闘えっ!!七瀬改第4話その2 投稿者: いいんちょ
『闘えっ!!七瀬改 第4話 女の闘いっ!!!その2』

「…はい?」
1時間目が終わり、浩平は廊下に出ていた。瑞佳を連れて。
「だから、七瀬の身辺を洗い出してみてくれ」
「…?」
「おまえ、要領をえない奴だなぁ…」
「それって昨日言ってた厄介事と関係あるの?」
「まあな。実は…」
浩平はいきさつを瑞佳に話した。
「ふ〜ん。大変なんだね、七瀬さんも」
普段、一番厄介事を七瀬に突きつけているのは瑞佳だ…。
「つまり、七瀬さんに嫌がらせをしている犯人を捜すのを手伝えってことだね?」
「そうだ」
「でも、何をすればいいの?」
「捜査の原点は聞き込みにあるのだ。参ったか」
「べつに参りはしないよ…」
いつも瑞佳が住井にやらせていることである。
「じゃあ、頼むな」
「あっ、ちょっと待ってよぉっ!」
「なんだ?」
「明日まででいい?」
瑞佳には既に心当たりがあったが、ちゃんと調べないで決めつけるのは良くない。
その為に、少し時間が欲しかった。それに……。
「まあ、別にいいけど…」
そう言う浩平の後について瑞佳も教室に入った。
そこで瑞佳はちょうどトイレから戻ってきた住井に声をかける。
「住井君」
「なんだい、長森さん」
「最近、七瀬さんの周りをうろつく不審者を知らない?」
「ああ、知ってるよ」
「誰…?」
「折原浩平」
「…浩平は不審じゃないもん。他にいない?」
「う〜ん…。わからないな。調べておこうか?」
「うん」

「よし七瀬、帰るか」
テストが終わり浩平がそんな事を言って七瀬を誘っている。
が、瑞佳は今日はそれには構わずまっすぐ住井の席に向かった。
「住井君、なにか分かった?」
「ああ、ちょっと待っててよ」
そう言って住井は鞄の中から数枚のレポートを取り出した。
それをめくりながら口を開く。
「取り敢えずクラスメートの中から無作為抽出した20人に長森さんの言ってた質問を聞いてみたよ」
レポートには色々なグラフや図解まで載っていてなかなか良い出来である。
だが、いつの間にレポートまで作成したのか謎であった。
なにかあやしい組織でも使っているのだろうか…。
「まずトップはやっぱり折原で16人。
で、次が2人で広瀬真希さん。
で、南森となぜか長森さんを挙げる人が1人ずつだね」
「わたし…?」
「ああ、これは気にしなくていいよ。椎名さんに聞いたら、
『そういえば最近、長森さんの行動に不条理な点を感じるわ。
自分の席が廊下側にも関わらず、いやに窓側の席をうろつくことが多いの。
参考になったかしら?』
って言われたらしいんだけど、まさかあの娘がそんな喋り方するとは思えないからね。
そんな事になったら大事件だ」
「………」
瑞佳は不機嫌だ…。
「で、取り敢えず広瀬さんの今日の行動は調べておいたよ。
まず、朝、結構早い時間に学校に来てるね。
取り巻きの娘達と食堂で時間を潰しているのが目撃されている。
まあ、広瀬さんは今日、日直だったから不思議はないね。
ただ、昨日もその姿を目撃されているらしい。
で、教室に戻ってきたのは8時25分。
その後はずっと教室から出てないよ」
「…ふ〜ん。ありがとう」
「どういたしまして」
「ついでに召集をかけてくれる?」
「召集…?」
「うん。みんなにだよっ」
住井にはそれだけ言えば充分だった。

