俺と茜の学園祭(その8) 投稿者: いけだもの
こんばんわ、いけだものですっ。
引き伸ばしまくってる、「俺と茜の学園祭」、今回で8回目を迎えました。
ここ数回は、ラブラブぶりが度を越えてるぞって声も聞こえてきそうな展開が続いてますが、今回は?
では、どうぞ〜。
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前回までのあらすじ
七瀬さん達から、勝負を申し込まれたみたいです。
色々と言ってましたが、『乙女焼き』...ですか?本当に普通の味でした。
少なくても、味ならこっちの勝ちです。
でも、勝負なんかより、楽しむことが1番ですよね。


開店して数時間...
七瀬達の店はものすごい数の客でごったがえしていた。
理由は簡単、七瀬が店の前で呼び込みをしているからだ。
当然のごとく、客は野郎ばかりである。
中には七瀬の気を引こうと、1人で十数個も買っていく奴や、無謀にも『30分以内に大判焼き30個食べたら1万円』というチャレンジ・イベントに挑戦する奴もいて、おかげで住井と南は開店直後から休憩なしで大判焼きを作りつづけていた。
まあ、チャレンジに成功した奴はいなかったみたいだけどな。
「はい、おあと2名様、5個づつお買い上げよ。」
「七瀬さ〜ん、もう呼び込みはいらないよ〜。」
客にに大判焼きを渡しながら、南が情けない声をあげる。
「なに言ってんのよ、あんた達、折原に勝ちたいんでしょ。楽して勝負に勝とうなんて、考えが甘いわよっ。」
言ってることは立派だが、自分はちゃっかり楽をしている七瀬。
「ふうっ、休憩なしはさすがに辛いが、この繁盛ぶり、折原の店は閑古鳥が鳴きまくってるにちがいないっ。くっくっくっくっくっ。」
そして住井は、いやらしい笑い声をあげながら、次から次へと大判焼きを焼きまくっていた。

一方...
住井の予想に反して、茜茶屋もそこそこ繁盛していた。
たい焼き屋が少なくなった昨今の業界事情も幸いしてか、中高生くらいの女の子達が「きゃ〜、可愛い〜。」とか「わぁ、珍しいね〜」と言った黄色い声を上げながら買っていく。
図らずも七瀬達の店とは客層がまったく違ってしまった訳だ。
おかげで午前中は、俺も茜も休憩する暇はほとんどなかった。


昼飯どきになり、客足が途切れたところを見計らって、俺と茜は店の裏の芝生に座って休憩を取っていた。
「予想以上の順調な売れ行きだな。」
「嬉しいです。」
「この調子だと、あと1、2時間で完売するんじゃないか?」
「そうですね。」
ちなみに販売予定数は、『和風たい焼き』が150個、『チョコたい焼き』が100個だ。
「そうしたら俺達も校内を見てまわ...」
どかっ!
突然、後ろからの衝撃が俺を襲う。
「ぐあっ!何だっ?」
「...上月さん。」
『こんにちわなの』
首を回してみると、澪が俺の背中におぶさるような格好で、にこにこと笑いながらスケッチブックを茜に見せていた。
どうやら澪が後ろから飛びついてきたらしい。
「なんだ、澪か。」
「こんにちは、上月さんは何をしてるんですか?」
「演劇部の午前の公演が終わったんで、校内を見てまわってるところだよ。」
茜の問いに、俺の後ろから答えが返ってくる。
振り向くとみさき先輩と深山先輩が立っていた。
「浩平君、久しぶりだね。」
「おっ、みさき先輩に深山先輩、久しぶり。」
「本当、半年ぶりくらいかしらね。」
「たぶんそれくらいだな。」
「...浩平、この方達はどなたですか?」
茜が小声で俺に聞いてくる。
「そうか、茜は2人と面識がなかったっけ。」
俺は茜とみさき先輩と深山先輩に、お互いのことを簡単に紹介した。
2人は演劇部の公演を見がてら、遊びに来たらしい。
「茜ちゃん、よろしくね。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。」

「そうだ、みんなで『たい焼き』でも食べないか?」
「うれしいよ〜。ちょうどお腹がすいてだんだよ〜。」
俺の提案に、満面の笑みをうかべて賛成するみさき先輩。
芝生に座って、5人でたい焼きを頬張る。
ちなみにみさき先輩と澪と俺は『和風たい焼き』、深山先輩と茜は『チョコたい焼き』を食べた。
「味はどうでしょうか?」
「おいしいよ。それに私、抹茶は大好きだからね。」
「こっちのも少し甘めだけど美味しいわよ。」
『この間のより、もっと美味しいの。』
「そうか、なにしろ俺と茜の力作だからな。」
作ったものを「おいしい」って言ってもらえるのは、やっぱり気分がいい。
これが食べ物屋の醍醐味ってやつだな。

