俺と茜の学園祭(その9) 投稿者: いけだもの
こんばんわっ、いけだもので〜す。
よっしゃぁっ!「俺と茜の学園祭(その9)」、書き上がりましたっ!
では、どうぞぉ。
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前回までのあらすじ
七瀬さん達の大判焼き屋、大繁盛みたいです。
やっぱり七瀬さんて美人だから、声をかけられた男の子は買わないワケには行かないですよね。
でも、私達の『たい焼き』だって、売り切れたんですよ。
こんなに売れるなんて、思ってもみませんでしたから、すごく嬉しいです。


「浩平、やりましたね。」
そう言って、茜が俺の手をぎゅっと握ってくる。
茜からこんなことをしてくるなんて、よっぽど嬉しかったんだろう。
つまり、たい焼き屋をやるっていう俺の提案は大成功だったってことだ。

でも、茜にはもっと学園祭を楽しんでもらわないとな。
時計を見ると、2時を少しすぎたところ...
催し物を見て回るには、まだ十分に時間がある。
「よしっ、今からはお客として学園祭を楽しむかっ。」
「はい。」
とりあえず簡単に片付けをして、俺達は校内に飛び出した。


まずは、屋上のオープン・カフェで腹ごしらえ...
「なあ、フルーツサンドなんて昼飯になるのか?」
「私には、これくらいがちょうどです。」
「そう言う問題じゃないんだけどな...」

演劇部の公演を見て...
「澪〜、名演技だったぞ〜。」
「...浩平、椅子の上に立つのは止めたほうが...」
がらがらがっしゃ〜ん

射的で遊んで...
「浩平、『あれ』取ってください。」
「なんだ?あれ...怪獣か?」
「...分かりません。でも、可愛いです。」

ブラバンのミニコンサートを聞いて...
「ぐ〜」
「...」

相性占いして...
「まあ...占いなんて、な...」(顔真っ赤)
「...」(同じく顔真っ赤)

こんな感じで、俺達は高校最後の学園祭を楽しんでいた。


そのころ...
「あらっ?」
相変わらず客引きをしていた七瀬は、ある事実に気がついた。
「住井くんっ、折原達の店、閉まってるわよ。」
「なにっ、本当か?」
「本当よ。ほら。」
茜茶屋には『閉店しました』と書かれた紙が貼ってある。
「よおっしゃ〜、作戦大成功っ!折原の落胆する顔が目に浮かぶぞっ!くっくっくっくっくっ。」
「これで折原と里村さんの関係は崩壊確実っ!傷心の里村さんは、この南様がいただくぜっ!へっへっへっへっへっ。」
人目もはばからず、歓喜の笑い声をあげる2人。
「まあ、私にはどうでもいいことだけど...あんた達、友達なくすわよ。」
「くっくっくっくっくっ。」
「へっへっへっへっへっ。」
悦に入っている2人には、七瀬の声は届いていないようだった。


そして夕方...
催し物をひととおり堪能した俺達は、片付けのために店に戻って来た。
「あれっ?」
店の裏の芝生に人が倒れている。
「どうしたんでしょうか...」
急いで駆け寄ると、倒れていたのは見知った人物。
「詩子...」
そう、柚木だ。
何故かその手には大判焼きの入った袋が握られている。
「おいっ、柚木っ、しっかりしろっ!」
ばしばしばしっ!
柚木の上体を起こし、名前を呼びながら顔をはたく。
「う...ん...」
ばしばしばしばしばしっ!
「...お、折原くん...茜...」
うっすらと目を開け、弱々しい声を発する柚木。
「よかった、気がついたか。」
「...詩子、どうしたんですか?」
「茜も折原君も...酷いよ...」
「へ?」
「せっかく遊びに来たのに...店は閉まってるし...その辺を捜しても見つからないし...」
「...」
「だから...暇つぶしに...隣の大判焼き屋で大食いチャレンジに挑戦したの...」
いかにも柚木らしい暇のつぶし方だ。
「でも...12個食べたところで気分が悪くなって...」
しかも結果まで案の定である。
「お願い...もう少しだけ...休ませて...」
そこまで話すと、柚木は再び瞼を閉じた。
「茜、悪いけど保健室で胃薬をもらってきてくれないか?」
俺は柚木の体をそっと芝生に寝かしつけながら、後ろにいる茜に声をかける。
しかし、返事がない。
「茜?」
振り向くと、そこに茜の姿はなかった。


