浩平犯科帳 番外編 第七話 投稿者: 偽善者Z
浩平犯科帳 番外編 第六話「狂宴の夜」


(やめとけばよかった・・・)
浩平は先ほどから同じことを考えている。
(何でこんなことに・・・・・・)
浩平は海より深く後悔していた。何故なら・・・・・・。
「きゃーはははははははははははははっっっ!飲んでるーーーっ?折原〜〜〜っ!」
酒乱である。詩子の酔いはいまや最大である。ここは中原亭。今日は浩平が代理で出演した舞台の成功を祝って、お雪が盛大に宴会を開いたのだ。そこで浩平はせっかくだからと、お瑞に茜と詩子を呼んだのだが、詩子の酒乱ぶりにその場は修羅場と化している。
「きゃっ!澪ちゃんかわいい〜〜〜!」
詩子は澪に絡み始めた。詩子に抱きつかれ、澪は戸惑っている。
「詩子少し飲み過ぎじゃないか・・・?」
「な〜に言ってるのよ!こんなの飲んでる内にはいんないわよ!ヒック!」
「絶対大丈夫じゃない・・・・・」
あきれた浩平が目を転じると、茜が黙々と酒を飲んでいる。
「あ、茜。何杯飲んだ?」
「銚子で十本は」
「ほ、ほんとか?」
「城では飲ませてもらえないので」
「城?」
その時、後ろから衝撃が走った。
ズガッ!
「ぐあっ!」
「こら〜折原〜!大切なお姫様に手ぇだすんじゃないわよ!ヒック!」
詩子が浩平に椅子を座卓を投げつけたのだ。しかし、浩平はそのことよりも詩子の言葉に注目した。
「お姫様ってどういう意味?柚木さん」
浩平の疑問をお瑞が聞いた。
「そんなこともわからないの〜〜〜?茜はね〜、家茂様の妹なの!それで〜、わたしはそのお目付け役ってわ〜け!ヒック!」
「ええええええええええええええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!」
その場にいた全員が驚きの声を上げた。
「茜、本当か?」
「本当です」
「ま、まさか姫様だとは思わなかった」
「でも、別に姫というわけじゃありません。兄上とは父親が同じだけで、徳川の家の者として認められてませんから」
茜は酒を口に運びながらも、淡々と喋る。
「きゃははははは!まあ細かいことは気にしないの!さあどんどん飲むわよ!」
「ちょっと、詩子。姫様だかなんだか知らないけどね、あんたのこわした座卓は弁償してもらうわよ」
勢いづく詩子に、お七が声をかけた。
「なによ〜〜〜お七〜・・・わたしが悪いっていうの?」
「悪いかどうかは知らないけど、弁償してもらうわよ」
「何よ〜その口の聞き方は〜、あっ!?思い出した!この間せっかく遊びに来てあげたのに、あんた注文とりにかなかったわね!」
「仕方ないでしょ。混でたんだから」
「う〜〜〜・・・この恨みここで晴らしてやる〜〜〜!」
「やれるもんならね」
そんな二人の剣幕に浩平が仲裁に入る。
「まあまあ、二人共。ここは押さえて。大体いつもは仲がいいじゃないか」
「うるさいわよ!折原!ヒック!親しき仲にも礼儀ありってい言うでしょ」
「関係ないと思う・・・」
「うるさ〜い!」
そう叫ぶと、詩子は卓に置いてあった皿をお七に投げつけた。
ガシャン!
お七は間一髪それをかわす。
「本気のようね・・・一度あんたとはやってみたかったのよね。いくわよ!」
お七は近くに置いてあったほうきを掴み、構える。詩子も今度は銚子を構える。
「お瑞・・・逃げた方がいいぞ・・・」
「止めないの?」
「無駄だと思う・・・」
浩平が背を向けて、お瑞と逃げようとしたその時。
ガシャァ!
「ぐあっ!」
詩子の投げた銚子が浩平の後頭部に直撃した。
「折原ー!逃げんじゃないわよ!ヒック!」
「も、もう駄目だ・・・」
バタン!
「きゃあ〜浩平、しっかりして!」
「なによそみしてるの詩子!いくわよ」
「望むところよ!」
「おいしいです」
お七と詩子が戦い始めたかたわらでは、茜は酒を飲み続けている。
『はやくかえろうなの』
「そ、そうね・・・」
深山座の面々がその場去る中、戦いはいつ果てることもなく続いた・・・・・。



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〜詩子の愚痴〜
詩子「なにこの話は!」
やばい今日のゲストは詩子か!
詩子「ちょっと偽善者!」
は、はい!
詩子「あんたね〜ギャグが書きたいからって、暴走させることないでしょ!」
いや、最近ストレスがたまってたから・・・。
詩子「いいわけすんな!」
ドフッ!(ボディブローが入った音)
うぐっ!い、意識が・・・
詩子「ほら、気絶する前の予告して」
じ、次回は番外編最終回です・・・・主役は・・・お瑞で・・・・・・ガクッ!
詩子「それじゃあみなさん、さようなら〜」


次回浩平犯科帳 番外編 第七話「冬の吐息」ご期待下さい!