学園祭の後始末 投稿者: いけだもの(つっこみ茜 代筆)
こんばんは、茜です。
いけだものの遺品を片付けてたら、こんなSSが見つかりました。
たいしたものではないですけど(グサッ!)、代わりに書き込みしておきます。
では、どうぞ。
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学園祭が終わり、校内の雰囲気もいつもの日常にもどったある日の朝...
冬の気配を感じさせる凛とした空気と、ほのかに暖かい陽射しに包まれた屋上に、1組の男女の姿があった。

「ねぇ住井君、朝っぱらからこんなところに呼び出したりして、今度は何の用なの?」
「実は...その...なんだ...」
「はっきり言いなさいよ。」
「ああ、じゃあ言うよ。七瀬さん、いや、留美ちゃん・・を、俺にくれっ!」
「いきなり何言い出すんじゃ、この変態野郎が〜」
バキィィッ!
怒号と共に七瀬さんのメガトンパンチが俺の顔面に炸裂する。
「ぐぁっ!」
ガシャァッ!
勢いよくフェンスまで吹っ飛ばされる俺の体。
「ごふぅっ!い、いいパンチしてるぜ...」
「見損なわないでっ!私はそんな安い女じゃないわっ!」
そう吐き捨てて、七瀬さんは屋上から立ち去ろうとする。
どうやら『・・』の部分が聞こえてなかったようだ。
「な、七瀬さん...俺がくれっていったのは、留美ちゃん焼印のことなんだけど...」
「え?あっ、そ、そうだよね。ごめんっ。わ、私ったら勘違いしてたみたいで。」
俺の言葉の真意を知った七瀬さんは、顔を赤らめて慌てて弁解する。
「いや、俺の言い方もちょっと悪かったよ。」
「それにしても、アレを欲しがるなんてどうしたの?」
「学園祭で『乙女』の七瀬さんと一緒に大判焼き屋をやったっていう証拠が欲しくってね。」
「えっ?」
「七瀬さんみたいな『美少女』と店をやれるなんて、もう2度とないだろうし。」
「もう、住井君ったら、上手いんだから。」
「アレを見るたびに学園祭での七瀬さんの『可憐』な姿を思い出せそうな気がするんだよ。いつまでも、ね。」
七瀬さんの顔がにやけていく。
「そこまで言うんなら...いいわ、あげるわよ。」
「それじゃあ急で済まないんだけど、今日の昼休みに持ってきてくれないかな?」
「わかった。じゃあ、また昼休みにね。」
すっかり気を良くした七瀬さんは、鼻歌まじりで屋上から去っていった。
「ふっ、七瀬さんも相変わらず単純だな。でもこれで、俺の借金も無事返済できるというもの...くっくっくっくっくっ。」


昨夜...
俺は正座をして、親父と向かい合っていた。
喩えようのない緊張感が部屋中に漂っている。
「金が...返せないだと?」
「すまない親父っ!投資した割に、大判焼き屋の儲けが少なかったんだ。」
「ほぉ、それは残念だったな...」
「まあそんなわけだから、今回は若気のいたりってヤツで勘弁してくれよ。」
なんとか緊張感を打ち消そうと、明るい声で話す俺。
「護...お前な...」
しかし逆に親父の声が1オクターブ下がった。
「ん?」
「たかが学園祭で大判焼き屋をやるのに、北海道までスーパーシート使って行って、バカみたいに高い小豆買って、高級旅館に泊ったうえに特別料理を注文する必要があったのかっ!このバカ息子がっ!」
一気に捲し立てる親父に、俺は部屋の隅まで飛び退く。
「うひょ〜、ほんのできごころだったんだよ〜。」
「何ができごごろだっ!わしが仕事を紹介してやるから、そこで働いて返せっ!」
「仕事?」
「ウチの大学病院の死体洗いのバイトだ。丁度、やり手がいなくて困ってたところだからな。」
「死体洗いなんてやってられるかっよっ!」
「お前、そんな贅沢を言える立場か?」
「うっ!」
「では、1週間の猶予をやろう。それまでに金を返すことができれば許してやる。」
「...く、くそ親父が...」
「護...殴られたいのか?」
「い、いえ〜、わっかりました〜。」


そして昼休み...
「はい、これ。」
「ありがとう七瀬さん、家宝にするよっ。」
「ははっ、おおげさね。でもありがと。」
キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン。
留美ちゃん焼印を受け取るとほぼ同時に、授業開始のチャイムがなった。
席に戻っていく七瀬さんの背中を見ているうちに、口元に笑みがこぼれてくる。
「七瀬さん、すまないね。くっくっくっくっくっ。」
そう、俺は借金返済のために『留美ちゃん焼印』をオークションにかけることを思いついたのだ。
実際のところ、学園祭が終わってから七瀬さんの株は高騰していた。
制服の時ほどは高値が付かないにしろ、七瀬さんのハンドメイドの『留美ちゃん焼印』はそこそこの値がつくはずである。
「では、早速...」
俺は意気揚揚とオークションの開催を告げる回覧を男子生徒に回したのであった。


