闘えっ!!七瀬改第3話 投稿者: いいんちょ
「んあ〜、折原。ちょっと放課後に進路指導室に来てくれるか」
その日の朝、出席をとり終わった髭は、このクラスの名物男、折原浩平にそう言った。

放課後――
多くの生徒は部活に遊びにと教室を後にする。
教室に残っているのはこれから遊ぶ予定を相談しているグループぐらいだ。
浩平は既に指導室に行っていた。
長森瑞佳は浩平の前の席に座る七瀬留美に話しかける。
「七瀬さん、ちょっといい?」
「…なに、瑞佳」
そう言う七瀬はちょっと警戒していた。
「先生と浩平、なに話してるか気にならない?」
「別に気になんて…」
七瀬に最後まで言わせずに瑞佳はずずぃっと詰め寄った。
「密室に二人きりなんだよ。浩平って男の人にも受けそうな顔してるし。
朝、浩平に来るように言ってた時の先生の顔が少しいやらしかったもん」
七瀬はそれは完全に瑞佳の思い込みだろう、と反論しようとしたが瑞佳の纏う空気がそれを許してくれない。
「行こうっ!七瀬さん」
「…はぁっ。あたしって意志が弱いのかしら…」

「んあ〜折原。おまえは結局どこへ進みたいんだ?」
さして広くない指導室に髭の声が響く。
扉の向こう側では七瀬と瑞佳が耳をそばだてていた。
浩平は表面上鹿爪らしい顔を作っている。
「まあ、俺はそんなに急いで進路を決めんでもいいように思うんだが他の先生からも言われてな。
就職なんかは学年変わったらすぐに活動始めなきゃならんというし」
(なんだ、やっぱり普通の進路相談じゃない…)
七瀬はつまらない事に付き合わされたという事よりも面倒な事になる気配がない事に安堵した。
だが…
「自分がやりたいようにすればいいと思うぞ。結局は自分の進む道なんだからな。
俺はおまえのような面白い生徒は好きだしな。
無理に決めてそう言う良さを失ってしまう事の方が残念だと思うぞ」
その髭の言葉を聞いた途端、瑞佳の目の色が変わる。
「やっぱり先生は浩平の事好きなんだもん。浩平の事狙ってるんだよ」
「………」
前後の話がまるで耳に入っていないかのような瑞佳の解釈に七瀬は言葉を失う。
こうなってしまっては誰も瑞佳を止められない事を七瀬は誰よりも身を持って知っていた。

「んあ〜。ここはどこだ?」
暗闇の中に髭の呟きがこだまする。
「先生がいけないんだよっ。浩平を人気のないところにおびき出してむりやり○△×〒※!!」
そんな事はぜんぜんしていないが、暴走を始めた瑞佳はもはや誰にも止められない。
やがて、耳障りな音が空間を満たした。
「男を手術するのはやだな…」
住井の呟きには魂の力がこもっていた。

翌朝――
七瀬が学校へ行くと女子トイレが占拠されるという珍事が起きていた。
トイレを覗くと髭の特徴的な中年男が汚物入れをあさっている。
(じょ、女子トイレの秘密を暴こうとする変態…。これを倒さなきゃ乙女がすたるって物よね)

ナレーション『乙女の貞操の危機―漢が守るべき未曾有のピンチを感知すると体内の漢回路が働き、七瀬留美は改造人間七瀬改へと変身するのだっ!』

「怪人カプチーノ髭男爵っ!!これ以上女子トイレを占拠して乙女の秘め事を暴くのはこの七瀬改が許さないわよっ!!!」
七瀬改は女子トイレの入り口に立って叫ぶ。
その声に野次馬たちの注意が向いた。
と、その中から声がする。
「あれ?七瀬さん?」
「ほんとだ。七瀬さんどうしたの?変な格好して…」
「え…?」
七瀬改が硬直する。
「ほんと変な格好…」
「幻滅だな〜〜。七瀬さんにこんな趣味があったなんて…」
野次馬たちの中にクラスメートがいるようだ。
「んあ〜七瀬どうしたんだ?」
怪人までそんな事を言ってくる。
「なに、あの格好」
「それに七瀬改だって〜〜」
「ダッサ〜〜〜」
「クマのクッキーよりダッサ」
七瀬に向けられる奇異の視線。
「な、なんでばれてるの!?」
七瀬の心からの叫びに、誰かが応える。
「なんでって…見りゃ一発じゃねーか、なあ、みんな」
『うん、うん』
みんなが頷く。
声の主は浩平だった。
「い、いやあああぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜!!」
…………。
………。
……。
…。