「見たぁ?七瀬さんの顔ぉ。真っ赤になっちゃってさ」
「折原がなんか慌ててフォロー入れてのが笑っちゃうよね」
広瀬の口の端がわずかに歪む。
「大体あいつ、生意気なんだよね〜。目立っちゃってさ」
「ちょっと男子に人気があるからって、ね」
「顔だって全然たいしたことないのに」
「でも、七瀬さん、先生に言いつけてる様子はないね」
「いつまで耐えられるかしら?」
『ハハハハハ』
広瀬はいつものように取り巻きを連れて教室を後にした。
「あ、私日直だから鍵閉めてこなきゃいけなかったわ。梨絵達先に行っててよ」
「そうだったね。じゃあ、校門のところで待ってるよ」
「そうして頂戴」
広瀬は一人教室に戻る
そこでふと思い付いて何事か黒板に書いた。
「これで、よしと。明日はあんまり早く来なくてもいいわね」
やがて遅れて下駄箱にやってくる。
靴に履き替え昇降口へ向かうと、そこに瑞佳がもたれるようにして立っていた。
脇を通りすぎようとする広瀬に瑞佳が言う。
「七瀬さんをいじめていいのは私だけなんだよ。
横から出てきて勝手なことしないでよ。
これじゃ遠慮しちゃって思う存分できないもん。
それに、あんないじめ方じゃ何の役にも立たないんだよっ」
「なに様よ、あんた」
広瀬は思わず瑞佳を睨む。
だが、動じることなく瑞佳は指をパチンと鳴らせて言う。
「住井君」
「了解、プロフェッサー」
直後、瑞佳は身を翻し広瀬だけが残された空間になにか、ガスのような物が噴出された。
「な、に…?」
朦朧とする意識の中で広瀬が最後に見たのはガスマスクを付けた男達が自分の元へと駆け寄ってくるところだった。

カシャン。
暗い空間になにか、シャッターのような音が響く。
「七瀬さんに変にちょっかいかけるからいけないんだよっ。
それに、浩平のこと好きな娘は邪魔だもん」
手術台の上の広瀬にそんなことを言った瑞佳は、住井から手術用のドリルを受け取る。
住井の後ろには、さらに広瀬の取り巻き連中が寝かされていた。
やがて、いつものように手術室を嫌な音が満たしていく。
それは、いつもよりも長く、激しく響いた…。

翌朝、浩平が学校へ来てみると先に来ていた男子連中がざわついていた。
「どうしたんだ?」
「見れば分かる」
南の声に従い、浩平はその視線を黒板へと向けた。
そこに、書き殴ったようにしてある文字。
『七瀬留美は誰とでもヤる』と書かれていた。
「悪質だなぁ、これは」
「消してしまえ、こんな物」
浩平が野次馬の男子連中をかき分け黒板の前まで行く。
「あっ」
短い悲鳴のような声が教室の入り口から響いた。
声の主は七瀬だ。
「遅かったな…」
南がそんな事を言っている。
「………」
七瀬の視線は黒板の上で止まっていた。
が、自分が皆の注目を集めている事を知ると、振り返り、教室を飛び出していった。
「消しておいてくれ」
浩平は南にそう頼み、七瀬の後を追う。
「七瀬…」
「う…うぅっ……」
七瀬は肩を震わせている。
中傷に対しては、涙を隠すことしかできない。そんな、普通の女の子――
「…ぶっ…ぶっ殺してやるぅっっ!」
には程遠かった…。
「どこのアホがあんな事してくれたのよっ!!」

ナレーション『中傷……漢の誇り(プライド)を著しく傷付ける…』

「落ち着け、七瀬」
今にも変身しそうだった。
「はぁっ、はぁっ、はあぅっ…う〜っ…」
馬のような息の荒さが次第に治まっていく。
「これでうまく行けば犯人を特定できるかもしれないじゃないか」
「そ、そうね…」
「待て、すべてはそれからだ」
「う、うん…」

き〜んこ〜ん…。
「よし。お前ら教科書とノート鞄にしまえよ〜」
先生のその言葉を遮るように…。
「何とか間に合ったよ」
「そうだね」
「何でこんなぎりぎりになったのかしら…」
「さあ…」
瑞佳に住井、そして広瀬とその取り巻き4人が教室に飛び込んできた。
「おまえら、もっと早く来いよ」
先生が注意する。
何はともあれ、テストが始まった。

