俺と茜の学園祭(その6) 投稿者: いけだもの
こんちは〜。いけだもので〜す。
前回、つっこみ茜ちゃんから催促されたから(?)、頑張って(その6)書きましたよぉ。

さぁ、どうぞっ。
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前回のあらすじ
あのお菓子のことで、少し落ち込んでました。
でも、浩平が励ましてくれたから、もう平気です。
今度の日曜日に、私の家で浩平と2人で、たい焼きの試作会をすることになりました。
浩平が私の家に来るのは初めてなんです。
お部屋を片付けておかないといけませんね。


「へぇ〜、結構きれいじゃないか。」
それが茜の部屋を見た第1印象だった。
ずーっと前に、「私の部屋も散らかってますから。」なんて言ってたような気がするんだけどな。
ピンクを基調とした配色でまとめられた可愛らしい部屋。
窓際にベッドが配置されていて、その反対側には本棚とクローゼット、部屋の真ん中に天板がガラス板になっている小さなテーブルが置かれている。
ちなみに部屋の広さは俺の部屋と同じ6畳くらい。でも机がない分だけ、広く感じられた。
「昨日、掃除しましたから。」
「わざわざか?」
「はい。」
「どうして?」
「浩平が来るんですから...」
「ははっ、俺は別に構わないのに。」
「私が構います。」
「そういうもんか。」
「そういうものです。」
そんな会話をしながらテーブルに試作品と紅茶を置き、ベッドにもたれるような格好で2人並んで床に座る。
「じゃあ、早速食べてみようか。」
「はい。」

今日作った試作品は2種類。
1つは、普通の生地につぶ餡と抹茶味の生クリームを挟んだモノ。
これは、昔よく食べた「生クリームあんぱん」と「宇治金時」からヒントを得たのだ。
もう1つは、チョコ味の生地に少し甘めのカスタードクリームを挟んだモノ。
少し甘めってのは、練乳を混ぜてあるからだ。
茜としては、練乳はどうしても外せないらしい。

まず、チョコ生地の方を食べてみる。
「おっ、結構うまいな。」
「おいしいです。」
「カスタードも、このくらいの甘さなら大丈夫だな。」
横を向くと、茜は少し物足りなさそうな表情をしていた。
「私は、もう少し甘くてもいいと思いますけど。」
「そうか、じゃあ、あとでもう一度作ってみよう。」
「はい。」

次に抹茶生クリーム入りのを食べる。
「あ...すごく、おいしいです。」
今度は満面の笑みだ。
「本当だな。」
俺もその美味さには驚いた。
「よく思いつきましたね。」
「いや、好きなものを考えてたら、こうなっただけなんだけどな。」
「すごいです。」
心底感心したといった表情で茜が俺を見つめる。
「でも、作ったのは茜なんだから。」
そのとおりだった。
2人で作ろうとは言ったものの、お菓子作りなんてほとんど経験のない俺は、茜の指示どおりに材料の分量を計り、手渡すといったことしかしていない。
「そんなことありません。2人で作ってます。」
茜の言葉が、少し照れくさかった。


ひととり食べ終わったところで紅茶をすする。
紅茶を飲みながらぼーっとしていると、ふと、この家の中には俺と茜の2人しかいないことを思い出した。
ちなみに今日、茜の両親は少し離れた街へ買い物に出かけているのだ。
もしかして、茜も意識しているのだろうか?
そう言えば、ここでやろうって提案したのは、茜だったしな...
そんな考えが頭をよぎる。
いや、そんなことはないだろう。
やっぱり下心があるってことか。茜に悟られないようにせねば...

「どうしたんですか?」
我に返ると、茜が不思議そうに俺の顔を覗きこんでいた。
「い、いや、ちょっと考え事をな。」
あわてて取り繕う。
「そうですか...」
茜は俺の方を向いたまま、再びベッドにもたれかかる。
「何を、考えていたんですか?」
「ん...茜のこと。」
「...」
恥ずかしそうに俯く茜。
そんな茜を見ていると、本当にいとおしいと思う。

「なあ、茜、キス...してもいいか?」
つい、そんな言葉が口から出てしまった...
「...」
茜は何も答えない。
その代わりに、ほのかに頬を赤く染め、軽い上目遣いで俺の目を見つめていた。
その目が微かに潤んでいるようにも見える。
これは...OKってことだよな。
そう解釈した俺は茜の肩に手を添え、ゆっくりとその唇に顔を近づけていった。
茜は恥ずかしそうに目を閉じる。