放課後...
「はぁ...」
ため息をつきながら、昇降口に向かう。
「焼印はマニアック過ぎたか...」
『留美ちゃん焼印』は、またしても中崎が落札した。
しかし、落札価格は7万円。
思いのほか競合する者がいなかったのだ。
「これじゃあ、飛行機代にもならないじゃないか...」
「住井く〜ん。」
靴を履き替えようとしていると、不意に後ろから呼び止められる。
「あっ、七瀬さん。」
「ごめんっ、アレ、今日だけ貸してもらえない?」
「えっ?ど、どうして?」
突然の七瀬さんの言葉に、戸惑いを隠せない俺。
それもそのはず、アレは既に中崎に渡しているため手元にない。
「えへっ、記念写真なんかとっておこうかと思って。」
「そ、そうなんだ...」
精一杯、作り笑いを浮かべてみる。
なんとかこの場をきり抜けなければ...
「おっ、七瀬に住井じゃないか。」
七瀬さんの後ろから、いつもの間の抜けた声がした。折原だ。
嫌な予感が頭をよぎる。
「それにしても、あんなものまで売るなんてお前らってセコイよなぁ。」
「え?」
折原の言葉の意味が分からず、七瀬さんはきょとんとしている。
「おいっ、折原っ。」
予感的中。
頼む、もうこれ以上何も喋らないで、そのまま家に帰ってくれ。
しかし、俺の願いもむなしく、折原は喋りつづける。
「でも、焼印なんてマニアックなモン、7万でもいいとこだよな。」
「7万...」
少しづつ状況を理解してきたのか、七瀬さんの顔色が変わり始めた。
早々にこの場を立ち去らないとヤバイことになるぞ。
「七瀬だけに7万ってか、はっはっはっはっはっ。」
折原...むちゃくちゃつまらんぞ。
「売る...焼印...」
状況は悪くなる一方だ、こうなったら強行離脱しかない。
「あっ、俺、急用を思い出したから、じゃあね。」
そう言って俺は2人に背を向ける。が...
「す・み・い・くんっ。」
妙に明るい七瀬さんの声。
「はっ、ははっ、はははっ...」
振りかえると、そこには全身に殺気に宿した七瀬さんがいた。
「地獄に落ちろっ!この腐れ外道っ!」
ドゴォッ!
「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ.............」


それから1ヶ月、俺は学校にも行かずに死体を洗いつづけた...


・・・・・ おしまい ・・・・・

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お読みくださいまして、ありがとうございました。

どうやらギャグのつもりで書いていたみたいですけど、これギャグでしょうか?
オチもみえみえで(グサッ!)本当に直球勝負ですよね。
そこが良いところでもあったんですけど...
今はいません。

あっ、そうそう。
遺品の中に、何故かいけだものが消えた後のSSの感想もありました。
それでは、お昼の秀さんまでの感想を書かせていただきます。

将木我流さん
・感想SS『小さな臍淑女』編
 感想ありがとうございましたっ。ラブラブ...自己陶酔の世界です(勝手な持論)。大丈夫、すぐ恥かしくなくなりますよっ。

WTTSさん
・二次創作応援歌
 今回のお気に入りはデンジマンの2番かな〜。脇役陣が上手いことまとまってましたっ(笑)。自分、替え歌(って言うか歌詞)って作れないんですよねぇ。

ここにあるよ?さん
・遊園地その4
 おおっ!このSSもシリアスにっ!そうだぞ浩平、もう2度と茜を1人にしたらだめなんだからなっ!

雫さん
・白い記憶 〜最終章〜
 あぁっ!大福男っ!美味しいトコ全部かさらってるじゃん!ってのはさて置いて、あいつが深山先輩を連れ戻しに来たとこ、マジ感動でしたっ。思わずうぐっ...(涙)ってなりましたよ〜。

GOMIMUSIさん
・追想迷宮〜深淵の彼方
 浩平の方は、光が見えてきたって感じですね。その中でも浩平の父さん、ぶっきらぼうな台詞がまた格好よかったなぁ。でも長森のほうはまだまだ心配です〜。  
吉田 樹さん
・ある日の南(感想)
 南...ビデオまで買うか?でもフォークダンスって、嫌いな娘とは何度も躍らされるのに、好きな娘とは全然踊れないんですよね〜。
・ガラスの靴が合わなくて(前編)
 ではひともいに...ザクッ!...ってのは冗談冗談(笑)。なんか大人の雰囲気が漂ってる話ですねっ。それに意味深な終わり方だよ〜。このまま2人は急接近?
・日溜りの中へ vol.1
 おうっ、こいつはまた(良い意味で)変わった設定の話しですね〜。浩平を起こすみさおとか、あんまり親しくない浩平と長森の関係も新鮮味がありますねぇ。

かっぺえさん
・小ネタSS(感想)
 髭、偉大すぎですぅ〜。柚木の出欠までちゃんとチェックしてるってのが笑えますねっ!

秀さん
・日常(第一部)
 本日のまどろみ時間は30分(笑)。朝、布団の中でふにゃ〜ってしてると、気がつくと思いもよらないほど時間がたってるんですよね。浩平、あとはがんばって走ろうぜ。
・日常(第2部)
 浩平ってばちゃんと別のCDを隠し持ってるところがにくいっ!見慣れた店でも、こんなことやってると、それはそれで2人の思い出の場所になっちゃったりするんですよねぇ。ラブラブ〜。

また何か見つけたら書き込みにきますね。
みなさんさようなら。