『第3話 戦士の休息』

チュン、チュチュン…。
鳥の鳴き声と朝の陽光の差し込む部屋。
冬の早朝特有の、透徹した空間。
「いやあああぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜!!!!」
その、朝の静寂(しじま)を切り裂く声があがった。
七瀬留美は布団を跳ねのけるようにして飛び起き、周りを見回した。
見慣れた朝の風景。
そこは確かに自分の部屋だ。
「はあっ、はあっ、はあっ」
その息は荒かった。
と、階下から足音が近づいてくる。
トントン。
ノックをする音。
「あ、はい」
ドアが開く。姿を現したのは七瀬の母親である。
「どうしたの、留美。なんかすごい声が聞こえたけど」
「な、何でもないわよ、お母さん」
「そう?それならいいけど…。あ、朝ご飯できてるわよ」
そう言うと、なお訝しそうな表情のまま七瀬母は部屋を出ていった。
七瀬はそれを確認すると、ひときわ大きなため息を吐く。
はう〜〜〜〜〜〜。
(な、なんて夢見るのよ…)
再び七瀬はそこが自分の部屋であり、自分しかいない事を確認する。
そして自分の掌をじっと見つめた。そこはじっとりと汗ばんでいた。
(縁起でもないわ)
ふと時間を見ると朝の7時だった。
いつもより少し早かったが、ベッドから抜け出し着替えをはじめる。
「…疲れてるのかしら」


つづ…かないとヤバイな(笑)

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佐織「これからのっ!」
詩子「あらすじ〜〜〜〜!!」
佐織&詩子『は、おいといてっ!!!』
佐織「あとがきにっ」
詩子「殴り込みだぁ〜〜〜」
詩子&佐織『お〜〜っ!!』

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いいんちょ「ほげぇっっ!!」←いきなり何者かに殴られる(笑)
マッド瑞佳「わあっ!」
七瀬改「なに?何なの?」
佐織「駄目だよ詩子ちゃん。いきなり殴っちゃ」
詩子「え…?殴り込みって言うからつい…」
マッド瑞佳「だいじょうぶ?」
いいんちょ「もう駄目かも知れん。と言う訳で膝枕してくれ」
七瀬改「その前にあの二人何とかしなさいよ」
佐織「うそつき〜〜」
詩子「嘘つくなんて酷いじゃない。ご近所中に宣伝しちゃったのに」
いいんちょ「何を宣伝するんだ?って言うよりなんでオレは殴られたんだ?」
詩子&佐織『だって前回の予告で出番があるって!!』
いいんちょ「…あ〜そんな事あったかな?」
マッド瑞佳「きっと殴られたショックで記憶が無くなっちゃったんだよ」
詩子「あんな事言ってるよ佐織ちゃん」
佐織「殴ったのは詩子ちゃんでしょ…」
いいんちょ「まあ、ほんとは出番あるはずだったんだけどね。もともとはナレーションから前の部分はなかったんだ。
ようするにカプチーノ髭男爵は七瀬改の台詞で1回出てくるだけで描写も何もなかったんだよ。
それが、カプチーノ髭男爵の使用許可をしーどりーふさんに取ったら『どんな話になるか楽しみです』なんて言われちゃって。
そう言われちゃうと、
『あまり期待をしてくれるな、しーどりーふ。期待に応えたくなってしまうではないか』(CV子安武人)
とか思ってしまって、もう少し長くしようかなって…。
で、ついでに話の順序や構成変える事にして、続きの部分は他の話にまわした。
しかもまだしっかり決まってないから4話か5話かも分からん」
マッド瑞佳「最近髭先生って人気者だよね」
詩子&佐織『髭に負けたのね、わたしたち…(涙)』
いいんちょ「まあ、そう言うな。なるべく早く続き書くから」
マッド瑞佳「えっとね。今までのパターンから行くと話数が変わるときとその1が出てからその2までは大抵しばらく開いてるよ。
その2とその3はほとんど一緒に出るのにね」
いいんちょ「またこいつは余計なデータをべらべらと…」
詩子&佐織『うぅっ…』
七瀬改「あ〜あ、完全に落ち込んじゃったわね。それにしても今回ってなんか変な話よね。ナレーションの言ってる事とかも…」
いいんちょ「まあ、お前の見た夢の中の話だからな。変なのもとうぜ―」
七瀬改「ほほぅ?」
いいんちょ「あの〜釘バットはやめない?ね。ほら、ワシントン条約でも禁止されてるし…」
七瀬改「そんな訳あるかあ〜〜〜!!!」
いいんちょ「げふぅっ!!病人になんて事を…。いたわりってもんを…」
七瀬改「いたぶり?」
いいんちょ「またベタなことを…ってギャ〜〜〜〜!!!」

おしまい