ガチャッ!
ドアが開く音...
へ?
「あっかね〜、折原く〜ん、たい焼きの出来はど...」
そして脳天気な声...
俺と茜の動きが止まる。
振りかえると部屋の入り口に詩子が立っていた。
「柚木...」
「...詩...子。」
「あ...ご、ごめんねっ。」
バタン。
柚木がドアを閉める。
「おいっ、柚木っ!」
名前を呼びながら急いでドアを開けると、柚木は部屋の前で固まっていた。

「ふ〜ん、茜と折原君の関係って、結構進んでたんだね。」
「...」
「...」
「うらやましいよね〜」
「...」
「...」
その後は1日中、柚木にひやかされ続けた。


そのころ...
とある町工場で、1人の美少女が、なにやら懸命に金属の塊を削っている。
しばらくすると少女の手が止まった。
そしておもむろに立ち上がる。
「できたわっ、これで売上倍増は間違いなしねっ!乙女にしか為せない技よっ!ほーっほっほっほっほっほ。」
少女は手に持ったハンコのようなものを見ながら、豪快に笑い続けていた。

北の大地から飛び立った飛行機の中で、1人の少年が満足げな表情を浮かべている。
「ふっ、最高級の小豆は手に入った。これで味でも浩平には負けんぞっ、くっくっくっくっくっ。」
少年はスッチー達の冷ややかな視線を一身に浴びながらも、いやらしい笑を続けていた。

・・・・・ つづくんですねぇ ・・・・・

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はいっ、次回はいよいよ学園祭当日(の予定)です。
はぁ〜っ、長い前振りだったなぁ。
七瀬が作ってたモノは何なんだ?謎が謎を呼ぶ(何処がだ)次回をお楽しみにねっ。

では、感想です。

偽善者Zさん
・浩平犯科帳 第二部 第三話「憎悪」
 いつものことですが、戦闘シーンの書き方、上手いです〜。浩平の捨て身の蹴りなんか、ホント格好いいですよねぇ。
 でも、久坂って曲者っぽいなぁ。今後の展開のキーマンになるような気がするのは自分だけでしょうか?
 それから、番外編も楽しみにしてますっ。

enilさん
・新たな身体
 はじめましてっ。詩を書いてらっしゃるんですか。自分は新掲示板には全然行ってないんで、知りませんでした。
 ごめんなさいっ、今度読まさせてもらいますねっ。
 みさおの出した条件って、タイトルから想像すると別人としてもとの世界に戻るってことかなぁ。
 だとしたら、斬新な発想ですねぇ。いや〜、続きが楽しみですっ。

だよだよ星人さん
・新世界だよもん教!劇場版 1
 うっひょお〜っ。だよだよ星人さんっ、続かないって言ってましたが、しっかり続きを書いてたんですね〜。
 しかも劇場版!嬉しいですぅ〜
 七瀬と浩平の会話のシーン、七瀬がすごく魅力的に書かれてますね。印象的でした。
・新世界だよもん教!劇場版 2
 澪と繭が大猫に襲われる場面、すっごくドキドキしましたっ。それから、評議会のメンバーにMoon.のキャラを配役するっての、めちゃくちゃハマってますね。

まてつやさん
・ONE遊記
 南森っ、報われなさすぎっ!南は茜に食べられる訳だし、中崎は七瀬に乗ってもらってる訳だし、2人はいちおう本望だと思いますぅ。
 でも「 恋するオトコの成せる技ですっ!」は、名台詞ですねっ。

スライムさん
・Moonな日々−3−(後編)
 やっぱり葉子さんは茜に間違いな〜いっ、ミートソースにチョコなんて芸当は茜以外にはできないぞっ。しかも普段はラジオ体操ぉっ、ますます間違いなしですねっ。わっはっはっはっは〜。

雫さん
・校内ミスコンテスト(その7)
 浩平の黒魔術(?)、めちゃ単純だけどすごい破壊力ですねっ。そんでもって最後は自爆とは、思わず笑っちゃいました。
 
WILYOUさんとこの掲示板にSS後記なんかも書いてますんで、興味のある方はそっちも見たら面白いかも。(勝手にこんなこと書いてい〜んだろうか?)

じゃあ、まったね〜っ。