戦術小犬日記・11/15  投稿者:犬二号


まえがき

今回は犬一人です。(最近ますますまえがきが短くなる犬)

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戦術小犬日記・11/15

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あらすじ

これは、S玉吉先生の「Y玄漫玉日記」にあやかって、タクティクスに
関する色んな事を書いたりする日記小説です。
さて、第二話は…「同人活動」です!
ちなみに、第一話の「同人誌即売会」と大して変わんないじゃないか
とのご意見、只今受け付けキャンペーン実施中でーす!

数時間後、犬の元に文句のEメールが殺到していたという。

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戦術小犬日記・11/15
副題「俺と『パソゲー辞典』と社会的規範について」

JR高田馬場駅そばのS宿書店(仮)。
漫画やエロ本、同人誌がずらりと並んでおり、通路を、オタクっぽい
学生やサラリーマンが所狭しと歩き回る、ここはそういう本屋である。
そんな所でSS作家、犬二号(仮)は、とある同人誌を探していた。
その同人誌とは…

犬「最優先購入目標、J先生(仮)の『20世紀パソゲー本』!」
…どうやら、またライ○ングの蒼穹○連隊の真似をしているようだ。

たまたま、自分の趣味のためにネットサーフィンをしていて、J先生の
HPにたどり着いた犬が(どんな趣味かは内緒)、そこのインフォ
メーションにあった「パソゲー本」にえらく興味を惹かれ、夏コミ以降
(犬は行けなかったので)あちこちの本屋を探していたのであった。

犬「…ビンゴっ!目標、確認!」
そして、この日、遂にその入手に成功したのだった!

店員「2205円(税込み)になりまーす」
犬「…は?」
財布を探る。お金が足りない。

訂正。この日、その入手に失敗したのだった。

西武新宿線高田馬場駅プラットフォーム。
犬「…作戦失敗。これより帰還します…とほほ…」
誰にともなく、犬は涙を頬に光らせながら、そう呟いた。

***

翌日夕方。
犬「作戦完了!これより帰還する!」
犬、ほくほく顔で各駅停車田無行きに乗っていく。どうやら、今度こそ
入手に成功したらしい。よかった、よかった。
それにしても、何でDEC○の「スカル○ァング」のホークの真似?

犬の住む寮は、西武新宿線新井薬師前駅から徒歩で30分の所にある。
登り下りの坂道なので、歩きだけでもいい運動になる。
いつもならば、その間に買った本は歩き読みしてしまうのが犬の癖
なのだが、今回ばかりはそうもいかない。
何せ、買った時に始めて知ったのだが、これは18禁なのだ。
パソゲーといえばエロゲーである今のご時世では、まあそれも当然か。

そんな事を考えているうちに、気が付いたら、寮に到着。

***

寮の個室。
夕食を済ませた犬、怪しい笑顔を称え、本のカバーを取る。
犬「ふっふっふ…さあ、ご開帳!」
台詞が、完全にいやらしいおっさんのそれになっている。

犬「…」

そんな犬を最初に出迎えたのは、『ウィザードリ○』であった。
一気に腰からいやらしい力がへなへなと抜けていく犬。
犬「う、うぃざ○どりい…いきなりそれかーっ!」
『ウィ○ードリイ』と言えば、泣く子も黙る正統派3DRPGの
名作である。犬も、『コズ○ック・フォージ』編ではたっぷりと
楽しませてもらった記憶がある。しかし、18禁という言葉に
否応なく期待していた犬の腰のいやらしい力を一気に削るには、
十分過ぎるほどの正統派パソゲーであった。
犬「『テケポーター』ネタで、抜ける奴がどこにおるかー!(下品)」
折原浩平並にさっぱり分からない悲鳴をあげる犬。

とりあえず、いやらしい展開をあまり期待せずに、どんどん読み
進めていく犬。

オールドゲーム系は、犬の知っているものもあり、知らないものも
あった(むしろ、知らない方が多かった。当たり前の話だが)。
そして、あるページで、犬の手が止った。

犬「…『ファイナル○リータ』…(撃沈)」

誰も知らないと思うが、犬はたまたま知っていた。昔むかーし、
P○Kという伝説の18禁ソフトハウスがあった。そこの商品で
ある。ローティーン少女までガンガンやられたり、縛られたり、
プログラムでボカシが取れたりでやばさ丸出しの、規制が今ほど
厳しくなかった頃の負の遺産(?)である。
…こんなネタが通じる犬って、一体どんな青春を送ってきたんだ?

