踏み出すとき 投稿者: いけだもの
皆さんこんばんわ。本日2度目の(笑)いけだものです。
このSSは、パルさんと一緒に1周年記念SS用のテーマを考え、そのテーマ「永遠の世界から帰る浩平」に沿って書いたSSです。
では、どうぞ〜。
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いつまでも沈み続ける夕日。
満ちることも、干ることもない海。
動き出ださない街。
僕はそんな不思議な景色の中を移ろいでいる。
これまでも、そしてこれからも...

「あれ?」
僕は思わず声を上げてしまう。
なぜなら、目の前に見なれない景色が現れたからだった。
夕暮れ時の商店街。
そこを歩く女の子の後姿。
「誰だろう、あの子?」
そう思った瞬間、視界は消えることのない雲海に変わってしまう。
でも...
チクリ
何故だか分からないけど、軽い痛みが胸に走った。

どうしてだろう?
ここには、悲しみなんてないはずなのに。

不思議な景色の中を僕は移ろい続ける。
でもあの時以来、それらとは違った雰囲気の景色に出くわすことが多くなった。
ある時は学校の教室、またある時は公園。
そしてその景色の中には、決まって同じ女の子の後姿があった。
女の子が誰なのかは分からないけど。
その後姿を見る度に、何故か胸が痛んだ。
何故か悲しい気持ちになった。

どうしてだろう?
僕には、あの子の名前も分からないのに。

僕は移ろいでいた。
女の子の後姿が見える景色の中を。
不思議な景色を見ることは、ほとんどなくなっていた。
でもそれだけ、胸の痛みと悲しい気持ちに苛まれることが多くなっていたんだ。
だから...
「あの子に声をかけてみよう」
僕はそう決心した。

そこは昇降口。
女の子は、靴を履き替えている最中だった。
「ねえ、君は誰なんだい?」
僕の声に、女の子が振りかえる。
そして...
俺は思い出した。
大切に想う人の名前を。
俺が帰るべき場所を。
守らなくてはならない約束を。

視界が閃光に包まれる。
「さようなら、こうへい」
懐かしい声が聞こえた。
その声に背中を押されるように、俺は歩を踏み出す。

大切な人の願いに応えるために。


・・・・・ おしまい ・・・・・

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はいっ、おそまつさまでした〜

どうでした?
パルさんのSSとは全然違うでしょ?
同じテーマでも、書き手によって全然話が違っちゃうんですよね。
それが二次創作の面白さだと、自分は思うんですよ。
パルさんと自分のSSを読んで、みなさんがそれを感じてくださったら幸いです。

それじゃあ、まったね〜♪

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