闘えっ!!七瀬改第4話その1 投稿者: いいんちょ
『闘えっ!!七瀬改 第4話 女の闘いっ!!!その1〜崩壊への序曲(プレリュード)〜』

繰り返される日常風景。
それは今日も同じ。
教室に入るなり折原浩平は七瀬留美に挨拶をする。
「おっす、七瀬」
「あ、折原、おはよ」
七瀬はいまいち浮かない顔をしていた。
「どうした、七瀬」
「あ、うん…なんでもない」
「そうか?ならいいけど。
七瀬が元気ないとオレまで元気がなくなるから元気出せよなっ」
「うん…」
それでも七瀬はどこか元気がなかった。
(あんな夢見たあとで元気出せって言われても…)
そんな2人を見つめる視線。
「どうしたの、瑞佳」
「え…?なに、佐織」
「なんか、恐い顔してたよ」
「な、なんでもないよ」
ふと、近くの席に瑞佳と同じような、いや、さらに険しい視線を2人に向けている女生徒がいた。
(広瀬…さん?)
浩平は席につくと隣(斜め後ろ)に座る住井にも挨拶をする。
「おっす、住井」
「おうっ、折原。今日は早いな」
「たまにはな。オレはやる時はやる男なのだ」
浩平は訳の分からない事を言い胸を張る。
「ところで住井、なんかオレの机傾いてないか?」
「そうか?」
「それから教卓にもなんか角度がついてないか?」
「気のせいだろ?」
「じゃあ、あの額縁なんかは微妙にずれてないか?」
「目の錯覚じゃないか?」
「あと、時計も少し重心が変じゃないか?」
「じゃあ、きっと教室自体が傾いてるんじゃないか?」
「ああ、そうか」
妙に納得した顔を浮かべる浩平の横で、住井は舌打ちをした。
(もしかして、この前の基地の自爆で本校舎まで傾いてるのか?)
と、いつものように髭が姿を現した。
「んあ〜、出席をとるぞ〜」

いつものように、退屈で、なんの役に立つのかも分からない内容の授業が進む。
そしていつものように折原浩平は熟睡していた。
「う〜〜ん。七瀬、いつものように首都高の族を得意の百人斬りで壊滅してみせてくれ…」
「どんな夢見てんのかしら…」
半ば呆れつつ七瀬は後ろを見やる。
無邪気な寝顔だ。
と、七瀬は自分の方を見る、敵意さえ含んだ視線を感じた。
「瑞佳!?じゃないわね…」
瑞佳はまじめに授業を聞いている。
周りを見回してみたが、結局その主が誰であるのかわからなかった。
(何にしてもしばらくは変身なんてしたくないわね。
あんな夢が正夢になったりしたら洒落にならないわ)
「じゃあ、この辺りは来週の試験に出るからしっかり勉強しとけよ。
今日はここまで」
そう言って先生が出ていく。
いつもより少し早く訪れる昼休み。
「ふぁああ〜〜あ。ん?もう昼か」
浩平がちょうど目を覚ました。
そこに繭がやってくる。
「ん?椎名は今日も購買か?」
「うん」
「がんばって一人で買って来いよ」
「うん…」
しかし繭はその場を去らずに黙り込む。
何かを我慢しているようにも見える。
そして…
「みゅ〜〜♪」
「って、ぎゃ〜〜」
とうとう我慢できずに七瀬のおさげにぶら下がった。
「ちょっと折原、これ何とかしなさいよ」
七瀬はおさげにぶら下がるものを指差して抗議する。
「そうだな、その卵焼きと引き換えになら考えてやらん事もな…」
七瀬の瞳は今にも炎を吹きそうだ…。
「椎名、早く購買行ってこい」
「…うん」
繭も七瀬に尋常ならざるものを感じて購買へと行った。

