月とネコキャット団・2  投稿者:犬二号


まえがき

犬「うわははははは!月とネコキャットだーん!」
少年「うわあ!いきなり壊れてるよっ!」
巡回員「この野郎!また<ネコ>書く気か!」
犬「わはははは!そーでーす!いやー、鬱の時に<呟き>
    書いて、全部書き終わったら今度は躁になっちまった!
    いやーマイッタマイッタ!」
(精神病の中に躁鬱病というのがあります。すさまじく
落ち込むか、無駄に明るく注意力散漫になるかを何度も
繰り返すという、本人にとっては何かと辛い病気です。
寝潰れると結構楽になるんですけどね)
少年「どうする?」
巡回員「…放っとけ。また直ったらちゃんと<怠惰>書く
        だろうよ。以前もそうだったろ?」
少年「分かった。でも、本当にしょっちゅう壊れるね、
      この犬は。狂犬病かな?」
巡回員「こいつは別に水を怖がらないだろ。単なる狂った
       犬なだけだ」
犬「はははマッドドッグ・タネーン!(映画「バックトゥザ
    フューチャー3」ネタ)」
少年「…殺した方がいいと思うけどなあ」
巡回員「うーん…」

***

あらすじ

心寂しい女性に、心の支えを与えるという宗教団体ニャーゴ。
イクミ、ユイ、ハルカの三人は、それぞれの肉親のため、
ニャーゴに潜入するが…
今回は、ハルカの話からです。

***

月とネコキャット団・2

第3章
紫がかったウェーブの髪の少女はハルカといった。
彼女はC棟に配属された。そこで受けたのは、精練という名の
拷問だった。

え?陵辱?
違う違う、そうじゃない。それじゃどこぞのファーゴと同じじゃ
ないですか。
ここでの精練の内容は、猫嫌いの女の子の根性を叩き直すため、
檻の中に猫を沢山放つというものだった。

「ぎゃああああああああっ!」
あ、始まった。

「いやあああっ!ネコが、ネコがああああっ!」
檻の中で、ハルカが青い顔で叫んでいる。その目の上には、猫が
一匹正座していた。
それだけではない。
伸ばした手の先にも猫の腹のもさもさとした感触が、
首筋にも猫の尻尾のぬらぬらとした怪しい蠢きが、
服の上からも猫の爪のチクチクした感触が、
太股にも猫の舌のジャリジャリした湿り気が、
ありとあらゆる部位から猫の感触が伝わってくるのだ。
「ね、ねこ、猫、ネコー!うぐ…」
鼻と口に、かつて無いほどの嫌な感触が走る。猫の肉球が、
あのプニプニとした物体が、偶然だろうか、ぺたり、とハルカの
鼻を塞いだのだ。口に至っては、足そのものが、ずぼっ、と入って
しまっている。呼吸が出来ない。
「う、うええええ…」
ハルカは、胃の底から込み上げてくる黄色い液体を、理性の力で
何とか押さえ込んだ。
(死因は猫の手による窒息死…いやっ!それだけはいやああっ!)
じたばたもがけばもがくほど、猫の感触が皮膚を伝って肉にまで
入り込んでくる。
いや、感触だけではない。実際に、服の中に、猫が数匹もぞもぞと
入り込んできていた。
「んむ…うぐっ!ん…」
堪えきれない嫌悪感に、遂にハルカは泡を吹いて気絶した。

教団員が、ぐったりしているハルカを精練の間から放り出す。
「痛っ!」
「精練終わり。さっさと寝ろ」
「ちょ、ちょっと…」
「以上だ。じゃあな」
捨て台詞を吐くと、教団員らはまた精練の間に戻ってしまった。
「…くう…」
ハルカは、涙声でそう唸ると、よろよろと共同部屋に向かった。

共同部屋は、猫ではなくて人で一杯だった。信者がすし詰めに
されているのだ。気絶して倒れるのにも一苦労である。
とにかく、壁際の空いている場所を見つけ、ハルカは腰を下ろした。
「ふう…」
何も考えたくなかった。
大嫌いな猫におしくらまんじゅうされるのが、あれほどだったとは。
猫嫌い…
ハルカの義兄、リョウスケもそういう人だった。
猫嫌いの、いい人だった…
「猫嫌い」は「いい人」とは関係ないかも知れないが。
その猫嫌いの義兄が、ニャーゴの教団員として働いている。
(何をしているの、リョウスケ…)

そのまま、崩れるようにして、寝た。

夢の中で、猫の大群に襲われ、うなされた。
「いやあああああっ!」
「そこ、うるさい!眠らせろ!」
周りの信者に鳩尾と首をどつかれ、今度こそ深い眠りに落ちた。

(続く)

