A棟巡回員の怠惰なる日常・2 投稿者: 犬二号
あらすじ
正解は1でした(前回参照の事)。
A棟巡回員(以下「巡回員」)「おい」
正解の1・悪魔の少年(以下「少年」)「ん?」
巡回員「ん?じゃねえ。あらすじになってないだろ、これじゃ」
少年「しょうがないよ。作者も深く考えてないみたいだし。それに、この前まで
風邪でダウンしていたらしいからね」
巡回員「ダウンしている間に、SS十数話分すっ飛んでしまったじゃねえかよ。
遡るのが面倒くさいって読者もいるだろうが」
少年「だってさ、作者」
犬二号(以下「作者」)「・・・ごめん」
巡回員「それと、前回は誤字や変換ミスが多かったよな。初投稿にしても、少し
酷すぎやしないか」
作者「・・・ごめんなさい。反省してます」
少年「それに、北一色さんに質問してみたはいいけど、大外れだったみたいだね」
作者「うーん、クレイモア地雷やスタングレネードは○ーザスにも出てきたから、
てっきり当たりかと思ったんだけどなあ」
巡回員「じゃ、真のあらすじを」

***

真のあらすじ
謎の偽装宗教団体にして超能力研究機関「ファーゴ」。
この話は、ファーゴA棟研究員の視点を通じて、ファーゴという謎の組織の
一側面に迫ってみようという意図の下に作られたSSです。
とりあえず、「月改」7日目の起床から午前にかけて描いてみました。
遅々として進みませんが、気を長くして読んだり読み飛ばしたりして下さい。

***

A棟巡回員の怠惰なる日常・2

「お・・・お前は・・・」
折角暇が出来たから、昼まで寝潰れようと思って安息室に入ったはいいが、そこの
たった一つしかないベッドを占領している奴がいた。
「やあ。どうしたんだい」
完璧な白髪と茶褐色の肌、金色の瞳。渋谷辺りにいそうな、しかし渋谷には絶対に
似合わないあどけない笑顔の少年。一見そう見えるだろうが、こいつこそが超能力
研究機関ファーゴの要。超能力、変身能力、そしてヒトの遺伝子を有する、ヒトの
姿をした化物。ファーゴにおいては「悪魔」と呼ばれている存在の一人である。
当たり前だが、あんまりいい待遇は受けていない。知能は人並みなので、上の方に
教団員として利用されてはいるが、基本はモルモット、実験「動物」なのだ。
こいつだってたまたま現在教団員として利用されているだけだが、いつまた
被験者に戻るかわからない。そういう極めて危うげな立場にいる。
名前は・・・知らされていない。「知らんで済む事は詮索するな」という不文律に
従って、とりあえず俺たちA棟教団員は「同居人」とだけ呼んでいる。最近、この
A棟に配属された新入り信者、A−12の監視がこいつの新しい任務らしい。で、
彼女の個室に同居しているのでそう呼ばれている。
「どうしてこんな所にいるんだ、お前」
「眠いから」
「だったらAー12の個室で寝てろ。今はA−12は修行中だろう」
「ええ?でも、郁未は、そういう事結構気にするからね。ベッドを勝手に使ったと
バレたら、当分口きいてくれそうにないしなあ」
このガキ。
さっきも言ったと思うが、こいつ、任務のために、A−12(天沢郁未という名前
らしい)と一緒の部屋を使っているのだ。若い男女が同居してやがるのだ。畜生。
羨ましいぞ、任務とは言え。
いつかこいつの監視対象のA−12に、こいつが捕まった時の時の異形の姿を収録
してあるビデオテープを見せてやりたい。その時のこいつらの動向が見物である。
しかし、どうやって見よう・・・止めた。バレたら後で俺が上に叱られる。
「それに、昨日は寝てる間に、C棟で<移植>があるのをいきなり思い出して、
途中で起きたんだ。頼むから、このまま寝させてくれないかな」
「・・・ふん。移植か」
ファーゴで信者が超能力を獲得するのには、「移植」と呼ばれるプロセスを
経なければならない。それは具体的にどんなものかというとだな、オスの悪魔が、
人間の女を抱く・・・という、何かものすごく問題のある方法である。何か、
因子がどうだとか、元型を焼き付けるとか、色々な事情があって、その方法が一番
合理的かつ効率的なんだそうだが・・・生物学的に言えば大いに倒錯である。何せ
「異種間」交合なんだから。
こいつは「その時」にはかなり「人間的」に(他の教団員に比べれば、の話だ。
この事については後で詳しく述べる)振舞うらしいが、それでもこいつを人間と
認めるのは無理だと思う。人間は絶対に「あんな姿」には変身出来ない。
「あの姿」を見て、これが人間であると言える奴は皆無のはずだ。
こいつの本来の任務は本来その「移植」なのだ。だから、A−12ともいつかは
交合をするという訳だ。いや、ひょっとしたらもう俺たちA棟の意向を無視して
既にやってしまった後かも知れない。
(このガキ、羨ましすぎるぞ。俺だって、いつかは足腰立たなくなるまでそういう
事をやってみたかったりしてだな・・・)
おっと、何を考えてんだ。BC棟じゃないんだぞ。
「まあ、そういう訳だから、寝させてくれるかな」
「何が、そういう訳、だ。俺はまだうんと言ってないだろ。大体お前、A棟には
空き部屋がまだ四つも」
「それと、昼まで起こさないで欲しい。頼む」
「・・・う・・・ぬ・・・」
俺はここで寝る事を諦めた。こいつの何言っても無駄のような気がする。それに、
他の棟で教団員の一人が悪魔の一人を乱暴に叩き起こし、寝惚けながら腹を立てた
その悪魔に超能力で金的を潰されたという話を聞いた事がある。そればかりは勘弁
して欲しい。
「しゃーねえ。ちゃんと昼になったら起きやがれ」
「ありがとう」
俺は、悪魔のガキを放ったらかしにして、別の寝床を探した。
それにしても、何か悔しい。
(あのガキ、上にチクってやろうか?)
いやいやいや、止めておこう。俺はこれでもA棟教団員だ。もう少し「いい人」で
いたい。BC棟の奴らみたいな「悪役」はごめんだ。
そう、あいつらみたいにはなりたくない。それが、薄っぺらいながらの、俺たち
A棟教団員のプライドだ。

