続 幼なじみの運動会 投稿者: いけだもの
こんばんは、いけだものです。

明日は体育の日ということで、勝手に体育の日すぺしゃるですっ。
先月の終わり頃に書いた話の続きを書いてみました。

では、どうぞ〜。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「いち、にっ、いち、にっ。」
長森のリズムに合わせて次の障害物に向かって走る。
今日は運動会。俺、折原浩平は幼なじみの長森と『男女混合2人3脚障害物競争』なる競技に出場しているのだ。

俺はこう見えても勝負事には妥協を許さない性格だ。だからこんな競技でも出場するからには必ず勝利し、クラスを優勝に導かなければならない。
しかも、さっき走った南−里村ペアが予想どおり(?)惨敗してしまったため、なおさら勝利が要求される状況となった。
しかし相方が運動の苦手な長森ってことで、スタート前はかなり不安だったのだが...
実際スタートしてみると、ほぼ毎朝走って登校している成果なのか、これが幼なじみの阿吽の呼吸というものか、障害が残り2つとなった時点で俺達はトップを快走していた。

それにしても長森と肩を組むなんて、いつ以来だろうか。
最近じゃあこんなことはまずなかったはずだ。
だから気づかなかったけど、長森って結構グラマーなんだな。
肩にまわした腕から伝わってくる柔らかい感触がなんとも言えない。
そしてときおり鼻腔をくすすぐる髪の香り。
長森も女っぽくなったんだなあと思わず意識してしまう...
...いかん、いかん、レースに集中せねば。


「いち、にっ、いち、にっ。」
私がリズムをとって障害物を越える。
浩平のことだから絶対勝ちたいって思ってるよね。
クラス対抗だから結果は大事だよ。
でもね、私はこうして浩平と一緒に何かできるのが嬉しいんだよ。

それにしても浩平って、結構背が高いんだよね。
普段は気にもしてなかったけど、こんなにくっついてると改めてそう感じるよ。
中学に入学した頃は、私のほうが高かったのにね。
それから肩にまわしたされた腕、思ってたよりがっちりしてる。
男らしくなったんだなって、思わずドキッとしちゃうよ...
...はっ、だめだよ、競技に集中しなくちゃ。


俺達はなんとかトップで最後のコーラ飲み障害までたどり着いた。
とりあえず自分の分を一気に飲み干す。
続いて長森の分を...って飲んでるじゃん。
横を見ると長森がコーラを飲んでいた。
「おいっ、長森っ。俺が飲んでやるって、さっき言っただろ。」
「うん、でもそんなズルして勝っても嬉しくないもん。」
「だからってお前、無理してまで飲むことないだろ。」
「無理なんかしてないもん。」
長森は再びコーラを飲み始める。
そうは言っていたものの、どう見ても無理してるのがまる分かりだ。
しかし、ここでコーラを奪って飲んでしまえば、変なところで意地っ張りなこいつのことだ、怒り出してレースどころではなくなるだろう。
俺は素直に長森が飲み終わるのを待つことにした。

その間に他のクラスの奴等も次々と到着し、コーラを飲み始める。
だからと言って長森を急かす訳にもいかず、応援の言葉をかけながら長森がコーラを飲むのを見守った。
「長森、がんばれっ。あと少しだぞ。」
「んんっ。」
 ・
 ・
 ・
「はぁっ、飲み終わったよっ。」
やっとのことで長森がコーラを飲み終えたが、その間に2組に抜かれてしまっていた。

現在トップとの差は約5m。
残りの距離を考えると逆転はちょっと難しそうだ。
しかし、長森の努力を無駄にするわけにはいかない。
「長森、少しペース上げられるか?」
「うんっ、大丈夫だよ。」
「よし、じゃあ行くぞっ!」
俺達はゴールに向かって走り出した。


「いち、にっ、いち、にっ。」
さっきより速いペースでゴールに向かって走る。
やっぱり私達って息あってんのかな?
走り始めてすぐ、前にいたペアを追い抜いた。
ちょっと苦しいけど更にペースを上げる。
ゴールまではあと7mくらい、トップとの差は約3m。
「なんとか追いつけそうだよ。」
「ああ、このままこのペースでいくぞ。」

「いち、にっ、いち、にっ。」
残り3m、トップとの差はほとんどなくなった。
「浩平、ラストスパートだよ。」
「行けるか?」
「うんっ。浩平のリズムにあわせるよっ。」
私の返事を聞いて、浩平がリズムをとりだす。
私にとってはかなりきついペースになったけど、あと少しだもん。がんばらなきゃ。

「いち、にっ、いち、にっ。」
残り1m。
(よし、抜いたっ。)って思った瞬間、私の足がもつれた。
「きゃっ!」
そのままバランスが崩れ、視界に地面が広がってくる。
(浩平、ごめん。やっぱり私にはハイペースすぎたみたいだよ。)
そんなことを考えながら倒れていく。
「長森っ!」
浩平の声。そのすぐ後、
ズシャーーー
地面と体がこすれる音が聞こえた...