あ、この紹介漫画はかなりエロかったです。少しエネルギー充填。

死ぬほど昔の話がしばらく続いて、『ドラゴン○レイヤー』や
『イ○ス』でものすごく懐かしい気分になったりした犬であった
(これも知らないSS作家さんもいらっしゃるんだろうな)。
犬「俺がガキの頃、TVで移植版『○ース』のCMやってたなー…」
記憶が確かならば、ファミコン版で、そんなのがあったと思うが、
どうだろう(急に不安になってくる)。

さて、98〜DOS系に話が移る。
まあ、○リスソフトの『ラ○ス』シリーズは外せない。『○神都市』
シリーズもあった。それに『DA○K』や『あ○みちゃん物語』、
『アト○ク=ナクア』までも。かつてア○スっ子だった犬には本当に
懐かしい。ただ、犬の持っていた『ア○ビヴァレンツ』とか、あと
これはWindows系であるが『デ○ボリカ』の紹介がなかったのは
残念(ちょっと欲張りすぎ)。
ソニ○の『V○PER』、エ○フの『同級○』シリーズ、リー○の
『○』『○』など(全然分からんわー!という声が聞こえてきそうな
気がするな。はい、『しず○』と『きずあ○』です)、懐かしいものが
一杯あった。

そして、この頃から、業界のエロゲー主体主義が始まったのだな、と
思った。エロゲーでないものの方が圧倒的に少なくなってきたので
ある。これはJ先生達の趣味が特段偏っているというだけではない
はずだ(おそれ多い事を言う)。

Windows系は…
犬「って、五つー!?(眉間に縦ジワを寄せながら悲しそうな顔で)」
本当に五種類しかない(六つあったらしいが、一つ間に合わなかったと
ある)。そして、その最後の一種類に漫画が何本も集中しているのは
一体どういう事なんだ!?

皆様も予想がついている事かと思いますが、多分それで合ってます。
犬自身は遊んだ事のない、リ○フの名作、『T○Heart』!です。

著者の皆様が、本当に『○oHeart』を愛している事が、漫画を
介して犬の魂に直に伝わってくる。
犬(あのゲーム、本当に業界に一大旋風を巻き起こしたんだなー…)
と、改めて『To○eart』のすごさを思い知ったりした。

それにしても、戦術に関するものがなくて残念。せめてメイファー
ソ○トに関する何かでもいいから、何かないのか…(このネタが
分からない方は幸いです。知ってる方は、是非犬を叱って下さい)。
犬「…ないな(がっくし)」

…と、残りはおまけ漫画のようである。

おまけ漫画は、各時代のゲームキャラ達が、「究極のゲームを作って
一儲けしよう」という事で集まったらしい。それで、色々ああでもない
こうでもないを繰り返すというものだが…

犬「…うがああああっ!」
犬、頭を抱えてのたうちまわる。

『売れなきゃしょうがないからギャルゲーでいいんじゃない?』
『原画が良ければ奴らは買うのよ!安心しなさい!』

犬「たわけーっ!ふざけるな『こみっく○ーティー』の詠○ィィィッ!
おんどれはユーザーを搾取対象かダメオタクとしか見とらんのかーっ!
H野耕太先生の『大同人物語』の柴田か貴様はァァァっ!」
漫画、しかもパロディのキャラに向かって不毛に吠える犬。(J先生の
考え方とは別に関係ないようなので安心)

とはいえ、全体的にはとっても笑えてよかったです。
旧世代が「究極のゲームはシステムだ!」と吠えれば、○美は「原画と
シナリオが命」と言うし、またユーザーの求めているものが何かという
事を冷静に考え直させてくれる漫画でした。

まあ、お金払った分、元は取れました大満足!(個人的意見)

***

で、ここで終わるんだったら前回と大して変わらない。

J先生のHPに、さっき言ったような感想を書いて、さあてタクSS
コーナーに行こうかなーと思って、ふと気が付いてみると、犬の目に
ある一文が映った。
『パソゲー辞典作成中!すべてのパソコンゲームユーザーへ。』
犬「…?」
とにかくクリックしてみる。

『パソゲー辞典投稿原稿募集、パソゲーBBS同時開設!』
『パソゲー辞典』とは何であるか、書いてある。

『パソゲー辞典とは?
豺狼出版(あ、バラしちゃった)で1999年の冬に刊行を予定して
いる同人誌の企画です。辞典といっても堅苦しいものではなく、
1970年代〜1999年までのありとあらゆる「パソコンゲーム」に
関して愛着を持っている方々から集めたショートコラム&評論集を作成
する…という企画です。
現在参加者は40名ほどで、ゲーム業界の人や漫画家、個人的に親しい
パソコンゲーム好きの方などがライターとして協力してくれています。
僕のパソゲー知識もやや偏っていますので、この方々と協力しながら
楽しい辞典の作成をがんばっています。
でもせっかくホームページを開設したので、このさいこのサイトを
訪れた方からも投稿原稿を募集してしまおうと思いまして、ここに告知
しました。特に時代&ジャンルを限定せず、アダルト、一般作も含めた
ごった煮系の企画になると思います。パソゲー好きの方々の参加を
お待ちしております』(以上、本文より括弧内以外全てそのまま抜粋)

