幼なじみの運動会 投稿者: いけだもの
こんばんは、いけだものです。
さて、おいおいまたかよとお思いの方もいるかと思われますが、懲りずに季節モノです。

では、ど〜ぞ。
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秋晴れの運動会...
「う〜、何で俺がお前とこんな競技に出なくちゃならないんだ。」
「いまさらそんなこと言っても仕方ないよ。」
「あの時お前がきっぱりと断ればこんなことにはならなかったんだぞ。」
「浩平だって『嫌だっ』って言いながら顔はにやけてたもん。」
「なにっ、お前こそにやにやしてたじゃないかっ!」
「にやにやなんかしてなもん!フーーーッ!!」
「なにをー!ガァーーーッ!!」

男女混合2人3脚障害物競走の集合場所でこんな会話を交わす2人。
言わずと知れた折原浩平と長森瑞佳の幼なじみコンビである。
事のなりゆきはこうだ。


ひと月前のホームルーム...
「...次は男女混合2人3脚の選手2組ですが、希望者がいなければくじ引きで決めたいと思いますが...」
「ええ〜」
学級委員の言葉に教室がどよめきにつつまれる。まあ、この手の競技の選手を決める時ってのはどこの学校でもだいたいこんな感じだろう。
誰もが『やってもいいかな』という気持ちを心の奥底に持っているくせに、『はずかしい』とか『誰だれとはペアになりたくない』とか言ってお互いに譲り合うのだ。
そんな中、1人の男子生徒がわざとらしく手を上げて発言した。
「折原と長森さんなんか、いいんじゃないか?」
「ばかっ!住井っ、何言い出すんだ!」
「いーじゃないか。お前たち幼なじみなんだし。ね、長森さん。」
「え〜、そんなこと急に言われても困っちゃうよ。」
「ほらっ、長森も嫌がってるじゃないか。」
「嫌がってなんかないよ。ちょっと驚いただけだもん。」
「ばかっ、嫌がれよっ。」
「折原〜、照れるな、照れるな〜。」
「ひゅー、ひゅー」
「よっ、ご両人、お似合いだよっ。」
教室内は大盛り上がりである。
「じゃあ1組は決まりってことで、あと1組はくじ引きで...」
パチパチパチパチパチ
「おいっ、勝手に決めるな〜」
パチパチパチパチパチ...


「まあまあお2人さん、こんなところ威嚇し合ってないで楽しくやろうよ。」
そう言いながら南が俺達の間に割り込んできた。
ちなみにこいつもこの競技に出場するのだ。
「なんだよ南、やけにご機嫌だな。」
「そりゃあ俺の相方は里村さんだからな。俺のくじ運の良さを思い知ったか!」
南は両腕を高々と上げて、おおげさにガッツポーズをしてみせる。しかし、
「へ〜、南くんって里村さんのことが好きなんだ。」
という長森の言葉に全身が硬直した。
(ナイスつっこみだ、長森。)
「えっ?そ、そんなこと、な、ないよ。た、ただ里村さんって結構可愛いから...」
うるたえる南、こいつも嘘が下手な奴だ。
「ば〜か南、顔が赤いぞ。」
「うるせえ折原っ。」
「はははっ。でも南くん、里村さんってどこにいるの?」
「へっ?里村さんならその辺に...あれ?いない...」
「...」
「...」
「おーい、里村さ〜ん。どこ行った〜」
相方の名前呼びながら南は走り去っていった。

そんな南くんを見送った後、浩平の表情がにわかに真剣になった。
「長森っ、やるからには勝つぞ。」
「うん、がんばろうよ。」
やるからには全力を尽くす。これが浩平のいいところなんだよ。
「そう言えばお前、炭酸飲料苦手だったよな。」
「うん。」
「コーラの一気飲みは俺にまかせろ。ばれないようにお前の分も飲んでやるからな。」
「ありがと...浩平ってさりげなく優しいよね。」
そんなところが好きなんだよ、私。
「ばかっ」
浩平は私の頭を軽く叩くと顔を真っ赤にしてそっぽを向いた。

里村茜はグラウンドの隅の木陰からこのやりとりを眺めていた。
「...幼なじみ...うらやましいです...」
「あっ、里村さん。こんなところにいたんだ。」
「...」
「俺達も1年から同じクラスだし、折原たちに負けないくらい呼吸合わせて行こうぜ。」
「...嫌です。」
そう言って彼女はてとてとと集合場所へ歩いて行く。
1人取り残された南。
「...もしかして俺って嫌われてんのかな?」

そんな南の想いをよそに運動会のプログラムは進行していくのだった。

・・・・・おしまい・・・・・

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う〜む、一応浩平&長森の視点で書いたつもりなんですが、長森って難しいですね。
単に入れ込み度が足りないだけかも...
まあいいか。
次回の秋ネタは何にしようかな〜

さて、いつも感想ありがとうございますっ。
自分の感想ってただのつっこみって感じもしますが...今朝のよもすえさんまでの感想で〜す。

よもすえさん
 椎名隊員の場合、特に笑わせてもらいました。それにしても浩平上司って何人いるんでしょう。

GOMIMUSIさん
 あら〜、浩平ほか永遠の世界におそろいで。こんな展開もありそうですね。でもみんながこっち来たらこれが現実の世界になっちゃうんでしょうか。

11番目の猫さん
 いや〜、いいお話ですっ。繭っ、がんばったんだねぇ、ううっ(涙)。
 茜のエピローグ、心待ちにしてます。それにしてもサンマに練乳ですか...その発想、感服いたしました。

まてつやさん
 折原親子、そろっての詰めが甘さが笑えます。それにミラクルルミ、ちょっと華麗ですね。

kouさん
 浩平がほかの人を忘れるっていう逆転の発想がいいですね。

T.Kameさん
 やっぱり南は忘れられていく運命なんですね。思いっきりやっちゃってください。 

天ノ月紘姫さん
 これを読む限り、七瀬が食に関しては一番の常識人ということですね。

KOHさん
・『乙女希望』の歌詞
 七瀬がすごく可愛く思える歌詞です。センスいいなあ。
・温泉に行こう−6−
 おひつ2杯おかわりはすごいですね。深山さんもみさき先輩を煽ってるし。あと住井、ご愁傷さま。

だよだよ星人さん
 こうしてみると詩子もいいかもしんないですね。最後のラーメン食べながらの会話がいいなあ。

偽善者Zさん
・吾が輩はハムスターである5
 ついに結婚、しかも学生結婚ですかっ。最終回は浩平対ハムスター浩平の大バトルかな。
・浩平犯科帳
 う〜ん、お七の謎が深まるばかりなので次回が楽しみですっ。それにしてもストーリーがしっかりしてますね。

藤井勇気さん
 おおっ、ついに本性(?)を現しましたかっ!シュンくん恐〜い。

雫さん
 おかあさん、死んじゃったんですね。でも繭と心は通じてるんですよね。よかったあ。

いちごうさん
 やっぱり七瀬と晴香以外はプロレスに向いてないようですね。それにしてもゴンザレスですか...次はいったい?

はあ、次回はいつお会いできることやら。
ではまた〜。