***
犬「あとがきこーなー!」

少年「今回のスペシャルサンクス!」
巡回員「実家の猫、ステラ(2才推定、♀)!」

ステラ「にゃー!(実家から電話)」

犬「うおー!ステラー!可愛いぞ!お前、めっちゃ可愛いぞー!」
少年「ああ、地が出てるよ、こいつ」
巡回員「猫嫌いの犬の家全体が、こいつが来てから一気に猫好きに
        なったというから、相当なもんだぞ、この溺愛ぶりは」
犬「だって、こいつ、猫のくせに可愛いんだぜ?他の猫でも、
    これほど可愛いと思える奴はいないって」
少年「主観的な意見だねえ」
巡回員「猫嫌いな読者もいるんだから、気をつけろよ」
犬「でもさ、こいつみたいに外で用を足す猫なんて、そうはいないぞ」
少年「そうなの?」
犬「1年前に迷い込んで来たんだが、その毛並の良さとか、既に
    避妊手術を受けてる事から察するに、どこかの家で飼われて
    いたんじゃないかと思う。その際に、トイレの躾もされて
    いたんじゃないかな」
巡回員「でも、そいつ、吐くじゃないか」
犬「そうなんだよ、猫は毛並を整えて臭いを消すために、体中
    舐めるからなあ。どうしても毛が喉に詰まって吐く事に
    なるんだよ」
少年「ノミ連れてくるしね」
犬「ああ、あれが布団に着いた時には災難だった。でも、可愛いから
    許す!」
少年「やれやれ…」
犬「まあ、猫を飼っている経験を、このSSで生かしてます」
巡回員「でも、既に猫SS書いている人に追い付くにはまだまだだな」
犬「…言うなよ、分かってるんだから…」

犬「そして、もっとスペシャルサンクス!感想を下さった皆様!」
少年&巡回員「本当にありがとうごさいます」

○はなじろさん
「感想だけですけど宜しいでしょうか?(←パクリ気味)」
ヒトでない種族がヒトを理解しようとして、ヒトデナシな
空間であるファーゴを脱走するというシナリオです。最初
書いているうちはそんな事考えている余裕すらなかったの
ですが、終わり頃になってようやく話の方向性と終わらせ方を
見つけて、ああいう形になりました。

○高砂蓬介さん
「歌姫のティータイム 第三話」
深錫(ミスズ?)君、よく気が付くいい奴。でも、澪の
心の中にいるのは、深錫君じゃなくてやっぱりいなく
なってしまった浩平なんだろうなあ。うーん。
感想の感想ですが、難しい内容でしたか。僕もそう
思います(苦笑)。今、同じ物書けって言われても
無理っぽいです。ていうか、無理です。

○神楽有閑さん
「今回は感想のみ」
説得力…あったんですか?あんな僕の寝言SSに、
もったいないお言葉です。書いた事を後悔しなくて
よかったです。多謝。

○矢田洋さん
「嘘予告」
ゲルマン忍法!懐かしい響きです(どこで聞いたんだっけ)。
みさき先輩大暴走がいい感じ。本当にこんな話だったら
カッコイイなあと無責任な事を思いました。
感想の感想ですが、幸いにも無事にこっちの世界に帰還する
事が出来ました。多謝。
「Graduater〜グラディエーター〜」
繭が、卒業式を通して大人のステップを自らの意志で
踏み出した所がいい感じです。僕が設定資料集でしか
知らない繭エンドが、リアリティを持って胸の中に
広がりました。
感想の感想ですが…誤植!しまった!ごめんなさい
矢田洋さん、それに皆様!我ながら何でこんなに
早く書けたのか不思議と思ってたけど、そのぶん
文字間違いに気が付かなかったようです。
哲学は、誰かの人生の指標であるべきだし、それ
以外の何かであってはならないと思ってます。
強いて言うなら、別の誰かの哲学のための部品にしか
なれません。だから、あの悪魔の青年の哲学も彼に
とっては人生を左右しえても、他の誰かにとっては
(さらには今の僕にとっても)いかがわしい戯言か
何かでしかなかったのです。
ですから、あまり深読みしないで結構ですよ。

○変身動物ポン太さん
「感想SS”中部SS作家座談会”ー途中参加記念(←おい)」
データとばしの件は…トホホ。今後から気をつけます。
>ゲーム本編をやってない私に、いつもこのSSで「MOON.」の雰囲気を
>味あわせてくれる犬二号様、ありがとうございます。
もったいないお言葉です。多謝。

○シンさん
「感想だよ(byだよもん) 1/2」
全部に感想を下さってありがとうございます。多謝。
確かにA棟巡回員はヤケになってます。「ロスト体が
A棟に出没する事はないだろう。万が一の時は、その
時はその時だ」くらいの殺那的な気持ちにはなってます。
ファーゴの男たちも暴力は怖いはずです。ロスト体との
戦闘で、いつ何時死ぬか分かりませんから。その分、
いつもの信者に対する態度がよりいっそう暴力的になると
見ています。
僕は一時的に発狂して、後で戻ってくるという高等な芸当が
出来ないので、狂いかけた時に狂気を全部吐き出す以外に
術がないのです。大きな声では言えないのですが、実はこの
SSもそういう悲鳴を文章化したものです。
オーガズムってのは性的絶頂感の事です(辞書で調べた
訳ではないので、多少の誤りはあるかも知れません)。
全体的に分からない寝言でごめんなさい。リハビリSSは
書き終わると自分は楽ですが、「所詮は自称クリエーターの
醜悪なるオナニーじゃねえか」呼ばわりされても仕方がない
代物です。それなのに感想を下さるシンさんや皆様には本当に
感謝します。

いつか、感想をもらうだけでなく、ちゃんと皆様の分の
感想も書きたいです。

犬「では、今日はこの辺で!」
巡回員「今度こそ<怠惰>書くらしいぞ!」
少年「さようならー!」