そんな浩平達のやりとりを睨む女生徒、広瀬真希。
いつもならば浩平達に混じって昼食をとっているところだが、瑞佳はそんな広瀬を観察していた。

土、日を挟んだ月曜日。
テストの初日だ。
「おうっす、七瀬」
朝、浩平がいつものように教室に飛び込むと、七瀬が自分の席に座らず、その横で立ちつくしていた。
「どうした、七瀬。いつもの核融合のような明るさはどうしたんだ?」
「どんな明るさよ…。それよりこれを見てよ」
七瀬の席に近づいていって、浩平はその椅子を見下ろす。
窓からの陽を受け、白く輝くのっぺりとした丸いかたまり。
…トリモチだ。
トリモチがひとつ、スライムみたいにぼてっと七瀬の椅子の上に鎮座していた。
「トリモチか。昔はよくトンボを採るのに使ったものだな」
「あんた、いつの生まれよ…」
「で、これがどうかしたか?」
「どうかって、気付かずに座っていたら大変な事になってたわ」
「いや、気付くだろ、普通」
「………」
七瀬は黙り込む。
「どうした。こんなものどければ座れるだろ」
「偶然にこんなところにトリモチが落ちていた、っていうならそれで済むわよ」
「違うのか…?」
「んなわきゃないでしょっ」
確かに。
偶然椅子の上にトリモチの落ちてるような学校になんか行きたくはない。
「親切心からかも知れないぞ。おまえの制服についてるごみを取って綺麗にしてくれようという…」
「制服からトリモチが取れなくなるわよ…」
「粘着力が強すぎるか」
「弱くても、無理だと思うわよ」
七瀬は呆れ顔で言った。
「じゃあ他にどんな理由があるって言うんだ」
「事件よ、これは…。悪意を持った行為。誰かがあたしを飢え死にさせようとしている…」
「おまえ、トリモチがケツについたくらいで飢え死にするまで動けないのか?」
「粘着力が弱すぎるかしら」
「強くても無理だと思うぞ」
「でも、狙われていることは確かね…」
「考えすぎだろう」
「だってねぇっ…」
「おっと、テストが始まるぞ。話しは後だ。座れ」
「うん…」
浩平と七瀬はさっと自分の席に座る。
べちゃ。
「くわ………」
「どうした、七瀬?」
「は…うぐっ……」
「おまえ、まさか、取るの忘れた…?」
こくんこくん。
「あれだけ深読みしておいて、安易にかかってしまうとは哀れなヤツ…」

1時間目のテストが終了し、皆一斉に安堵のため息をついたり、絶望の奇声をあげる。
「ねぇ、ちょっと来てほしいんだけど」
「どこへだ…?」
「ぐあ……」
席を立とうとした七瀬は、トリモチのせいで立ちあがれずに転びそうになる。
「…ここでいいわ。ね、見たでしょ」
「コケかけたところか…?」
「やっぱり狙われてるのよ、あたし…」
「でもあれは、おまえの不注意だろう」
「あたしが気づかずに座ってたら、同じ結果になってたって言いたいのよっ」
「オレには、そのトリモチすらも、おまえが不注意で落としたんじゃないかと思えてきたけどな」
「んなわけあるかぁっ!」
そう言いかけて、七瀬はここが教室であることに気づき思い止まった。
「そんなわけないでしょ…」
小声で言い直す。
「ねぇ…」
「なに」
「こんなこと、あなたに頼むもんじゃないかもしれないけど…」
「ああ、そのとおりだ」
七瀬は浩平のその言葉に何かを必死で堪えているようだ。
「この事件の犯人を突き止めて」
なぜか、そういうことになった。

放課後――
「浩平〜っ、帰ろっ」
「おうっ」
テストが終わり瑞佳が浩平を呼ぶ声がする。
「って待ってよ」
七瀬が呼び止めた。
「トリモチ取るの手伝ってよ…」
「そうだな…」
瑞佳が二人の元へとやって来た。
「七瀬さんも、一緒に帰るよね」
「…遠慮しとくわ」
「えっ、どうして?」
「悪い、長森。やっぱり今日は繭とでも帰ってくれ」
「みゅ〜♪」
「えっ、浩平までどうしてだよっ。
せっかく一緒に帰れるんだよ」
「いや、ちょっと今、七瀬の厄介事を引き受けてる最中なんだ。
あ、そうだ長森。最近、七瀬の周りをうろつく不審者を知らないか?」
浩平の問いに、瑞佳は不意に、ある人物の顔が浮かんだ。
が、瑞佳はそれよりも浩平の態度が気にいらない。
「知らないよっ」
瑞佳はそう言うと怒ったように繭を連れていく。
「何を怒ってるんだ、あいつは…」
「…鈍感」

