シンデレラのリボン(終)  投稿者:いちのせみやこ


−@あらすじ@−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 今回はわたし、長森瑞佳の担当だよ。

 1年後輩の上月 澪ちゃん。
 浩平は気付いてないと思うけど、澪ちゃんは浩平のこと好き
……なんだと思うよ。
 でも、澪ちゃんは自分に自信がないんだよ。

 そんなある夜。
 悪夢にうなされていた澪ちゃんのところに現れた「夢の管理
局の飼育係」柚木詩子さんと「ドリーム・バク」のバクオくん。
 幸せな夢と交換で「シンデレラのように幸せな女の子になれ
ますように」という願いを込めたリボンをもらったんだよ。

 それから、澪ちゃんは一生懸命がんばったんだよ。
 「リボン」のおかげかもしれないけど、少し自分に自信が持
てるようになったんだもん。

 だけど、ある日、わたしたちの教室で……

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るみちゃんおとめちっく劇場『シンデレラのリボン−7』



 私は思わず南に話しかけようとしました。
 上月さん、つらそうな顔をしてうつむいてしまって……
 今の彼女の心がわからないのは仕方ないですが、あまりにも女の子を傷つけてしまうような言葉。
 なにより、この教室には“彼”もいる、というのに……

 でも、南はそんな私に気づかないまま……

 ・・・・・
「お嬢ちゃん」


 上月さんは教室から飛び出していきました。
 一瞬見えた横顔…… 頬にひとすじ、涙が見えました。


「あ、あれ?」

 南は虚を衝かれたような顔をしています。
 彼には理解できないのでしょう。何故、上月さんがいなくなったのか。
 そして、今、私の心に秘められている、静かな怒りも。


「ど、どうしたの、かな?」

「…南」
 …ひどいです、と言葉を紡ごうとした瞬間。
 南が消えました。

 直後、机が倒れるような音、何かが壁にぶつかったような音、そして悲鳴。

 南は倒れていました。きっといきなり殴られたのでしょう。
 そして、殴ったのは……


「七瀬、後は頼む」
「わかったわ。とどめをさせばいいのよね?」
「いや…… 手当てだが」
「はっ! あ、あは、そうよねっ!」

「長森、悪いけど机とか直しといてくれないか」
「え、う、うんっ」


「…浩平」
 折原浩平。彼でした。
 七瀬さん、そして長森さんに声をかけると、上月さんの後を追いかけるように教室を出て行きました。

「…浩平、お願いします」




*****



「……」(えぐっ)

 涙が出てきたの。
 それにずっと走ってて疲れたの。

 ……座るの。


 リボン、無くしちゃったの……
 もう、幸せな女の子にはなれないの……

 えぐっ……

 涙が止まらないの……




 ぱさ……


 っ!!??
 いきなり目の前が真っ白になったの。
 なんなのっ? なんなのっ!?


 じたばたじたばた
 もがもがもがもが


 うー、なんなのっ!
 いきなり目の前が真っ白に……
 あれ? 白じゃないの。ちょっと透き通ってるの。

 これは…… ガラスの糸?


 じたばたじた……
 もがもがも……


「落ちついたか?」

 この声は……
 慌てて目隠しされてたものをずらして振り返ったの。


 あっ!


 そこには……
 リボンを持った、折原先輩……

 ……っ!

 逃げるの!



「待てっ!」

 がしっ!

 腕をつかまれたの。逃げられないの。


「……ったく」

 先輩は腕をつかんだまま、わたしの前に向き直ったの。

 はぅ〜。
 思わず目をそらしちゃうの。怖いの。
 先輩の優しい目が。
 わたしのことを、つつみこんでくれるような目が。

 わかってても、子供みたいに見られるのがいやなの。
 いやなの。
 えぐ……

「逃げるなら、証拠はちゃんと消せよな」

 え?

「こんなもん落としてくなんて、シンデレラじゃないんだぞ?」

 シンデレラ……。
 憧れてた、幸せなお姫様なの。
 まだ、間に合うかもしれないの。


『シンデレラなの』
「澪が、か?」
『そうなの』
「じゃ、リボンを落としたのも演出なのか?」
『演出なの』




「……ったく」

 先輩?
 あ。
 リボン、結んでくれる、の?

