しゅがぁ・べいびぃ(6)
投稿者: いちのせみやこ  投稿日: 2月29日(火)00時55分

しゅがぁ・べいびぃ(6)/いちのせみやこ


〜はじめに〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

このSSに出てくる「佐藤加奈」は、七瀬シナリオの終盤で出てくる
七瀬さんと折原くんのセリフ
「あっ、佐藤さんの家だっ!」
「よし、明日訪ねてみような」
でお馴染みの、佐藤さん宅に住む、七瀬の小学校の頃の友達です〜。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

=あらすじ==========================

 「あの日」から、公園で「人」を待ち続けている七瀬留美。
 4月、偶然七瀬と再会した加奈は、そんな七瀬が気になってちょく
ちょく遊びに行く。
 6月、ふとしたことから知り合った「里村 茜」。七瀬の同級生と
いう彼女に興味を持った加奈は、茜をお茶に誘う。
 そして、茜は七瀬のことを話し出した。

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「七瀬さんが、毎日ドレス姿で公園にいる、という話です」

 ごく。
 思わずつばをのみこんじゃう。

「最初は、正直話半分という感じでした。
 だけど、ある日見てしまったんです。
 公園で…… ドレス姿で佇む七瀬さんを……」

 うんうん。

「でも…… 何故か声がかけられませんでした。
 かける雰囲気ではなかった、というよりは、私がかけるべきではない、と思ったんです」
「えぇ?」

 なんでぇ?
 こんなに七瀬ちゃんのことわかってくれてるのにぃぃ。

「ですが、やはり七瀬さんが心配で……
 そんなとき、佐藤さん…… あなたを見かけたんです」
「わたし、ですかぁ……?」
「はい」

 里村さんは、少し微笑むと

「あなたなら、七瀬さんを支えてあげられるのでは……
 2、3度見かけるうちに、いつの間にかそう思うようになってしまいました」
「じゃあ、あの時のワッフル(※)は……」
「あ、あの時は失礼しました、思わず……」
「そうなんですかぁ」

 ふぅぅ、なんか疲れちゃったな。

 ずず……
 すっかりさめちゃったココアを一口。

 ……それにしても

「里村さんは、なんでそんなに七瀬ちゃ……さんのことが、そんなによくわかるんですかぁ?」
 ちょっとうらましーくらい……
「それは……」

 ん、ちょっと表情が翳った?

「私も同じだったんです」
「同じ、ですかぁ?」
「そうです。今の七瀬さんと全く同じ状況でした」

 ということは…………っ!!

「里村さんもぉ、“消えた”誰かを待ってるんですか!?」
       ・・・
「はい、待ってました」
「えぇぇ、そうだったんですか〜」

 そーなんだぁ。だから……
 でも、『待ってました』って?

「ひ、ひょっとして、戻ってきたんですかぁ?」
「戻る、というのは変かもしれませんけど、はい。春休みに戻ってきました」

 あ、口調がなんか嬉しそう♪

「それってぇ、この前いっしょにいた方ですかぁ?」
「はい」
「もしかして、彼氏ぃ?」
「……はい。この話はやめましょう」

 ひょっとして、里村さん照れてるぅ?

「照れてません」

 またまたぁ……って心を読んだ? あたしの?







「ありがとうございましたー」

 店員さんの声を背に、あたしと里村さんはお店を出る。
 ちなみに、ワッフルセット代は里村さんが奢ってくれた、らっきー♪

「ところで、なんであたしだったんですかぁ?」

 途中まで帰り道がいっしょなので、商店街を歩きながら話し掛ける。

「私のときも、友人が支えててくれましたから……」
「そうなんですか〜。どんな人なんですぅ?」
「高校は別なんですけど、小さい頃からの友人です。
 事情はほとんど知らないはずなのに、いつも明るく振る舞ってくれて……
 すごく感謝してます。本人には言いませんけど」

 そういうと、里村さんは微笑んだ。
 やっぱりきれいぃぃぃ…… 変なシュミはないよ、念のため。

「でもぉ、別の学校なのにすごいですねぇ」
「そうですね。彼女は建校記念日なんて言いますけど。
 特に、少し諦めかけた去年の年末は、本当に嬉しかったです」
「へ〜」
「本当に、毎朝…… え?」

 急に里村さんが立ち止まる。
 慌ててあたしも止まって……と。

「ど、どうしたんですかぁ?」
「いえ、少し違和感が……
 あの頃の私に話しかける人は、彼女しかいなかった筈なんですが……
 もしかしたら、この違和感が『七瀬さんの待ち人』なのかもしれません」

 しきりに首をかしげる里村さん。
 あたしにも……こんな違和感(※※)があったよね。







 そうこうしてるうちに分かれ道。

「では、七瀬さんのこと、よろしくお願いします」

 改めて、里村さんは頭を下げた。

「は、はいっ。泥船に乗った気もちで任せてくださいぃっ」
「……すごく心配です」
「あとぉ、あたしからもお願いがあるんですけど」
「何でしょうか?」
「あのぉ、学校での七瀬ちゃ……さんをお願いします」

 里村さんはちょこっと「きょとん」としてたけど

「……はい。できる限りの事は」
「じゃあ、約束っ」

 あたしは小指を差しだした。

「はい。約束です」

 里村さんも小指を差しだす。
 指と指をからめて……

「ゆーびきーりげーんまーんうーそつーいたーらはーりせーんぼーんのーますー
 ゆーびきっつったっ」
「……少し恥ずかしいです」

 里村さんの顔が赤いのは、夕日のせい……だろぉな、たぶんね。



(つづく)

※ワッフル:(3)で加奈が茜から手渡された特製ワッフル。
※※違和感:(2)で七瀬に「あたしと話していた人のこと、覚えてるっ!?」と聞かれたときに感じた違和感。
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あとがき

 どーも、みやこです。
「加奈で〜す」
 (6)で茜篇は一応完結です〜。
「おつかれっ。なんか終わり方が謎だけどぉ?」
 いーじゃん。これが精一杯だし
「なんか情けないよぉぉ。無意味に胸はってるしぃぃ」
 ぷい。
「あ、拗ねたぁぁ。ところで、次回は?」
 次回からは「8月篇」の予定だけど。
 ひょっとしたら加奈×七瀬の「7月篇」になるかも。
「アバウトねぇ……」

「ところで、今回レスは無いの?」
 ん……、感想SSの方にまとめるよ。
「を、感想SS! やっとその気になったんだぁ。で、書けてんのぉ?」
 SSの方は書けたけど……
「書けたけどぉ?」
 肝心の感想の方が……
「あほかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁいっっっ!!」
 で、でも、どこから手をつけていいのか…… うじうじ。
「(5)へのレス含めてぇ、(5)終わりからのにすればぁ?」
 んー。けんとーしてみる……
「健闘?」
 検討……
「をひ……」

 ではでは、感想SSでお会いしましょう!(予定)