闘えっ!!七瀬改第一話その1 投稿者: いいんちょ
目の奥を貫くような光にあたしは目が覚めた。
頭の奥に鈍痛がある。
思わず頭に手をやろうとしたができなかった。
あたしの四肢は拘束されていた。
「どういうこと?」
自問しながら視線を巡らす。
あたしを照らしているライトから更に横へスライドした視界に見知った顔があった。
「おはよう、七瀬さん」
「み、瑞佳?」
微笑みながら挨拶をしてきた瑞佳はその手に金ノコや木槌を握っている。
「え…?」
あたしが疑問を口にするより早く、瑞佳が言ってきた。
「だめだよ〜七瀬さん。動こうとしても動けないもん。
浩平にちょっかい出すからいけないんだよ〜」
その言葉が終わるや否や甲高い音がこだまする。
チュイイィィィィ〜〜〜〜ン。
ガリガリガリガリ。
「ちょ、瑞佳。なにやってるのよ!!」
しかし瑞佳は何の反応も示さず作業を続ける。
キュキュキュキュ〜〜〜〜。
「やめてよ瑞佳。やめてったら。やめてくれないと怒るわよっ!!!」
しかしあたしの声は激しい騒音に掻き消される。
キュイィィィィ〜〜〜ン。
バリバリバリバリ。
「きゃ〜〜〜〜」
ナレーション:『七瀬改は改造人間である。
乙女を夢見る女子高生七瀬留美は女流マッドサイエンティスト長森瑞佳によって対米陸戦兵器として生まれ変わったのだ。
その能力はシュトロハイムを遥かに上回ると言う。
行けっ七瀬改!
戦えっ七瀬改!
真の乙女心を手に入れるその日まで!』

『第一話 怪人異次元イブクロンあらわる』


「先輩って相変わらずよく食べるよな」
「そうかな。普通だよ」
昼の学食。折原浩平は目の前の席で次々にカツカレーの皿を空にしていく女性、川名みさきを見て言った。
すでに空の皿は10を超えていた。
「深山先輩になにか言われないか?」
「雪ちゃん?う〜ん…」
「そう言えば深山先輩はどうしたんだ?」
「気持ち悪いって保健室にいったよ。今日は午前中は体育でマラソン大会の練習だったからね」
またか、と思いつつ浩平はみさきに訊く。
「練習ってどれくらい走るんだ?」
「ただのハーフマラソンコースだよ」
「げ…。よくその後にそんなに食えるな」
「いっぱい走ったからね」
そういう問題ではないような気はしたが、わざわざ突っ込んでも仕方がないので浩平は黙っていた。

「む〜〜〜」
学食の入り口で長森瑞佳は唸っていた。
扉から半身を覗かせるようにしている瑞佳に、通り過ぎていく生徒たちは奇異の視線を投げかけていたが、瑞佳は気にしない。
「浩平にちょっかい出すなんて許せないもん」
そう言うと瑞佳は学食のおばちゃんに変装した。

「あれ…?もうないよ」
みさきは空になった皿を見つめて言った。
「う〜ん。もう少し食べたいな。まだ七分目くらいだよ」
「じゃあオレが取ってきてやるよ」
そう言って浩平が立ち上がった。
「ありがとう浩平くん。カツカレー3人前でいいよ」
「………」
まだそんなに食うのかとちょっと呆れながら浩平は取りに向かう。
「おばちゃ〜ん。カツカレー3つ」
「浩平食べすぎだよっ」
「え…?」
「あっ、何でもないよ。ほらっ。カツカレーできたもん」
そう言っておばちゃん(瑞佳)はカツカレーを3皿浩平に渡した。
「…?」
なおも疑問符を浮かべる浩平に瑞佳は急かすように言う。
「ほっ、ほら、他のお客さんの邪魔だよっ」
釈然としない顔のまま浩平はみさきの元へと戻っていった。
「ふぅ〜。なんとかばれなかったよ」

「ほらっ先輩、持ってきたよ」
「ありがとう、浩平くん」
そう言って食べ始めるみさきに浩平が言う。
「先輩、悪いけど次の授業、教室移動でオレが鍵取りにいかなくちゃいけないんだ。
だからもう行くよ」
「うんっ。またね、浩平くん」
「ああ、またな先輩」
浩平が去った後も黙々と食べ続けるみさき。
「あれ…?カツカレーが踊ってるよ?」
そう言った直後、みさきは倒れた。

5時間目が終了して教室へと戻る浩平を深山が訪ねてきた。
「あっ。浩平くん。みさき知らない?」
「え…?みさき先輩がどうかしたんですか?」
「あの子5時間目に出てこなかったのよ」
そう言われて浩平は、もしかしてまだ学食で食べているのでは?と思った。
先輩ならあるかもしれない…。
で、オレたちが先輩をとめるときっとこう言うんだ。『そうだね。腹8分目って言うからね』と。
そんな事を考えたが、学食にはみさきはいなかったと深山は言った。
「…じゃあどこに行ったんだろう…?
先輩、オレも探すの手伝いますよ」
そう言って2人は下校時刻まで探し回ったが結局みさきは見つからなかった。

昼なお暗いある部屋で午後の授業をサボった瑞佳は寝台の女性につぶやいた。
「浩平にちょっかいかけるからいけないんだよっ」
そして側に控えた少年に指示を出す。
「住井くん、準備してっ」
「分かったよ、長森さん」
「今はプロフェッサーだよっ」
そう言われて住井は居住まいを正し言い直す。
「了解。プロフェッサー」
やがて暗い空間を耳障りな音が満たしていった。


