おはようございます。いけだものですっ。
内容がぜんぜん「サスペンス劇場」ではなくなっていますが、なんとか最終回にたどり着きました。
では、どうぞ〜
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みんなが『あのジュース』(通学路の自販機で売っているヤツだ)を好んで飲むようになっていく...そんな環境にノイローゼとなってしまった俺は暗い年末年始をおくっていた。
そんな冬休みの最終日、茜からデートの誘いがあった。そして茜はデートの終わりに俺をいつもの空き地へと導いた。
そこで俺を待っていたものは茜の意味不明な話と『不思議生物(?)アルジー』であった。
(よく分からない方は「その1〜3」を読んでね)
雪が積もり始めたいつもの空き地...
茜はどこからともなく『あのジュース』を取り出して言った。
茜 「浩平のノイローゼの原因ってコレでしょう?」
浩 平「...」
あまりに核心を突いた茜の言葉に俺は返答もできず、茜が取り出した『あのジュース』を見つめていた。
茜 「...ごめんなさい。...私がもっと早く気付いていれば浩平にあんな思いをさせずにすんだのに。」
浩 平「...」
茜 「...アルジーが浩平にやきもちを焼くなんて、思ってもみなかったから。」
浩 平「...」
茜 「アルジーが私を含めたみんなの味覚をおかしくしていたみたいなの...」
浩 平「...」
茜が話をしている間、『アルジー』と呼ばれる生物は茜の足元で意味不明の踊りを踊っていた。まるで某社の落ち物パズルゲーム『ぷ○○よ』の『○ーバン○ル』の様に...
茜 「もっと早くなんとかしたかったんですけど...アルジーが見つからなくて...本当にごめんなさい。」
茜の瞳から涙がこぼれ落ちる。そんな茜を見ても俺は言葉を発することができなかった。
それほどに茜の話とその足元にいるおかしな生物の存在は、俺の想像力の限界を超えていたのだ。
茜が涙を拭きながらアルジーをむんずと掴み、アルジーと顔を見合わせる。
茜 「アルジー、浩平に謝りなさい。」
アルジー 「にゅ?」
子どもを諭すような茜の言葉にアルジーはすっとぼけたような声を返す。
たちまち茜の顔が険しくなる。
アルジー 「にゅっ!」
怒りの気配を感じたか、アルジーは短く鳴いて硬直した。
茜 「あ・や・ま・り・な・さ・い!」
そう言って茜はアルジーを俺の方に向ける。
アルジー 「にゅ〜」
それが謝罪の言葉なのか俺には分からなかった。
茜の話によれば、茜のペットであるこの『アルジー』とか言う生物は魔法のような不思議な力を持っているらしい。
そして茜と仲良くなっていく俺にやきもちを焼いて、俺へのいやがらせとして今回の事件(みんなの味覚をおかしくして俺を孤立させる)を起こしたというのだ。
教室での一件を不信に思った茜であったが、つい昨日まで『アルジー』が姿をくらましていたために事実を確認することができなかったそうだ。
...それにしても理解し難い話だが...
そして更に茜はアルジーに命令する。
茜 「さあアルジー、みんなの味覚を元に戻しなさい。」
アルジー 「にゅ、にゅ〜」
アルジーの体から眩い光が放出される...そしてその光がこの空き地を、この街をつつんでいく...
そしてまた元どおりの雪の降る空き地...
その様子を唖然として眺めていた俺であったが、我に返ると茜に問いかけた。
浩 平「なあ、茜。」
茜 「なに?」
浩 平「こいつはいったい何なんだ?」
茜 「分かりません。」
浩 平「いつから飼ってんだ?」
茜 「3年前くらいからです。」
浩 平「どこで入手したんだ?」
茜 「この空き地で拾ったんです。」
浩 平「...」
茜 「可愛いでしょ?」
浩 平「可愛い?」
茜 「はい。」
浩 平「う〜ん、それはいいけど変な力を持ってるみたいだし、危険な生き物なんじゃないのか?」
茜 「よくなついてるから平気です。」
浩 平「そうか?」
茜 「はい。」
穏やかな表情で足元で踊っている『アルジー』を見つめながら茜が答える。
(まあ、いいか)そう思った。
茜 「そう言えばコレ、そんなに不味かったですか?」
不意に茜が聞いてきた。
浩 平「ああ、不味いよ。」
茜 「そうですか...」
プシッ!