「……よし」

 ぽんって頭を軽くたたかれたの。

『?』
「?まで書くな、それより、これでいいのか?」
『何が、なの?』
「王子がシンデレラに靴をはかせるんだよな。確か」
『……違うような気がするの』
「細かいことを気にすると、ピーマンが食べられなくなるぞ」
『ピーマンだって食べれるの』

 あ。間違えたのっ。

『細かくないの! くらいまっくすなの!』
「まぁ、それは置いとくとして」

 先輩、もう1回わたしの目を見たの。

「あんまり背伸びするな。澪は澪なんだから」

 ?

「シンデレラなんかより、自分らしく、な」

 はぅ〜。
 なんか、何もかもお見通しなの〜。

『わかったの』
「よし」

 なでなで。
 先輩が頭をなでてくれたの。安心するの。
 ……って著作権的にマズい気がするの。


「それでこそ澪だ。おとーさんは大好きだぞ」

 今は「Like」かもしれないの。
 でも「Love」にしてみるの。
 リボンの力じゃなくて、自分の力で。


「それにしても、シンデレラもドジだよな。靴なんて落とすか? 普通」
『夢がないのっ!』
「思うに、あれは意図的な行為だと推測できるんだが、澪はどう思う?」
『ロマンもないのっ!』

・

・

・



*****

(その夜、澪ちゃん就寝後)



「いい夢を見てるね。寝顔もかわいいし」
『……』(おなかすいたー)
「え? はいはい。じゃ、食べていいよ。約束してたし」
『♪』(いっただきまーす)





 わたしは夢の管理局の飼育係、柚木詩子。
 夢を食べて魔法を使う、ドリームバク(見た目「主」)くんと一緒に、
 悩める女の子の「悪夢」を「いい夢」にするお手伝いをしてるんだよ。


 もしかしたら、今宵あなたのもとへ……




(おわり)

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あとがき


えっと、いちおー最終話ってことで。
いや、いちおーもなにも最終話なんだけど(笑)

なかなか書けなくて、なんか最後の方は急いでるみたいな感じになってしまいました。
もともと、話を「まとめる」のって苦手だし。ちゃんとプロット(風)はあったんだけど。
ま、こんな感じになりました。
ちょっと浩平のキャラが不安定だけど。(オー○ェン読んでたからかな?)
全7話。お付き合いいただきありがとうございました。

それでは、サンクス行進あーんどレス風味、です。
感想をいただいたみなさん、ありがとうございました。ってことで。


>Percomboyさん

 長期連載…… ネタが続きません(笑)
 あ、でも「るみちゃんシリーズ」は続くかも、です。
 「あ・ば・ず・れ」はギャグとして読んで頂ければ嬉しいです☆


>WTTSさん

 澪ちゃんを思いっきり子供扱いして、リボンのおかげで作られた「偽りの自信」を崩す、っていう「役」が欲しかったんで、南には悪い子になってもらいました。
 でも、南といい七瀬といい、ひどい境遇でも「ま、いいや。南(七瀬)だし」と思われてるのはさすがです(笑)
 うーん、1話での浩平の話し相手、七瀬にでもすればよかったな、と反省です。


>北一色さん

 うーん、みやこ自身が詞も曲も声も演奏も全部含めた世界観がすきなんで。>BJC
 って、あのSSはみやこのシュミに走っちゃってますから(笑)
 「あ・ば・ず・れ」第2弾も構想中です(笑)


>変身動物ポン太さん

 次のSSでの南の惨劇、楽しみにしてます(笑)


>いばいばさん

 「ふいふい」はいいですね(笑)
 このSSでの繭ちゃんの扱いも意外にみなさん好意的で、ありがとうございます。


>矢田 洋さん

 いつもながら、誤字脱字等の訂正、ごくろーさまです。
 まだ1回も指摘されてないので、なにげにうれしかったりしてます(笑)


>狂悦炉さん

 七瀬が自分で黒板に書いている姿が「かわいい」と思って頂ければ本望です(笑)


>雀バル雀さん

 キロロはロックですよね(笑) いや、かなり。
 金城さん(ピアノ)のソロアルバムの歌詞、すごいらしいです。
 椎名林檎、いいですよ〜。5年後は…… インディーズで濃いCDとか作ってそうだけど(笑)


ということで。感想が書けないんでお返事という形でお返ししました。
返却は不可で〜す。

それでは、またお会いしましょう♪