「浩平、頼まれていたものできたよ」
1時間目が終わり、瑞佳が浩平の席へとやってきた。
手には住井作成のレポートを持っている。
「おうっ。サンキュ」
浩平はそれを受け取るとさっそく読み始めた。
「ふ〜ん。グラフや絵がいっぱいでわかりやすいな」
更に次のページをめくる。
「広瀬、真希…?」
浩平の顔が険しくなっていく。
「瑞佳っ、すごいじゃないか。これで犯人は分かったようなものだ」
「えへへへへ」
瑞佳は少し照れながら、とても嬉しそうだった。
「謎は多分解けたっ!犯人はあいつかもしれないぃぃぃ〜〜っっ!!」
ずびしぃっと指をさした瞬間、チャイムが鳴り響いた。
「テスト始めるぞ〜」

「どうして、あんなことするんだ」
テスト3日目の科目がすべて終了し、浩平は広瀬を連れて廊下へと出た。
取り巻き達のあからさまな邪魔者に対する非難の視線を浴びながら…。
「唐突ね」
「こっちにしてみれば、あらゆる準備を経ておまえに話しかけているんだけどな」
「で、質問は何だっけ?」
「七瀬に対する仕打ちだよ」
「よくあることじゃない。ないほうが不思議よ。
ま、洗礼ってやつ?新しく外からやってくるとね、そういうものを受けなくちゃいけないのよ。
いきなり輪に入って、仲良くやっていこうなんて、彼女も思ってないでしょ?」
「オレにはひがみにしか見えないけどな…」
「ひがみ…?」
広瀬の顔がわずかに歪む。
「別に七瀬はおまえたちの輪に加わろうなんてしてない。
それでも嫌がらせを受けているのは、おまえたちがあいつを潰そうとしているからだろう。
そんなものが洗礼か?それを乗り越えればおまえたちと分かり合えるとでも言うのか?
とにかく目に余るぞ」
それだけ言うと浩平は教室へと戻ろうとした。
「……によ、あ……ばっかり……っちゃってさ…」
「広瀬…?」
広瀬の呟きに、浩平は振り返るが広瀬は何も言わなかった。

「ふ〜ん。そんなこと言ってたんだ」
誰もいなくなった教室で、七瀬は浩平に説明を受けていた。
「あとは自分の問題ね。何とか努力してみるわ」
「やめとけ。多分話し合いの余地なんてないぞ」
「でも、このままってのもヤだし…」
「ま、取り敢えず明日の様子を見てみよう」

テスト4日目の朝――
いつものように、やはり七瀬は席の前で立ち尽くしていた。
椅子には画びょうがびっしりだ。
瑞佳と浩平が覗き込む。
「うわ…」
「これは酷い…」
浩平がそんな事を言う。
「まず取ろうぜ。これは座ったら洒落にならん」
「わたしも手伝うよ」
取り敢えず3人でそれを取り終わる。
「広瀬の奴…」
浩平が怒りに燃える目で広瀬たちの方を睨む。
その横で瑞佳は思案顔だ。
(もしかして手術失敗しちゃったのかな?
それとも暗示のかけ方がいけなかったのかな?)
しかし、そんな彼らを無視してテストは進む。
そして無事、4日目の科目も終了した。
ふと、浩平が顔を上げると茜が浩平の席の前まで来ていた。
「…浩平、一緒に帰りませんか?」
「いや、悪い。今は…」
「いいわよ。犯人はもう分かったんだし…」
茜の誘いを断ろうとする浩平に七瀬は言った。
「いつまでも巻込んじゃ悪いわ」
「そうか…?」
「うん。任務完了ってとこよ」
「わかった」
「いろいろありがと、折原」
「ま、困った時はお互い様だ。じゃあな」
2人が教室を後にする。
その姿を見て、七瀬はなにか胸の奥がチクンとするのを感じた。
「なに、この感じ…」

ぐいっ。
浩平の制服の袖が引っ張られる。
こんな事をする人物は一人しかいない。
「澪か…」
うんうん。
と、澪は茜に気づいてぺこりとお辞儀をした。
茜もつられてお辞儀をする。
「2人は初対面か?」
うん、うん。
「…はい」
「そうか。じゃ、紹介しないとな。こっちが上月澪、1年生だ。
で、こっちが里村茜。オレのクラスメートだ」
そんなのどかな3人を睨む視線。
瑞佳だ。
「う〜〜〜。あの娘、また浩平にちょっかいかけてる。
それに里村さんまで…。
広瀬さんのことがなかったらあんな好きにはさせないのに。
でも、わたしのプライドが失敗作を放っておくことは許さないんだもん」
そう言って瑞佳は住井たちの元へと向かった。


