彼女のいない朝 投稿者: いけだもの
こんばんわ。って言うか、久々のいけだものです。
たぶん、中20日は空きましたよねぇ。
まあ、とにかく、読んでみてください。どぉ〜ぞっ。
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ある日の朝...

「んあー、早く席につけー。」
俺と長森が教室に飛び込んだ直後、ホームルームを始めるべく担任の髭が現れた。
数人のクラスメートと軽く挨拶を交しながら、慌てて席につく。
「では、出席をとるぞ。」
そう言って、いつものように出席簿をめくり、もっともらしく教室内を見まわす髭。
しかしクラスの半分の人間がペンギンと入れ替わっていても気付かないだろうとまで言われる髭のこと、仮に柚木が茜の席に座っていたとしても、間違いなく茜を出席扱いにしてしまうんだろうな。
なんて事を考えながら、なにげなく茜の席に目をやる。と...
そこには、茶色がかったストレート・ヘアの、明らかに違う学校の制服を着た女の子が座っていた。
「へ?」
女の子は俺が見ている事に気が付くと、にっこりと微笑んで俺に向かって両手を振って見せる。
がたがたがたっ
「ゆっ、ゆゆゆゆ柚木っ!」
その大胆不敵な行動に気が動転した俺は、思わず立ち上がってその名を口走ってしまった。
「んあー、どうした折原?」
怪訝そうな表情で俺に声をかける髭。
「はっ!...い、いえ、なんでもないです。寝ぼけてたみたいで...」
その声で我にかった俺は、適当な言い訳でその場を取り繕う。
「折原ー、おかしな行動は休み時間だけにしてくれー。」
「すみません...」
軽く俺をたしなめると、出欠の確認を再開する髭。
まだ柚木の存在には気が付いていないようだ。
しかし、数分後...
「うむ、今日も欠席者はいないようだな。」
...おい、その目はやっぱり節穴か...
「それじゃあ、ホームルームは以上。1時間目の担任の先生がこられるまで、教室からでないように。」
そう言い残し、髭は教室を出て行った。


髭が出て行くと同時に、俺は茜の席に駆け寄る。
「どうしてお前がここに座ってるんだっ!」
「座ってたら駄目なの?」
「あ、た、り、ま、え、だ。この教室にお前の席はない。」
「でも茜が来てないから、席は空いてるよ。」
「そう言う問題じゃないっ!」
「柚木さんおはよ〜。里村さん、どうしたのかな?」
俺と柚木が噛み合わない会話をしていると、長森が話に加わってきた。
しかし平然と『おはよう』と言うあたり、こいつ意外と図太い神経をしてるんだな。
「どうしたもなにも、ただの遅刻じゃないのか?」
「だけど、里村さんが遅刻なんて珍しいよね。もしかして休みなのかな。」
「でも、茜が休むってのも滅多にないけど。」
「季節の変わり目だし、風邪でもひいたのかも。」
「そう言えば昨日の夜、茜と電話で話したとき、くしゃみを連発してたっけな。」
「...」
「...」
俺の言葉に、一瞬場が静まりかえる。
無言で顔を見合わせる柚木と長森。
そして同時に頷くと、にやにやした笑いを浮かべながら俺の方に向き直る。
「へぇ、浩平ってまめに電話なんかするタイプなんだぁ。」
「ねえ、なんかこの辺、熱くなってこない?」
「あはは、そだねぇ。」
こ、こいつらは...
「だぁぁぁぁぁっ、喧しいっ!」
「折原くん、顔が赤くなってるよっ。」
「ほんとだぁ。でも、こんなに動揺してる浩平を見るのは初めてだよ。」
一喝しても2人はひるむ様子もなく、矢継ぎ早にからかいの言葉を俺に浴びせてくる。
まったく、どうして女ってのはこういう話が好きなんだろうな。
「勝手に言ってろっ!俺は茜の家に確認の電話を入れてくるからなっ。」
照れくさいのをごまかすように、そそくさと教室を出て行こうとする俺。
「はぁ〜、茜も幸せ者よね。」
しかし廊下に出かかったところでふとある事を思い付き、一向に俺をからかうのを止める気配のない柚木に声をかける。
「おい、柚木っ。」
「なぁに?」
「今日も自分の学校に行かなくてもいいのか?」
「うん、創立記念週間でお休みだからね。」
どんな学校なんだよ...
まあいい、今日だけは勘弁してやろう。
「そうか、だったら...」
少しタメを作ってから、びしーっと柚木の鼻先を指差す。
「今日1日、お前を茜の代返役に任命するっ!」
「まかせてっ。」
自分の胸をぽんと叩いて、依頼を快諾する柚木。
「じゃあ、電話してくるな。」
「浩平っ、もう先生来ちゃうよっ!」
「代返しといてくれ。」
「私が返事したってばれちゃうよっ。」
「なら私が返事しておいてあげるね。」
「ああ、まかせた。」
そう言い放すと俺は、あたふたする長森と根拠のない自信で胸を張る柚木に背を向けて、教室から出て行った。


「もしもし、折原ですけど、茜さんは...」

「ああ、そうですか。やっぱり。」

「はい、担任には自分から連絡しておきますので。」

「いえいえ、それくらい大した事じゃないですから。」

「それじゃあ、放課後に見舞いに行きますんで、大事にって伝えてください。」

「はい、では失礼します。」
かちゃ。ぴぴーぴぴーぴぴー。

案の定、茜は風邪をこじらせているとのことだった。
でも飯は食べれてるって事だから、さほど心配はいらないだろう。
「さて、土産には何を持って行ってやろうかな?」
茜が喜んでくれる物は何かとあれこれと思案しながら、俺は足早に教室へと戻って行った。


・・・・・ おしまい ・・・・・

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はいっ、おそまつさまでしたっ。

茜が出てこない茜SS...たまにはこんなのも良いかな〜(笑)
ってコトで、いつもちょっと趣向を変えてみました♪
まあ、浩平の恋人が自分じゃなくても、長森にはこんな感じでいて欲しいと思いますしね。
そんなところをお楽しみいただければ幸いです。

あ、あと一応この先の話も考えてたりするんですけど、まだ纏まってないんですよねぇ。
いつか投稿できるといいなっ♪(←さりげなくごまかしている)

で、いつものコトですみませんが、感想は追いついておりません。またの機会にということでお許しを...
「...ただの怠慢ですね。」
うっ、何処からともなくつっこみ茜ちゃんのつっこみがっ!!

そ、それじゃあ、まったね〜(汗)

http://village.infoweb.ne.jp/~fwiv2654/index.htm