しゅがぁ・べいびぃ(6)/いちのせみやこ
〜はじめに〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
このSSに出てくる「佐藤加奈」は、七瀬シナリオの終盤で出てくる
七瀬さんと折原くんのセリフ
「あっ、佐藤さんの家だっ!」
「よし、明日訪ねてみような」
でお馴染みの、佐藤さん宅に住む、七瀬の小学校の頃の友達です〜。
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=あらすじ==========================
「あの日」から、公園で「人」を待ち続けている七瀬留美。
4月、偶然七瀬と再会した加奈は、そんな七瀬が気になってちょく
ちょく遊びに行く。
6月、ふとしたことから知り合った「里村 茜」。七瀬の同級生と
いう彼女に興味を持った加奈は、茜をお茶に誘う。
そして、茜は七瀬のことを話し出した。
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「七瀬さんが、毎日ドレス姿で公園にいる、という話です」
ごく。
思わずつばをのみこんじゃう。
「最初は、正直話半分という感じでした。
だけど、ある日見てしまったんです。
公園で…… ドレス姿で佇む七瀬さんを……」
うんうん。
「でも…… 何故か声がかけられませんでした。
かける雰囲気ではなかった、というよりは、私がかけるべきではない、と思ったんです」
「えぇ?」
なんでぇ?
こんなに七瀬ちゃんのことわかってくれてるのにぃぃ。
「ですが、やはり七瀬さんが心配で……
そんなとき、佐藤さん…… あなたを見かけたんです」
「わたし、ですかぁ……?」
「はい」
里村さんは、少し微笑むと
「あなたなら、七瀬さんを支えてあげられるのでは……
2、3度見かけるうちに、いつの間にかそう思うようになってしまいました」
「じゃあ、あの時のワッフル(※)は……」
「あ、あの時は失礼しました、思わず……」
「そうなんですかぁ」
ふぅぅ、なんか疲れちゃったな。
ずず……
すっかりさめちゃったココアを一口。
……それにしても
「里村さんは、なんでそんなに七瀬ちゃ……さんのことが、そんなによくわかるんですかぁ?」
ちょっとうらましーくらい……
「それは……」
ん、ちょっと表情が翳った?
「私も同じだったんです」
「同じ、ですかぁ?」
「そうです。今の七瀬さんと全く同じ状況でした」
ということは…………っ!!
「里村さんもぉ、“消えた”誰かを待ってるんですか!?」
・・・
「はい、待ってました」
「えぇぇ、そうだったんですか〜」
そーなんだぁ。だから……
でも、『待ってました』って?
「ひ、ひょっとして、戻ってきたんですかぁ?」
「戻る、というのは変かもしれませんけど、はい。春休みに戻ってきました」
あ、口調がなんか嬉しそう♪
「それってぇ、この前いっしょにいた方ですかぁ?」
「はい」
「もしかして、彼氏ぃ?」
「……はい。この話はやめましょう」
ひょっとして、里村さん照れてるぅ?
「照れてません」
またまたぁ……って心を読んだ? あたしの?
・
・
・
「ありがとうございましたー」
店員さんの声を背に、あたしと里村さんはお店を出る。
ちなみに、ワッフルセット代は里村さんが奢ってくれた、らっきー♪
「ところで、なんであたしだったんですかぁ?」
途中まで帰り道がいっしょなので、商店街を歩きながら話し掛ける。
「私のときも、友人が支えててくれましたから……」
「そうなんですか〜。どんな人なんですぅ?」
「高校は別なんですけど、小さい頃からの友人です。
事情はほとんど知らないはずなのに、いつも明るく振る舞ってくれて……
すごく感謝してます。本人には言いませんけど」
そういうと、里村さんは微笑んだ。
やっぱりきれいぃぃぃ…… 変なシュミはないよ、念のため。
「でもぉ、別の学校なのにすごいですねぇ」
「そうですね。彼女は建校記念日なんて言いますけど。
特に、少し諦めかけた去年の年末は、本当に嬉しかったです」
「へ〜」
「本当に、毎朝…… え?」
急に里村さんが立ち止まる。
慌ててあたしも止まって……と。
「ど、どうしたんですかぁ?」
「いえ、少し違和感が……
あの頃の私に話しかける人は、彼女しかいなかった筈なんですが……
もしかしたら、この違和感が『七瀬さんの待ち人』なのかもしれません」
しきりに首をかしげる里村さん。
あたしにも……こんな違和感(※※)があったよね。
・
・
・
そうこうしてるうちに分かれ道。
「では、七瀬さんのこと、よろしくお願いします」
改めて、里村さんは頭を下げた。
「は、はいっ。泥船に乗った気もちで任せてくださいぃっ」
「……すごく心配です」
「あとぉ、あたしからもお願いがあるんですけど」
「何でしょうか?」
「あのぉ、学校での七瀬ちゃ……さんをお願いします」
里村さんはちょこっと「きょとん」としてたけど
「……はい。できる限りの事は」
「じゃあ、約束っ」
あたしは小指を差しだした。
「はい。約束です」
里村さんも小指を差しだす。
指と指をからめて……
「ゆーびきーりげーんまーんうーそつーいたーらはーりせーんぼーんのーますー
ゆーびきっつったっ」
「……少し恥ずかしいです」
里村さんの顔が赤いのは、夕日のせい……だろぉな、たぶんね。
(つづく)
※ワッフル:(3)で加奈が茜から手渡された特製ワッフル。
※※違和感:(2)で七瀬に「あたしと話していた人のこと、覚えてるっ!?」と聞かれたときに感じた違和感。
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あとがき
どーも、みやこです。
「加奈で〜す」
(6)で茜篇は一応完結です〜。
「おつかれっ。なんか終わり方が謎だけどぉ?」
いーじゃん。これが精一杯だし
「なんか情けないよぉぉ。無意味に胸はってるしぃぃ」
ぷい。
「あ、拗ねたぁぁ。ところで、次回は?」
次回からは「8月篇」の予定だけど。
ひょっとしたら加奈×七瀬の「7月篇」になるかも。
「アバウトねぇ……」
「ところで、今回レスは無いの?」
ん……、感想SSの方にまとめるよ。
「を、感想SS! やっとその気になったんだぁ。で、書けてんのぉ?」
SSの方は書けたけど……
「書けたけどぉ?」
肝心の感想の方が……
「あほかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁいっっっ!!」
で、でも、どこから手をつけていいのか…… うじうじ。
「(5)へのレス含めてぇ、(5)終わりからのにすればぁ?」
んー。けんとーしてみる……
「健闘?」
検討……
「をひ……」
ではでは、感想SSでお会いしましょう!(予定)