あれっ?音はハデに聞こえたけど、あんまり痛くないよ?
目を閉じてしまっていた私には、状況がよく分からなかった。

「お、折原っ!お前ってヤツはっ!!」
「キャ〜!瑞佳ったら〜」
住井くんや佐織の叫び声が聞こえる。

転んだのがそんなにびっくりしたのかな?

ん?

唇に、何かあたってる...

はっとして目を開けると浩平の顔がどアップで飛び込んできた。
「わっ、わわわっ。」
慌てて体を起こす。
どうやら私の体が地面につく直前に、浩平が自分の体を反転させて私をかばってくれたみたいだ。そして...

私と浩平は転んだ状態でキスをしていた...

浩平は気絶してたけど。


雪 見「ねえ、みさきっ。さっきの障害物競争ですごいことがあったらしいわよ。」
みさき「どんなことかな?」
雪 見「それがさ、2年生のあるペアがゴール前で転んじゃって、その拍子にキスしちゃったらしいのよ。しかもその2人ってのが、幼なじみなんだってさ。」
みさき「そうなんだ。」
雪 見「『そうなんだ』ってあんた本当にこういう話に無頓着ね。『きゃ〜、うっそ〜』とか『すっご〜い、だいた〜ん』とか言えないの?」
みさき「ちょっとそれは言えないかな。でもびっくりはしたよ。」
雪 見「どうだかね、あんパンかじりながら言っても真実味がないわよ。やっぱりみさきの場合は、色気より食い気みたいね。」
みさき「雪ちゃん、酷いよ〜」
雪 見「はぁ、同じ幼なじみでも私達とはえらい違いね...」


「はぁっ、あのことが浩平に知られたらまずいよ。とりあえずクラスのみんなには口止めしといたけど、大丈夫かなぁ?」
そんな長森の心配もむなしく、2人はすっかり噂の人になっていた。


・・・・・おしまい・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

はいっ、おそまつさまでしたっ。

続きを期待されていた方、いかがでしたでしょうか。
結局こんなベタベタな展開しか思いつかず、書いてて恥ずかしくなりましたっ。
でも、いいやっ。どうせ自分が書ける話はこんなもんさっ。
あ、そうそう、話の中でみさき先輩が食べていたあんパンは、パン食い競争でゲットしたものです。

では、感想ですぅ。

偽善者Zさん
・浩平犯科帳 第一部 第十一話「約束」
 婦亜瑠後の絡みが多くなってきましたね〜。いずれMOONのキャラも出てくるのでしょうか。
・浩平犯科帳 第一部 第十二話「面影」
 澪、いきなり主役張ってるんですね。でもあのそそっかしさは愛らしいですねぇ。 
・吾が輩はハムスターである6
 死んじゃいましたね。でも浩平と茜の絆の強さがハムスターにも理解してもらえてよかった。
・大いなる一言
 おおっ、やけにすれてる澪ですねっ。

スライムさん  投稿日: 10月7日(水)01時25分
・Moonな日々−U−(前編)
 長森は既に不可視の力を持ってるのではないでしょうか。『秘奥義、ハイパーシリアスフェイス!』が笑えました。浩平、女装しといてシリアスはないだろう。
・悪あるところに必ず正義あり(3rd)
 タクシーのメーターを壊したうえに料金を500円まで値切るとは正に外道ですね。運転手さんお気の毒さま...

〜光と闇4〜
まてつやさん  投稿日: 10月7日(水)15時26分
 連日の投稿、すごいですっ。
 みさき先輩の心の言葉、感動的でしたっ。『わたしが『普通』を求めれば求めるほど……『普通』からは離れてゆく……。』って表現が特によかったと思います。『普通』ってのは時としてその人の『理想』になってたりしますからね。

KOHさん  投稿日: 10月7日(水)23時12分
・雨
 みさき先輩が傘をささない理由、なるほどって納得してしまいました。いつもながら、みさき先輩の描写がすっごくうまいですね。感心しまくりです。
・川名みさき最後の日
 はぁ〜、すごっく良いラストでしたっ。思わずにやけてしまいましたよ〜。それと浩平のプレゼント、センスいいですね。

『無邪気に笑顔』の歌詞
しーどりーふさん  投稿日: 10月8日(木)02時42分
 前向きな姿勢が感じられる詩でよいです。あっ、消えてる... 

第一回早食い大会!!5
投稿者: ここにあるよ?  投稿日: 10月8日(木)09時26分
 意外と接戦になってますね。いったいどのペアが優勝するんでしょうか。それにしてもバツゲームのワッフル、みんな気絶するとはどんな味なんでしょう。

では、また〜。