「ね、浩平君、たい焼きって、もうないのかな?」
感慨にふけっている俺に、みさき先輩が声をかけてきた。
「先輩、もしかして1個じゃ物足りなかったか?」
「うん、今日は朝食を食べてから、何も食べてないからね。」
「ちなみに今日の朝飯は何だったんだ?」
「フランスパン1本と牛乳1パック(リットル)、それとサラダだったよ。」
「だからそれは朝飯に使う単位じゃないって...」
「...」
『...』
茜と澪は目を丸くしてみさき先輩を見つめている。
そう言えば、俺も初めてみさき先輩の食べっぷりを見たときは、確かこんな反応だったよな。
「そうだ、みさき先輩、そんなにお腹が減ってるんだったら隣の大判焼き屋で賞金付き大食いチャレンジをやってるぞ。」
「えっ、本当?じゃあ早速挑戦してくるよ。」
すくっと立ち上がるみさき先輩。
「ちょ、ちょっと、みさきってば、止めなさいよっ。」
「だいじょうぶ、だいじょうぶ〜♪」
みさき先輩は深山先輩の制止を振り切って、七瀬達の店に向かって颯爽と歩いて行く。
「みさきっ、待ちなさいったら。」
深山先輩も立ち上がり、みさき先輩の後を追っかけて行った。


30分後...
「らんらんらん♪こ〜へ〜く〜ん、あっかねちゃ〜ん。やったよぉ。」
みさき先輩がスキップしながら店の前にやって来た。その右手には1万円札が握り締められている。
その後ろには、げんなりとした深山先輩。
「おっ、さすがみさき先輩。30個食べたんられだな。」
「うん、でも30分以内なら数は無制限だって言うから、とりあえず50個食べてきたよ。」
「げ...」
それを聞いた瞬間、俺は深山先輩がげんなりとしてる理由を理解した。
当分の間、甘いものは見たくもないって感じだ。
ふと隣の店を見ると、両膝を地面について遠くを見つめている七瀬が見える。
まあ、連中にはいい社会勉強になっただろう。

「上月さん、午後の部のリハーサルがあるから、そろそろ行きましょう。」
深山先輩が俺達の手伝いをしてくれていた澪に声をかける。
『わかったの。』
「上月さん、お手伝いありがとうございました。」
『いえいえなの。』
「舞台、頑張れよ。」
うんっ、澪は力強く頷いた。
「午後の部は3時からだから、よかったら見に来てね。」
「2人とも、まったね〜。」
『たい焼き美味しかったの。』
思い思いの別れの言葉を残して、3人は体育館の方へ歩いて行った。


それから1時間後...
「すみませ〜ん。和風たい焼き、2個くださぁい。」
「毎度っ、2個ですね...あっ、もうこれで終わりだから、1個サービスしときますね。」
「えぇっ、本当ですかぁ?ありがとうございますぅ♪」
「お買い上げ、ありがとうございました。」
茜茶屋の『たい焼き』は完売した。

・・・・・ まだつづきます ・・・・・

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おそまつさまでしたっ。

今回は茜の影がちょっと薄かったかな?
でもついに『たい焼き』も完売、最終回も、もう間近ですっ。
どんなラストになることやら...
お楽しみにねっ。

さあ、新しい方も次々と参加されて、盛り上がってるこのコーナー。
簡単ではありますが、今朝の神野龍牙さんのまでの感想を書かせていただきますっ。

ブラック火消しの風さん
・黒い心の炎 NO.12
 怒り、悲しみ、憎しみ、いったいどれが一番強くでるんでしょうか?自分にも分かりません。浩平の心の片隅に触れた七瀬の今後の動きにも注目ですね。

だよだよ星人さん
・リレーSS 第6話
 強引な話に続きを書いていだだいて、ありがとうございます。食堂はやっぱり大盛況みたいですねぇ、ばっちりな展開ですっ。
・新世界だよもん教!劇場版5
 歪むシナリオ、泥沼化していく人間関係、この話の世界が形成されていくにふさわしいダークなバックグラウンドでした。ラストの方は精神世界的な話になってますね、奥が深いですっ。
・新世界だよもん教!劇場版6
 超大作の執筆、お疲れさまでした。長森が最後に作り出した世界、続いているようで続いていない、不思議な感覚ですね。別のところで元の世界も続いてるんじゃないかと思えてしまいました。まあ、この世界では2人に幸せになってもらうってことで、良いんじゃないでしょうか。