次の日、浩平が下駄箱まで来ると、ちょうど住井が上履きに履き替えているところだった。
「おっす、住井」
「おうっ、折原。勉強したか?」
「おうっ。現国も歴史もバッチリだ。オレはやる時はやる男だからな」
浩平はまたもや訳の分からない事を言い胸を張る。
しかし、側にいる瑞佳と住井は複雑な表情だ。
「浩平…」
「折原、今日は現国じゃなくて古典だぞ。それに歴史もない。両方とも明日だ」
「なにっ!」
「はぁ…。あとで少し教えてあげるよ」
横で瑞佳がため息をついた。
「すまん。頼む」
3人で教室へと向かう途中、浩平は住井に聞く。
「ところで住井、なんか下駄箱傾いてなかったか?」
「そうか?」
「それからあの教室のプレートにもなんか角度がついてないか?」
「気のせいだろ?」
「じゃあ、あの掲示板なんかは微妙にずれてないか?」
「目の錯覚だろ?」
「あと、そこのロッカーも少し重心が変じゃないか?」
「じゃあ、きっと廊下自体が傾いてるんじゃないか?」
「なるほど」
妙に納得した顔を浮かべる浩平の横で、住井は舌打ちをした。
(歩きながらでもわかるくらい本校舎が傾いてるのか?)

「うぃっす、七瀬」
七瀬がまた自分の席に座ろうとせず、立ちつくしている。
「どうした、またトリモチか…?」
そう言って浩平は後ろから首を伸ばし、のぞき込んでみる。
が…それらしきものは見あたらない。
座布団が置いてあるだけだ。
「なんにもないじゃないか」
「あんた…それでよくあたしのボディガードが務まるわねぇ…」
「ボディーガードまで承った覚えはない」
しかし、浩平の抗議にも、七瀬は聞く様子はない。
「ほら、ここを見なさいよ…」
「なんだっていうんだ…」
七瀬の指さす先……座布団だ。
ペンギン柄の、多分、可愛らしい物だ。
「座布団じゃないか。ってそう言えば、おまえ座布団なんか置いてたっけ?」
女子には結構座布団を持参して椅子に置く生徒も珍しくはなかった。
長森も猫の絵の入った座布団を椅子の上に乗っけている。
しかし、七瀬のチタン製のお尻に座布団は必要ないらしく、浩平の記憶では七瀬の椅子にそれがあったことはない。
七瀬はそれをめくった。
そこにあったのは…。
「おっ昔懐かしのブーブークッションじゃないか。小さい頃はよくこれに長森を座らせたものだ。
しかし、よく気づいたな」
「ほんと危なかったわ…。気づかずに座っていたら大変なことになるところだったわ。
でもこれで確信が持てたでしょう?これは乙女のあたしを貶めるための、故意の犯行だってことが」
「いや、親切心からかも知れない。七瀬が腰を冷やしてはいけないという…」
「あんたねぇ…ブーブークッションまで置いとく必要がどこにあるのよ」
「暖かくないかな」
「暖かくても置かないわよ」
「おっと、テストが始まるぞ。話しは後だ。座れっ」
「うんっ…」
浩平と七瀬はさっと自分の席に座る。
ぷ、ぶ〜〜〜ぅっ。
「ぐ、あ……」
みんなの視線が一斉にこちらを向く。
「ぷ〜〜〜っ」
浩平は慌てて腕をまくり、そこに口をつけて鳴らした。
「ぷぶ〜〜〜っ」
なんだ、その音か、と納得し興味を失ったように皆の視線が前を向く。
「また、やったな…」
「ありがと、折原」
「おかげでテストで無意味に腕を吹く変な人になってしまったではないか」
「ごめん…」
「ほら、早くブーブークッションをどけちまえ」
「うん」


つづく…と思うけど…どうだろ?

