A棟巡回員の怠惰なる日常・6 投稿者: 犬二号
まえがき

8/20、午前十時。犬二号、「怠惰・6」書き込み開始。
犬「今回は長いから、書くのに疲れるぜ。やれやれ」
そして午後二時、悲劇は起こった。
犬「そろそろ終わりだな・・・あれ?」
犬が、文字を打ち間違えた。よくある事だ。しかし。
犬「・・・ESCキー?」
気がついたら、内容が真っ白になっていた!

犬「何いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいーっ!」

こういう事もあるさ、犬。何事も諦めるな、犬。未来はきっと君に微笑んでるよ?
・・・多分。(;_;)

***

あらすじ

「りーふ図書館」にはもう行ったかな?検索エンジン、ヤフージャパンを使えば
一発だ!そこに今までのが保管されてるから、読んでくれると犬は嬉しいぞ!

巡回員「あーあ、バグってやがる。俺が主役だ。よろしくな」
少年「今回は出てきません、脇役です。それにしても、大丈夫かな、犬?」
犬「さあ!18才以上の君は、<月>をプレイして胸の重い痛みにひたろう!」
巡回員「・・・駄目だ。壊れてる。じゃ、俺らが夕飯を食べに行く所からだな」
少年「そうそう」

***

A棟巡回員の怠惰なる日常・6

今日の夕食は、ホウレンソウとベーコンのオムレツだった。
「すみませーん、パン下さーい」
「あいよ」
食堂のおっちゃんに食パンをもらう。
「おーい、ここ空いてるぞー」
「ああ、わかった、今行く」
俺達は空き席を占領すると、さっそくパンでオムレツを包み出した。A棟で留守番
してくれている同僚たちのための、簡易サンドイッチだ。
「それにしても、今日は何か空いてねーか?」
いつもより少し遅く来たので(俺がサボって昼寝してたせいだ)、てっきり食堂が
満員になってるもんだと思っていたのだが、さほどでもなかった。
「やっぱ、昨日のC棟のロスト体騒ぎのせいだろ。ほら、C棟巡回班だけ、綺麗に
いなくなってる」
「ああ、言われてみると」
「まだ、姿を消したっきりだからな、例のロスト体」
以前にも言ったような気がするが、ロスト体というのは、超能力の受容に失敗した
信者の事である。超能力が受容されていく過程で、信者の脳にすさまじい負担が
かかるらしく、それをいかに耐え抜くかが、成功体であるコントロール体と、
失敗体であるロスト体を分かつ試練となる。
ロスト体は、周期的に変性意識に入る。攻撃衝動が全てとなり、目に付く限りの
ありとあらゆる生きとし生ける者を見境無しに虐殺していくのだ。それも、念力を
使ってである。ヒステリーを起こした母親が金属バットを持ってやかましい子供
たちを殴り殺していくのより始末が悪い。金属バットならヘルメットで防ぎようが
あるが、念力はどうしようもない。先手必勝で見つけたら殺すしかないのだ。
放っておけば狂い死ぬらしいが、そこまで待ってられん。
「とりあえず、俺らA棟巡回班も、注意しとけって言われたよ」
「お前、昼間サボって寝てたくせに」
「う・・・」
それを言われては返す言葉がない。ロスト体に対する警戒や、非常時の戦闘も
巡回員の重大な任務なのである。サボった俺が悪い。
「この前、一人信者が逃げたでしょう。今度もまた、既に逃げた後かも知れない
ですね」
「あー、あるあるある」
「でも、大丈夫ですかね。ファーゴの信者が変死体で発見されました、なんて
マスコミとかうるさいでしょう?」
「ん、それは確かに。でも、あんまりこういう所で話すべき話題じゃないな」
他の教団員たちがいる中で、彼らの不安を煽ってもしょうがない。自分の首が
危なくなるだけだ。
「ま、そうでなくても、他棟にいきなり出没って可能性もあらあな」
「うわー、やな事言う」
ロスト体が行方不明になる事はそんなに珍しいことでもないが、それは大抵倉庫で
冷たくなっていたとか、悪魔(憶えてない?超能力の源である、人の姿をした
化け物共だ)と遭遇して、逆に念力で粉末レベルにまでバラバラにされてしまった
かのどちらかである。今まで、ロスト体が他棟に出没したという話はついぞ聞いた
事がない。だから、C棟で騒ぎのあった翌日に、俺なんかがのうのうと昼寝して
られるという寸法だ。
「そう言えば、確か、例のロスト体に移植したのが・・・」
「ああ、今、A−12の同居人やってる」
「例の、悪魔のガキだったな」
「心境、複雑だろうな」
「そーかなー?あいつ、人類そのものに対して、ものすごい蔑みがあるように
見えるがなあー?」
「・・・まあ、あいつ、俺らに対しても結構トゲトゲしかったりするしな」
「移植も、何か仕事だからやってるって感じだしな。一度、エライ事を口走ってた
事がある。<君たちの世界では、男娼って言うんだろ?>だとよ」
「だ、男娼・・・」
「意味は違うが、ニュアンスはわかるな・・・」
悪魔から人間への超能力の移植には性行為が伴うという事は既に述べたと思うが、
しかし、男娼とは・・・
「でも、所詮、やってる事は強姦にゃ変わりないじゃないか」
「やってる事はBC棟の奴等と同じ、て言うか、あのガキ共がいるからBC棟の
奴等が好き勝手絶頂やってられんだ」
「そうだよな。BC棟の奴等とどこが違う・・・ん!?」
俺は、背筋に冷たい物を感じた。出来るだけさり気なくその悪寒の源の方へ視線を
向けると・・・
「・・・好き勝手絶頂か。ふん、A棟の連中はいいよなあ、汚い事は一切せずに、
俺達を罵ってりゃ済むんだからな」
(・・・げ)
多分、皆同じ呟きを、驚きと脱力感混じりに胸中で呟いただろう。緑がかった
ウェーブの髪と、蛇のようにしつこそうな濁った光を放つ眼差し。若き野心家、
コンプレックスの塊、女を苛め抜くのが何より楽しいという、俺達には永遠に
理解不能な性的倒錯の持ち主(そんな事言ったら野心家と性的倒錯者に失礼か)。
B棟総責任者、高槻涼が、俺達に向かって究極に皮肉そうな含み笑いを、一つ
向こうのテーブルの上に浮かばせていた。

(続く)

***

あとがき

犬「さて!特別企画、登場キャラに質問のコーナー!(まだバグ気味)」
二人「イエーイ(やる気無さげに)ぱちぱちぱち」
犬「今日の登場キャラは・・・高槻涼さーん!」
高槻「何だ、お前ら。何でこんな所で部外者と一緒に油売ってる」
犬「高槻さんにインタビューです。<高槻さんの右腕は、ジャ○ウォックに変形
しますか?>」
高槻「<少年日曜>の<腕>ネタか・・・言っとくが、ファーゴはエ○リゴリとも
ブ○ーメンとも関係ないし、俺の下の名前は<月>ファンたちの間で、<腕>に
因んで付けられた、そう記憶している。本編じゃ名字しか出してなかったんだが、
それがこういう結果をもたらすとはな」
少年「じゃあ、変形とかしないんだ」
高槻「当たり前だ。お前じゃあるまいし」
犬「はい、どうもありがとうございました」
高槻「あばよ。飯がまだ終わってないんでな」

巡回員「で、バグは直ったか?」
犬「ああ、何とか。次回は失敗しないぞ。安心してくれ」
少年「どうかなあ・・・」
犬「では、またお会いしましょう!」
二人「さようならー」