ダーツ(仮)  投稿者:いちのせみやこ


ダーツ(仮)/いちのせみやこ



@長森END後数年たっている、という設定です。
@澪ちゃんと深山先輩は卒業後自主制作の演劇グループを設立、結構人気が出ているような状況です。
@東京○レンドパーク、は見たことあるよね?
@ま、上の3点を頭の片隅にでも置いておいてくださいねっ。




「浩平〜、ごはん食べてる時くらいはテレビ消してよ〜」
「悪いがこれは男と男の約束だ、邪魔しないでくれ」

 瑞佳がため息をついているが、特に気にせず適当にチャンネルを変える。

 …と。

「あれ? 澪……と、深山先輩じゃないか?」
「え? どれどれっ?」
「ばかっ! 見れば分かるだろっ!」
「え〜? でも、わたし一回も会ったことないんだよっ」

 そういえばそうだったような気がしないでもない。

 どれ〜?とか知らないもんっとかいろいろ聞こえるが、寛大な俺は聞こえないことにした。
 にしても、いつの間にか有名になったんだな、澪(&1名)。

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『この金貨は1枚10万円です、がダーツに変えて運がよければ……』

 どうやらもう最後らしい。
 くそっ、新聞は経済欄しか見ないから迂闊だった。


「瑞佳、なんで教えてくれなかったんだ?」
「え〜? だって出るなんて知らなかったんだもんっ」
「ばかっ、新聞のテレビ欄を隅々までチェックするのは常識だろ?」
「そんなにテレビ欄なんて見ないもん。浩平の方がじっくり見てるもんっ」
「いや、俺は経済欄しか見ないぞ」
「そんなの嘘だよっ」
「ちなみに、今日の終値は1ドル360円だ。覚えとけ」
「いつの時代の話だよっ!」

・

・

・

『さて、上月 澪さんの1投目!』

『「がんばるの」』

えいっ!
ひょろひょろひょろ〜 ぽと

『……』

うんとね
『「届かなかったの」』

『え、あ、残念でした。続いて、深山雪見さん、1投目です。』

・

・

・

「……って、澪っ!」
「あっ! 忘れてたよっ」


 と、あわててテレビに目を戻すが、すでにダーツは投げ終わった後らしい。
 画面には、はぅ〜とした澪と、「焼き肉1年分」の目録を持った深山先輩とそれに抱き着くみさき先輩…… って、なんでいるんだ? みさき先輩。



『雪ちゃ〜ん、うれしいよ〜』
『みさきに頼まれて冗談で言ったのに…… なんで当たっちゃったんだろ……』



 なるほど。



『さて、視聴者の方のダーツは、どちらが投げますか?』

『上月さん、投げたい?』
ぶんぶん
『「深山さんが投げるの」』
『え、いいの? じゃ、わたしが投げます』

『はい、じゃあ上月さんはハガキを選んでください』

『「わかったの」』
ごそごそごそごそ
『「選んだの」』

『えーっと、……県の長森瑞佳さん、22歳ですね』

わーい
『「おめでとうございますなの〜」』

『まだ早いですよ(笑) 視聴者の方に車が当たった場合は……』

・

・

・

「ふーんっ…… って、瑞佳!」
「えっ? えっ? えっ? えっ?」
「ちょ…… 落ち着けっ!」
「えー、わたしだよっ! わたしなんかでいいのっ?」
「選ばれたんだからしょうがないだろ? だいたい、恥ずかしいならハガキ出すな」
「はぁー、どうしよう、どうしよう、どうしたらいいのかなっ?」

 急にテレビにかじりつく瑞佳。意外にゲンキンなやつだ。
 俺も、ひとごとじゃないので付き合ってやろう。感謝しろ。



(ぱ・ぜ・ろ! ぱ・ぜ・ろ! ぱ・ぜ・ろ! ぱ・ぜ・ろ!)

『それでは、深山さん、どうぞっ!』

『えいっ!』

ひゅるひゅるひゅるひゅる ぷす☆

『あ、何かささりましたっ!』




「なにかなっ? なにかなっ?」
「……」(ずずず……)←お茶をすする音




『えーと、おめでとうございます!! タワシでーす!!』
ぱんぱかぱぱぱぱんぱかぱぱぱぱ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん☆




「え……と」
「おっしゃぁぁぁぁぁぁ! やったな、瑞佳っ!!」
「え? たわしだよ? たわしなんだよっ?」
「何を言う、俺はこの上ないくらい嬉しいぞ」
「えー? 浩平ばかだよ〜。たわしなのにっ、たわしなのにっ、たわしなのにっ」
「お、ちょっと落ち着けって!」
「はぁ〜〜 浩平うれしいんだぁ〜」
「……おーい、長森さ〜ん?」
「はぁ〜〜〜〜」



(おわり)
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あとがき


わたしなのにっ!×3のテキストをぼーっと見てたらふと思いつきました(笑)
構想5秒、執筆25分という超大作です。

浩平くんの視線で書こう、ということ以外は特に決めてなかったんだけど、なんとなく裏設定らしきものを冒頭に書いてみたりしてます。
ま、全然使ってないようが気がしますけど(苦笑)

『シンデレラのリボン−5』は、今とことこ書いてますが、息抜きということで〜。
それでは、そっちの方でまたお会いできると嬉しいです。ではでは。

いちのせみやこ

@おまけ@

「七瀬なら『こんな的にちまちま投げてられるかぁっ!!』って叫びながら関○ 宏の喉をつくぐらいのことはするだろうな」
「殺すわ……」