾してくれた・・・

そうして、約束の日は奇しくも
俺の大学の合格発表の日と重なった

合格発表を見た後、七瀬に会いに行く約束だ
俺は賭に勝ったことを確信しながら
公園に向かった

だが・・・公園に向かう途中
その男にあった、汗びっしょりになりながら
自転車をこいでいく、その男に

俺は、その男を呼び止めた
・・・・そして

腹に一発ボディブローをたたき込み、

「馬鹿野郎が・・・これ以上七瀬を泣かせるんじゃないぞっ!」

そう言い残して、俺はその場を立ち去った・・・・・


                                 おしまい