あ、そうだ、BC棟について語ろうと思う。
BC棟では、信者の扱いがA棟とは天と地程の開きがある。それは大方「精錬」と
呼ばれる修行の有無によるものである。精錬とは・・・
さっき移植について語ったと思う。あれと同じだ。ただ違うのは、人間の男たちが
人間の女を、そしてトラウマになるくらい無理やりにという点だ。それって普通、
輪姦と言わないか、だって?そうだよ、それそのものなんだよ。その意味で、俺は
A棟巡回員で本当によかったと思う。確かに禁欲的な生活を迫られはするが、それ
でも性犯罪者になるよりは何ぼかマシだ。
そういう事情もあって、BC棟教団員には外道な奴が多い。特に有名なのは、B棟
総責任者の高槻って奴で、こいつ俺とそう年は変わんないくせに、何やら知らんが
政治的手腕は抜群で、数ヶ月で総責任者にのし上がり、それからは全ての精錬に
ほとんど毎日参加しているという。女にものすごいコンプレックスを持っている
らしく、「俺みたいな屑にいいようにされて、悔しいだろう、泣けてくるだろう。
さあ、泣き喚け!」とか言いながらやりまくっているらしい。一度、B棟で事故が
発生した時に、部下ではない俺に偉そうに命令したり怒鳴ったりしたのでかなり
腹立った。俺は協力要請があったから、わざわざB棟まで出向いてやってるんだ。
ふざけるんじゃないっての。

ああ、腹が立ったら目が醒めてしまった。
よし、仕方ない。巡回だ。

(続く)

***

あとがき

うわあ、時間が足りないよう(焦る)。
うちの大学はパソコンを使っていい時間が決まっているので、それを超えると
強制的に通信が切れるのです。ですから、前回も慌てて点検もしないで出したら
あんな事になってしまったのです。済みません。
しかし、A棟研究員の視点からファーゴという世界を語らせてみようと思って
書いてみたんですが、たった一日の事を書き記すだけでこんなに長くなるとは
思っても見ませんでした。というより、僕が単に長々と文章を書くタイプなだけ
なんですけどね。
ゲーム本編の世界観を極力壊さないように気をつけて書いてます。

それにしても、1だったのか。まあ、そのつもりだったけど。
少年「ま、お約束だね」

>感想を下さった皆様へ
とても嬉しかったです。この場を借りて、感謝致します。

では、また近いうちに投稿します。
巡回員「また、気がついたらこのSSも50話くらい飛ばされてたりな」
少年「駄目だよ、そんなリアリティ溢れる怖い事言っちゃあ」
・・・言われ放題だなあ。