つづく…と思うよ

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佐織「これからのっ!」
詩子「あらすじ〜〜〜!」
佐織「七瀬さんを襲う最後の嫌がらせ」
詩子「それによって七瀬さんの正体がクラスメートたちにばれてしまうっ!!」
佐織「そして遂に姿を現す強襲型指揮官用MS広瀬真希」
詩子「画びょうミサイルと取り巻きファンネルによるオールレンジ攻撃が七瀬さんを襲うっ!」
佐織&詩子『間断なく加えられる攻撃に消耗する七瀬さん』
詩子「さらにそんな七瀬さんに必殺『ジェットストリームアタック』が襲い掛かるぅっ!!」
佐織「飛び交う怒号、絹を引き裂くような悲鳴の充満する教室。
そして崩壊への序曲が、今始まる」
詩子「だが、乙女がこんな事で挫けちゃいけないっ。
果たして、七瀬さんはこの絶望的状況を打破できるのかっ!」
詩子&佐織『全ての事態に終止符を打つ、折原くんの雄叫びが今っ、校舎にこだまするぅっ!!』
佐織「次回」
詩子「闘えっ!!七瀬改」
詩子&佐織『女の闘いっ!!!(その2)ゥオーッス!!』
詩子「わけわかんない予告だね」
佐織「駄目だよ、それ言っちゃ…」

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いいんちょ「という訳で『ジェットストリームアタック』で有名な黒い三連星と言えばマッシュ、オルテガ、もう一人は?
答えが分かった人は目隠し団へゴ…」
メゴッ!!
いいんちょ「ぐあっ……」
七瀬改「あんたねぇ」
いいんちょ「血がどくどくいってるんすけど。踵はやめようよ…」
七瀬改「(無視)いくらあとがきのネタに詰まったからって人のネタとるんじゃないわよ…」
マッド瑞佳「そのうち偽善者さんに嫌われちゃうよ」
いいんちょ「それはヤダな…」
マッド瑞佳「じゃあ、ちゃんとネチケットを守ろうよ」
いいんちょ「………」
マッド瑞佳「…返事は?」
いいんちょ「あ、おうっ。なんか、瑞佳に叱られるのも新鮮でいいかも」
七瀬改「…変態」
いいんちょ「じゃあ、取り敢えずちょっとだけ感想に行こうか」


天ノ月紘姫様
・川の流れに・・・(その6)
うわ〜〜。詩子が消えかけてるぅ!!
こ、これは予想しなかった展開だ…。


まてつや様
・GTO・レッスン1、2
ONE狂師…。なんかヤバそうだ。
なんとなく、ななぴーが少し優しい感じがするなあ。
それとも広瀬が荒れてるだけかな?


将木我流様
・感想SS番外編4『気の早い予告付きでちょっとおトク!?』編
予告っ!?幕末っぽくて格闘もの!?
うお〜〜っ!血が滾る〜〜〜っ!!(←危険人物…)


まねき猫様
・ある日の翌日≪後編≫
上田祐二…。だれ?(爆)
早乙女…。ひ〜〜ん、わかんない(涙)
なんかの同人誌で見たような気もするんだけど…。
しかし、住井がどんどん変になってくなあ…。


ニュー偽善者R様
・偽善の恐怖館 病院編-2-
なんか浮気のばれた夫婦みたいなやりとりをする浩平と茜がいいな…。
しかし、美香さん?なんか最近よく見る名前だ…。
流行ってるのかな。
結構ホラーしてますね〜。


いいんちょ「なんかかなり適当に選んでますが、なかったからって怒らないでくださいね」
七瀬改「じゃあ、とっとと他の感想も書きなさいよ」
いいんちょ「はい…。しくしく…」

おしまい