茜は柚木の最後の言葉を聞くと同時に七瀬達の店に向かっていた。
そして、客引きをしていた七瀬に声をかける。
「...七瀬さん。」
「あら里村さん、どうしたの?」
「...私も、大食いチャレンジに挑戦したいんですけど。」
「え?」
思いもよらない茜の言葉に、七瀬は一瞬言葉を失った。
「里村さん、たい焼き屋が失敗したからって、やけを起こしちゃいけないよ。」
いつの間にか茜の後ろにいた南が、茜の肩になれなれしく腕をまわして耳元で囁く。
「...失敗?」
茜はあからさまに嫌そうな顔をして、南の腕を払いのける。
すると、住井がやけに勝ち誇った態度で店から出てきた。
「里村さんと浩平の店、俺達の店が繁盛しすぎたせいで、お客が来なかったから閉めたんだろ。」
「...」
「何言ってんだ、店を閉めたのは、たい焼きが売り切れたからだぞ。」
茜に代わり、柚木の介抱を終えて七瀬達の店に着いた俺が答える。
「...浩平。」
「何っ?」
「マジで?」
俺の答えに、「そんな馬鹿な」といった顔で俺を見る住井と南。
そんな2人を無視して、俺は茜の側に歩み寄った。
「茜、そんなこと止めとけって。」
「...嫌です。」
「いくら甘いものが好きだって言っても、30個は無理だろ。」
「...甘いものはべつ腹です。それに...」
「それに?」
「...詩子の、弔い合戦です。」
...どこかズレている。
しかし、俺の目を見つめる茜の瞳には、強い意思が宿っていた。

・・・・・ つづくんだよっ ・・・・・

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どもども、いかがでしたでしょうか。

ホントは学園祭のシーンをもっと書きたかったんですけどねぇ。
学園祭って自分の学校以外はあんまり行ったことがないだけに、上手く書けないもんですねっ。
かなり強引な展開ですが、茜が大食いチャレンジに突入しました。
ああ、どおなることやら...
次回、食うか食われるかの大一番ですっ!

では、けさの偽善者Zさんまでの感想で〜す。

ばやんさん
・始めての朝  後編
 いやぁ、瑞佳って単純で可愛いですよねっ。「昨日は、良かったよ」って平気で言っちゃう浩平はすごいなぁ。自分には絶対言えませんよぉ〜。
 
スライムさん
・Moonな日々−4−(中編)
 どんな展開になるかとハラハラしてたんですけど、2つのSSのリンクのさせかたが上手すぎです〜。はぁっ、とりあえず長森が無事でよかったなぁ。

吉田 樹さん
・その少女は、笑顔になりきれずに(沢口SS・閑題休話)
 みさお、やっぱり子供なんだなぁ、色恋沙汰はまだ早かったようです。でも、前向きなところはいいですねっ。
・ある日の南(感想)
 ああ南、それだから茜を浩平に取られちゃうんだよっ。でもその気持ち、分かる気もしないでもないけどね〜。あと感想どうもでした。

偽善者Zさん
・浩平犯科帳 第二部 第八話「潜入」
 詩子や七瀬が身を呈して浩平たちを先に行かせるとこなんか、定番的なんですけど上手く書いてますねっ。戦闘シーンも展開がスピーディーだから、どんどん読めます。あと、あの終わりかたって続きが凄く気になるな〜。

感想くださいました皆さん、ど〜もでした。
じゃあ、まったね〜。