こ〜んば〜んわっ、いっけだものだよ〜ん。
花金(死語)なので陽気です〜。
ついに連載回数が2桁にのってしまいましたっ。
では、どうぞ。
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前回までのあらすじ
たい焼きが売り切れたので、浩平と催し物を見てまわりました。
演劇部の公演を見たり、射的で遊んだり...学園祭ってこんなに楽しいものだったんですね。
私、知りませんでした。
でも、私達が楽しんでる間に詩子があんことになってしまって...
だから私、詩子のために、乙女焼き30個にチャレンジします。
「分かった。頑張れよ。」
茜の意志が変わらないと悟った俺は、そう一言、茜にエールを送った。
「まかせてください。」
僅かに笑顔で、それでいて緊張した面持ちで答える茜。
「...と言うことで七瀬さん、挑戦させてください。」
「わかったわ、こっちに来て。」
「...はい。」
七瀬は茜を大判焼き屋の隣に設置された特設テーブルに案内した。
「ルールはこうよ。」
店の壁にかけられたホワイトボードを指差す七瀬。
ホワイトボードにはこう書かれていた。
『乙女焼きを食べて、あなたも賞金をゲットぉ!!
制限時間30分の間に30個の乙女焼きを食べることができたら1万円を差し上げます。
初回挑戦料は1000円。
10個食べきって更にチャレンジを続ける場合は、追加挑戦料として1000円をいただきます。
見事、30個を食べきった方には、挑戦料をお返しした上で1万円を進呈。
食べられなかった乙女焼きは、お土産として持って帰ってね。
れっつ、とらいっ! 乙女屋店主 留美ちゃん より』
「...わかりました。」
ピンク色の可愛い財布から3000円を取り出し、七瀬に渡す。
「里村さん、まずは1000円でいいのよ。」
「...いちいち払うのは面倒ですから。」
ひくっ
茜の発言に、七瀬の口元が少しひきつる。
「...大した自信ね。南くんっ、乙女焼き10個、持ってきてっ!」
「はいよ〜。」
特設テーブルに10個の大判焼きが盛られた皿が運ばれてきた。
「じゃあ、始めるわよ。準備はいい?」
「...はい。」
「行くわよっ、よ〜い、スタ〜トっ!!」
「...いただきます。」
茜は行儀良く『いただきます』をして、大判焼きを手に取った。
ぱくっ、もぐもぐもぐ...ごくん。
ぱくっ、もぐもぐもぐ...ごくん。
ぱくっ、もぐもぐもぐ...ごくん。
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ぱくっ、もぐもぐもぐ...ごくん。
茜は10個の大判焼きを難なく食べてしまった。
ここまでの所要時間は8分。
とりあえずは順調な滑りだしと言えるだろう。
しかし、この手のチャレンジは食えば食うほどペースが落ちてくるのが定石。
油断は禁物だ。
「はい、2皿目。」
南が新しい大判焼きを運んできた。
大判焼きからは、いかにも焼き立てと言わんばかりに湯気が昇っている。
しかし茜は、そんなことを気にするそぶりもなく大判焼きを頬張った。
ぱくっ、もぐもぐもぐ...ごくん。
ぱくっ、もぐもぐもぐ...ごくん。
ぱくっ、もぐもぐもぐ...ごくん。
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ぱくっ、もぐもぐもぐ...ごくん。
20個完食。
七瀬と南も、驚きの表情を隠せないでいる。
そう言う俺も正直なところ、茜がここまでやるとは思ってなかった。
しかし、時間は既に20分を経過。
茜の表情は変わっていないものの、ペースは明らかに落ちている。
このままでは、チャレンジは失敗だ。
しかし、今の俺にできることはと言えば...
「茜、がんばれっ!」
こうして声援を送ることだけだった。
「...最後の10個だよ。」
3枚目の皿が、テーブルの上に置かれる。しかし...
「...」
茜は山のように盛られた大判焼きに手をつけず、それをじっと見つめていた。
そして視線を七瀬に移す。
「...七瀬さん。」
「どうしたの?ギブアップ?」
「...いえ、これ、味付けしてもいいですか?」
味付け?もしかして...
ある予感が、俺の頭の中を駆け巡る。
「別に構わないわよ。」
「...それでは、遠慮なく。」
そう言うと、茜は上着のポケットから白く濁ったガラス瓶を取り出した。
予想どおりの展開...
それは、茜がいつも携帯している調味料(?)だ。
ガラス瓶の蓋を取り、それを大判焼きにたっぷりとかける。
「里村さん、それって...」
「練乳です。」
はっきりと答えると、茜は再び大判焼きを食べ始めた。
ぱくっ、もぐもぐもぐ...ごくん。
ぱくっ、もぐもぐもぐ...ごくん。
ぱくっ、もぐもぐもぐ...ごくん。
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練乳がたっぷりとかけられた大判焼きを次々と食べていく茜。
信じ難いことだが、そのペースは始めの10個の時よりも速くなっていた。
「...う、嘘でしょ...」
七瀬は信じられないものを見るような目で茜を見ている。
「そ、そんな、馬鹿なっ。俺達が負けるのか〜!」
ガンガンガンッ!