犬「…ふっふっふ…面白い(ニヤリ)」
何と、犬は身の程知らずにも、ゲーム業界人でも漫画家でも、J先生に
面識のある人間ですらないのに、このような企画へわざわざ参加する
事を決意したのであった!
犬「これが、俺の初の同人デビューじゃああ!(無謀発言)」

意気込みながら『→BBSへ行く』をクリックする犬。
『パソゲー関連BBS』。
犬「さあ!ここで、タクティクスのソフトとかを宣伝するぞおっ!」
そう勢い良く入ってきた犬を待ち受けていたのは、業界に全く疎い
犬ですら、名前くらいは知っている著名な漫画家さん達であった。
犬「…」
硬直する犬。急激に、身内に緊張と後悔の念が走る。
犬「…やっぱ、また別の機会にしよっかなー…」
腰の引けている犬二号。格好悪いぜ、犬!ここは漢らしく、ビシッと
一発デビューじゃああっ!
犬「…ウウウ…(葛藤の声)」

数分後。
犬は結局、情報教育棟の外にいた。
犬「…やっぱり、怖いよー…」
みっともなく呟く犬。情けねー!あんた、情けねえよ、犬!
犬「…ウウウウウ…(後悔の念に満ち溢れた呻き)」

***

翌日。

後悔の念で眠れなかったと見えて、目がやばい輝きを放っている犬。
一晩悩んで、どうやら、今度こそ投稿する事に決めたらしい。

パソコンを前にタカタカと打ち込んで、J先生のHPに行く。

そして、緊張の一瞬。
『WRITE・OK?』と、画面が犬に訊いてくる。

今、右手の人指し指にわずかな力を加えるだけで、全ては変わる。
ただの、二次創作小説かどうだか分からないものを書いている単なる
チンピラではなく、同人業界でわずかなりとも責任を持つ一人の同人に
なるのだ。もう、後戻りは出来なくなる。いいのか、犬?お前は本当に
そんな大それた決断をするだけの資格を持っているのか?

犬「…OKィ!(NAZ○Aの『メタルス○ッグX』風に)」

犬、勇気を持って、『月』以下数本のソフトについて投稿する。

***

犬「…ふう…ミッション、コンプリート…」
投稿を完了させて、へなへなと肩から力の抜ける犬。
…ふと、成人式の時も、「いいのか、犬?お前は本当に成人を名乗る
だけの資格があるのか?」と、似たような事で悩むであろう、自分の
無駄に悩み多き将来像がまざまざと脳裏に浮かび、何やら複雑な気分に
なったりもしたが、
犬「…まあ、いいや!これで、俺も同人初デビューだ!もう後には
引き下がれないんだーぜー!」
喜び方が所詮チンピラの犬。

***

J先生は、大層紳士的なお方であった。至らない犬に色々アドバイスを
下さり、本当にもう画面に向かって足向けて眠れません(そんな眠り方
する奴が一体どこの世界にいるってツッコミはなしです)。他の著者の
方々も物凄く親切で、ウブでおこちゃまな犬はもう有頂天であった。
犬(僕はここにいてもいいんだ!)
碇シ○ジ風にそう思う犬。

同時に、犬は社会性という事に、改めて思い至った。
礼儀正しさという事は、やはりこの社会の中の規則なのだな、という
極めて当たり前の事実である。
人は決して一人で生きている訳ではない。かと言って、只単に友達を
作れるというだけでは、やはり普通の意味では社会性とは言えない。
自分と他人の上に存在する、この社会という存在の重みに、改めて
気付かせられた、若い18歳の犬であった。
犬(礼儀を身につけないでいるのは、果たして本当に自由か?)
そんな哲学的な事を考える奴を、犬は今まで「うるせえ」の一言で
一蹴してきたが、少し心境の変化があったようだ。

犬の野望は、いつかゲーム会社に努めて名作を作って多くのお客様に
喜んでもらう、そして飯を食っていく事だが、ゲーム会社にしても
一個の社会には違いない。社会性のないチンピラは、まず間違いなく
干される。ゲームを作るのに人数が不可欠な今の時世で、そんな事で
名作を作れる可能性などまずないだろうし、何より給料ナシで餓死して
しまいかねない(こんな事を書いて、元ゲーム会社勤めのJ先生に何か
ツッコミを入れられるかも知れないと思うと、ちょっとドキドキ)。
犬「…社会性って、やっぱり大事だなー…」
動機は不純ながら、しみじみと、そんな偉そうな事を呟く犬。

