こんばんわ、いけだものですっ。
あ〜、この素直な始まり方、久しぶりだな〜。
さあ、できたてほやほやのSSをど〜ぞっ。
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ずっと見つめていた。
あの空き地で、1人佇む彼女を見かけたときから。
でも季節はずれのあの嵐は、僕に残されていたほんのわずかな希望さえも吹き飛ばしてしまったんだ。
朝起きると雨が降っていた。
そのことに気付いた僕は、早々と家を出て高台の公園へと向かう。
高台の公園。
そこは、僕が彼女を見つめてきた場所。
そう、僕も知っていたんだ。
彼女が雨に日に、あの空き地に来ることを。
ただ、声をかける勇気がなかっただけなんだ。
彼女に拒絶されることが恐くて。
だから僕は、遠くから彼女を見ていることしかできないでいた。
でも、あいつは違った。
何のためらいもなく彼女に声をかけて、いつの間にか名前で呼び合う関係になっていたんだ。
そんなあいつが嫉ましかった。
あいつといるときの彼女は、どことなく嬉しそうな表情をしていたから。
そんな彼女の表情を、それまで見たことがなかったから。
だけど彼女は、あの空き地に行くことを止めなかった。
だから、まだ僕にもチャンスはあると思ってたんだ。
でも...
どれだけ待っても彼女は姿を見せなかった。
どうしたんだろう?
そう思った時、不意に頭に浮かんだ嵐の日の出来事。
朝、彼女は学校に来ていなかった。
ホームルームの後、あいつと彼女の幼なじみが廊下に出て行った。
それっきり、あいつは戻ってこなかった。
僕は気がついた。
あの朝、彼女があの空き地にいたことに。
あいつが彼女の呪縛を解いたことに。
だから...
もう2度と、彼女があの空き地には来ることはないんだ。
涙が溢れてきた。
僕が彼女を助けたかったから。
僕には彼女を助けられなかったから。
冷たい雨は、いつしか雪に変わっていた。
僕は涙を拭うこともしないで、ただ呆然と誰もいない空き地を眺めていた。
あれから1ヶ月...
朝起きると雪が降っていた。
こんな朝、僕は相変わらず、いつもの場所から誰もいない空き地を眺めている。
彼女は来ない。
そんなことは理解していた。
もし、彼女が来ても、僕には何もできない。
それも分かっていた。
でも僕は、この公園に来ることを止められなかったんだ。
雪は降り続いていた。
僕の心に。
冷たく閉ざされていた。
僕の心は。
あの日から、ずっと。
僕は願っていたのかもしれない。
彼女の前に、あいつが現れたように。
誰かが、僕の前に現れてくれることを。
あいつが、彼女をあの場所から解き放したように。
僕を、この場所から解き放してくれることを。
「...ねえ、こんな所で何やってるの?」
不意にかけられた声。
声の聞こえた方向に顔を向ける。
そこには、見慣れた制服を着た女の子が立っていた。
「君は...誰?」
「クラスメートの名前くらい覚えときなさいよ。」
「...クラスメート」
「同じクラスの北斗奈々子よ。」
「...北斗...奈々子さん。」
「行こっ、学校遅れちゃうよ。」
そう言って、彼女は僕の手を取った。
暖かい手だった。
その暖かさが、うれしかった。
「ねえ南くん、ホントに何してたの?」
雪はやんでいた。
ところどこに、青空が見えていた。
「さあ、何だっけな...」
融けていく。
公園に積もった雪も。
心に積もった雪も。
暖かな陽射しが公園をつつみ始めたから。
暖かな手を差し伸べてもらえたから。
・・・・・ おしまい ・・・・・
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はい、どうもでしたっ。
今回のSSは今までのとはかなり違う感じになりました。
別に意識したワケじゃないんだけどね。
キャラ1人だけで話を進めていったらこうなってしまったんです。
ちょっと詩的かな?(←勘違い)
主役は南なんですど、話の展開上、割と内気な性格ってことにしてあります。1人称も”僕”にして。
まあ、最後では報われてるんで、一応は南救済SSにはなってると思います。
それから自分のSSでは初のオリジナルキャラ、北斗奈々子さん。何で北斗かって言うと、南ときたら北斗だからです。(ああ、どれだけの人が知っているのか、ウルトラマンA)
ちなみに名前は北斗七星をイメージしました。
こちらは、誰に対しても物怖じしない子って感じですかね。南とは正反対の性格を想定しています。
では、今朝のPercomboyさんのまでの感想ですぅ。
偽善者Zさん
・浩平犯科帳 第三部 第一話「日常」
平和な日々、そんな感じが伝わってきました。しかしこの宴会ってばキャラ勢ぞろいで大暴走、むちゃくちゃ豪華ですなぁ。
変身動物ポン太さん
・大晦日の夜に・・・・
おいおい、賽銭箱の前でそんなラブラブなことしちゃあ、視線を感じるのは当たり前だよっ(笑)。でも浩平って幸せだよね、長森以外のヒロイン達にも囲まれてさ。
将木我流さん
・感想SS『Heart Of Lady〜日の出づる前』編
感想ありがとうございました〜。この七瀬は正々堂々としていて気持ちいいです。流石剣の道を精進していただけのことはありますね。
藤井勇気さん
・しゃぼん玉
しゃぼん玉、こわれてきえた。みさおが死んだ。長森が忘れた。上手いですっ!あと、みさおが死んだ時の浩平の叫びも心が痛みました。藤井さん、シリアス書いてもいけてますねぇ。
スライムさん
・悪あるところに必ず正義あり(5th)
七瀬さいこ〜っ!面白すぎですっ!それにしてもいかさまとは...澪ってば可愛い顔をしててもやはり正義の偽善者(違ってたらごめんなさい)、電子レンジャーの一員ですねっ。
加龍魔さん
・Pileworld 〜時の狭間で〜 第二章
あんな時まで他の人のことを考えるなんて、長森らしいですね。それが悲しくもありますが。浩平っ、なんとかしてやってくれぇ〜。
吉田 樹さん
・日溜りの中へ vol.5
うううっ(涙)、感動しました。浩平の長森に対する思いが染み入ってくるようでした。ありきたりな表現ですみません。上手く表現できないんです、とにかく良い話をありがとうございました。
Percomboyさん
・エターナル6・第2話
みさき先輩、いいキャラですよね。彼女と少し喋るだけでみんなが元気になる、そんな魅力がよくでてると思いました。あと最後の七瀬のボケっぷり、笑えましたっ。
・エターナル6・番外その1
「あ〜ん」ですか、浩平っ、なんて羨ましいんだっ!でもワッフルはお約束の激甘〜♪しかも4個も詰め込んでっ(笑)。そのボケっぷりも可愛いなぁ。
あと、感想ありがとうございましたっ。賭けに勝ったのは詩子です、はい。自分もまだまだ修行不足のようですね、ご指摘ありがとうございます。
パルさん
・ワッフルの恐怖
はじめまして〜♪茜の苦手な甘いもの...くはーーーっ!おいしすぎですっ!!なんて嬉しすぎるラストっ!タイトルからは想像も出来ませんでした(笑)。
じゃあ、まったね〜