大声を張り上げて、店の壁に頭を打ちつける住井。
「こんなの、里村さんっぢゃないやいっ!」
南は目の前の現実から逃げるように、夕日に向かって走って行った。
こいつら、壊れたな...
「ふう...これで最後ですね。」
最後の大判焼きを口に運ぶ。
ぱくっ、もぐもぐもぐ...ごくん。
「...ごちそうさまでした。」
茜は両手をあわせて小さく呟いた。
そして七瀬がストップウォッチを止める。
「時間は?」
「...」
「...29分47秒よ。」
「よっしゃぁっ、やったぞ茜ぇっ!」
「負けたぁぁぁぁぁぁぁ!」
俺の歓喜の声と住井の断末魔の叫びが校庭中に響きわたっていた。
とにかく、茜のチャレンジは成功。
感心したと言うか、あきれたと言うか。
まあこれで、茜が言ってた詩子の仇討ち(?)は果たせたってことだな。
「...里村さん...おめでとう。」
青ざめた顔の七瀬が、茜に3000円と祝儀袋を渡す。
「ありがとうございます。」
うやうやしく、それを受け取る茜。
そして俺の側にくる。
「浩平、やりました。」
「ああ...でも、よくあれだけ食べられたな。」
「甘いものはべつ腹だって、言いましたよ。」
そう言って、茜はにこりと微笑んだ。
・・・・・ 次回、ついに最終回 ・・・・・
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はいっ、お読みいただきありがとうございましたっ。
完食するってのは、皆さん予想してんじゃないかと思います。はい。
直球ばっかですからねぇ。
さて、長々と書いてきましたこのSSも、いよいよ次回で終わりです。
よおっしゃぁ、気合入れて書くかっ!
話は変わりますが、ここって書き込みがない日ってないですよねぇ。これって凄いことだと思いますっ。
では、今朝の睦月さんまでの感想で〜す。
いちごうさん
・戦う乙女たち!! 〜3 〜(後編)
ドッペルの痛みは自分の痛み、それが分かってもとにかく攻める。それでこそ七瀬ですっ。あんな形で決着がつくとは思いもよりませんでした。一味違うなぁ。
・ファースト・キス(前に書いた感想そのままですけど、も1回書きます。稚拙な感想ですみません。)
繭の成長ぶりには感心させられるばかりですね。でも浩平ってホントにこの手のことに、にぶいよなぁ。
だよだよ星人さん
・リレーSS第9話
MOONキャラ、すごい味覚のトリを飾ったのは晴香(ですよね?)、浩平が怒るのも無理のない食べ方ですね。チョコパ様にさらわれる澪、お間抜けすぎですっ。
・お母さんと私
ついに七瀬救済SSプロジェクト(勝手に命名してみました)の始動ですねっ。七瀬の魅力であるいちずなところとか常に前向き思考なところが上手くでてると思いますっ。
GOMIMUSIさん
・追想迷宮 〜失われし願い
ぬぉ〜、浩平が消えてしまったぁ〜。浩平の母親の出現も嫌なムードだったし...。でも「…すぐ、戻るから」って言葉に希望を託したいですっ。
秀さん
・いつか見た夕日・・・(前編)
はじめましてですね。最初のみさき先輩の語り、みさき先輩らしいなって、ぐっときました。目が見えるようになるかもしれないって話、やっぱ手術なんでしょうかね。
ここにあるよ?さん
・ゲームセンターONE5
ここにあるよ?さんってホントにゲーマーみたいですねっ。格闘ゲームの実況中継って、こんな感じになるのかなぁ。
もももさん
・変わりゆく存在
はじめまして〜。沢口に変わっていく南ですか、面白いですねぇ。ママも凄いことになってるし。今後、どんな試練が南を待っているのか?楽しみにしてます。
偽善者Zさん
・浩平犯科帳 第二部 第九話「終幕」
久坂は真の敵じゃなかったってことを、浩平はよく分かってる見たいですね。最後の場面、浩平の新たな決意をあらわしている様でした。
もうちゃん@さん
・乙女興奮記「高槻を殺れ」
木をなぎ倒して進む七瀬と壁をぶち壊して進むみさき先輩、らしいって言うか本当にやっちゃいそうで笑えました。みゅ〜の立場、かなり弱いですね。よく耐えてるなぁ。
WILYOUさん
・バグハグハング 1〜5
すごいぞっ、郁未ナナピー!もはや広瀬なんて敵じゃないぜっ!でも、もしかして浩平が消えたのも、郁未ナナピーの為せる技によるものなのかも...
メタルスライムさん
・謎に迫る 3
調査、ありがとうございましたっ。なるほど、みさき先輩の記憶力に目を付けた訳ですね。そして大食いとの関連性づけまでしてしまうとは、十分な報告ですっ。
よもすえさん
・どっぺるさんのおつかい
センチメンタルなどっぺるですね。自分の存在を問うような感じで、せつないなぁって思いました。いつも切れてるどっぺるですが、うん、ありですねっ。
睦月周
・深海
どうも、ココで睦月さんのSSを読むのは初めてです。闇の世界(表現おかしいかな?)に生きるみさき先輩の思い...深海とは上手い比喩ですね。ラストが暖かいなぁ。こう言うの好きですっ。
いつも同じ台詞ですが、読んでくたさった方、感想くださった方、どうもありがとうございました。
じゃあ、まったね〜。