プルトップの蓋を開ける音がした。
見ると茜が『あのジュース』を飲もうとしていた。
浩 平「茜!飲むつもりか?」
茜 「きっと、だいしょうぶです。」
そう言って茜は缶に口をつけた。
茜 「こく、こく」
浩 平「...」
茜 「こく、こく」
浩 平「...」
茜 「こく...」
茜の動きが止まった。
浩 平「茜?」
茜 「.........」
茜は少し背の高い草が生えている辺りまで無言で歩いて行き、草陰にうずくまった。
茜 「ケホッ、ケホッ」
咳き込んでいるようだ。やはり味覚が普通に戻った状態ではあの味には絶えられないらしい。
しばらくして茜が振り返りながら立ち上がった。暗くてその表情は分からないが、ただならぬ気配を感じる。
茜 「ア・ル・ジ・ィ〜」
アルジー 「にゅっ!」
その声を聞いたアルジーは再び硬直した。
茜が呪文のようにアルジーの名前を呟きながらゆっくり戻ってくる。
アルジー 「にゅ〜」
アルジーはひときわ大きく鳴くと、現れた時とは逆に光の塊に変化していく...
茜 「アルジー、まちなさい!」
茜が叫ぶよりも早く、その光は茜の家の方角へと飛んでいった。
茜 「...」
浩 平「...」
2人、顔を見合わせる。
浩 平「アレ、どうだった?」
茜 「...すごい味ですね。」
浩 平「やっぱりか。」
その言葉に俺は安堵感に包まれた。
浩 平「あ〜あ、明日から学校かよ〜。」
少し伸びをしながら言う。
茜 「遅刻しないでくださいね。」
茜が笑顔で返す。
浩 平「おう、まかせとけって。」
・・・・・おしまい・・・・・
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すっごく強引な展開になってしまいましが、これも「行き当たりばったり」で書いてるツケですね。
そんなこの話を読んでいただいた方々、更に感想まで書いてくださいました方々、どうもありがとうございました。
やっぱり週末は作品も増えますね。では、感想ですっ。
雫さん
ってことは今の髪は青く染めてるってことですね。それにしても染之助・染太郎を呼ぶなんて、おちゃめな校長先生です。
ここにあるよ?さん
『茜ちゃんスペシャル』ついにこんなネーミングのワッフルがでてきましたか。でも「甘辛い」ワッフルって何が入ってるんでしょう?
だよだよ星人さん
オチがいいですね。確かに食べ過ぎです。個人的にはみさき先輩の武器が特大のうちわってのが気に入りました。
茜がからむ話を書きたかったんですよ。でもワッフルはみなさん、うまく使ってますからね。そこで『アレ』に目をつけたってワケです。あはははは。
GOMIMUSIさん
6人の案内役としてシュンを使うってのがハマってますね。いつもながら流れるような話の展開、お見事です。
まてつやさん
最後の「嬉しいときにも涙がでるんだね……」ってのがいいですね。繭、お前成長したなって感じです。
投稿者: よもすえ
それぞれの状況を雨の降り方にたとえるなんて、うまいですね。特に最後、まさに波紋ですね。
しーどりーふさん
反転する世界:
こんなんじゃ、あっちの世界に行きたくもなりますね。知らないキノコには注意が必要です。
『虹のみえる小径』の歌詞:
前向きな詞でいいですね。
『約束』
前のよりせつなくなってますね。
白久鮎 さん
感想ありがとうございました。
偽善者Zさん
茜がひとり暮らしですか。これは今後すっごいラブラブな話に進展しそうで楽しみです
それでは、また〜。