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佐織「これからのっ!」
詩子「あらすじ…」
佐織「詩子ちゃん、元気出そうよ」
詩子「うん」
佐織「七瀬さんを襲う数々の嫌がらせ」
詩子「なのに折原くんの奮戦むなしく犯人はなかなか捕まらないっ」
佐織&詩子『相次ぐ嫌がらせに心身ともに疲れ果てる七瀬さん』
佐織「しかし、救いとなる手は意外なところから差し伸べられる」
詩子「だがそれは新たな危機の訪れでもあった」
佐織&詩子『果たして、七瀬さんはこの危機を回避できるのかっ!』
佐織「次回」
詩子「闘えっ!!七瀬改」
詩子&佐織『女の闘いっ!!!(その2)ゥオーッス!!』
詩子「あたし、座布団なんて学校へ持ってかないよ…」
佐織「わたしも…」

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マッド瑞佳「何してるの?」
いいんちょ「今日はマラソン大会だからな。準備運動だ」
マッド瑞佳「まだ熱あるよ…」
七瀬改「さすがにヤバくない?」
いいんちょ「ハンデがあるからこそ燃えるんだ」
七瀬改「昨日雨の中空き地でぼ〜っと突っ立てなきゃ風邪も治ってたかもしれないのに…」
マッド瑞佳「あんまり無理すると肺炎になっちゃうよ」
いいんちょ「う〜〜〜ん。(ちょっと弱気)」
マッド瑞佳「やめとこうよ」
いいんちょ「いや、やっぱ走ろう。見事完走できたら膝枕してくれ(←なぜかこだわる)」
マッド瑞佳「膝枕くらいしてあげるもん。だから寝てなきゃだめだよ〜」
いいんちょ「いや、それじゃ駄目なんだ。この極限状態でどこまでやれるかを試すんだから。
それに、愛のために闘うというのがいい!」
七瀬改「(ズルッ)」
いいんちょ「じゃ、行ってくるぜい」
七瀬改「ほんとに行っちゃったわ…」
マッド瑞佳「あ、感想は?」
七瀬改「逃げられた…。そうよ、きっと戻ってきてから問い詰めても
『ちゃんと完走はしたぞ』とか言ってごまかすつもりなんだわ」
マッド瑞佳「たまにはもう少し面白いギャグも言えればいいのにね」
2時間後――
いいんちょ「瑞佳〜。約束通り膝枕してくれ」
七瀬改「その前に感想行きましょ」
いいんちょ「いや、完走ならしたぞ」
七瀬改「ほら言った」
マッド瑞佳「単純だよね〜」
いいんちょ「??」
七瀬改「つまんないギャグは置いといて感想行きましょ」
いいんちょ「つまんないとは何だ、つまんないとは」
マッド瑞佳「いいから感想行こうよ」
いいんちょ「…実はまだ前回の感想の後からほとんどログ読んでない…」
七瀬改「ならはじめからそう言いなさいよ」
マッド瑞佳「じゃあ、解説なんかしたらいいよ」
いいんちょ「解説といってもなぁ。何を書いたらいいもんか…。
取り敢えず前の構想のまま進めときゃ良かったかな、とかちょっと後悔してる」
マッド瑞佳「どうして?」
いいんちょ「いや〜、前回の話で夢オチはやっぱいかんなと反省しているだけだが…」
七瀬改「後悔しても遅いわよ」
いいんちょ「ま、取り敢えずそれぐらいだな」
マッド瑞佳「じゃあ、これで終わりだね」
いいんちょ「いや。偽善者さんに言いたいことが…。
細かいことは気にしないでください。面白ければ、それでオッケーっすよ」
七瀬改「あんたが言うなぁ〜〜っ!!」
いいんちょ「げふぅっ!」

おしまい…ではない

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いいんちょ「というのを水曜日、つまり一昨日だな。その日に投稿したんだが…」
マッド瑞佳「どうしたの?」
いいんちょ「さっきログをとってるうちにないことに気づいた…」
七瀬改「あんまりつまらないから消されたんじゃないの?」
いいんちょ「…いや、いくらなんでもそれはないと思うが…。
たぶん投稿ボタンがしっかり押せてなかったんじゃないかと思う」
マッド瑞佳「そそっかしいね」
いいんちょ「ほっとけ。ま、取り敢えず風邪が治ったぞ、ということで勘弁して」
七瀬改「ぜんぜん意味不明だわ」
いいんちょ「でもほんとは削除されてたんだったらどうしよ…」

今度こそおしまい