遠い蛍火-7- 投稿者: 偽善者Z
さらさらさら・・・・・・・
俺、いや、俺と由依は今、夜の願いの川に来ている。二日がたち、俺の体調はだいぶ良くなった。月光が水面を照らし、水流が月光を反射している。なぜ俺はここいるんだろう?自分で誘っておきながら、なぜか疑問に思う。自分でもどうして由依にあんなことを言ったのか不思議だ。
「浩平さん・・・?」
「何だ?」
黙り込む俺に由依が話しかけてきた。
「前に来た時は何を願ったんですか?」
「いわなきゃ駄目か?」
俺は苦笑いを見せる。あの時願ったこと、それは単純なことだ。自分でも口にするのが恥ずかしくなる。
「わたしはお姉ちゃんと願ったことは、というかわたしが願ったことはほんと馬鹿ですよね・・・中学くらいの頃だったかな?」
由依は俺にほほ笑みかけるが、どこか痛々しい。その時、俺は気付いた。
(そうか・・・そうだったんだ・・・・・・)
由依は俺と同じだ。深い心の傷をうけてなお、絶望の淵から立ち直ったんだ・・・・・・。挫折しそうになったこともあるだろう・・・。涙を流し続けたことだろう・・・。それが俺にはわかったんだ。だから由依の本当の笑顔が見たくて・・・・・・。
「浩平さんとみずかさん・・・でしたっけ?」
「瑞佳であってる」
「お二人が願ったことはきっと同じでしたよ」
「じゃあ、どうして・・・・・」
どうして今の隣にいるのはあいつじゃないんだ?どうして俺達は蛍の祝福をうけないんだ?
「もうこんな時間ですね・・・そろそろお願いしませんか?」
「ああ・・・」
俺達は川岸に立ち、目を閉じて両手を組む。
さらさらさら・・・・・・
静かになった辺りに響く川の音が、俺の耳を打つ。
(俺の今の願い・・・・・・・)
俺は深呼吸して、今心の中で一番強く願うことを願った。それは去年と変わらぬ思いで、変わらぬ願い・・・・・。違うことはただ一つ、隣にいるのがあいつじゃないということ・・・・・・・。
「何を願いました?」
しばらくの沈黙の後、由依が聞いてきた。
「そっちは?」
「秘密です」
「じゃあ俺も秘密だ」
そしてなぜか笑い合う二人、どこかで繋がっているような気がした・・・・・・・・・。



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7話じゃ〜〜〜!さ〜て来週のサ〇エさんは?じゃなくて・・・すいません、風邪ひいて暴走してます(^^)まさか、浩平にうつされたんじゃないだろうな?まあそんなことはおいといて、次回蛍火ついに最終回!結局、浩平と由依の関係はどうなるのか?瑞佳様はほんとに出るのか?そして二人が願ったこととは?全ての謎が明らかに!何か予告する作品が違うような気が・・・・・・・。