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七瀬改「ほんとに書くし…」
マッド瑞佳「わたしあんなことしないよ〜〜」
七瀬改「ちょっと短くない…?」
いいんちょ「う〜疲れた。一日にこんなに書くと疲れるな」
マッド瑞佳「うそだよっ。他の話は前に書いてあった物だよっ」
いいんちょ「またこいつは余計な事をべらべらと…。そういう事言う子にはこうだっ」
マッド瑞佳「甘いもん(ポチッ)」
いいんちょ「ぐあっ!」
マッド瑞佳「このボタンを押すと後ろに吹き飛ぶように改造したんだもん」
いいんちょ「むぅ」
七瀬改「どうでもいいけどあたしの出番ほとんどないわね」
いいんちょ「そうだな。冒頭以外じゃタイトルだけだ。でも次の話はたくさん出番あるぞ、多分」
七瀬改「はぁっ。計画性無い奴に言われたって信用できないわね」
いいんちょ「(ぐさっ)」
七瀬改「ところでどうしてこんなにため込む事になったのよ?」
いいんちょ「これにはふか〜い理由が」
マッド瑞佳「わたし知ってるよっ」
いいんちょ「そう何度も余計な事を言わせてたまるかっ」
マッド瑞佳「ポチッ」
いいんちょ「ぐあっ!!」
マッド瑞佳「うんとね。一族会議に山口県に行ったり、組織の会合に出かけたりしてたんだよっ」
いいんちょ「…なんだそりゃ?」
七瀬改「…よく分からないわね。ほんとのところはどうなの?」
いいんちょ「むぅ。瑞佳にデマ流されるよりいいか」
マッド瑞佳「嘘じゃないよっ。住井くんに聞いたんだもん」
いいんちょ「どうせ偽の情報つかまされたんだろ。ではここ数日のオレの行動を振り返ってみよう。
23日学校休みなので家でごろごろ」
七瀬改「………」
いいんちょ「24日朝誰も起こしてくれなかったので12時に起きる。
で、なんとなく部屋の片づけをはじめる。きりが付いたのが2時半。
それから学校へ向かう。着いたのが4時。
で、先輩(女性)と教室でろうそく立ててクリスマスを祝う」
七瀬改「…もしかしてONEと同調しようとしてる?」
いいんちょ「おうっ。いや〜〜わけの分からないままクレープ屋に付き合わせたり鯛焼き屋探したりさせた皆にも悪かったと思ってるぞ」
七瀬改「…バカッ。で、続きは?」
いいんちょ「で、その人と別れたあと研究室でプログラム組んでた。
気付くと6時半」
七瀬改「その時はインターネットに繋げなかったの?」
いいんちょ「まあな。なんかいろいろあってそこまで気が回らんかった」
マッド瑞佳「いろいろ?」
いいんちょ「ああ。実はその日6時に待ち合わせしてたんだ…」
七瀬改「もしかして忘れてたの?」
いいんちょ「ああ」
七瀬改「ばぁか」
マッド瑞佳「そこまで同調する事ないよっ。その女の人かわいそうだよっ」
いいんちょ「ああ。よっぽど怒ったのか未だに口もきいてくれない…」
マッド瑞佳「ほんとばかだよっ」
七瀬改「その次の日は?」
いいんちょ「ああ、もう同調する必要無いから気が楽だった。
その日は買い物に電気街まで行ったぞ。あとSS書いてた」
七瀬改「…で?」
いいんちょ「26日は小説版ONEの2巻を遂に見つけた。近隣の本屋10件くらいまわっても無かったからな。
で、それを読んでいた。
27日は日曜にも関わらず学校へ行って知り合いにVCを教えてもらっていた。
で、ついでに書き込もうと思ったら、サーバーがダウンしていた…」
七瀬改「それでこんなにたまったと」
いいんちょ「ま、そういうことだな」
七瀬改「じゃあ次は感想のコーナーね」
いいんちょ「ぐあっ」
七瀬改「まさかまた書けないの…?」
いいんちょ『うんうん』
七瀬改「…もう感想のコーナーやめたら?」
いいんちょ『いやなの』
七瀬改「それくらいでやめとかないと、後でどうなっても知らないわよ…」
いいんちょ「『わかったの』。取り敢えず今までたまった分の感想を続き物はまぁ最近始まった物だけだけど、年明けには書けたらいいなぁ、と」
七瀬改「明日にしなさい」
いいんちょ「今日で学校閉まるんだよぅ。年明けで開くのは1月4日かな、確か」
七瀬改「じゃあそれまでにSSがたくさん書けるわね」
いいんちょ「いや。まだ年賀状も書いてない」
七瀬改「とっとと書かんかぁ〜〜〜いいぃぃっっ!」
いいんちょ「ふはは、いい蹴りだ。だがまだまだ私は仕留められんよ」
マッド瑞佳「楽しそう…」
いいんちょ「オレは余裕で七瀬の蹴りをよける。おっと心に思った事を言ってしまった」
七瀬改「やかましいっ。余計な事言うなっ」
いいんちょ「オレは余裕で七瀬改のパンチを見切りわずかに後ろへ下がる」
七瀬改「ロケットパ〜〜ンチッ!!!」
いいんちょ「ぐほぁっっっ!!!!」
マッド瑞佳「誰もかまってくれないから寂しいよ〜〜〜」

おしまい