俺と茜の学園祭(その2) 投稿者: いけだもの
こんばんわ、いけだものです。
学園モノの定番(?)、学園祭の2回目です。

では、ど〜ぞ。
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前回のあらすじ
もうすぐ学園祭...
「2人で出店でもやらないか?」
突然の浩平の提案、正直言って戸惑いました。
だって、そんなことしたこともなかったし、人前で何かするなんて、すごく恥ずかしいですから。
でも、それが私のことを考えてくれての提案だって分かって。
嬉しくって。
だから、やってみようかなって思いました。
でも、何のお店にしたらいいんでしょう?


その日の放課後...
俺と茜は学園祭に出す店の詳細を決めるため、商店街の喫茶店に立ち寄った。
「さて、何の店にするかだが...」
「だいぶ涼しくなってきたから、やっぱり暖かいおやつがいいんじゃない?」
「そうですね。」
俺の対面では、茜と柚木が並んでチョコレート・パフェを食べていた。
「どうしてここにお前がいるんだ?」
「茜、折原君がどうしてここにいるんだって聞いてるよ。」
「茜じゃない、お前だ、柚木。」
「どうしてって、さっき一緒にお店に入ったじゃない。ね、茜。」
「はい。」
「...」
俺は目を閉じ、こめかみを押さえる。
気がつかなかった...
「浩平、頭痛いんですか?」
「いや、大丈夫だ...」

まあ、パフェも食べ始めていることだし、ここは学校じゃないから、わざわざ追い返す理由もないか。
それにこういう事は、大勢で考えた方がいいアイディアが浮かぶもんだしな。
そう思い、俺は気を取り直した。

「茜は何がいいと思う?」
「ワッフルがいいです。」
「う〜ん、ワッフルを作る器材はないみたいだな。」
事務所でもらってきたレンタル器材のリストを確認して答える。
「...残念です。」
「じゃあ、たこ焼き。」
「それは先約が入ってる。」
「ちぇっ、残念。」
「では、クレープは?」
「それも予約済み。」
「...そうですか。」
「お好み焼き。」
「ブ〜。」
「...ドーナツ。」
「バッテンだ。」
 ・
 ・
 ・
2人の提案はことごとく予約済みの壁にはね返された。

「浩平、どんな器材が残ってるんですか?」
茜が不満気な顔でたずねてくる。
「ん〜とな、まずおでん用の器材、それから串焼き用に餃子用。」
「おやじ臭〜い。」
確かに俺もそう思う。
「あとは中華まん用に大判焼き用、それとたい焼き用だな。」
「...それなら、たい焼きにしませんか?」
「ああっ、それいいねっ。それに中身をアレンジなんかしてみたら、きっと楽しいよね。」
「おっ、お前もたまにはいいこと言うな。」
「茜、折原君がたまにはなんて言ってるよ。」
「柚木、お前だってば。」
「う〜、折原くんひど〜い。」
「ふふふっ。」
茜は俺と柚木のやりとりを笑いながら聞いていた。

最近の茜は笑顔でいることが多い。
その理由は、俺が帰ってきたことで、茜の心は悲しい過去の呪縛から解き放されたからだ。少なくとも俺はそう思っている。
もしかしたら、単なる自惚れなのかもしれないけどな...
でも、あの雨の日に見た、悲しい瞳をした茜はもういない。
それだけは事実なんだ。

「じゃあ、たい焼き屋ってことで申し込んでおくからな。」
「楽しみだね、茜。」
「はい。」
学園祭でたい焼きを売る茜の姿を想像し、俺の気持ちも更に高ぶっていた。


ぱくぱく...
ぱくぱく...
「なるほど、たい焼き屋をやるつもりなのか。」
「そうみたいだな。」
浩平達3人から2つほど離れた席で2人の男が向かい合ってフルーツ・パフェを食べていた。
2人とも制服姿で野球帽を目深にかぶり、サングラスをかけると言う見るからに怪しい格好をしている。
「では、折原が申し込む前に俺達が...くっくっくっ。」
男の1人が、手元にある学園祭のイベント申込書になにやら書き込む。
「里村さん、申し訳ないけど折原を選んだ君が悪いんだよ。へっへっへっ。」
(おもいっきり不自然な変装をした)2人の男は、いやらしい笑みを浮かべながら喫茶店を後にした。


・・・・・ つづくのだ ・・・・・

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はいっ、おそまつさまでしたっ。

たくさんの感想、ありがとうございました。いつもながら、すっごく励みになりますっ。
今後も、浩平と茜の『らぶらぶ』ぶりを前面に押し出して、話が展開していく予定ですので、よろしくですっ。

では、感想ですぅ。

奈伊朗さん
・繭のとくべつなみゅー (1)
 こいつは『みゅーの恩返し』ってやつですかね。どんなお導きになるんでしょうか?
・繭のとくべつなみゅー (2)
 みゅーが葛藤しているところの表現がうまいですね。みゅーを探す繭がけなげです。

まてつやさん
・茜様がゆく2!
 ドラ16...どうやったらそんなにドラが...ショックでかいよなぁ。ラストもきっついなぁ。でもこういうの、面白いですぅ。シュンくん、安らかに眠ってくれい。

スライムさん
・同棲−2−
 黒板に落書きする、ならぬ黒板がない...すごい技です。黒板を処分している浩平を想像して笑ってしまいました。
・『カ〜ドキャプタ〜みおなの』
 最後に『なの』が付くだけで、台詞がほのぼの化してると思うのは自分だけでしょうか?番外編も面白いかったですっ。

しーどりーふさん
・感想でぽん!
 お褒めの言葉、ありがとうございます。これからも、がんばりますよっ。

nabeさん
・雪のロンド
投稿日: 10月17日(土)20時12分
 こんな形で茜が救われる日がくるなんて...うるうるうる。思わず目頭が熱くなりましたっ。こんな表現しかできませんが、とにかく良い話をありがとうございましたっ。

藤井勇気さん
・氷上シュン無謀SS4
 キョホーーーーーーーーーーーーッッ!!!。いや〜、シュンがこれを言ったかと思うと、むちゃくちゃ笑えました。
・わんとむ〜ん 第1話 その1
 うわ〜、七瀬大爆発だぁ〜。今まで読んだSSで一番の爆発ぶりではないでしょうか。それにしても、「立てばビヤダル、座れば土台、歩く姿はドラム缶」っての上手すぎです。

雫さん
・校内ミスコンテスト(その3)
 みさき先輩の借金もすごいけど、貸してる雪見さんの財力も侮れませんね。澪の出場理由が可愛いですっ。

もうちゃん@さん
・ミズエモン『茜との婚前旅行?』
 インディ・ジョーンズばりの罠に自転車での空中戦、瑞佳ってば切れまくってますね〜。このままだと函館の街が壊滅してしまうのでは?

偽善者Zさん
・浩平犯科帳 第一部 第十四話「懐古」
 みさおの話はやっぱりヘヴィですねぇ。次回、どのように浩平が過去との「決別」を果たすのか?楽しみですっ。 

それでは、また〜