***

『パソゲー辞典』が一部HP上で公開され、早速見てみる犬。

犬「おおー!俺の文章が載ってるよー!」
能天気に大喜びする犬。SSを初めて投稿した時も思ったのだが、
自分の書いたものが世間に公開されるというのは、やはり新鮮な
感動がある。

それぞれのゲームに対して、賛否両論があったり、誉め称える文章で
一杯だったり、逆に「クソじゃあ!こんなもん地雷じゃあ!いいか、
こんなもん絶対買うなよ!高い金をドブに捨てるようなもんだぞ!」と
言わんばかりの警告文が書いてあったり、色々面白く、またゲームに
対してユーザーが何を望んでいるかという事を深く考えさせられる文も
あり、実に有意義な内容盛り沢山であった。
犬「…ん?」
Win95に備え付けの『フリーセル』というゲームについて、
『−1面を選択すると絶対クリア不可能な隠し面が出現する』という
裏技の存在を知った犬。
犬「え!そうだったの?知らなかったー!」
実家に帰ったら是非試してみたい技である。

実際試したら本当だった。ありがとう、『パソゲー辞典』。

はっきり言って、お役に立つ本である。是非買おう!ていうか、犬は
ちゃんと冬コミに行って買おうと思った。
今年の冬は、コミケで自分の携わった本を買うというのでキマリ!

…実は、密かに宣伝だったりするのか?
犬「それは、秘密です(某謎の神官ゼロ○の真似)」

***

さあ、この喜びを誰と分かち合おうか!これで、犬も今度の冬コミで
同人業界に初デビューである!

実家に電話をかける犬。父はカタギさんだが、犬の趣味を良く分かって
くれていて、キャラ構成や世界観などに色々有益なアドバイスをくれる
精神科医である(本当に色々お世話になってます)。
「お前、夢見てるのもいいが、それが世間に通用するか、試してみたら
どうだ?」と、かつての自分にとっては非常に痛い言葉をくれた事が
あるが、そんな父にこそ、この喜びを伝えたい。

プルルルルルル、プルルルルルル…ガチャ
犬「あ、家ですかー?俺です、Aです(本名)」
母『あ、久しぶりー』
受話器を取ったのは母であった。
A犬「ああお袋、親父はー?」
母「ああ、まだ帰ってきてないけど」
A犬「ありゃ、そうですか…」
やや残念な顔になる犬。まあ、いい。後で電話すればいいだけの話だ。
母「ところで、A、あの、冬休み、いつ頃帰って来れる?」
A犬「…は?」
母「決まってないなら、12/24、大学が終わったらすぐに帰って
来て欲しいんだけど」
A犬「…え?え?え?」
話が変な事になってきた。
母「私の実家(富山にある)のおじいちゃんとおばあちゃんの結婚
記念日なのよー、顔見せてくれなーい?」
A犬「あ、あの、12/24ですか?」
母「そうよ。もちろんその後、こっち(金沢)帰って来れるわよね?」
A犬「…」
母「…もしもし?A?聞こえてる?」
今年の冬コミの開催日がいつか、犬は知らない。が、12/24より
後である事だけは確かだ。これでは冬コミになど行けないではないか。
しかし…それを言う訳にはいかない。大学受験の際、何かとお世話に
なった母の実家を引き合いに出されてはどうしようもない。まさか、
「冬コミ行きたいから嫌だよーん」などと言えるはずもない。
母「…A、ちょっと、聞こえてる?また電波状態でも悪い…」
犬は、静かにCDMAー○neをオフにするしか方法がなかった。

天国から地獄。頭を何度も死ぬほど壁にぶつけながら、またしても
天国かどこかへ旅立たんとするパトラッシュ犬二号。

***

次回予告!
栄光と没落。犬は果たして今年の冬コミに行けるのか!?
次回!「結局実家には勝てませんでした」乞うご期待!

ちなみに、予告は変更または無期延期する場合がございます。

***

あとがき

今回は犬一人でした。例の二人は登場しませんでしたが、まあ
たまにはこういうのもOKかな?まあ、そんな訳でして、今回も
同人関連の話になりましたが、皆様、いかがだったでしょうか?
楽しんで頂ければ幸いです。次回こそ何か別のネタで行って
みようと思います。



では、また「FARGO」か「小犬」か「ネコ」でお会いしましょう。

ちなみに、これはJ・さいろー先生のHPです。今回の投稿に関して
快諾して下さって、改めて深く感謝致します。↓
http://www.din.or.jp/~sairo/