雫さん
・校内ミスコンテスト(その8)
 詩子、「別名は犬である!!」がおいしいです〜。でも詩子の登場までは予想できましたが、『ミスONE』の称号が佐織のものになるとは...「ひ〜〜〜の〜〜〜た〜〜〜ま〜〜〜・・・・・。スパイクゥゥゥゥーーーーッ!!」すっかりギャグキャラですねっ。わっはっはっはっは。

enilさん
・おまけ♪
 おまけ、嬉しいなっ。七瀬は現実的ですからねぇ、きっと予想どおりの反応をしてくれるでしょう。七瀬の慌てぶりを想像すると笑えてきますっ。

吉田 樹さん
・ある少年は、悲しい雨に
 はじめましてっ。茜の幼なじみ、やはりヘヴィな過去を背負ってるなぁ。幽霊みずかと沢口くんが浩平と茜に影響を与えていくとは面白ですねっ。今後の展開が楽しみですっ。

将木我流さん
・七瀬さんの進め!オトメ大作戦!!(第1話)
 ついにSSコーナー進出ですね、おめでとうございますっ。オトメになるために修行とは、さすが剣の道を精進していた七瀬ならではの発想ですね。さぞかし楽しい修行になることでしょうねぇ。期待してますっ。

T.Kameさん
・高根の花だよ...七瀬さん(中崎、男になれ)
 中崎くん、七瀬が遊びに(?)きてくれてよかったねっ。こうなるとは思いませんでした。次回、七瀬の暴れっぷりに期待大です。あれっ?でもこうなると七瀬の本性がばれちゃうから、暴れないのかな?
・こんな僕に誰がした(前編)
 過去を懐かしみながら生活してる浩平、ちょっと寂しいですね。茜と別れたのもワケありっぽいし、最後のとこなんか、むちゃくちゃせつないです。ばっちりシリアスですよっ。

偽善者Zさん
・浩平犯科帳 第二部 第六話「異変」
 この前の感想では婦亜瑠後をうっかりFARGOなんて書いてしまいました。ごめんなさい。神隠し...上手く時代に合った展開を考えるなと感心しきりです。う〜ん、詩子と茜って表向きは何者なのでしょうが、次から次へと気にことが出てくるなぁ。
・永遠の園から5
 わさびは好きですっ。確かに単体では、おいしい物ではないと思いますが...ないとさびしいです(茜風に)。くう〜っと鼻にくる感覚が何とも言えずいいんですよねぇ(マゾじゃあないですよ)。

スライムさん
・Moonな日々−4−(前編)
 ムーンのダークな雰囲気に、ところどころ織り交ぜたギャグが相変わらず面白いですねっ。最後は長森大ピーンチ!!、次回はギャグかシリアスか?楽しみです。
・無意識という心
 こうして茜は洗脳されたって訳ですか。なるほど、汚いやりかたですっ。となるとこの洗脳を解くには、浩平の力が不可欠ってことになりますかね。
 
Nさん
・小さい頃の話
 はじめまして。これは由起子さんのSSですね。浩平を引き取ることにした由起子さんの優しさと不安、そして幼い浩平の気持ちが凄くうまく描かれてますっ。いい話ですぅ〜。

まてつやさん
・『るみ』
 わはははははっ。ぬいぐ『るみ』ですかっ、上手すぎですっ。結局は一人相撲、おまけに制服売ってまでぬいぐるみを買わされて...でも七瀬、可愛いよ〜。

ここにあるよ?さん
・遊園地その2
 茜もジェットコースターに乗ると「ひゃっほ〜」とか言うんでしょうかね?次はお化け屋敷ですか、茜より浩平の方が怖がったりして...楽しみです。
・ゲームセンターONE!!4
 ここにあるよ?さん、UFOキャチャー得意なんですね〜。でも最近のって、こんなの取れないぞっ、ってやつが多くないですか?あっ、SSと関係ない話になっちゃったぞっ。みんなでゲーセンに行ってるっていうワイワイ感がよく出ていて、いいですね。

神野龍牙さん
・第惨だーん 澪のSS
 望ちゃん、澪に似て元気ハツラツの子ですね。スケッチブック、浩平に借りた物だと思いますけど、それに対する澪の思いが上手く表現されてると思いますっ。

じゃあ、まったね〜。